2022年 4月

2022/04/30|1,211文字

 

ブラック就業規則https://youtu.be/fUVYZrve4OU

 

<就業規則の内容>

企業の就業規則には、次の3つの内容が織り込まれています。

 

1.従業員の労働条件の共通部分

2.職場の規律

3.法令に定められた労働者の権利・義務

 

どの規定が3つのうちのどれにあてはまるのか、一見しただけではわかりません。また、1つの条文に複数の内容が含まれていることもあります。

 

<1.従業員の労働条件の共通部分>

「生理日の就業が困難な女子社員が休暇を申請した場合は、無給休暇とします」という規定がある場合、これは女子社員に共通の労働条件です。

有給にするか無給にするかは会社が決めて就業規則に規定します。

もっとも、生理休暇そのものは、労働基準法に定められた権利です。

また、「休暇をとる場合は、事前に所定用紙で上長経由会社に届け出て、許可を受けなければなりません」という規定がある場合、これは全社員に共通の労働条件です。

用紙で届け出るか、口頭か、ネットかなどは会社が決めます。

直接人事部門に届け出るのか、上長に届け出るのかも会社が決めます。

こうした従業員の労働条件の共通部分は、法令に違反しない限り、会社が自由に決めています。

 

<3.法令に定められた労働者の権利・義務>

年次有給休暇や残業など所定外労働に対する割増賃金は、労働基準法に定められた労働者の権利です。

ただ、労働基準法は最低限の基準を定めていますから、基準を上回る日数の年次有給休暇を付与し、基準を上回る割増率の残業手当を就業規則に定めることもできます。

ここは法令通りではなくても良いわけです。

使用者は、法令等の周知義務を負っています。〔労働基準法第106条第1項〕

これを就業規則とは別に周知するのは大変ですし、法令の基準を上回る運用をする場合もありますから、まとめて就業規則に示しておくのが便利なのです。

もっとも、育児休業の対象者に対しては具体的な制度の内容、会社での手続を個別に説明し、育児休業を取得する/しないの意向を確認する必要がありますから、就業規則に示しておくだけでは足りません。

 

<社会保険や労災保険と就業規則>

社会保険(健康保険・厚生年金保険)や雇用保険の加入基準や運用は、法令に規定されています。

会社がこれとは異なる内容を定めても無効です。

また、労災保険は法令により従業員の全員が加入しますから、「臨時アルバイトは加入しない」などの規定を置いても無効です。

ただ、法令の内容とは別に、会社がプラスアルファの給付をするような福利厚生の制度を定めることは自由です。

「アルバイトでも、就業規則に定めれば社会保険に入れますか?労災保険はどうですか?」といった疑問を目にすることがあります。

しかし、就業規則の規定とは無関係に、法令の基準によって加入することになるわけです。

 

就業規則の各規定と労働基準法など法令との関係は、判別がむずかしいと思います。

就業規則の作成、変更、解釈について正確なところは、専門家である社会保険労務士にご相談ください。

2022/04/29|877文字

 

過去のことで懲戒処分https://youtu.be/ASOISkPfP5E

 

<懲戒処分の目的1>

社員を懲戒する目的の第一は、懲戒対象となった社員に反省を求め、その将来の言動を是正しようとすることにあります。

ですから、本人が深く反省し二度と同じ過ちを犯すことはないと、他の社員全員が確信しているような例外的な場合には、この目的からの処分は不要だということになります。

 

<懲戒処分の目的2>

社員を懲戒する目的の第二は、会社に損害を加えるなど不都合な行為があった場合に、会社がこれを放置しないという態度を示すことによって、他の社員が納得して働けるようにすることにあります。

たとえば、明らかなパワハラやセクハラがあって、会社がその事実を知りながら放置しているようでは、社員が落ち着いて安心して働くことができません。

一般の道義感や正義感に反しますし、自分も被害者となる恐怖を感じるからです。

これでは、会社に対する不信感で一杯になってしまいます。

このとき、行為者に対して徹底的な再教育を実施することによって、他の社員全員が納得するのであれば、必ずしも懲戒処分を行う必要は無いでしょう。

 

<懲戒処分の目的3>

具体的でわかりやすい懲戒規定を設けることは、社員一般に対してやって良いこと/悪いことの基準を示し、みんなが安心して就業できる職場環境を維持することを目的としています。

何をしたら処分を受けるのか、予め知っておくことにより、伸び伸びと業務を遂行することができるのです。

会社は具体的な定めの無いことで懲戒処分をすることは許されません。

この目的に限定して考えると、規定があるからといって必ず処分しなければならないわけではありません。

 

<懲戒処分を行わないことによる悪影響>

不都合な行為を行った社員に対して、懲戒処分が行われなかった場合に、納得できない社員がいるのであれば、その社員は会社に対して不信感を持つことになります。

こうした社員が多ければ多いほど、生産性や定着率が低下したり、会社の評判が落ちたりの悪影響が発生します。

懲戒処分を行わないのが寛容で良い会社というわけではありません。

正しく懲戒処分を行えるのが良い会社だということになります。

2022/04/28|1,247文字

 

<内規の意味>

「内規」を小学館のデジタル大辞泉で調べると「組織の内部に適用されるきまり」とあります。

しかし、就業規則も「組織の内部に適用されるきまり」であることから、内規と就業規則との区別が難しくなっています。

また、就業規則については、労働基準法に詳細な規定があることから、その効力や性質が明確です。

一方で、一口に「内規」と言っても性質は一律ではないため、効力についても統一的には把握できません。

 

<就業規則の一部となる場合>

就業規則に、次のような規定が置かれることがあります。

「身だしなみは、常に整えておかなければなりません。詳細は別に定める内規によります」

勤務にあたって身だしなみを整えておくことは、全社統一の要請であるものの、具体的な基準は本社、営業所、店舗などによって異なるため、それぞれの拠点で内規を定めて運用するわけです。

このように就業規則で概略を定め、内規に詳細を定めることにしてあれば、内規は就業規則と一体のものとして、就業規則と同等の効力を持ちます。

従業員の立場からすると、「これは内規に過ぎないから」と言って遵守することを拒めません。

 

<労使慣行となる場合>

会社の中で、一定の事実や行為が相当長期間にわたり反復され、労使双方がこれに特段の異議を述べないことがあります。

これも内規と呼ばれますが、その性質は労使慣行です。

就業規則や労働協約などに文書化されていなくても、規範として確立しているのであれば、就業規則の変更を怠っているだけですから、就業規則と同等の効力を持つといえるでしょう。

ただ、「相当長期間」が何年なのかは、労使双方からどの程度強く認識され尊重されているかによるので明確ではありません。

 

<一時的な基準となる場合>

会社が労働組合に宛てて発した文書や、社内の決裁文書は、一種のルールに見えることもありますが、一般には一時的な基準に過ぎないので、就業規則と同等の効力を持ちません。

就業規則に、次のような規定が置かれることがあります。

「賞与の額は、会社の業績及び正社員の勤務成績などを考慮して、次の計算式により各人ごとに決定する。基本給×支給月数×考課係数」

この場合、ある賞与について、支給月数が2か月と決定されたとしても、この「2か月」がその後の賞与支給額の基準となるわけではありません。

たとえ数回連続で「2か月」と決定されたとしても、ある意味偶然であって、ルールになったわけではありません。

 

<内規が独り歩きしないように>

会社としては、一時的な基準としての内規を作ったつもりなのに、いつの間にか労使慣行となり、就業規則と同等の効力を持つことがあります。

これを防ぐには、一定の事実や行為が反復されたときには、これを文書化して「会社が決定する」ということを明示することです。

また、一時的な基準についての文書を作成した場合には、その適用対象や期間を明示して、反復継続を予定していないことを明らかにしましょう。

こうしたことは、労使紛争を予防する小さな工夫といえるでしょう。

 

2022/04/27|1,189文字

 

<サイバー攻撃被害の増加>

サイバー攻撃とは、パソコンやスマホなどの情報端末に対して、ネットワークを通じてシステムを破壊し、データを盗み取り、改ざんするなどのことをいいます。

令和4(2022)年2月頃から、急速にサイバー攻撃被害のリスクが高まっています。

こうした情勢を踏まえ、経済産業省、総務省、警察庁、内閣官房内閣サイバーセキュリティセンターの連名で、「現下の情勢を踏まえたサイバーセキュリティ対策の強化について(注意喚起)」等が発出されています。

 

<悪質なランサムウェア>

ランサムウェアという悪質なマルウェアによるサイバー攻撃被害が国内外の様々な企業・団体等で続いています。

マルウェア(malware)というのは、malicious(マリシャス:悪意のある)とsoftware(ソフトウェア)を組み合わせた造語です。

コンピューターウイルスのように、情報端末に不利益をもたらす悪意のあるプログラムやソフトウェアを総称する言葉です。

ランサムウェアもマルウェアの一種で、端末をロックしたりファイルを暗号化したりして使用不能にしたうえで、この使用不能を解除するための身代金(ランサム)を要求するものです。

 

<エモテットの脅威>

特に急増しているのが、エモテットと呼ばれるマルウェアへの感染を狙う攻撃メールです。

知り合いのメールアドレスを使っていたり、こちらから送ったメールへの返信を装っていたりなど巧妙化が進み、警戒せずに開封してしまいそうなものが多くなっています。

また、情報端末だけでなく、ブロードバンドルータ、無線LANルータ、監視カメラ用機器類、コピー機をはじめとするネットワークに接続された機器・装置類がマルウェアに感染したことに起因する攻撃も増えています。

 

<危険な連休明け>

連休明けには、確認する電子メールの量が増え、1件1件のメールの偽装チェックなどが疎かになりがちです。

これによって、感染リスクの高まりが予想されますので、各企業は一段高い注意喚起をする必要があります。

用心のため、社内の情報端末や連休中に社外に持ち出していた情報端末は、ソフトウェアを最新のものにバージョンアップし、セキュリティソフト等でウイルススキャンを行ってから使用を開始することをお勧めします。

万一、怪しいメールや異常な事象を発見した場合の連絡経路や対応についても決めておき、社内に周知しておきましょう。

 

<解決社労士の視点から>

悪質な攻撃メールは、日本語に微妙な誤りを含んているものが多いことから、大半は外国人の仕業ではないかと思われます。

しかし、この「日本語の微妙な誤り」は少しずつ減ってきていますし、正当な業務メールでも日本語の誤りを含んでいることがありますから、言葉遣いだけで見分けることは困難となってきています。

このように巧妙化してきているわけですから、やはり対策を怠ることはできません。

2022/04/26|1,413文字

 

残業の削減方法https://youtu.be/4zoPGEeciCY

 

<基本の残業制限>

会社は従業員に、1日実働8時間を超えて働かせてはなりません。

また、日曜日から土曜日までの1週間で、実働40時間を超えて働かせてはなりません。〔労働基準法第32条〕

この制限に違反すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金(1人1回あたり)に処せられます。〔労働基準法第119条〕

ですから、基本的にこの制限を超える残業は「違法残業」ということになります。

 

<従来からある違法残業>

しかし会社は、労働組合や労働者の過半数を代表する者と書面による協定を交わし、これを労働基準監督署長に届け出た場合には、協定の定めに従って1日8時間を超え、また週40時間を超えて従業員に働かせても罰せられないのです。

