2021/04/23|1,578文字
<人事考課の必要性>
社内に人事考課の基準がなくて、年齢や経験年数だけで昇給と昇格が決まっている会社からは、将来有望な若者が去っていくものです。
ただクビにならないように気を付けながら、在籍年数を伸ばしていくだけで、それなりの昇給と昇格が期待できるとすれば、危険を冒してまで努力するのはばかばかしくなります。
こうして多数派の社員は、本気で業績に貢献しようという意欲を失っていきます。
<人事考課は客観的に>
社長や人事権を握っている一部の人が、主観的に判断して社員を評価するのも危険です。
こういう会社では、会社の業績に貢献するよりも、社長や考課権者と仲良くなるのが出世の近道になってしまいます。
反対に社長や考課権者に嫌われたら最後、未来は暗くなりますから、優秀な社員でも会社から去っていくことになります。
<人事考課と給与>
給与というのは、今後1年間にどれだけ活躍するかを予測して決定するものです。
そうでなければ、新卒や中途採用では初任給が決まりません。
ベテラン社員であっても、これまでの実績を参考にして、今後一年間にどれだけ活躍するかを予測して決定するものです。
<人事考課と賞与>
賞与というのは、どれだけ能力があるかとは関係なく、どれだけの実績を上げて会社に貢献したかという結果を評価して設定するものです。
ここで注意したいのは、「結果がすべて」の評価にしないことです。
どれだけ社内外と協力したのか、そのプロセスを含めて評価しなければ、目的のためには手段を選ばない社員ばかりになってしまいます。
<一般的な注意点>
人事考課制度の導入にあたっては、相対評価にするのか絶対評価にするのかをあらかじめ決定しておかなければなりません。
評価結果の意味合いが違ってくるからです。
学校の成績表でもこの点は明確にされているものです。
考課表は人単位で作成されますが、評価する管理職は項目単位で評価しなければなりません。
そうしないと、人事考課で最も警戒すべきハロー効果の悪影響が出てしまうからです。
他にも、中央化傾向、寛大化傾向、酷評化傾向、期末誤差、論理誤差、退避誤差の危険は一般に指摘されています。
考課者は、ともするとパワハラに走ります。
誰だって上司が、給与、賞与、昇進に大きくかかわる判断をするとわかっていれば、従順にならざるを得ません。
それなのに上司は自分が偉くなったのだと勘違いして、パワハラを行う危険は大きいのです。
こうなると、意見や改善提案は出にくくなりますから、会社の成長がストップしてしまうという大変な弊害も生じます。
考課者に対しては、くれぐれもパワハラを行わないこと、パワハラを行った管理職の評価は下がり、場合によっては管理職が不適格であると判断されるという警告を発しておかなければなりません。
<評価される側もかかわること>
評価項目や評価基準の設定にあたっては、一般担当者の意見も聞かなければなりません。
評価項目の漏れや、評価基準の不合理に気付かせてくれます。また、人事考課制度の構築にあたって、「自分も参加した」ということから納得を得やすくなるのです。
また、自分の仕事について、報告を怠ると正しく評価されないということを説明して、報連相を活発化させることも心がけましょう。
さらに、評価をして結果を出して終わりではなく、評価結果とその理由は面談できちんと伝えましょう。
これをしないと人事考課の効果は半減してしまいます。
ひとり一人の社員が、会社からどうして欲しいのかを把握することによって、努力の方向性が明確になり生産性の向上が可能となるのです。
<解決社労士の視点から>
人事考課制度をどのように導入しレベルアップさせたら良いのか。会社ごと、職場ごとに、最善の方法は異なります。
こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。