2026/02/21|1,188文字
直行直帰の働き方は便利ですが、労働時間管理が曖昧になりやすく、企業側にとっても従業員側にとってもトラブルの原因になりがちです。
<直行直帰とは何か>
「直行直帰」とは、会社に立ち寄らず、自宅などから直接現場へ向かい、業務終了後も会社に戻らずに帰宅する働き方です。営業職やフィールドワーク中心の職種でよく使われます。
便利な働き方ですが、会社が従業員の労働時間を把握しにくいという課題があります。
<労働時間管理が必要な理由>
会社には従業員の労働時間を正確に把握する義務があります。
直行直帰でも、会社にいないからといって、労働時間を管理しなくてよいわけではありません。
労働時間を正しく把握しないと、次のような問題が起こります。
・残業代の未払い(法令違反)
・長時間労働の見逃し(健康リスク)
・労災トラブル(通勤災害か業務災害かの判断が曖昧になる)
<直行直帰の労働時間はどう考える?>
ポイントは「どこからどこまでが労働時間か」です。
◯ 労働時間に含まれるもの
・自宅 → 最初の訪問先までの移動時間(仕事に必要な物品を慎重に運ぶなどの業務を伴う場合)
・訪問先での業務時間
・訪問先 → 次の訪問先への移動時間
・最後の訪問先 → 帰宅までの移動時間(仕事の後片付けや次の仕事の準備を伴う場合)
・報告書作成やメール対応などの付随業務を行う時間
※会社に「行わなくても構わないか?」と確認してみて、「それは困る」という返事なら、その時間は労働時間です。
<労働時間をどう把握するか>
直行直帰では、会社が従業員の行動を直接確認できないため、仕組みづくりが重要です。
① スマホやPCでの打刻
・モバイル勤怠アプリで出勤・退勤を記録
・GPS機能で訪問先の位置情報を確認する企業もある(ただし休憩時間の監視はNG)
② 日報・スケジュールの提出
・訪問先、移動時間、業務内容を記録
・上司が内容を確認し、実態と乖離がないかチェック
③ 業務指示の明確化
・訪問先や業務内容を事前に共有
・不必要な移動や待機時間が発生しないよう調整
④ みなし労働時間制の検討(条件は厳しい)
外回り中心の職種では「事業場外みなし労働時間制」を使うこともありますが、「会社が努力しても技術的に労働時間を把握できない場合」に限られ、要件も厳しいため、安易に使うのは危険です。
<トラブルを防ぐためのポイント>
労働基準法違反、労働安全衛生法違反、不法行為などを生じないためには、次のことが必要です。
・移動時間をどう扱うかを就業規則で明確にする(法令・裁判例に沿って)
・勤怠記録の方法を統一する(ガイドラインに従って)
・日報やスケジュールの確認を習慣化する
・曖昧な時間(待機・移動・準備)を放置しない
直行直帰は便利な働き方ですが、管理が曖昧だと「サービス残業」「長時間労働」「労災トラブル」につながります。
企業としては、仕組みで管理することが最も重要です。