このことが、労働基準法第36条に規定されているため、ここで必要とされる協定のことを三六協定と呼んでいます。

三六協定についての適正な手続を怠ることによって、発生しやすくなる違法残業には次のようなものがあります。

 

1.三六協定の届出をせずに行う残業

2.三六協定届に署名した労働者代表の選出手続きが不適切であった場合の残業

3.三六協定の有効期限が切れた後の残業

4.三六協定で定めた上限時間を超える残業

 

ここでいう「残業」は、すべて1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えての残業を意味します。

上に示した違法残業のうち、1.~3.は形式的な不備によって発生します。

これが、従来型の違法残業の特徴です。

 

<新しい違法残業>

かつては、三六協定の適正な届出をして守っていれば、労働基準監督署から行政指導を受けることはあっても、法律による上限が定められていなかったため、違法になることはありませんでした。

ところが、働き方改革の一環で労働基準法が改正され、平成31(2019)年4月1日からは残業時間の上限が設けられています。

中小企業については、1年間の猶予が与えられていましたが、令和2(2020)年4月1日からは大企業と同様に適用されています。

たった1年間の猶予でしたから、対応しきれていない中小企業も多いため、労働基準監督署が重点的に立入調査(臨検監督)を行っています。

 

【労働基準法による残業の上限】

原則 = 月45時間かつ年360時間(1日あたり約2時間)

臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合であっても、

・年720時間以内

・休日労働の時間と合わせて複数月平均80時間以内

・休日労働の時間と合わせて月100時間未満

ただし、月45時間を超えられるのは年6回までという制限があります。

複数月平均80時間以内というのは、過去2か月、3か月、4か月、5か月、6か月のどの平均も80時間以内ということです。

 

このように、新型の違法残業は形式的な不備よりも、労働時間の管理を失敗することによって発生することが多くなります。

これが新型の違法残業の特徴です。

 

<適用猶予・除外の事業・業務>

実態を踏まえ、上限規制の適用が5年間猶予されるものとして、自動車運転の業務、建設事業、医師があります。

これらは、すぐには長時間労働を解消できないと見られるため、5年間だけ猶予が与えられています。

しかし、令和6(2024)年4月からは、災害の復旧・復興の事業を除き、上限規制がすべて適用されます。

なお、新技術・新商品等の研究開発業務では、医師の面接指導、代替休暇の付与等の健康確保措置を設けた場合には、時間外労働の上限規制が適用されません。

2022/04/25|1,759文字

 

就業環境が害されるとはhttps://youtu.be/OtO-FrffpKk

 

<悩みの理由>

社内にパワハラの常習犯がいても、どう注意したら良いのか悩んでしまう。

あるいは、注意しても加害者にパワハラの自覚が無い、加害者が納得しないということがあります。

これはその職場で、パワハラ防止対策が適正に行われていないことによって発生する悩みです。

注意しようとした人、あるいは注意した人の能力不足ではありません。

 

<パワハラ防止対策の基本>

パワハラの加害者に注意できる状態にするには、次のパワハラ防止対策が必要です。

 

① パワハラの定義を、その職場の全員が理解できることばで就業規則に示す。

② パワハラの禁止を、就業規則に定める。

③ パワハラに対する懲戒処分を、就業規則に定める。

④ 具体的事例を踏まえたパワハラ防止研修を定期的に実施する。

 

<① パワハラの定義を示す>

パワハラの定義が社内で明確になっていなければ、つまり、ある行為についてのパワハラ該当性が不明確であれば、「あなたの行為はパワハラだ」「いや違う」という意見の対立が生じてしまい解決の糸口すら見えません。

パワハラ防止法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)での、パワハラの定義は必ずしも明確ではありません。

厚生労働省が、別途パワハラについて具体的な説明や類型を示していますが、高校生のアルバイトや高齢者がいる職場では、すべての年齢層に理解できる表現で定義を示しておく必要があります。

 

<② パワハラを禁止する>

就業規則でパワハラを禁止することにより、従業員一人ひとりの労働契約の内容に、パワハラの禁止が盛り込まれることになります。

モデル就業規則の最新版(令和3(2021)年4月版)は、次のように規定しています。

 

(職場のパワーハラスメントの禁止)

第12条  職務上の地位や人間関係などの職場内の優越的な関係を背景とした、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、他の労働者の就業環境を害するようなことをしてはならない。

 

これは、パワハラの定義と禁止を1つの条文にまとめた例です。

これを参考にして、それぞれの職場に適した内容で定めると良いでしょう。

この条文も、改定されることがありますので、内容については、これからも吟味していくことが必要です。

 

<③ 懲戒処分の定めなど>

就業規則では、禁止と懲戒とが対を成します。

禁止だけで懲戒処分が規定されていなければ、禁止の実効性が保たれません。

禁止されていないことが、懲戒処分の対象にされるのは不合理です。

就業規則で禁止したからには、これに対応した懲戒処分の規定を置かなければなりません。

また、部下を持たせた時からパワハラに走る社員には、部下を持たせることが危険ですから、部下を持たせないようにする必要があります。

つまり、管理職に抜擢した社員がパワハラを行うようであれば、管理職として不適格なのですから、人事異動により管理職から外すなどの対応が必要です。

さらに、部下を持つ社員の人事考課基準には、パワハラをせずに部下を指導・育成しているか否かを含めておく必要もあります。

 

<④ パワハラ研修の定期的な実施>

就業規則の内容を含め、全社員にパワハラ研修を実施しなければなりません。

なぜなら、パワハラは上司から部下に対して行われるだけでなく、先輩から後輩に行われることもありますし、パワハラを受ける立場の従業員にも研修を実施しておかなければ、被害の申し出を躊躇することになるからです。

この研修は、最新事例を盛り込みながら、最低でも年1回は実施すべきでしょう。

 

<解決社労士の視点から>

パワハラによって利益を得る者はいません。

会社にとっては、生産性の低下、人材育成の遅れ、定着率の低下という損失が発生します。

時には、被害者のメンタルヘルス不調などにより、労働力の喪失や損害賠償責任を生じることもあります。

加害者が無自覚でパワハラ行為に及んでいた場合には、会社との関係で、ある意味被害者の立場にあるといえるでしょう。

そして、社内だけでなく、社会的な信頼を失うこともあります。

何より辛いのは、家族からの信頼を失うことです。

「パワハラの加害者にどう注意したら良いのか」という疑問が出る職場では、経営者が中心となって、積極的にパワハラ防止対策に取り組まなければなりません。

2022/04/24|1,563文字

 

<就業規則の内容>

企業の就業規則には、次の3つの内容が織り込まれています。

 

・労働条件の共通部分

・職場の規律

・法令に定められた労働者の権利・義務

 

どの規定が3つのうちのどれにあてはまるのか、一見しただけではわかりません。

また、一つの条文に複数の内容が含まれていることもあります。

 

<特定の従業員への手当支給>

たとえば、自由参加の社内行事でケガをした従業員が、公共の交通機関では通勤が困難で、家族が自家用車で送り迎えをするようになったとします。

このとき、会社が恩恵的に出勤1日につきいくらという手当を支給しても、就業規則には違反しません。

ただ、今後も時々発生しうることで、その会社の多数の従業員に共通する労働条件だと判断されるなら、就業規則に定めておくべきでしょう。

またたとえば、人事部門の従業員が社会保険労務士の資格をとって、業務に直接役立てている場合に、こうしたことがその会社にとって初めてのことであれば、就業規則に無い資格手当を支給しても就業規則には違反しません。

もし、こうした資格手当の制度を新たに設けたのであれば、その会社にとって多数の従業員に共通する労働条件となりますから、就業規則に定めるべきこととなります。

 

<就業規則の権利保障機能>

就業規則に「従業員が結婚したときは、祝金3万円を支給する」と規定されているのに、特定の従業員だけ手続をしても支給されないのは、就業規則違反となります。

これは、就業規則で定められた共通の労働条件のはずなのに、特定の従業員だけ対象外としているからです。

反対に、会社が特定の従業員に、就業規則には規定のないプラスアルファのことをしても、その従業員に対しては、就業規則違反が問題とはなりません。

就業規則は、それぞれの従業員に対して、最低限の権利を保障する機能を果たしているわけです。

 

<同一労働同一賃金>

日本の「同一労働同一賃金」は、仕事ぶりや能力が適正に評価され、意欲をもって働けるよう、同じ企業内で正規雇用労働者(正社員、無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。

たとえば、就業規則に通勤手当の規定が無い会社で、正社員だけに通勤手当が支給されている場合には、同一労働同一賃金に反する可能性が高いといえます。

なぜなら、通勤手当は通勤にかかる費用をまかなうのが目的ですから、正社員とその他の従業員とでその必要性に差が無いからです。

それにもかかわらず、正社員だけに支給するのは、不平等であり不合理なわけです。

これに対して、正社員だけに転居を伴う人事異動があり、転居による住宅費の負担を考慮して、正社員だけに住宅手当を支給するのは、公平であり合理的であって同一労働同一賃金の考え方に反していないことになります。

この場合、住宅手当が就業規則に規定されていないのであれば、正社員のみに支給されていることではなく、正社員の労働条件の共通部分であるにもかかわらず、就業規則に定めて所轄の労働基準監督署長に届出をしていないことが労働基準法違反となります。

 

<同じ雇用形態でも>

同一労働同一賃金は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の待遇の公平・平等についての考え方です。

しかし、正規雇用労働者同士、非正規雇用労働者同士でも、一部の従業員だけに手当を支給すること、あるいは金額の異なる手当を支給することが、不公平・不平等となることもあります。

現に支給されている手当については、その手当支給の目的を再確認し、その目的に照らして不公平・不平等が発生していないかを確認し改善することが必要です。

この場合、不公平感・不平等感の有無について、従業員に聞き取り調査を行うことで、改善の方向性が見えてくると思います。

2022/04/23|1,273文字

 

<ポータブルスキルの測定>

厚生労働省は、ミドルシニア層のホワイトカラー職種を対象に、ポータブルスキルを測定し、それを活かせる職務や職位を提示する「ポータブルスキル見える化ツール」を開発し、提供しています。

ここで、ポータブルスキルとは、業種や職種が変わっても強みとして発揮できる持ち運び可能な能力をいいます(一般社団法人人材サービス産業協議会(JHR)が開発)。

平たく言えば「どこの会社に行っても通用する能力」です。

 

<ポータブルスキル見える化ツールの特徴>

ポータブルスキル見える化ツール(ホワイトカラーの職業能力診断ツール)は、令和元年度、令和2年度「職業能力診断ツール開発に向けた調査・研究事業」及び令和3年度「職業能力診断ツール活用促進等事業」により開発され、「job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))」内に掲載中のものです。

このツールの主な特徴は、自分では気付かない強みを発見し、可能性を広げるサポートをする機能を備えている点です。

15分程度の入力で出てくる診断結果を基に、持ち味を活かせる職務や職位が確認できるため、キャリア形成やキャリアチェンジで強みを発揮することができるようになります。

さらに、このツールの提供に合わせて、国家資格者であるキャリアコンサルタントなどの支援者が、ホワイトカラー職種のミドルシニア層の求職者・相談者等に相談支援を行う際に、このツールを活用しやすくするためのマニュアルと映像教材も、厚生労働省ホームページに掲載されています。

 

