企業側社労士と労働者側社労士

2023/08/12|903文字

 

<社労士の企業側業務>

助成金の申請、労働基準監督署や会計検査院などの立入検査対応、社会保険や労働保険の適用開始届などは、労働者にとって直接の利益は無いですから、企業側の立場に立って行っている業務です。

 

<社労士の労働者側業務>

健康保険、労災保険などの給付金等請求は、労働者に支給されることを考えると、労働者側の立場に立って行っている業務です。

 

<依頼者の立場に立つ業務>

労働紛争について、社労士が労働局での斡旋(あっせん)の代理人などの業務を行う場合には、企業の依頼を受ければ企業側に立ちますし、労働者の依頼を受ければ労働者側に立ちます。

しかし、「100%経営者の味方」「労働者側の利益を追求」というように、常に一方だけの利益を擁護しているわけではありません。

 

<どちらの立場にも立たない業務>

個人の方から障害年金の手続を依頼されるなど、社労士には、企業側・労働者側ということが問題にならない業務もあります。

 

<両方の立場に立つ業務>

企業の顧問の場合でも、依頼主である企業側のことだけを考えているわけではありません。

就業規則の作成・改善、社員研修、労働環境の維持・向上、給与計算、社会保険や労働保険の保険料を確定する手続、労働トラブルの予防など、多くの業務は会社側の利益と労働者側の利益の微妙なバランスの上に成り立っています。

「100%経営者の味方」という立場に立てば、社員は会社を去っていくでしょうし、会社の評判も地に落ちます。

「労働者側の利益を追求」という立場に立てば、会社が傾き社員は職を失うでしょう。

会社と社員が、共に成長し利益が得られるようにするには、やはりバランスが大切なのです。

 

<社労士に依頼するなら>

「自分は労働者なので労働者側の立場に立つ社労士を探したい」というご希望をお持ちの方がいらっしゃいます。

しかし、「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」という孫子の言葉にもある通り、敵対する相手方についても熟知していなければ、戦いで優位に立つことはできません。

企業側のことを知らずに労働者の権利を守ることはできないのですから、労働者側社労士を探すのではなく、信頼できる社労士をお勧めします。

 

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