懲戒処分ができない会社と懲戒処分ができない社長

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<懲戒処分の必要性>

社員を懲戒する第一の目的は、懲戒対象となった社員に反省を求め、その将来の言動を是正しようとすることにあります。

懲戒処分を受けた社員に対しては、深く反省し二度と同じ過ちを犯さないように注意して働くことが期待されています。

ですから、能力はあるのに故意あるいは不注意によって、不都合な結果を発生させたことが前提となっています。

能力不足で不都合な結果が発生した場合には、反省しても結果を防止できません。

会社は、能力不足に対しては、懲戒処分ではなく教育研修で対応する必要があるのです。

社員を懲戒する第二の目的は、懲戒対象となった社員ではなく、他の社員一般に対して基準を示し、みんなが安心して就業できる職場環境を維持することにあります。

「社長を怒らせたら懲戒処分」というのでは、社員はいつも不安です。何をしたらどの程度の処分を受けるのか、予め知っておくことにより、伸び伸びと業務を遂行することができるのです。

懲戒規定にない行為について、懲戒処分をすることはそれ自体違法です。しかし、それ以上に他の社員に対する悪影響が大きくて、会社全体の生産性が低下するという実害が出ますので絶対に避けましょう。

 

<懲戒処分ができない会社>

まず、就業規則や労働契約書などに具体的な懲戒規定を置かなければ、懲戒処分を行っても労働審判や訴訟で無効とされてしまいます。

懲戒処分は、あらかじめその内容を具体的に予告しておくことによって、社員に警告を発しておくことができるのです。

「常識外れなことをして会社に迷惑をかけたから減給処分」などと、大雑把なことはできないのです。

どういう規定なら具体的といえるかの基準としては、ある社員が不都合な行為を行ったときに、それがその規定に定める行為にあたるかどうか、社内で意見が分かれないということが目安になります。

つぎに、懲戒処分をするにあたっての手続き・手順が決まっていなければ、物事が進みません。

とくに、懲戒対象の社員には弁明の機会を与えなければなりません。それ以前に、具体的な事実の確認も必要です。何をどういう手順でどうやって懲戒処分にたどりつくのか、ルールがなければなりません。

さらに、今まで社内でどのような不都合なことがあったか、会社はこれにどう対応したかの記録が残っていなければなりません。懲戒処分は平等かつ公平でなければなりませんので、過去の事例との比較も重要になるからです。

 

<懲戒処分ができない社長>

懲戒処分の決裁権を持っているのは原則として社長です。

しかし、この社長が臆病で懲戒権を発動できないと困ります。何をやっても許される会社になってしまい、モラルの低い社員しか残らなくなってしまいます。

社員が安心して働くためには、懲戒処分が必要なのです。

特に会社に対する貢献度の高い社員が独断で行動を起こし、会社に損害を与えてしまった場合には、社長としては大目に見ようと考えがちです。これでは、他の社員の腹の虫がおさまりません。

懲戒処分をためらう社長は、社員の表彰をしていないことが多いように見受けられます。

表彰もするが懲戒もするという信賞必罰の方針でいけば、会社に対する貢献度の高い社員に対しては、何回か表彰し、時には懲戒処分ということもやりやすいと思います。

さらに、社長が臆病ではないのに懲戒処分をためらうケースがあります。

それは就業規則などの懲戒規定のバランスが悪いケースです。たとえば、「セクハラをしたら懲戒解雇」という規定の会社では、ちょっと冗談を言っただけで解雇になりかねません。この場合には、就業規則などの見直しが必要です。

 

2016.07.30.