会社が従業員の退職に際して違約金や損害賠償を請求できるか

2025/11/24|1,076文字

 

退職時に違約金や損害賠償を請求できるのか?>

結論から言うと、原則として会社は従業員に退職を理由に違約金や損害賠償を請求することはできません。これは、労働者の「職業選択の自由」や「退職の自由」が憲法や労働法で強く保護されているためです。

 

なぜ請求できないのか?法律の根拠>

労働基準法第16条

「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」

この条文は、会社が従業員に対して「辞めたら○○万円払え」といった契約を結ぶこと自体を禁止しています。つまり、退職によって会社に損害が出たとしても、あらかじめ違約金や賠償額を決めておくことは違法なのです。

 

退職の自由とは?>

従業員は、原則としていつでも退職することができます。民法では、期間の定めがない雇用契約の場合、退職の意思を伝えてから2週間で契約は終了するとされています(民法第627条)。

会社が「繁忙期だから辞めるな」「引き継ぎが終わってないから辞めるな」と言っても、退職の自由は優先されます。ただし、社会的なマナーとして、円満退職のために引き継ぎや時期の調整をすることは望ましいです。

 

例外的に損害賠償が認められるケース>

原則は禁止ですが、次のような例外的なケースでは、会社が損害賠償を請求できる可能性があります。

 

  • 退職によって故意に会社に損害を与えた場合

例:退職直前に顧客情報を持ち出して競合に転職した

例:退職を装って業務を放棄し、重大な損害を与えた

このような場合は、違約金ではなく「不法行為による損害賠償請求」として、会社が裁判で損害を立証すれば請求が認められる可能性があります。

 

  • 留学費用や資格取得費用を会社が負担していた場合

例:会社が100万円かけて語学留学させたが、すぐに退職した

例:会社が業務に役立つ資格取得費用を負担したが、活用せず退職した

費用負担に関する契約書があり、合理的な返還条件が明記されていれば、一部返還が認められる場合もあります。

ただし、労働基準法第16条に抵触しないよう、金額や条件は慎重に設計する必要があります。

本人の希望に基づいて行う必要がありますし、業務に必須の技能や資格であれば、会社に教育義務があるため本人の負担とすることは困難です。

 

注意すべきポイント>

「○年以内に辞めたら全額返還」などの一律な違約条項は違法になる可能性が高くなります。

実際に損害が発生していること、そしてその損害が退職によって直接生じたことを会社が証明する必要があります。

退職理由が正当(病気、家庭の事情など)であれば、請求はさらに困難になります。

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