表現を工夫しましょう(労働条件通知書編)

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<労働条件の通知>

アルバイトでも、パートでも、人を雇った使用者は労働条件を書面で交付する義務があります。〔労働基準法15条〕

労働条件通知書、雇い入れ通知書、雇用契約書、労働契約書など名前はいろいろです。

名前はどうであれ、交付しないのは違法で30万円以下の罰金刑が規定されています。〔労働基準法120条〕

30万円の損失で済めばマシですが、マスコミやネットの書き込みの威力で、立ち直れなくなる可能性があります。

というのは労働条件が不明確なら、年次有給休暇の付与日数も取得した場合の給与計算の方法も不明です。月給制なら、残業手当の計算方法もわかりません。こうしたことから、労働条件を書面で交付しないのは、「年次有給休暇も残業手当もありません」と表明しているようなものだからです。

 

<ひな形の活用を!>

厚生労働省のホームページで、この労働条件通知書のひな形をダウンロードできます。契約形態に応じて10種類用意されていますから、各労働者に適合するものを利用しましょう。この時点で面倒に思ったり迷ったりするのであれば、お近くの社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

なお、ひな形はA4サイズ2枚ですが、記載要領もA4サイズ2枚です。ひな形というのは、印刷してすぐに使えるわけではありません。特に労働条件通知書では空欄が多いですから、あらかじめ使用者のほうで案を作成しておいて、労働者に確認しながら修正して完成させるという一手間がかかります。この案を作成する段階と、完成版のチェックの段階で、記載要領と照らし合わせて確認する必要があります。

労働条件通知書は、トラブル防止のために作ることが義務づけられています。ですから、下手な労働条件通知書はトラブルのもとになります。実際には、退職前後の労働者と会社との間で紛争の火種となります。そうならないために、表現の工夫が必要なのです。

 

<表現の工夫>

まず、「よくわからない」「決まっていない」という理由で、法定の項目をカットしてしまうと労働基準法違反となり、罰則が適用されることは、労働条件通知書を交付しないのと同じですから注意しましょう。労働基準法に違反する内容とならないようにすることも大切です。

ここでは、常用、有期雇用型について、特に工夫が必要なポイントをご紹介します。

1.「契約の更新は次により判断する。」

 誰が判断するのか書いておかないと、労働者から「私はそうは思いません」と反論されてしまいますから、「契約の更新は次により使用者が判断する。」あるいは「契約の更新は次により会社が客観的に判断する。」と記載することをお勧めします。

2.始業・終業の時刻等

 勤務形態によっては、毎日バラバラということもあります。

 いくつかのパターンにまとめられるのであれば、標準勤務時間として、いくつかの始業・終業・休憩時間をならべて記入しましょう。

 それも無理であれば、何時から何時までの間で何時間勤務(休憩何分)かを記入します。平均的なことを記入するわけです。

 どちらの場合にも、1日の標準的な所定労働時間を記入しなければなりません。これが無ければ、年次有給休暇を取得しても、その分の賃金が計算できませんから、記入が無ければ「年次有給休暇を取得させるつもりが無い」という解釈になってしまいます。これだけで違法です。

 ここは、始業・終業の時刻等が毎日バラバラのパターンが想定されていないので、記入欄が無く注意が必要です。

3.所定時間外労働の有無

 ここで「有」を選択した場合で、1日8時間、1週40(44)時間を超えて残業することがある場合には、所轄の労働基準監督署長に三六協定書を提出しているわけですから、その範囲内で、「1日何時間まで」「1週何時間まで」などの記入をしておきましょう。

 後になってから、残業が多すぎるなどの不満が出ないように、あらかじめ確認しておく項目です。

 これも記入欄が無いので注意が必要です。

4.休日

 特定の曜日などで決まっていない場合には、「週当たり」または「月当たり」の日数を記入します。

 これが無いと、年次有給休暇を付与する条件としての出勤率が計算できませんから、やはり記入が無ければ「年次有給休暇を取得させるつもりが無い」という解釈になってしまいます。これだけで違法です。

5.自己都合退職の手続

 ひな形では、(退職する  日以上前に届け出ること)となっていますが、言った言わない、取り消したのではないか、などのトラブルを防止するために、(退職する  日以上前に所定の「退職届」で届け出ること)としておくことをお勧めします。もちろん、「退職届」の準備が必要です。

以上、ちょっとした工夫でトラブルを防止できるポイントをご紹介いたしました。

 

2016.11.01.