<9つのポータブルスキル>

●仕事のし方

1.現状の把握 取り組むべき課題やテーマを設定するために行う情報収集やその分析のし方

2.課題の設定 事業、商品、組織、仕事の進め方などの取り組むべき課題の設定のし方

3.計画の立案 担当業務や課題を遂行するための具体的な計画の立て方

4.課題の遂行 スケジュール管理や各種調整、業務を進めるうえでの障害の排除や高いプレッシャーの乗り越え方

5.状況への対応 予期せぬ状況への対応や責任の取り方

●人との関わり方

6.社内対応 経営層・上司・関係部署に対する納得感の高いコミュニケーションや支持の獲得のし方

7.社外対応 顧客・社外パートナー等に対する納得感の高いコミュニケーションや利害調整・合意形成のし方

8.上司対応 上司への報告や課題に対する改善に関する意見の延べ方

9.部下マネジメント メンバーの動機付けや育成、持ち味を活かした業務の割り当てのし方

 

<解決社労士の視点から>

ポータブルスキル見える化ツールは、自己診断によって持ち味を測定し自己理解を深めるためのツールです。

会社が社員に実施させて、その結果から人事異動を考えるような使い方はできません。

これは、自分の本音に従って回答するからこそ、持ち味が測れるわけであって、会社が実施させるような場合には、自分の期待する結果に向けて本音を曲げて回答してしまうため、正しい結果が期待できないからです。

なお、専門技術や専門知識のような専門能力の測定には不向きですので、ここは注意が必要です。

2022/04/22|971文字

 

届出と違う経路で通勤災害https://youtu.be/ZySNmaO5sUg

 

<通勤手当の増額>

従業員が遠方に引っ越し通勤手当が増えると、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、労災保険料にも反映されますから、会社の負担もかなり増えることがあります。

その引っ越しが、会社の業務都合ではなく個人的な事情によるものであれば、会社側としては釈然としないこともあります。

しかし、遠方への引っ越しを理由に解雇を通告するのは、一般に不当解雇となってしまいます。〔労働契約法第16条〕

 

<課税の問題>

もし、通勤費込みで基本給を決めておくことができれば、社会保険料や労働保険料について、従業員の引っ越しにより、会社の負担が増減することはありません。

しかし税法上は、一部の例外を除き通勤手当には課税されませんが、通勤手当込みの基本給にすると全体に課税されてしまいます。

 

<純粋な手取り額の減少>

それでは、基本給が20万円で、通勤手当が1万円、だから本来の給与部分は19万円(20万円 - 1万円)と決めておくのはどうでしょう。

遠方に引っ越して通勤手当が2万円になった場合には、基本給は20万円のままで、本来の給与部分は18万円(20万円 - 2万円)となります。

本人が受け取る基本給に変更はありません。

しかし、通勤手当は一般に実費を基準に支給されるものですから、自由に使える金額は本来の基本給が減った分だけ減少してしまいます。

 

<労働基準法と通勤手当>

労働基準法やその他の労働法に、「通勤費は雇い主が負担する」のような規定はありません。

多くの企業が通勤手当を支給していますから、これが当たり前になっているだけです。

ただそれだけに、通勤手当を支給しない企業が求人広告を出しても、魅力が感じられないということはあります。

しかし、就業規則や労働条件通知書に「通勤費は支給しない」と規定しておくことは、法的には問題がないのです。

 

<現実的な対応>

通勤費込みの基本給としたり、通勤手当を支給しなかったりすることは、給与計算のうえで会社の手間が減少します。

しかし、遠方への引っ越しをきっかけとして退職する人が出やすくなります。

それでも、「代わりの人」を簡単に採用できる職場であれば問題ないのかもしれません。

新人の採用や育成が難しい職場では、通勤手当に上限額を設けておき、会社の負担が予想外に増えることを防ぐというのが、現実的な対応ではないでしょうか。

2022/04/21|1,006文字

 

簡単ではない懲戒処分https://youtu.be/eAmGzzbHbas

 

<法律の規定>

減給処分を行う場合の限度については、労働基準法に次の規定があります。

 

【制裁規定の制限】

第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

 

つまり労働基準法は、減給処分について一定の制限を設けたうえで認めているわけです。

また、労働契約法には懲戒処分の有効性について次の規定があります。

 

【懲戒】

第十五条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

 

つまり、懲戒処分が有効であるためには、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当であると認められることが必要だと言っています。

しかし、そもそも「使用者が労働者を懲戒することができる場合」とは、どのような場合なのかについて、具体的な規定は見当たりません。

 

<最高裁の判断>

平成15(2003)年10月10日のフジ興産事件判決では、懲戒処分の根拠について次のように述べられています。

 

使用者は企業秩序を定立し維持する権限(企業秩序定立権)を有し、労働者は労働契約を締結したことによって企業秩序遵守義務を負うことから、使用者は労働者の企業秩序違反行為に対して制裁罰として懲戒を行うことができる。

 

そして、懲戒処分を行う場合の条件については、次のように述べられています。

 

使用者が労働者を懲戒するには、予め就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておかなければならない。使用者が懲戒できることを定めた就業規則が、法的規範としての性質を有するものとして拘束力を生ずるためには、その内容について、当該就業規則の適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続きが採られていなければならない。

 

労働契約法第15条の「使用者が労働者を懲戒することができる場合」というのは、この条件を満たす場合をいうのでしょう。

判例を確認しないと解釈できない条文というのは不親切ですから、やがて条文の中に判例の内容を盛り込む改正が行われるものと期待されます。

しかし現状では、判例や裁判例を確認せずに、独断で解釈することは危険な状態だといえます。

2022/04/20|1,282文字

 

<キャンペーンの実施>

厚生労働省では、全国の大学生等を対象に、特に多くの新入学生がアルバイトを始める4月から7月までの間、労働条件の確認を促すことなどを目的としたキャンペーンを実施します。

過去の調査結果等でも、労働基準法で規定されている労働条件の明示がなかったと回答した学生が多かったことなどを踏まえ、学生向けに身近に必要な知識を得るためのクイズ形式のリーフレットの配布等による周知・啓発などを行うとともに、大学等での出張相談を行います。

 

<キャンペーンでの呼びかけ>

重点的に呼びかけが行われる事項は次の通りです。

 

(1)労働条件の明示(契約更新の基準など)

(2)シフト制労働者の適切な雇用管理(始業、就業、休憩、休日など)

(3)労働時間の適正な把握

(4)商品の強制的な購入の抑止とその代金の賃金からの控除の禁止

(5)労働契約の不履行に対してあらかじめ罰金額を定めることや労働基準法に違反する減給制裁の禁止

 

<アルバイトの性質>

アルバイトというのは、日常用語であって法律用語ではありません。

どのような雇用形態をアルバイトと考えるかは、各企業が独自の基準で自由に決めています。

アルバイトといえども、法律上は正社員と同じく労働者であり、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法など、すべての労働法が当然に適用されます。

また、外国人のアルバイトであっても、日本国内で働く限り、日本の法律が適用されます。

会社が自由に決められるのは、こうした法令による規制が無い部分や、規制の範囲内に限られることになります。

 

<キャンペーンなどの影響>

昭和時代には「アルバイトだから」と言われれば、「一般の労働者とは違うのだろう」とあきらめる学生も多かったものです。

しかし、国が広報に努めたせいか、学生がネットで情報を得るようになったせいか、学生であっても働く限りは、労働法上の権利があるのだということが常識として定着しつつあります。

 

<企業としての再確認>

雇い主としての企業は、学生アルバイトについて、最低限、次のことを再確認しておく必要があります。

学生は、知らないふりをしていても、次のようなことを常識として認識しています。

 

・アルバイトを雇うときは、書面による労働条件の明示が必要です。

・学業とアルバイトが両立できるような勤務時間のシフトを適切に設定しましょう。

・アルバイトも労働時間を適正に把握する必要があります。

・アルバイトに、商品を強制的に購入させることはできません。また、一方的にその代金を賃金から控除することもできません。

・アルバイトの遅刻や欠勤等に対して、あらかじめ損害賠償額等を定めることや労働基準法に違反する減給制裁はできません。

・アルバイトにも、業務中または通勤途上のケガについて労災保険が適用されます。

・週1日勤務のアルバイトでも、年次有給休暇が付与され、取得の権利が与えられています。

 

アルバイトを上手くだまして安く使うことはできません。

戦力化して将来正社員にすることを考えるのが得です。

経営者が昭和の考えを持ち続けている場合、学生はこれに反論せず上手に言い訳してひっそり退職していきます。

2022/04/19|1,414文字

 

年次有給休暇が会社に勝手に使われたhttps://youtu.be/JgWobP3JbN4

 

<なぜ2月なのか>

月間所定労働日数は、実際の勤務日数と比較して割増賃金や欠勤控除を行う基準となるものではありません。

給与計算にあたって、日数同士の比較をするのは不合理なのです。

月間所定労働日数は、残業や欠勤があった場合に、月給から時間単価を計算して、その金額を計算するために使っています。

2月はカレンダー上の日数が少ないですから、勤務日数が少なくなるのが自然です。

毎年2月の給与が減ってしまうのでは、月給制にした意味がありません。

実際の勤務日数に応じて給与を計算するのであれば、日給制の労働契約にすべきです。

 

<具体例>

たとえば、月間所定労働日数が22日の場合に、会社のルールに従って休みをとっていたら、ある月は24日出勤となり、また別の月は20日出勤となったとします。

このとき2日分の休日出勤手当が発生したり、2日分の欠勤控除が発生したりでは、月給が毎月変動してしまいます。

このような運用は、明らかに不合理です。

そもそも休日出勤や欠勤は、1週間を一区切りとして計算します。

ここに月間所定労働日数は出てきません。

月間所定労働日数は時間単価の計算に使うだけです。

結局、月間所定労働日数は給与計算をする人だけが意識していて、他の社員はカレンダーを見ながら会社のルールに従い出勤していれば、月給の変動は無いのが正常な姿です。

 

<一般的な所定労働日数>

「所定」は「定まる所」つまり「決めたこと」「決まっていること」ですから、所定労働日数というのは就業規則や労働契約で決められている労働日数です。

年次有給休暇など休暇の取得や欠勤の発生がありますので、実労働日数とは一致しません。

年間所定労働日数は、うるう年も平年と同じ日数とすることが多いようです。

月間所定労働日数は、大の月も小の月も同じ日数とすることが多いようです。

年間所定労働日数 ÷ 12 = 月間所定労働日数とするのが一般です。

このとき、分かりやすくするために、1日未満の端数は切り捨てることが多いようです。

 

<残業手当の計算>

月給を月間所定労働時間で割って時間単価を計算し、時間外労働1時間当たりの賃金を、時間単価 × 1.25 などとして計算するのが一般です。

この場合、月間所定労働時間 = 1日の所定労働時間 × 月間所定労働日数 で計算されます。

会社によっては、年間所定労働時間 ÷ 12を基準に直接月間所定労働時間を定めています。

月によって、月間所定労働日数が変動すると、残業手当の時間単価が月によって変動するなどの不都合が発生しうるので、毎月同じ日数にするのが無難でしょう。

 

<所定労働日数が無いと>

月間所定労働日数を固定した日数に決めないまま給与計算をしている会社、あるいは外部に委託している会社は、社員のモチベーションを低下させている恐れがあります。

時間単価の低い期間は仕事を先送りにして、時間単価の高い期間に残業して業務をこなせば、手取り額が増えるという現象も発生します。

また、平成31(2019)年4月1日からは、労働者からの申し出が無くても、使用者が積極的に年次有給休暇を取得させる義務を負っています。

ところが、週単位あるいは年単位での所定労働日数が決まっていなければ、年次有給休暇の付与日数が確定できません。

月給制に限らず、シフト制などを理由に所定労働日数の決まっていない社員がいる会社では、年次有給休暇の付与について問題を抱えていることになります。

2022/04/18|1,251文字

 

