2025/12/20|1,233文字
労働基準法は2026年以降に、約40年ぶりの大改正が予定されています。主な改正点は「勤務間インターバルの義務化」「連続勤務の上限規制」「週44時間特例の廃止」「法定休日の事前特定」「つながらない権利の導入」などで、働き方や企業の労務管理に大きな影響を与えます。
<改正の背景>
前回の大きな改正は1987年の「週40時間制」導入でした。その後の社会や働き方の変化に対応するため、今回の改正が検討されています。
・テレワーク、副業・兼業の普及
・プラットフォームワーカー(ギグワーク)の増加
・長時間労働や過労死問題への社会的関心
・DXや働き方改革の進展
<主な改正内容(予定)>
・勤務間インターバル制度の義務化
終業から次の始業まで「11時間以上の休息」を義務化します。
例:23時退勤なら翌朝10時まで出勤不可。
・連続勤務の上限規制
現行では最大24日連続勤務も可能だが、改正後は 14日以上の連続勤務を禁止します。健康リスクを防ぐ目的です。
・週44時間特例の廃止
小規模事業場(従業員10人未満)に認められていた週44時間労働の特例が廃止され、全事業場で週40時間に統一されます。
・法定休日の事前特定義務
「毎週○曜日が休日」等と明示する必要が生じます。法定休日労働には 割増賃金135% が適用されます。
・「つながらない権利」ガイドライン
勤務時間外の業務連絡が制限されます。緊急時以外は連絡を控え、返信しなくても不利益を与えてはなりません。
・副業・兼業者の労働時間通算ルール見直し
副業・兼業している社員について、主業の勤務先と副業・兼業の勤務先の労働時間を通算するルールが見直され、月単位での総労働時間の把握のみへ簡素化されます。
・労働者の定義の見直し
プラットフォームワーカーを「労働者」と認める可能性があります。業務委託契約と雇用契約の区別がより厳格化されます。
<企業への影響>
・シフト管理の見直し:週40時間統一により、小規模店舗でも人員配置の再検討が必要となります。
・勤怠システム改修:連続勤務日数やインターバル管理機能の導入が求められます。
・就業規則の改定:休日の特定、時間外連絡ルール、副業管理などを明文化します。
・従業員教育:新ルールの周知徹底が不可欠です。
・リスク対応:違反すれば労基署の是正勧告や罰則、訴訟リスクが高まります。
<今後の見通し>
現在は労働政策審議会で審議中です。施行は2026年以降の見込みです。
中小企業向けに、猶予期間が設けられる可能性もあります。
企業は今から「勤務実態の把握」「就業規則の見直し」「勤怠システム確認」を進めることが推奨されます。
<実務の視点から>
今回の改正は、単なる労働時間規制の強化ではなく、働き方そのものを現代化する大転換です。人事部門としては「労務管理の透明化」「従業員の健康確保」「副業・兼業への対応」が重要なテーマになります。早めに準備を進めることで、法令遵守だけでなく、従業員の満足度や企業の信頼性向上にもつながります。