営業秘密の持ち出し防止(不正競争防止法)

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<共同通信社の報道>

競合他社に売り上げに関する営業秘密を漏らしたなどとして、警視庁生活経済課が不正競争防止法違反の疑いで、システム開発販売会社の元営業推進部担当部長を逮捕したそうです。

2017年12月16日、会社の「売上構成表」のデータを一部編集した上で私物のパソコンに複製し、同社と競合するソフトウエア開発会社にメールで送信するなどした疑いです。

容疑者は、「営業秘密とは思わなかった」と容疑を否認しているそうです。

 

<不正競争防止法>

不正競争防止法が保護の対象としている営業秘密は、範囲が限定されているため簡単には適用されません。

保護されるのは「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」とされています。〔不正競争防止法2条6項〕

実際には、秘密管理性の要件に欠けるとして、この法律の保護が受けられないことが多いのです。なぜなら、秘密管理性の要件を満たすには、次のことが行われている必要があるからです。

 

・情報に接した者にその情報が営業秘密であると認識させていること

・情報に接する者が制限されていること

 

今回の事件で容疑者は、「営業秘密とは思わなかった」と供述しています。

しかし、不正競争防止法の規定は、本人が「営業秘密であると認識していること」を適用要件とはしていません。

あくまでも使用者側が、客観的に「営業秘密であると認識させている」という状況が認定されれば法が適用されます。

こうしたことから、会社は営業秘密にはその旨を表示しておき、誰でも一見してわかるようにしておくなどの対策が必要になります。

 

<情報の窃盗>

刑法には、電子的に記録された情報自体を盗む行為を処罰する規定がありません。

刑法の窃盗罪(235条)は「財物」を対象としていて、情報は「財物」に含まれないからです。

裁判の実例でも、情報そのものではなく、情報が入力されたDVDやUSBメモリ等の媒体物を盗んだ場合に窃盗罪の成立が認められています。

今回の事件では、私物のパソコンを持ち込んで、これに情報を複製していますので、この容疑者を窃盗罪に問うことができません。

 

<企業としての対応>

営業秘密が不正競争防止法の保護を受けられるよう、物理的な体制を整えておくべきは当然です。

そして就業規則には、営業秘密の持ち出しや漏えいの禁止規定と、これに対応する懲戒の規定も置いておく必要があります。

しかし、最も効果的なのは、定期的に社員研修を繰り返すことです。入社時に、あるいは何か問題が発生してから1回だけ研修を行い、その後長く実施しなければ、会社の態度が見透かされてしまいます。ですから、少なくとも年1回は実施したいものです。

 

2019.01.27.解決社労士