2026/03/19|1,143文字
世界を見渡すと、「定年がある国」と「そもそも定年制度がない国」の両方が存在します。
さらに、定年がある国でも55歳〜70歳と幅が大きく、国ごとの事情が色濃く反映されています。
<世界の定年制度の実態>
■ 定年制度がある国(日本・中国・韓国・多くの欧州など)
定年年齢は、多くの国で60〜65歳が中心ですが、最近は67歳・70歳へ引き上げる国も増加しています。
・日本:原則65歳(70歳までの就業機会確保が努力義務)
・ドイツ:67歳
・フランス:64歳(段階的引き上げ)
・中国:男性60歳・女性55歳(引き上げ議論中)
■ 定年制度がない国(アメリカ・イギリスなど)
・法律で「○歳」と決めていない
・能力があれば何歳でも働ける
・ただし企業独自の制度や職種ごとの上限は存在することがある
・年金支給開始年齢は別途設定されている(例:米国は67歳が基準)
■ 定年が低い国(東南アジア・南アジア・アフリカの一部)
・55〜60歳が多い
・平均寿命が先進国より短いことが背景
・若い労働人口が多く、世代交代を重視する傾向
<なぜ国によって定年が違うのか>
定年制度は「人口」「経済」「文化」「年金制度」の4つが組み合わさって決まります。
① 平均寿命・健康寿命の違い
国によって「どれだけ長く健康に働けるか」が異なります。
・長寿国(日本・欧州)
→ 60歳で辞めると年金支給期間が長くなり制度が維持しにくい
→ 定年を65歳以上に引き上げる流れが強い
・平均寿命が短い国
→ 高齢まで働くことが難しい
→ 定年が55〜60歳に設定されることが多い
② 年金制度の財政状況
年金制度がどれだけ余裕があるかで定年は変わります。
・高齢化が進む国(日本・ドイツなど)
→ 働く人が減り、年金受給者が増える
→ 定年延長が不可避
・若い人口が多い国(インド・東南アジア)
→ 年金財政に比較的余裕
→ 定年を低く設定しても制度が維持しやすい
③ 労働市場の状況(人手不足か、失業が多いか)
国の雇用状況も定年に影響します。
・人手不足の国(日本・シンガポール)
→ 高齢者にも働き続けてもらう必要がある
→ 定年延長や再雇用制度が進む
・若年失業率が高い国(スペイン・ギリシャなど)
→ 若者の雇用確保が優先
→ 高齢者の定年を低めに設定する傾向
④ 文化・価値観の違い
「働くこと」への考え方は国によって異なります。
・働き続けることを重視する文化(日本・北欧)
→ 高齢期の就労を社会参加として評価
→ 定年延長が進む
・余暇や家族との時間を重視する文化(南欧・南米)
→ 早期退職を選ぶ人が多い
→ 定年が比較的低め
定年年齢は「その国の人口・経済・文化を映す鏡」です。
日本では高齢化が世界でも突出して進んでいるため、今後も「働き続けること」を前提とした制度づくりが続くと考えられます。