例外的な通勤災害

2023/12/23|937文字

 

<通勤災害>

労働者の通勤による負傷、疾病、障害、死亡をいいます。

ここで「通勤」とは、労働者が就業に関し合理的な経路および方法により移動、往復することをいい、業務の性質を有するものを除きます。

 

<これも「通勤」の一種>

転勤に伴い、やむを得ない事情により配偶者、子、要介護状態にある父母・親族等と別居することとなった場合に、帰省先への移動に反復性や継続性が認められれば、単身赴任先と帰省先との間の移動が通勤と認められうるとされます。〔平成18年3月31日基発0331042号通達〕

 

<「みちくさ」の例外>

通勤経路の途中で、通勤とは関係ない目的で、合理的な経路をそれた場合や、通勤とは関係のない行為を行った場合は、その時点で通勤とは認められなくなるのが原則です。

しかし、日常生活に必要な行為で厚生労働省令に定められているものである場合は、「みちくさ」をしても元の経路に戻った後からは、通勤災害として認められうるとされます。

「日常生活上必要な行為で厚生労働省令に定められているもの」とは、次の行為です。

・日用品の購入その他これに準ずる行為

・職業訓練、学校教育法第1条に規定する学校で行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為

・選挙権の行使その他これに準ずる行為

・病院または診療所で診察や治療を受けることその他これに準ずる行為

・要介護状態にある配偶者、子、父母、配偶者の父母、要介護状態にあり同居し扶養している孫、祖父母、兄弟姉妹の介護(継続的にまたは反復して行われるものに限る)

 

<実務の視点から>

通勤災害にあたらないものを、勘違いして労災保険の手続をしても、労働基準監督署でストップがかかります。

この場合、健康保険の手続に切り替えたり、被災者やご家族に説明して、お叱りを受けたりという負担が発生します。

恐いのは、通勤災害として労災保険の補償が受けられるのに、通勤災害ではないと勘違いして手続を進めないことです。

この場合には、時効により権利が失われる前でも、遅れたことにより手続を進めるのが困難なことがあります。

迷ったら、所轄労働基準監督署の労災課に確認すれば良いのですが、少し聞きづらいと感じたら、信頼できる社労士にご相談ください。

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