最近のPIP(Performance Improvement Plan:業績改善計画)のあり方と傾向

2026/02/02|1,289文字

 

〜「辞めさせるための仕組み」から「成長を支援する仕組み」へ〜

 

PIP(業績改善計画)は、従業員の仕事の成果や行動が期待水準に達していない場合に、改善を支援するための制度です。

以前は「退職勧奨の前段階」と誤解されることも多かったのですが、近年は大きく方向性が変わってきています。

 

<PIPの目的が“懲罰”から“支援”へシフト>

昔は「改善できなければ退職」という圧力的な運用が問題視され、裁判でも企業側が敗訴するケースが増えました。

そのため、最近のPIPは次のような方向に変わっています。

・従業員の成長を支援するための制度として位置づける

・改善可能性を前提に、具体的な支援策を企業が提示する

・精神的な負担を過度に与えないよう配慮する

企業側も「PIP=辞めさせるための仕組み」という誤解を避けるため、説明の仕方や進め方を丁寧にする傾向が強まっています。

 

<目標設定がより“具体的”で“測定可能”に>

曖昧な目標では改善のしようがありません。

そのため、最近のPIPでは次のような工夫が一般的です。

・数値で測れる目標(例:ミス率◯%以下、納期遅延ゼロ)

・行動レベルで明確な目標(例:毎朝10分の業務整理、上司への報告頻度を週3回に)

・達成期限を明確に設定(例:3か月以内に達成)

これにより、従業員も「何をすれば良いのか」が分かりやすくなり、企業側も公平な評価がしやすくなっています。

 

<上司の“伴走型サポート”が重視される>

PIPは従業員だけが努力するものではありません。

最近は、企業側のサポート責任が強調されるようになりました。

・定期的な面談(週1回など)を実施

・業務の優先順位づけや進め方を上司が一緒に整理

・必要な研修やOJTを提供

・メンタル面のフォローも重視

「放置して結果だけ見る」という運用は、裁判でも不適切と判断されやすく、企業側も慎重になっています。

 

<PIPの対象者が“限定的”に>

以前は「成果が出ていない人はとりあえずPIPへ」という乱暴な運用も見られました。

しかし現在は、次のように対象者を絞る傾向があります。

・改善可能性がある人に限定

・業務内容や配置が適切かを先に検討

・健康状態やメンタル不調が疑われる場合はPIPではなく別の支援へ

PIPはあくまで「業務遂行能力の改善」を目的とするため、健康問題やハラスメントなどが背景にある場合は別の対応が必要とされています。

 

<PIPの期間は“短期・集中的”に>

長期間だらだら続けるのではなく、最近は次のような運用が主流です。

・期間は1〜3か月程度が一般的

・短期間で集中的に改善を支援する

・期間終了後は、改善状況を客観的に評価

長すぎるPIPは従業員の負担が大きく、企業側にもリスクがあるため、メリハリのある運用が求められています。

 

<法的リスクを避けるための“透明性”が重視>

裁判例の影響もあり、企業は次の点に注意するようになっています。

・PIP開始の理由を明確に説明する

・評価基準を事前に共有する

・面談記録や支援内容を文書化する

・改善が見られない場合の対応も事前に説明

透明性を高めることで、従業員の納得感が生まれ、トラブル防止にもつながります。

PAGE TOP