降格の理由があやふやだとトラブルになりますhttps://youtu.be/oEsCKvbTNSw

 

<人事処分だけの会社>

社員が不都合な行為を行った場合に、就業規則の懲戒規定に基づき人事処分だけを行っている会社もあります。

人事処分を行う目的は、主に次の3つです。

 

・対象となった社員に反省を求め、その将来の言動を是正しようとすること。

・会社に損害を加えるなど不都合な行為があった場合に、会社がこれを放置せず処分や再教育を行う態度を示すことによって、他の社員が納得して働けるようにすること。

・社員一般に対して基準を示し、みんなが安心して就業できる職場環境を維持すること

 

これらの目的が果たされれば十分と考えるわけです。

 

<人事異動だけの会社>

社員が不都合な行為を行った場合に、会社の裁量で人事異動だけを行っている会社もあります。

この場合の人事異動の目的は、適材適所によって会社全体の生産性を高めることにあります。

不都合な行為を行った社員を、責任が軽く重要度の低い仕事の担当に異動させ、その人の代わりに適任と思われる別の社員を任命します。

こうして、社内で業務が効率よく円滑に回るように調整するわけです。

 

<二重処罰の禁止>

憲法には、二重処罰の禁止について次の規定があります。

 

【日本国憲法第39条後段】

又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

 

人事処分も人事異動も、国家だけに権限のある刑罰とは違います。

しかし、その趣旨は、企業で行われる人事処分にも適用されるものと解され、二重処罰に当たる人事処分は、懲戒権の濫用とされ無効になることがあります。〔労働契約法第15条〕

 

<人事処分の種類>

モデル就業規則の最新版(平成30(2018)年1月版)には、懲戒の種類として、けん責、減給、出勤停止、懲戒解雇があります。

しかし、第63条(懲戒の種類)の解説には、「懲戒処分の種類については、本条に掲げる処分の種類に限定されるものではありません。公序良俗に反しない範囲内で事業場ごと決めることも可能です」と書かれています。

実際に、職務級を下げる降格、役職を免ずる降職といった処分も行われています。これらは、日常用語では左遷と呼ばれ、人事異動の一種でもあります。

 

<人事異動と人事処分の併用>

左遷(降格・降職)は、人事異動でありながら、人事処分の性質も併せ持つことがあります。

このことからも明らかなように、人事異動と人事処分の両方を行うことは、1つの行為を2回処罰することにはならず、二重処罰の禁止の趣旨に反しません。

行為と処分とのバランスが取れていなければ、その有効性が争われることはありますが、人事異動と人事処分の両方を行うのが不当だというわけではありません。

 

<人事考課>

人事考課は、社員の能力や実績を評価し、待遇などに反映させる目的で行われます。

そして、人事異動と人事処分の理由となった行為が、評価の対象となることもあります。

つまり、人事異動、人事処分、人事考課での低評価の3つが重ねて行われることもあるわけです。

ただし、対象となった行為とこれらとのバランスが保たれるよう配慮する必要はあります。

2022/04/17|1,092文字

 

<年次有給休暇の付与基準>

年次有給休暇の付与について定める労働基準法第39条第2項の末尾には、「出勤した日数が全労働日の八割未満である者に対しては、(中略)有給休暇を与えることを要しない」と書かれています。

全労働日に対する出勤日の割合は、出勤率と呼ばれ、これが8割未満であれば年次有給休暇を付与しなくても良いということです。

 

<出勤率が基準に満たない社員の状況>

出勤率が8割未満ということは、年次有給休暇をフルに取得したうえ、さらに2割の欠勤が発生している状態だと考えられます。

時々遊びに行きたくなって、繰り返し仕事を休んでいたら、欠勤が2割を超えてしまったなどということは、そうそうあるものではないでしょう。

学生なら学業の都合で、主婦なら家族の都合で、やむを得ず欠勤を重ねてしまったというケースが多いのではないでしょうか。

 

<正しい出勤率の計算>

年次有給休暇の付与基準に使われる出勤率の計算は、実際には複雑です。

単純に考えると、出勤日数 ÷ 全労働日 ということになりますが、これには、休業しても出勤したものと取り扱う例外と、全労働日から除かれる例外があります。

 

【出勤したものと取り扱う日数】

(1)業務上の負傷・疾病等により療養のため休業した日

(2)産前産後の女性が労働基準法第65条の規定により休業した日

(3)育児・介護休業法に基づき育児休業または介護休業した日

(4)年次有給休暇を取得した日

 

【全労働日から除外される日数】

(1)使用者の責に帰すべき事由によって休業した日

(2)正当なストライキその他の正当な争議行為により労務が全くなされなかった日

(3)休日労働させた日

(4)法定外の休日等で就業規則等で休日とされる日等であって労働させた日

 

こうした例外をきちんと加味して出勤率を計算することは、意外と手間がかかるうえ間違えやすいものです。

 

<会社独自の制度として>

労働基準法は、「出勤した日数が全労働日の八割未満である者に対しては、(中略)有給休暇を与えることを要しない」と規定しているのであって、「与えてはならない」とは規定していません。

普通に出勤していれば、そうそう出勤率が8割を切ることはありません。

たまに見られるのは、週5日出勤で契約したアルバイトが、実際には週4日のシフトで働いていたような場合です。

こうした場合には、勤務の実態が変更するたびに、雇用契約書を交わし直すのが確実なのですが、実際にはできていないことがあります。

いろいろと手間を考えてみると、出勤率はノーチェックで8割以上あるものとして、年次有給休暇を付与することにも十分な合理性があるといえるでしょう。

 

2022/04/16|1,419文字

 

退職禁止?! https://youtu.be/TFVbVky3mzU

 

<会社の損害>

何度も求人広告を出して何十万円もの経費をかけ、採用面接でもそれ相当の人件費がかかり、やっと採用し大事に育ててきた新人から、あっさり「辞める」と言われたら、経営者や採用担当者は「金返せ!」という気持ちになります。

 

さて、この場合の「会社の損害」とは何でしょうか。

 

まず、求人広告にどれだけの経費をかけるかは、会社の判断によるのであって、応募者と相談して決めるわけではありません。

これは、採用面接などについても同じことがいえます。

応募があった時に、「採用します!」と即決ならば、ほとんど経費がかかりません。

もっとも、こんないい加減な採用はしないでしょう。

しかし、どれだけ手間暇をかけるかは、会社が判断します。

 

新人を育てるための経費も馬鹿になりません。

場合によっては、会社の費用負担で研修に参加させたり、免許を取らせたりと、至れり尽くせりのこともあるでしょう。

そうでなくても、上司や先輩が指導するのに人件費がかかったはずだと考えられます。

そうだとしても、これらは会社側の判断で行ったのであって、本人からたっての希望があって行ったというわけではないでしょう。

となれば、応募し採用された本人が認識できない損失についてまで、本人に費用を負担させることはできません。

 

制服も、会社のルールで使うことにしているわけですから、その経費を本人の負担にはできません。

 

こうしてみると、会社に何か特別な損害があったような場合でなければ、損害賠償の請求はできないだろうということは、しろうとにも判断のつくことです。

 

しかし、急に辞めたことにより、予定していた工事の人手が足りなくなり、工事ができなくなったとします。

この場合には、発注者の信用を失うだけでなく、業界全体に悪評が流れてしまうかもしれません。

こうなると、会社の損害は甚大です。

 

<労働基準法の規定>

損害賠償については、労働基準法に次の規定があります。

 

【賠償予定の禁止】

第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

 

予定した仕事をしないというのは「労働契約の不履行」の一つですから、「入社から3年以内に退職すると300万円の罰金」などのルールは、労働基準法の禁止する賠償予定にあたるため違法となります。

しかし、「予定」するのではなく実際に損害が発生して、会社が損害額を証明できるのであれば、退職した社員に損害賠償を請求することができます。

 

<損害賠償請求の裁判>

裁判で損害賠償を請求する場合には、訴えを起こした原告側が証明責任を負います。

当たり前です。

損害賠償を請求された被告が、損害を与えていない、あるいは、〇円以上の損害は与えていないという証明に成功しないと裁判で負けてしまうというのは常識外れです。

言いがかり的に訴訟を提起して、相手が証明できなければ勝てるというのでは、そうした行為が横行してしまいます。

 

さて、新人が辞めたことによって、会社に甚大な被害が及ぶということは稀でしょう。

しかし、ある程度の経済的な損失は発生します。

その損害額がいくらなのか、あるいは少なくともいくら以上なのか、計算できない場合には損害賠償の請求訴訟を提起しても敗訴してしまいます。

 

確信をもって客観的な損害額を算定できるような例外を除き、退職していく社員に損害賠償の話を持ち出すのは、単なる言いがかりになってしまう可能性が高いと考えられます。

2022/04/15|2,147文字

 

電車の遅れで遅刻https://youtu.be/uY2_I0yA2OU

 

<「許される」の意味>

使用者側からも、労働者側からも、「遅刻は何回まで許されるか」という質問を受けます。

この質問では「許されない」とは何かを想定し、それぞれについて回答する必要があります。

 

【遅刻について「許されない」の意味】

① 給与の欠勤控除を受ける。

② 懲戒処分を受ける。

③ 損害賠償の請求を受ける。

 

1回でも遅刻すれば、上司や先輩から注意を受けるでしょうから、これすら無くて許されるということは想定できません。

すると、上記の3つについて考えることになります。

 

<① 給与の欠勤控除を受ける>

欠勤控除について、モデル就業規則の最新版(令和3(2021)年4月版)は、次のように規定しています。

 

【欠勤等の扱い】

第43条  欠勤、遅刻、早退及び私用外出については、基本給から当該日数又は時間分の賃金を控除する。

 

欠勤控除について、労働基準法その他の法令には規定がありません。

規定が無いということは、当然のように「常識として」欠勤控除をすることは許されません。

しかし一般に、労働者の労務の提供がない場合には、使用者は賃金を支払う義務がなく、労働者も賃金を請求できないという「ノーワーク・ノーペイの原則」が認められています。

この原則は、労務の提供と賃金の支払が対応するという労働契約の性質上、認められているものです。

ですから、欠勤控除をすることは違法ではないのですが、計算方法について就業規則等に明記しておく必要はあります(絶対的必要記載事項)。

就業規則に規定が無いまま欠勤控除はできません。

また、遅刻による欠勤の時間に相当する賃金を超えて欠勤控除をすることは、懲戒処分になりますから、懲戒処分としての適法性が問題となります。

 

<② 懲戒処分を受ける>

モデル就業規則の最新版で、遅刻についての懲戒処分の規定は、次のようになっています。

 

【懲戒の事由】

第64条  労働者が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、減給又は出勤停止とする。

② 正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退をしたとき。

 

2 労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第51条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停止とすることがある。

③ 正当な理由なく無断でしばしば遅刻、早退又は欠勤を繰り返し、  回にわたって注意を受けても改めなかったとき。

 

