なぜ借金を理由に解雇してはいけないのか

2026/04/08|937文字

 

「借金がある」「多重債務者である」ことだけを理由に解雇するのは、原則として認められません。

 

<借金は私生活上の問題>

借金があること自体は、労働者の私生活上の事情です。

日本の労働法では、私生活上の問題を理由に解雇することは、よほど仕事に重大な支障が出ない限り認められません。

・借金があっても仕事をきちんとこなしている

・遅刻や欠勤が増えたわけではない

・会社のお金を扱う仕事でも問題を起こしていない

こうした場合、解雇理由としては非常に弱いです。

 

解雇権濫用法理に反する可能性>

労働契約法第16条では、「客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当でない解雇は無効」と定められています。

借金があるだけでは、次のような「合理的理由」には当たりません。

・仕事の能力が落ちた

・職場秩序を乱した

・会社に損害を与えた

 

横領リスクだけでは解雇できない>

会社側がよく言うのは、「借金があると横領のリスクが高いのではないか」という懸念です。

しかし、次のような事実がない限り、「リスクがあるかもしれない」というだけで解雇はできません。

・実際に不正をした

・具体的なトラブルが起きた

・金銭管理の業務に支障が出た

 

<裁判例での判断>

裁判でも、「借金があることだけを理由にした解雇は無効」という判断が繰り返し示されています。

裁判所は、借金は個人的な事情であり、それだけで職務遂行能力が下がるとはいえないと考えます。

 

例外的に問題になるケース>

ただし、次のような場合は別です。

・借金の返済のために会社のお金を使った(横領・着服)

→ これは懲戒解雇もあり得ます。

・度重なる借金トラブルで欠勤・遅刻が増えた

→ 業務に支障が出ているため、解雇理由になり得ます。

しかし、これらは「借金そのもの」ではなく、借金に関連して実際に業務に支障が出た場合に限られます。

 

<借金があることを理由に解雇された場合>

借金があるというだけで、不当に解雇の通告を受けてしまった場合には、次のように対応することが可能です。

・会社に解雇理由証明書または退職証明書の交付を求める(労働基準法第22条)

・労働局の「総合労働相談コーナー」や社労士に相談

・不当解雇として法的に争うことも可能

特に、借金だけを理由にした解雇は、争えば無効になる可能性が高いです。

PAGE TOP