社会保険料の労使折半規定

2022/007/06|1,014文字

 

<法律の規定>

健康保険法には次の規定があります。

 

【保険料の負担】

第百六十一条 被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料額の二分の一を負担する。

 

厚生年金保険法にも次の規定があります。

 

【保険料の負担】

第八十二条 被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。

 

こうして社会保険料、つまり健康保険料と厚生年金保険料は、労働者と雇い主とで半分ずつ負担することになります。

ただし、建設業で土建組合に加入している企業の場合には、健康保険ではなく土建国保に加入することとなり、その企業の判断により、労使折半であったり全額が労働者の負担であったりします。

それでも、厚生年金保険料は労使折半です。

 

<労働者の全額負担>

法律の規定にもかかわらず、「社会保険への加入を望むなら、保険料は全額自己負担」という違法なことをしている企業があります。

こうした企業では、経営者が自己の取り分を増やそうとして、このような違法を貫いているのでしょうか。

たしかに、労働者が社会保険に加入すれば、会社の負担も増えることになります。

しかし、会社はこの負担も計算に入れたうえで、月給や時給を設定するのではないでしょうか。

15年前には、社会保険に入りたがらないフリーター(有期フルタイム労働者)が多くいて、採用面接をしていても社会保険加入の説明をすると辞退してしまうことがありました。

とにかく手取り収入を増やしたいということだったのです。

今では、老後の生活に対する不安もあってか、社会保険に加入できないことがリスクだと考えられるようになっています。

「社会保険に入りたかったら、保険料は全額自己負担」という違法な取り決めも、昔は労働者のニーズに適合した部分があります。

しかし、今やブラック企業として敬遠されています。

求人広告には高めの時給を示しておきながら、社会保険料は全額自己負担というやり口は、いかにもブラック企業です。

会社が社会保険料の半分を負担していては、会社の経営が成り立たないのであれば、その会社は遵法経営ができないということであり、その会社が存在していることの社会的意義が問われてしまいます。

社会保険料を全額自己負担にしている経営者の方や、そうした会社で勤務している方々には、労使折半にできる工夫をしていただきたいです。

どうしても、改善できないのであれば、その事業を継続することの意義を再確認していただきたいです。

 

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