この規定によると、2つのパターンがあります。

・正当な理由なくしばしば遅刻をしたとき → けん責、減給、出勤停止

・正当な理由なく無断でしばしば遅刻し 回注意されても遅刻したとき → 懲戒解雇など

 

「無断で」「注意されても」なお遅刻すると、懲戒解雇もありうるということになります。

これは、別に次の規定があって、遅刻の事前申し出と承認を必要としているからです。

こうした規定により、事前申し出と承認を義務付けていなければ、「無断で」を理由に一層重い処分とすることはできません。

 

【遅刻、早退、欠勤等】

第18条  労働者は遅刻、早退若しくは欠勤をし、又は勤務時間中に私用で事業場から外出する際は、事前に    に対し申し出るとともに、承認を受けなければならない。

ただし、やむを得ない理由で事前に申し出ることができなかった場合は、事後に速やかに届出をし、承認を得なければならない。

 

さて、モデル就業規則第64条第1項第2号には、「しばしば」という言葉があります。

この意味は、会社ごとに運用で決めることになります。

すると「何回まで許されるか」については、「運用による」という回答になってしまいます。

 

また、ここの第2項第3号には「  回にわたって」という言葉があり、何回にするかは会社が決める形になっています。

こうした規定があれば、会社の無断遅刻が何回まで許されるかは、かなり具体的にわかります。

 

このように、懲戒処分を受けないという意味で「許される遅刻は何回までか」という質問に対しては、「会社の就業規則と運用による」という回答になります。

 

<③ 損害賠償の請求を受ける>

損害賠償については、労働基準法に次の規定があります。

 

【賠償予定の禁止】

第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

 

ここで遅刻は「労働契約の不履行」になりますから、「遅刻すると1回につき3千円の罰金」などのルールは、賠償予定となって労働基準法に違反するため無効となります。

しかし、「予定」するのではなく、会社に実際に損害が発生して、会社が損害額を証明できるのであれば、遅刻した社員に損害賠償を請求することができます。

朝一番で予定していた大事な商談に遅刻して、商談相手が怒って帰り、その後お詫びしても許してもらえず、大きな仕事をライバル会社に取られてしまったという場合には、ある程度具体的な損害額が算定できるでしょう。

つまり、損害賠償責任については、遅刻の回数は問題ではないことになります。

 

こうしてみると、懲戒処分についての規定の中の「しばしば遅刻」「  回にわたって注意を受けても」という部分は、会社に与えた損害額や不注意の程度を基準にすることも、十分に客観的な合理性があるといえます。

2022/04/14|1,286文字

 

懲戒処分が許される根拠はなんなのかhttps://youtu.be/p7Ve-_KszFE

 

<懲戒規定が無ければ>

部下が不都合な行為で懲戒の対象とされた場合、これを理由に上司が懲戒の検討対象とされるには、就業規則に根拠規定が必要です。

この点、厚生労働省が公表しているモデル就業規則の最新版(令和3(2021)年4月版)には、こうした場合を想定した規定がありません。

しかし企業によっては、就業規則に「職務を執行するに当たって、部下の指導監督に不行届きの事実があったとき」を懲戒の対象とする旨の規定を置いている場合があります。

そして、こうした規定の無い企業では、上司が直接懲戒規定に触れない限り、部下の指導監督が不足していたことを理由に、懲戒の対象にはできないことになります。

 

<懲戒規定があっても>

就業規則に、部下の指導監督不足を懲戒の対象とする旨の規定があったとしても、それだけで上司が当然に懲戒されることの正当性が導かれるわけではありません。

懲戒というのは、故意・過失によって企業に損害をもたらし、あるいは損害をもたらす危険を発生させた場合に可能となるものです。

ですから、部下の不都合な行為について、上司がこれを防止するために管理監督する具体的な義務・責任が無いのであれば、懲戒の対象とされるのは合理性が無いことになります。

たとえば部下が、休日や勤務時間外のプライベートな時間に、不都合な行為を行ったとしても、基本的には、上司の指導監督権限が及びませんので、原則として上司の責任を問えないことになります。

 

<上司が責任を負い懲戒の対象となりうる場合>

上司が管理監督の責務を果たさなかったから、部下が不都合な行為に及んでしまった、裏を返せば、上司が管理監督の責務を果たしていたなら、部下が不都合な行為に及ぶことは無かったといえる場合には、上司が責任を負い懲戒の対象となりうるわけです。

たとえば、上司が部下の就業規則違反行為や懲戒対象となる行為を黙認していて、注意指導を怠っていた場合には、これに該当します。

 

<時期的な相違の問題>

会社で何か不祥事があった場合には、それが発覚した時の代表取締役が引責辞任するということがあります。

これは、そうすることで世間一般の会社に対する非難をある程度かわすことができると考えて、政策的に行っているわけです。

しかし、会社との関係が委任契約である代表取締役と、会社との関係が労働契約である社員とを同じ理屈で律することはできません。

上司に該たる人は、労働者として労働法による保護を受けているわけです。

ですから、ある社員が就業規則違反を犯した時に、たまたま上司であった社員が連帯責任を負うというのは理由が無いわけです。

上司の管理監督責任が問われる場合であっても、いつの上司の責任なのかは確認が必要だということです。

 

<解決社労士の視点から>

社員が重い懲戒処分を受ける時に、その上司も自動的に懲戒の対象となるのが、ある程度慣行となっている企業もあります。

しかし、上司が連帯責任を負う、あるいは無過失責任を負うというのは、法的根拠がありません。

これは懲戒権の濫用であり、懲戒が無効ということになりますので、悪しき慣行は改める必要があります。

2022/04/13|1,625文字

 

情状に応じた懲戒https://youtu.be/memZVoQ7m1U

 

<しろうと考えでは>

職場で暴言を吐かれ、感情を抑えられずに相手に暴力を振るってしまった社員がいた場合には、他の社員たちから次のような意見が聞かれます。

・最初に暴言を吐いて仕掛けた方が悪い。暴言が無ければ、暴力も無かっただろう。

・あくまでも言葉のやり取りで済ませるべきで、最初に手を出した方が悪い。

・喧嘩両成敗ということもあり、どちらも同じように悪い。

あるいは、当事者の普段の様子を知っている社員からは、全く違った意見が出てくるかもしれません。

 

<パワハラに該当するか>

職場での暴言や暴力は、パワハラであると判断されるのが一般です。

パワハラは、次の2つが一体となって同時、あるいは時間的に前後して行われるものです。

 

【パワハラの2要素】

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

 

暴言の中には、指導や教育などの意図が含まれていることでしょう。

しかし、普通の話し方ではなく「暴言」という形で表現してしまうと、それは相手の人権を侵害する行為になり、パワハラとなってしまうのです。

場合によっては、脅迫罪(刑法第222条)、強要罪(刑法223条)、名誉毀損罪(刑法第230条)、侮辱罪(刑法第231条)に該当することもあります。

 

一方、暴言に対抗して暴力を振るうのは、その暴力の中に、業務上必要な要素が含まれていませんから、パワハラではなく単純に暴行罪(刑法第208条)が成立します。

相手にけがを負わせれば、傷害罪(刑法第204条)となります。

 

<正当防衛になるのか>

それでは、暴言に対抗しての暴力は正当防衛になるでしょうか。

刑事上は犯罪となる行為が、多くの場合、民事上は不法行為にもなります。

つまり、刑罰の対象となるとともに、損害賠償の対象ともなります。

 

刑事上の正当防衛は、刑法第36条第1項に規定があります。

 

【刑事上の正当防衛】

第三十六条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

 

暴言によって侵害される名誉権や人格権を防衛するために、暴力は必要が無いですから、「やむを得ず」という条件を満たしません。

ここでの「やむを得ず」は、日常用語の「やむを得ず」よりもハードルが高く、他に方法が無い場合に認められます。

 

民事上の正当防衛は、民法第720条第1項本文に規定があります。

 

【民事上の正当防衛】

第七百二十条  他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない。

 

こちらでも、法的な意味での「やむを得ず」という条件がありますから、暴言を吐いた人でも、暴力を振るった人に対して、損害賠償の請求ができることになります。

 

<懲戒処分はどうするか>

会社の懲戒処分は刑罰ではありませんが、国法である刑法や民法の趣旨に反する懲戒は、客観的合理性や社会通念上の相当性が否定され、懲戒権の濫用となってしまうことがあります。〔労働契約法第15条〕

就業規則に具体的な懲戒規定があることを前提に、暴言を吐いた社員も、暴力を振るった社員も懲戒処分の対象とすべきです。

また、刑法上も暴力は暴言よりも重い罪ですから、一般には暴力の方が重い懲戒処分になります。

そして、懲戒規定には「情状酌量」についての定めが含まれているでしょう。

暴言を吐いた社員が、暴力を誘発する意図で行っていた場合や、何度も止めるように言われながら暴言を発し続けたような場合には、情状酌量の面から、暴言を吐いた社員は一段重い懲戒処分、暴力を振るった社員は一段軽い処分ということも考えられます。

懲戒処分とは別に、その立場でその仕事をこなすことに対する適性の判断から、人事異動も検討しなければなりませんし、人事考課への反映も忘れてはなりません。

 

懲戒処分については、刑法にも詳しい社会保険労務士へのご相談をお勧めします。

2022/04/12|2,073文字

 

フレックスタイム制と年次有給休暇https://youtu.be/FjX3Fs-tAjs

 

<労使協定の締結>

フレックスタイム制の導入に当たっては、労使協定の締結が必要です。

清算期間が1か月以内であれば、所轄の労働基準監督署長に届け出る必要はありません。

しかし、平成31(2019)年4月1日付の法改正に応じて、清算期間を1か月を超え3か月以内とする場合には、所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります。

いずれの場合も、フレックスタイム制を導入するに当たっては、以下の事項を労使協定で定める必要があります。

1.対象となる労働者の範囲

2.清算期間

3.清算期間における総労働時間(清算期間における所定労働時間)

4.標準となる1日の労働時間

5.コアタイム(※任意)

6.フレキシブルタイム(※任意)

 

<1.対象となる労働者の範囲>

対象となる労働者の範囲は、各人ごと、課ごと、グループごと等様々な範囲が考えられます。

例えば「全従業員」、「企画部職員」としたり、「Aさん、Bさん、・・・」と することも構いません。

労使で十分話し合い、協定で対象となる労働者の範囲を明確にしてください。

人事異動があることを想定すると、労働者の個人名で範囲を指定するよりは、役職などで指定した方が便利です。

 

<2.清算期間>

清算期間とは、フレックスタイム制で労働者が労働すべき時間を定める期間のことです。

かつて上限は1か月でしたが、法改正によって上限が3か月となりました。

清算期間を定めるに当たっては、その長さに加えて、清算期間の起算日を定めてください。

起算日は、清算期間をカウントする場合の初日です。

 

法改正で清算期間の上限が最大3か月に延長されましたが、月ごとの繁閑差などの実態を踏まえ、対象者の範囲や清算期間を労使でよく話し合うことが重要です。

また、清算期間が1か月を超える場合でも、使用者は1か月ごとに実際に働いた労働時間を労働者に通知するなどの対応に努めてください。

フレックスタイム制の対象となる労働者は、自分でも労働時間の管理をしているはずですが、期間が長い場合には、期間を区切って集計した時間を、その労働者に通知してあげるのが親切です。

 

