休職中の健康診断

2025/11/04|1,176文字

 

<健康診断の実施義務とは>

企業は労働安全衛生法に基づき、「常時使用する労働者」に対して年1回以上の定期健康診断を実施する義務があります。これは従業員の健康を守り、安全な職場環境を維持するための「安全配慮義務」の一環です。

ただし、休職中の従業員に対しては、通常の就労義務が停止しているため、健康診断の実施タイミングや義務の扱いが異なります。

 

<休職中の健康診断実施義務>

厚生労働省の通達(平成4年3月13日 基発第115号)によれば、次のように定められています。

休職中(療養・育児休業等)の従業員に対しては、定期健康診断を実施しなくても差し支えありません。

ただし、復職後は速やかに定期健康診断を実施する必要がありますので、次回の健康診断実施時期まで待ってというのでは遅すぎます。

つまり、休職中に無理に受診させる必要はありませんが、復職後には企業が責任を持って健康診断を行う義務があります。

 

<復職前に健康診断を受けさせること>

企業の判断で、復職前に健康診断を受けてもらうことは可能です。特に長期休職後は、従業員の健康状態を把握することで、職場復帰の準備や配置の検討がしやすくなります。

ただし、このことによって発生する費用は、企業側が負担するのが原則です。健康診断は法定義務であるため、従業員に自己負担を求めることは「不利益な取り扱い」とされる可能性があります。

また、本人の体調や意思を尊重する必要があります。休職中の受診は義務ではないため、強制的に受診させることは避け、本人の体調や希望を踏まえて対応するのが望ましいです。

 

<特殊健康診断や指導勧奨による診断>

じん肺法や有害業務に従事する労働者に対する特殊健康診断についても、基本的には定期健康診断と同様の扱いです。

つまり、休職中は実施しなくてもよいのですが、復職後には速やかに実施する必要があります。

 

項目 対応内容
健康診断の義務 休職中は法的義務なし。復職後は速やかに定期健康診断を実施する必要あり。
費用負担 原則として企業が負担。休職中の任意受診でも、企業が費用を負担するのが望ましい。
復職前の受診 任意。企業判断で実施可能だが、本人の同意と体調への配慮が必要。
特殊健康診断(有害業務等) 休職中は免除可。復職後に速やかに実施する必要あり。
社内ルール整備 就業規則や社内マニュアルに「休職者への健康診断対応方針」を明記しておくと、実務上の混乱を防げる。

 

<実務の視点から>

休職中の健康診断は、法律上「実施しなくてもよい」とされていますが、復職後には企業が速やかに実施する義務があります。従業員の健康状態を把握し、安心して働ける環境を整えるためにも、復職時の健康診断は重要なステップです。

企業としては、休職者への対応方針を明確にし、本人の体調や意思を尊重しながら、適切なタイミングで健康診断を実施することが求められます。

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