「育休もらい逃げ」の問題点

2026/01/19|1,343文字

 

<育休もらい逃げとは?>

「育休もらい逃げ」とは、育児休業を取得して給付金などの制度的なメリットを受け取った後、職場に復帰せずに退職してしまう行為を指す俗称です。法律上禁止されているわけではありませんが、社会的に問題視されることが増えています。

 

<なぜ問題になるのか?>

育休もらい逃げが問題視される理由は、大きく分けて次の4つです。

 

  1. 企業側の負担が大きい

育休を取ると、企業は次のような対応を迫られます。

・人員の穴を埋めるための調整(代替要員の確保、他の社員の負担増)

・復帰を前提とした職場環境の準備

・育休中の社会保険料の会社負担免除に伴う事務手続き

企業は「戻ってくる前提」で動くため、復帰直前に退職されると、準備が無駄になり、業務に大きな混乱が生じることがあります。

特に中小企業では、1人の離脱が業務全体に影響しやすく、負担が重くのしかかります。

 

  1. 他の社員の不公平感

育休は本来、子育てを支えるための大切な制度です。しかし、もらい逃げが起きると、

・「制度を悪用しているのではないか」

・「真面目に働いている人が損をしているような気がする」

といった不公平感が生まれ、職場の信頼関係が壊れることがあります。

結果として、

「育休を取りたい」と言いづらい雰囲気が生まれ、

本当に必要な人が育休を取りにくくなるという悪影響もあります。

 

  1. 制度への信頼が揺らぐ

育休制度は、国が少子化対策として整えてきた重要な仕組みです。しかし、もらい逃げが広がると、

・「制度が悪用されている」

・「給付金の使われ方が適切なのか」

といった疑念が生まれ、制度そのものへの信頼が低下します。

制度への信頼が揺らぐと、将来的に制度が縮小されたり、利用条件が厳しくなったりする可能性もあります。これは、子育て世代全体にとって不利益です。

 

  1. 本来の目的から外れてしまう

育休制度の目的は、

「働きながら子育てできる社会をつくること」

です。

ところが、もらい逃げが起きると、

・育休が「退職前に給付金をもらうための制度」のように見えてしまう

・本来の「職場復帰を前提とした支援」という趣旨が薄れる

といった問題が生じます。

制度の目的がゆがむと、社会全体で子育てを支えるという理念が損なわれてしまいます。

 

<個人側にも事情がある>

一方で、育休後に退職する人の中には、次のような「やむを得ない事情」を抱える人もいます。

・職場の理解がなく、復帰後の働き方が現実的でない

・保育園に入れず、働きたくても働けない

・育児と仕事の両立が難しい環境

・職場でのハラスメントや不当な扱い

つまり、すべての退職が「悪意のあるもらい逃げ」とは限りません。

制度の問題だけでなく、職場環境や社会の支援不足が背景にあるケースも多いのです。

 

<どうすれば問題を減らせるのか?>

育休もらい逃げを減らすには、次のような取組みが考えられます。

  • 企業側

・復帰後の働き方を柔軟にする

・育休取得者とのコミュニケーションを密にする

・育児と仕事の両立を支える制度を整える

  • 国・自治体

・保育園の整備

・育休制度の運用改善

・企業への支援策の強化

  • 社会全体

・育休取得を「特別扱い」ではなく「当たり前」として受け入れる

・子育てを社会全体で支える意識を持つ

制度の悪用を防ぐだけでなく、誰もが安心して育休を取り、復帰できる環境づくりが重要です。

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