<3.清算期間における総労働時間(清算期間における所定労働時間)>

清算期間における総労働時間とは、所定労働時間のことです。

つまり、労働契約上、労働者が清算期間に労働すべき時間として定められた時間です。

フレックスタイム制では、清算期間を単位として所定労働時間を定めることとなります。

清算期間における総労働時間を定めるに当たっては、法定労働時間の総枠の範囲内としなければなりません。

つまり、清算期間における総労働時間が、次の時間の範囲内であることが必要です。

1週間の法定労働時間 × 清算期間の暦日数 ÷ 7日

 

なお、特例措置対象事業場については、清算期間が1か月以内の場合には週平均44時間までとすることが可能ですが、清算期間が1か月を超える場合には、特例措置対象事業場であっても、週平均40時間を超えて労働させる場合には、36協定の締結・届出と、割増賃金の支払が必要です。〔労働基準法施行規則第25条の2第4項〕

 

労使協定では、1か月160時間というように各清算期間を通じて一律の時間を定める方法のほか、清算期間における所定労働日を定め、所定労働日1日当たり〇時間といった定め方をすることもできます。

 

<4.標準となる1日の労働時間>

標準となる1日の労働時間とは、年次有給休暇を取得した際に支払われる賃金の算定基礎となる労働時間の長さを定めるものです。

清算期間における総労働時間を、期間中の所定労働日数で割った時間を基準として定めます。

フレックスタイム制の対象労働者が年次有給休暇を1日取得した場合には、その日について、標準となる1日の労働時間を労働したものとして取り扱う必要があります。

実働時間ではないということで、労働時間の計算から除いてしまうと、実質的に年次有給休暇の権利をはく奪することになるからです。

 

<5.コアタイム(※任意)>

コアタイムは、労働者が1日のうちで必ず働かなければならない時間帯です。

必ず設けなければならないものではありませんが、これを設ける場合には、その時間帯の開始・終了の時刻を協定で定める必要があります。

設けない場合には、朝礼の実施などで不都合を生じることがあります。

反対に、コアタイムが長すぎると、フレックスタイム制のメリットが無くなりますので、注意が必要です。

なお、コアタイムを設けずに、実質的に出勤日も労働者が自由に決められることとする場合にも、所定休日は予め定めておく必要があります。

所定休日が無いと、休日出勤(手当)の設定ができません。

 

<6.フレキシブルタイム(※任意)>

フレキシブルタイムは、労働者が自らの選択によって労働時間を決定することができる時間帯のことです。

フレキシブルタイム中に勤務の中抜けをすることも可能です。

フレキシブルタイムも必ず設けなければならないものではありませんが、これを設ける場合には、その時間帯の開始・終了の時刻を協定で定める必要があります。

2022/04/11|1,371文字

 

パワハラしやすい人https://youtu.be/9dnI-MD1zkQ

パワハラの6類型https://youtu.be/_I0MvwhXaPU

 

<事業主の防止対策>

事業主は、10段階に分けて考えると、以下の措置を講じる義務を負っています。

●パワーハラスメントが発生する前に

1.職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること

2.行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、労働者に周知・啓発すること

3.相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること

4.相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること

●パワーハラスメントが発生してしまったら

5.事実関係を迅速かつ正確に確認すること

6.速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと

7.事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと

8.再発防止に向けた措置を講ずること

●並行して行うこと

9.相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること

10.相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること

 

<体制の構築状況>

パワハラ防止対策が法定されてから、それほど長い期間が経過しているわけではありません。

パワーハラスメントが発生する前に整えておくべき体制が整わぬまま、問題が発生するということは十分に考えられます。

この場合に、改正法施行前に通用した対応をしてしまうと、思わぬ落とし穴に落ちてしまいます。

 

<法改正前に当たり前に行われていたこと>

かつては、パワハラ被害の申し出があったなら事実を確認し、事実の有無と内容に応じて、加害者に懲戒を行い異動するなど適切な措置を取ることで、会社の責任を果たすことができました。

これによっても回復されない損害については、別途、被害者や遺族から加害者・会社・取締役に損害賠償の請求が行われることはありました。

 

<法改正後の事情変更>

事業主はまず、労働者にパワハラの内容とパワハラを行ってはならないことの周知・啓発をしなければならないわけです。

ところが実際には、何がパワハラかを知らず、自分の行為がパワハラに該当することを知らぬまま、パワハラの加害者であると告発される従業員がいます。

この場合に、加害者の自己責任とはできなくなりました。

確かにパワハラ防止法は、「労働者は、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる前条第一項の措置に協力するように努めなければならない」としていますが、これは努める義務であり、努力義務に過ぎません。

一方で、パワハラ防止法が事業主に課しているパワハラ防止対策は法的義務ですから、労働者の努力義務を理由に、法的義務を免れることはできません。

加害者が、パワハラについての十分な知識を持ち合わせぬまま、行為に及んでしまったなら、会社の責任が重いということになります。

 

<解決社労士の視点から>

パワハラ防止対策が進まないうちに、パワハラの事実が発生したなら、少なくともその部門でのパワハラ教育を直ちに行う必要があります。

それでもなお、加害者がパワハラ行為を止めないのであれば、会社はその加害者に指導することができます。

こうした手順を意識せずに、法改正前の対応をとってしまうと、思わぬ痛手を被りますので注意しましょう。

2022/04/10|1,815文字

 

フレックスタイム制と年次有給休暇https://youtu.be/FjX3Fs-tAjs

 

<よくある誤解>

フレックスタイム制は、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることのできる制度です。

この意味が誤解されていると思います。

従業員の一人ひとりが、「気が向いた時に出勤して、帰りたくなったら帰る」のであれば仕事が回らなくなります。

使い物にならない制度を、労働基準法が定めるはずがありません。

 

<フレックスタイム制の公式説明>

フレックスタイム制については、厚生労働省が次のように説明しています。

 

フレックスタイム制のもとでは、あらかじめ働く時間の総量(総労働時間)を決めた上で、日々の出退勤時刻や働く長さを労働者が自由に決定することができます。

 

フレックスタイム制を導入するためには、就業規則その他これに準ずるものにより、始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねる旨を定める必要があります。

 

この一方で、次のような説明もあります。

 

フレックスタイム制は始業・終業時刻の決定を労働者に委ねる制度ですが、使用者が労働時間の管理をしなくてもよいわけではありません。 実労働時間を把握して、適切な労働時間管理や賃金清算を行う必要があります。

 

<労働者という言葉の意味>

まず「使用者」の意味ですが、これについては労働基準法第10条に規定があります。

 

この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。

 

「すべての者をいう」ですから、社長1人ではありません。

この条文の「事業主」とは、個人事業なら事業主ですし、会社なら会社そのものです。

「事業の経営担当者」とは、代表者、取締役、理事などです。

「その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」の中に、人事部長や労務課長などが含まれることも明らかです。

 

一方で、「労働者」というのも、労働者一人ひとりを指しているのではなく、使用者に対置される意味での労働者です。

つまり、社内の労働者全体であり、「労働者たち」という意味です。

 

この理解のもとで、ここまでに出てきた話の中の「労働者」を「労働者たち」に言い換えると、次のようになります。

 

フレックスタイム制は、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者たちが日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることのできる制度です。

 

フレックスタイム制のもとでは、あらかじめ働く時間の総量(総労働時間)を決めた上で、日々の出退勤時刻や働く長さを労働者たちが自由に決定することができます。

 

フレックスタイム制を導入するためには、就業規則その他これに準ずるものにより、始業及び終業の時刻を労働者たちの決定に委ねる旨を定める必要があります。

 

「労働者」と「労働者たち」とで何が違うかというと、「労働者」ならば一人ひとりの自由な考えということになるのに対して、「労働者たち」ということになると、仕事の効率を考え、仕事に支障が出ないように、協議のうえ日々の始業・終業時刻、労働時間を自分たちで決めるということです。

 

<働き方改革の面で>

使用者は、労働者一人ひとりに対して、出勤日や始業・終業時刻を指定することができません。

しかし、当然のことですが、仕事の指示を出すことはできます。

労働者側は、使用者側から指示された仕事を効率よく成し遂げるために、労働者同士で協議して出勤日や始業・終業時刻を決めることになります。

こう考えると、フレックスタイム制は、仕事の効率が向上する制度であることがわかります。

 

<不都合が感じられる原因>

フレックスタイム制ではなく、会社が各労働者のシフトを決定しているとします。

この場合に、一人ひとりのシフトは一種の個人情報だから、お互い秘密にしておくことという不思議なルールがあれば、業務の連携が取りにくくなります。

また、月末に翌月のシフト表が個人宛に配付されるものの、月の途中で頻繁に変更があるという場合には、さらに業務の連携がむずかしくなります。

これはフレックスタイム制で、各労働者のシフトやシフト変更を非公開にした場合にも同じ不都合が発生します。

フレックスタイム制だから不都合が発生するのではなく、勤務予定の情報共有が無いから不都合が発生すると考えられます。

フレックスタイム制を採り入れたら、情報共有を怠らないようにする必要があるのです。

2022/04/09|1,731文字

 

20年前のセクハラhttps://youtu.be/RUvCR_zh3h4

 

<セクハラとは>

セクハラに関する厚生労働省の説明は、次のようにむずかしいものです。

 

セクシュアルハラスメントの略で、

「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否するなどの対応により解雇、降格、減給などの不利益を受けること(対価型)」

または

「性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に悪影響が生じること(環境型)」

をいいます。

 

これによると、労働者が「不利益を受けること」あるいは「悪影響が生じること」という実害の発生が、セクハラ成立の条件のようにも見えます。

しかし、企業としてはセクハラを未然に防止したいところです。

ですから、「不利益を受ける恐れ」や「悪影響が生じる恐れ」があれば、セクハラの成立を認めるべきでしょう。

そもそも「相手がセクハラと感じたらセクハラ」ということではありません。

客観的に見て「相手がセクハラと感じるような言動があればセクハラ」ということです。

 

<教育不足>

このように、セクハラの説明がむずかしいと、行為者に対して「あなたのしたことはセクハラです」と言ったところで納得されません。

これでは、反省を求めることもできません。

行為者の言い分を聞いているうちに、「あるいは被害を訴えている人の思い違いではないか」とさえ感じかねません。

これは、行為者も対応する人も、何がセクハラに当たるのかについて理解が不足しているからです。

会社がセクハラの定義を定め、具体的な事例を示しながら繰り返し研修を実施しなければ、理解は進まないでしょう。

こうした状態だと、セクハラを指摘された人は、「会社でセクハラだと言われた。俺はただ〇〇しただけなのに、おかしいよなぁ」などと社外で言いふらすかもしれません。

それが酒の席であったとしても、話を聞いた人は、「この人の会社はセクハラ対策をしていないんだな」と感じてしまいます。

 

<懲戒処分>

会社としては、セクハラの訴えがあり事実が確認されたなら、行為者に対する懲戒を考えざるを得ません。

まさか、被害者を異動させたり退職させたりというわけにはいきません。

そんなことをしたら、ネット社会の今、会社の評判は地に落ちてしまいます。

異動や退職を検討するなら、加害者の方でなければいけません。

さて、モデル就業規則の最新版(令和3(2021)年4月版)は、次のように規定しています。

 

(セクシュアルハラスメントの禁止)

第13条 性的言動により、他の労働者に不利益や不快感を与えたり、就業環境を害するようなことをしてはならない。

 

