改正育児・介護休業法Q&Aが追加されました(その1)

2022/08/01|1,476文字

 

<令和3年改正育児・介護休業法Q&A追加>

令和4(2022)年7月25日、厚生労働省が令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&Aに18項目を追加しました。

新型コロナウイルス感染症拡大を受け、企業はオンラインでの対応を志向しますが、その実効性が担保されないものについては、義務を履行したことにはならないとするなど、企業に警鐘を鳴らす内容となっています。

企業にとって影響の大きな項目を、2回に分けてご紹介いたします。

 

<妊娠・出産等の申出について>

個別の周知・意向確認の措置について、印刷可能な書面データをイントラネット環境に保管しておき、妊娠・出産等をした者はそれを確認するようにあらかじめ通達等で社内周知しておく、という方法では書面による措置として認められません。

あらかじめ広く社内周知を行い、妊娠等の申出をした労働者が自らその書面等を確認するといった方法では、義務を履行したことにはなりません。

 

<雇用環境整備の措置の実施について>

法第22条第1項の雇用環境の整備等の措置のうち、第1号の「育児休業に係る研修の実施」をオンラインで行う場合には、労働者が研修を受講していることを把握できるようにすることが必要です。

また、厚生労働省のホームページに掲載されている育児休業に関する資料の会社掲示板への掲載・配付では、研修を実施したことにはなりません。

育児休業に関する相談体制の整備について、実質的な対応が可能な窓口が設けられていれば、相談を受け付けるためのメールアドレスやURLを定めて労働者に周知を行っている場合は、相談体制の整備を行っているものと認められます。

雇用する労働者の育児休業の取得に関する事例の収集・提供は、1度だけ行ったのでは足りず、定期的な事例の更新が必要です。

同様に、育児休業に関する制度及び育児休業の取得の促進に関する方針の周知についても、1度だけ行ったのでは足りず、定期的な周知の実施が必要です。

 

<出生時育児休業制度に関する改正法の施行前後の取扱いについて>

現行の「パパ休暇」(子の出生後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合には再度取得可)はなくなって、出生時育児休業と育児休業の分割取得化に見直され、「パパ・ママ育休プラス」は引き続き利用可能です。

 

<出生時育児休業申出期限の変更>

法令で定められた雇用環境の整備等の措置を労使協定で定めることにより、原則2週間前までとされている出生時育児休業の申出期限を最大で1か月前までとしてよいこととされています。

この措置のうち、「育児休業の取得に関する定量的な目標を設定」すること(育児・介護休業法施行規則第21条の7第2号)については、グループ会社全体の数値目標を設定しても、グループ内のそれぞれの事業主において定量的な目標設定をしなければ要件を満たしません。

 

<出生時育児休業申出期限の短縮に関する雇用環境の整備等の措置>

「育児休業の取得の促進に関する方針の周知」(育児・介護休業法施行規則第21条の7第2号)については、1度周知しただけでは足りず、定期的な周知が必要です。

「育児休業申出に係る当該労働者の意向を確認するための措置を講じた上で、その意向を把握するための取組を行うこと」(育児・介護休業法施行規則第21条の7第3)について、事業主が育児休業申出の意向を確認したものの、回答がない労働者がいる場合は、 回答のリマインドを少なくとも1回は行うことが必要です。

「まだ決められない」などの回答があった場合は、「未定」という形で把握すれば、要件を満たすことができます。

 

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