労働法と行政通達

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<労働法の世界での行政通達の役割>

行政通達は、行政機関が行政上の取扱いの統一性を確保することを目的として定める指針です。

その内容は、法令の解釈、運用・取扱基準や行政執行の方針などです。

労働法の世界では、労働者を保護するための法令が多数制定されています。

しかし、現実の世界で生じる具体的な問題や紛争のすべてをカバーすることはできません。

法令が予定していないことも起こるのです。

また、法令というのは、抽象的な表現を多く含んでいます。

そのため、いくつもの解釈が成り立ちうることがあります。

これでは、法令の適用によって労働者と使用者の両方が納得する結論を出すことができません。

そこで、行政通達を発することによって、行政機関が法令の解釈・運用・取扱の基準とすることができるようにしているのです。

 

<行政通達の効力>

行政通達は、あくまでも行政機関内部の指針です。

国民の権利・義務を直接に規律するものではありません。

しかし、たとえば労働基準監督署が企業の監督に入り指導する場合には、行政通達の基準に従って指導します。

ですから、事実上の強制力をもっていると考えられます。

たとえば、行政通達そのものの効力を争って、企業が裁判を起こしても門前払いとなります。

しかし、行政通達に従った指導によって、企業が不当な損害をこうむった場合には、国家賠償を求める形で争うことはできます。

これを裏から言えば、企業が確信をもって裁判で争う気がないのなら、行政通達に基づく指導に従わざるをえないということです。

 

2019.06.17. 解決社労士 柳田 恵一