もちろん、懲戒処分をするには、就業規則の懲戒規定が具体的に対象としている行為であることが条件となります。

就業規則に規定の無いことや、規定があっても理解されないことで懲戒処分をされたのでは、たまったものではありません。

こんなことをされた社員は、会社に対して慰謝料を含め損害賠償の請求をするのも当然です。

それだけに、就業規則の懲戒規定は、誰にでもわかるように具体的なものでなければなりません。

また、懲戒規定は禁止規定を前提にしています。

禁止規定の表現が抽象的であれば、別途、入社時と定期の研修会などが必要になります。

あるいは、従業員の誰が読んでも、どのような行為がセクハラになるのかが、わかる内容にしておかなければなりません。

 

<会社の義務>

結局のところ、会社としては次のことを怠っていれば、責任を果たしたことにはなりません。

 

・セクハラの定義を明らかにする。

・具体例を示し全従業員にセクハラについての教育を定期的に繰り返す。

・就業規則にセクハラの禁止を規定する。

・就業規則にセクハラの懲戒を規定する。

 

<結局セクハラとは>

ある行為があって、その様子をビデオ撮影したとします。

それを見た家族、恋人、友人が、性的な面で不快感を示すなら、それはセクハラです。

たとえ行為者が、自分自身の主観で納得できないとしても、その行為を見た第三者が不快に思うのであれば、セクハラの疑いは晴れないことになります。

我々が仕事をするうえで、人に接する場合、セクハラに限らず、その人の家族や友人が見たら不快に思うことは無いのかということを、常に意識して行動しなければなりません。

2022/04/08|979文字

 

評価パワハラhttps://youtu.be/g3H5GuReDvU

 

<現物支給>

現物支給とは、物品やサービスなど金銭以外の経済的利益で、賃金が支給されることをいいます。

賃金の一部を、会社の商品や割引券に換算して支給するような場合を指します。

通勤手当の代わりに、定期券を支給するのも現物支給です。

食事や栄養ドリンクも、賃金の代わりに支給されるのであれば現物支給になります。

 

<賃金支払の5原則>

賃金の支払については、労働基準法第24条に規定があり、この中に賃金支払の5原則が含まれています。

通貨払の原則、直接払の原則、全額払の原則、毎月1回以上払の原則、一定期日払の原則の5つです。

このうち通貨払の原則は、日本のお金で支払うという原則です。

 

<現物支給が許される場合>

法令や厚生労働省令によって、現物支給が許されている場合があります。

しかし、たとえば本人が希望して、退職金を銀行振出し小切手で受け取るような例外的なものに限られています。

この他、労働組合のある会社では、労働組合と会社とが現物支給についての労働協約を交わせば、その労働協約の適用を受ける労働者に限って、労働協約の範囲内での現物支給が許されます。

労働者の過半数を代表する者と会社との間で交わされる労使協定は、名称は似ていますが労働協約ではありません。

労働組合が無ければ労働協約は交わせませんから、現物支給もできないということになります。

 

<プラスアルファなら>

ただ労働基準法は、「賃金の代わりに」物品やサービスなどで支払うことを禁止しているのであって、「賃金とは別に」物品やサービスなどの経済的利益を提供することは禁止していません。

たとえば、一定の時刻を超えて残業している社員に、「賃金とは別に」夜食と栄養ドリンクを支給するような場合には、労働基準法違反にはなりません。

また、就業規則などで定められた賞与とは別に、会社の商品やサービスを社員に与えて親しんでもらうなども、労働基準法違反になりません。

会社の業績が悪いので、賞与支給額は減額するけれども、その減額分を会社の商品やサービスで支給するというのは現物支給となります。

しかし、賞与支給額が減額され、これとは別に、商品の不良在庫を全従業員に10万円分ずつ支給するというのであれば、現物支給とは言い難いでしょう。

ただし、ケースによっては、所得税法上の「現物給与」とされ課税対象となりうるので、こちらの確認が必要です。

2022/04/07|1,674文字

 

法改正により違法残業の範囲が広がっていますhttps://youtu.be/il6m-PyrFT4

 

<残業代未払い>

企業には残業代を支払う義務があり、サービス残業(サビ残)をさせることは違法になります。

中小企業の経営者の中には、「残業代を支払っていては経営が成り立たない」という言い訳をする人もいます。

大企業の役職者の中には、部下の残業代を100%支払っていては、業績の前年割れが発生し責任問題になるという言い訳をする人もいます。

しかし、企業が残業代を適切に支払っていない場合には、訴訟になることもあり、また、サービス残業をさせられた人による労働基準監督署への申告で行政指導を受ける危険もあります。

 

<経済的な損失のリスク>

残業代の未払いがあった場合には、労働者から裁判を起こされる可能性があります。

タイミングとしては、退職した後、しばらく経ってからということが多いものです。

本人はおとなしい性格で、とても裁判など起こしそうになかったのに、友人や親戚から「おかしい。訴えるべきだ」と強く主張されて、これに従うということがあります。

 

<付加金という制度>

未払い残業代だけ支払っても済まないことがあります。

裁判所は、本人から請求があり悪質性が認められる場合には、未払い残業代と同額の付加金の支払いを命じることがあります。

この制度によって、本来の残業代の2倍の金額を支払うことになります。

 

<不法行為責任>

残業代の未払いは、基本的に民法上の債務不履行責任の問題です。

また、労働時間の管理義務を怠ったことにより、残業代が支払われてこなかった場合には、民法上の不法行為責任が追及されることもあります。

未払い残業代請求権の消滅時効期間は3年間ですし、不法行為による損害賠償請求権の消滅時効期間も基本的には3年間です。

残業代の未払いが認定された場合には、3年分の未払い残業代の支払いが命じられる可能性があります。

 

<証拠資料は労働者に有利>

会社を出た時刻を書いた手帳の記録、帰宅時刻を書いたノート、タイムカードに印字された時刻などが、出勤時刻・退出時刻の証拠として認められています。

手帳やノートの記録が裁判の証拠になるのは、少し不思議な気もします。

しかし本来は、使用者が労働時間を適正に把握し記録する義務を負っているわけですから、これを怠っていれば、基本的には労働者の言いなりになるしかないのです。

出勤してタイムカードを打刻した後、しばらく休憩して、定時から業務を始めるのはよくあることでしょう。

また、仕事を終えて、仲間同士で雑談してからタイムカードを打刻するということもあります。

タイムカードに記録された時刻と、実際の勤務時間とが違うということは当たり前に発生しています。

しかし、裁判になれば…

「あなたの会社では労働時間の管理・記録をどうしていますか?」

「タイムカードです」

「では、タイムカードの記録で労働時間を認定します」ということになります。

こうならないためには、就業規則の規定を工夫するなどの対策が必要です。

 

<労働基準監督署の立入調査(臨検監督)>

労働基準監督署は、計画的に対象事業場を選定して調査を行います。

これに当たるのは、ある意味、運が悪いともいえます。

たとえ何か悪いことをしていなくても、経営者や担当者が調査に対応するわけですから、時間と労力の負担が発生します。

これとは別に、労働者からの申告をきっかけに行われる調査があります。

申告監督といいます。

労働基準法により、労働基準監督官は労働者の申告を受けることになっています。

現在勤務している従業員だけでなく、退職者からの申告があった場合にも、その真偽や具体的な内容を確認するために調査が行われます。

 

不思議と強気な経営者や役職者は多いものです。

そうでなければ務まらないのでしょうか。

こと残業代の未払いについては、あまりにもリスクが高すぎるように思います。

裁判は公開の法廷で行われますし、労働基準監督署が調査(監督)に入れば、残業代だけでなく、あらゆる角度から労働基準法違反の可能性を調査します。

コストを抑えて適法に経営することを考えるのが、結局のところは得だということを認識していただきたいです。

2022/04/06|906文字

 

パワハラの6類型https://youtu.be/_I0MvwhXaPU

 

<パワハラの構造>

パワハラは次の2つが一体となって同時に、あるいは時間的に前後して行われるものです。

 

【パワハラの2要素】

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

 

ほとんどの場合、行為者はパワハラをしてやろうと思っているわけではなく、会社の意向を受けて行った注意指導などが、無用な人権侵害を伴っているわけです。

 

<業務上不要な人権侵害行為>

業務上必要な行為と同時、あるいは前後して行われる「業務上不要な人権侵害行為」には、次のようなものがあります。

 

【無用な人権侵害】

・犯罪行為 = 暴行、傷害、脅迫、名誉毀損、侮辱、業務妨害など

・不法行為 = 暴言、不要なことや不可能なことの強制、隔離、仲間はずれ、無視、能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない、私的なことに過度に立ち入るなど

 

刑事上は犯罪となる行為が、同時に民事上は不法行為にもなります。

つまり、刑罰の対象となるとともに、損害賠償の対象ともなります。

 

<真実でも>

正しい事実の指摘なら責められる理由は無いだろうというのは素人の考えです。

名誉毀損について、刑法は次のように規定しています。

 

第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。

 

つまり、生きている人のことについては、事実の有無にかかわらず名誉を毀損することは犯罪になるということです。

 

「仕事が遅い」「ミスが多い」「仕事をサボっている」という指摘を、人前で行ったなら、それは名誉棄損罪に該当するでしょう。

パワハラとして社内で懲戒の対象になるのはもちろん、刑事告訴の対象となりうるわけです。

損害賠償の対象となる民事責任の面では、 虚偽の事実ではなく、本当の事実である方が、名誉の侵害が深刻な場合もあります。

この辺りのことが、就業規則で対応できていない会社もあります。

就業規則での対応も、社員教育も速やかに行う必要があるでしょう。

2022/04/05|2,267文字

 

<休日>

労働基準法には、休日について次の規定があります。

 

第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない。

2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

 

つまり、日曜日から土曜日までの1週間で1日の休日を与えるか、4週間ごとに4日の休日を与えればよいということになります。

正社員、パート、アルバイトなどの区分にかかわらず、週6日勤務は違法ではありません。

 

<労働時間>

一方で、労働基準法には、労働時間について次の規定があります。

 

第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。

2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

 

つまり、労働時間には上限があって、日曜日から土曜日までの1週間で40時間、1日について8時間が限界ということになります。

 

労働時間とは、「労働者が実際に労働に従事している時間だけでなく、労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」と定義されます。

これは、会社ごとに就業規則で決まったり、個人ごとに労働契約で決まったりするのではなく、客観的に決められている定義です。

 

週6日勤務の場合でも、1日6時間の勤務であれば、週36時間の勤務になりますから適法です。

1日6時間40分であれば、6日間でちょうど40時間です。

また、週のうち5日は7時間勤務、1日は5時間勤務とすれば、週40時間の勤務になりますから、これも適法ということになります。

 

<特例事業場の例外>

事業場の規模が10人未満の、次の業種は、1週 44 時間、1日 8 時間となります。〔労働基準法第40条〕

この事業場を「特例事業場」といいます。

 

【特例事業場】

商業(卸小売業、理美容業など)

映画演劇業(映画の製作の事業を除く)

保健衛生業(診療所、歯科医院、社会福祉施設など)

接客娯楽業(旅館、飲食店など)

 

<職種による例外>

次の職種は、労働時間のほか、休憩、休日に関する労働基準法の規定は適用されません。

 

農業、畜産業、水産業従事者

管理監督者(イメージとしては取締役に近い仕事をしています)

機密の事務を取り扱う者(秘書など)

