内定取消が許される場合

2023/07/02|613文字

 

<採用内定の性格>

採用内定の法的性格は、それぞれの具体的事情により異なります。

しかし一般には、採用内定通知のほかに労働契約締結のための意思表示をすることが予定されていないことを前提として、採用内定により始期付解約権留保付労働契約が成立したものとされます。

始期付解約権留保付労働契約というのは、すぐに働き始めるのではなくて、いつから働き始めるかが決められていて、しかも、場合によっては契約を無かったことにできる権利が残されたまま成立している労働契約のことをいいます。

 

<採用内定取消が許される場合>

採用内定取消は解雇にあたります。

ですから、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合には、権利を濫用したものとして無効となります。〔労働契約法第16条〕

採用内定取消が有効とされるのは、原則的には、次の2つの条件を満たす場合に限られると考えられています。

・採用内定の取消事由が、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であること。具体的には、健康状態の大幅な悪化、採否の判断に大きく影響する重要な経歴詐称などが考えられます。

・この事実を理由として採用内定を取消すことが、解約権留保の趣旨と目的に照らして、客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができる場合であること。つまり、世間一般の常識から客観的に判断して、やむを得ない事情があるといえる場合であることが必要です。

 

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