監視断続的労働、宿日直勤務を行う者で、労働基準監督署長の許可を受けた者

 

<三六(さぶろく)協定による例外>

労使の合意に基づく手続きによって、週40(44)時間を超える勤務を可能にしたり、例外的に週7日勤務する場合があるという取り決めをしたりすることができます。

労働基準法第36条第1項に規定があるので、三六協定と呼ばれます。

 

【労働基準法第36条第1項】

第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、一日について二時間を超えてはならない。

 

この法定の手続を取らずに残業させると、「違法残業」となります。

三六協定には最長でも1年間の有効期限があります。

期限切れの状態で残業が発生しても「違法残業」です。

もちろん、三六協定の上限を超える残業も違法です。

 

<年次有給休暇>

年次有給休暇の付与日数は、1週間の所定労働日数、1週間の所定労働時間、勤続年数によって決まります。

これを示す表には、週6日の欄が書かれていないこともありますが、週6日勤務の労働者には、週5日の欄が適用されます。

 

<就業規則にも注意>

パートやアルバイトに適用される就業規則に、「週5日までの勤務」という規定がある場合には、これによる制限を受けますから週6日勤務はできません。

会社として必要ならば、法定の手続を経て、就業規則を変更する必要があります。

 

<働き方改革との関係>

働き方改革の本質は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革に関する現在までの動向をもとに考えると、その本質は「働き手の不安を解消し満足度を高めるための多面的な施策により、質の高い労働力を確保するための変革」といえるでしょう。

それぞれの企業にとっては、「働き方の効率と社員の向上心を高めて、企業の利益を伸ばす改革」ともいえます。

中小企業であっても、従業員の希望を少し叶えて、会社の利益を伸ばす作戦であることを納得し、積極的に働き方改革に取り組まなければなりません。

 

会社からの強制で週6日勤務にすることは、働き方改革とは逆の方向に進むことになります。

しかし、労働者側の都合で週6日勤務を希望し、会社がこれを認める形ならば働き方改革の推進になります。

子育て中で朝遅めの出勤、夕方早めの退勤の方が、都合が良いという人もいます。

家が近くて出勤が苦にならないとか、満員電車を避けて通勤したいとか、1日の勤務時間が短いパート・アルバイトなので勤務日数を増やしたいとか、様々なニーズに応えるのは働き方改革の流れに沿ったものとなります。

 

2022/04/04|879文字

 

×失業保険○雇用保険https://youtu.be/y9JHiGhCtmQ

 

離職により雇用保険の給付を受けていても、配偶者など健康保険加入者の扶養家族になれる場合があります。

 

<考え方の基本>

健康保険加入者(被保険者)の扶養家族(被扶養者)に認定されるには、主として、被保険者の収入によって生計を維持していることが必要です。

これは原則として、被扶養者になろうとする人(認定対象者)の生活費の半分以上を、被保険者の収入によってまかなっている状態をいいます。

この認定は、次の基準により保険者が行います。

保険者名は、健康保険証に印字されています。

 

<被扶養者の範囲>

1.被保険者と同居している必要がない者

・配偶者

・子、孫および兄弟姉妹

・父母、祖父母などの直系尊属

2.被保険者と同居していることが必要な者

・上記1.以外の3親等内の親族(伯叔父母、甥姪とその配偶者など)

・内縁関係の配偶者の父母および子(その配偶者の死後、引き続き同居する場合を含む)

※平成28(2016)年10月1日から、法改正により兄姉も弟妹と同じ扱いになりました。

 

<収入要件の原則>

年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)かつ

同居の場合 収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満

別居の場合 収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満

ここで「年間収入」とは、過去の収入のことではなく、被扶養者に当てはまる時点および認定された日以降の年間の収入額の見込みで考えます。

(給与所得等の収入がある場合、月額108,333円以下。雇用保険等の受給者の場合、日額3,611円以下であること。

また、被扶養者の収入には、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれます。

 

<収入要件の例外>

収入が扶養者(被保険者)の収入の半分以上の場合であっても、扶養者(被保険者)の年間収入を上回らないときは、保険者がその世帯の生計の状況を総合的に判断して、扶養者(被保険者)がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認めるときは被扶養者となることがあります。

これを判断するのは保険者ですから、迷ったら保険者に確認しましょう。

2022/04/03|1,096文字

 

<生活保護>

「生活保護制度」は、生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、併せてその自立を助長する制度です。

保護の種類は、次の8種類であり、要保護者の必要に応じて支給されます。

医療扶助と介護扶助を除き、金銭給付を原則としています。

 

生活扶助: 衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの

教育扶助: 義務教育に伴って必要な教科書、その他の学用品等

住宅扶助: 住居の提供、家屋の補修費

医療扶助: 診察、薬剤又は治療材料、医学的処置、手術その他の治療等

介護扶助: 高齢者に対する居宅介護、福祉用具、住宅改修、施設介護等

出産扶助: 出産に必要な経費

生業扶助: 生業に必要な資金、器具、技能の修得費等

葬祭扶助: 葬祭に必要な経費

 

<生活保護を受ける条件>

生活保護を受けるためには、生活に困窮している人が、利用できる資産、働いて収入を得る能力、その他あらゆるものを活用することが前提となります。

ですから、資産調査などが行われます。

また、民法の定める扶養義務者の扶養が生活保護に優先されます。

それでもなお、最低限度の生活が維持できない場合に、保護を受けることができます。

具体的には、収入が厚生労働大臣の定める基準によって測定された最低生活費に満たないときに、その不足分について、保護を受けることとなります。

保護が必要な状態になった理由は、限定されていません。

なお、保護費の支給、その前提となる収入の認定、最低生活費の計算等は、世帯単位で行われます。

 

<保護の申請>

実際に生活保護を受けようとする場合には、保護の申請が必要となりますので、まずは最寄りの福祉事務所に相談します。

福祉事務所は、市・区部では市・区が、郡部では都道府県が設置しています。

郡部では、町村役場を経由して申請を行うこともできます。

 

<保護の要否の決定>

福祉事務所での相談を経て保護の申請をすると、保護が必要かどうかの判定のため、福祉事務所による資産調査や検診命令などが行われます。

その結果、保護が必要であると認められれば、福祉事務所長によって保護開始の決定がなされます。

なお、保護の要否の決定は、申請のあった日から原則として14日以内、遅くとも30日以内に行われます。

 

<受給者の義務>

生活保護を受給すると、生計状況を福祉事務所長に報告する義務などが生じ、福祉事務所長の指導や指示に従わなかったときは、保護が停止されたり、廃止されたりすることがあります。

また、資力がありながら生活保護を受給していた場合には、保護費の全部または一部を返還させられることがあります。

2022/04/02|880文字

 

失業保険・失業手当と言わない理由https://youtu.be/wJBwioLTDQI

 

<受給期間>

雇用保険の基本手当(昔の失業手当)を受けられる期間は、原則として退職などで離職した日の翌日から1年間です。

これを「受給期間」といいます。

基本手当は、受給期間中の失業している日について、所定給付日数を限度として支給されます。

例えば、雇用保険に入っていた勤続年数が、1年以上10年未満の自己都合退職者の所定給付日数は90日です。

原則として、1年間の受給期間中に90日分の基本手当が支給されることとなります。

このため、退職した後、ハローワークでの手続きが遅れた場合、所定給付日数分の基本手当がもらえなくなることがあります。

 

<期間の延長>

受給期間は、原則として1年間なのですが、出産や親族の介護、病気などにより退職し、すぐに転職できない状況で1年経った場合に、全く受給できないというのでは不合理です。

このため、本人の病気やケガ、妊娠、出産・育児、親族等の看護・介護等のために退職後引き続き30日以上職業に就くことができない状態の場合には、受給期間の満了日を最大3年間延長することができます。

 

<延長の方法>

延長の手続は、ハローワーク(公共職業安定所)で行います。

引き続き30日以上継続して職業に就くことができなくなった日の翌日以降、なるべく早く手続きをします。

遅れた場合でも、延長後の受給期間の最後の日までの間であれば申請は可能です。

しかし、申請が遅い場合は、受給期間延長を行っても基本手当の所定給付日数の全てを受給できない可能性があります。

手続きは「受給期間延長申請書」に「離職票」または「受給資格者証」を添付して、ハローワーク(公共職業安定所)に提出します。

ハローワークに行けない場合には、郵送や社会保険労務士に代行させて申請することもできます。

 

<定年退職者の特例>

60歳以上の定年等による退職者については、離職日の翌日から2か月以内に就職を希望しない期間(1年が限度)を申し出ることにより、その期間分が受給期間の1年に加算され、受給期間が延長されます。

この手続きは「受給期間延長申請書」と「離職票」を、ハローワークに提出することによって行います。

2022/04/01|1,539文字

 

<雇用保険制度の見直し>

(1)失業等給付に係る雇用保険料率については、年度前半(4月~9月)を2/1,000とし、年度後半(10月~令和5年3月)を6/1,000とする。※労使折半。労働保険料年度更新で、令和4年度の概算保険料は、年度前半と年度後半のそれぞれを計算して合算します。

労働保険年度更新の対象者https://youtu.be/_vs_sVdoYjI

(2)雇用保険二事業に係る雇用保険料率について、弾力条項の発動を停止し、3.5/1,000とする。※事業主のみ。

(3)雇止めによる離職者の基本手当の給付日数に係る特例、雇用機会が不足する地域における給付日数の延長、教育訓練支援給付金の暫定措置を令和6年度まで継続するとともに、コロナ禍に対応した給付日数の延長の特例について、緊急事態措置の終了日の1年後までを対象とする。

 

<女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画策定等の義務企業拡大>

女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画策定・届出、情報公表等が常時雇用する労働者数301人以上の事業主に義務付けられているところ、令和4年4月1日より、101人以上300人以下の企業にも拡大される。

 

<職場におけるパワーハラスメント防止措置の中小企業事業主への義務化(労働施策総合推進法)>

中小企業でも、職場におけるパワーハラスメントを防止するために事業主が雇用管理上講ずべき措置を義務化する。

パワハラと指導との境界線https://youtu.be/E4xWgXqwo-E

 

<新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の適用期間の延長>

令和4年3月31日までとなっていた新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の適用期間を令和5年3月31日まで延長する。※妊娠中の女性労働者及び当該労働者を雇用する事業主が対象。

 

<不妊治療と仕事との両立に係る認定制度の創設>

不妊治療と仕事との両立しやすい環境整備に取り組む事業主を認定する「くるみんプラス」制度を新設する。

 

<育児休業制度等の個別の周知と意向確認、育児休業を取得しやすい雇用環境整備の義務付け>

本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度や申し出先等に関する事項の周知と休業の取得意向確認を個別に行う必要がある。

育児休業等の申し出が円滑に行われるようにするため、事業主に研修の実施や相談窓口の設置等複数のうちから1つの措置を講じることを義務付ける。※全ての事業主。

育児休業の個別周知義務https://youtu.be/HQ3D0B_CxgQ

 

<有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和>

有期雇用労働者の育児休業及び介護休業の取得要件のうち「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者であること」という要件を廃止する。

ただし、労使協定を締結した場合には、無期雇用労働者と同様に、事業主に引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することを可能とする。

 

<労災保険の介護(補償)等給付額の改定>

介護を要する程度の区分に応じ、以下の額とする。

※()内は令和3年度の額

(1)常時介護を要する方

・最高限度額:月額171,650円(171,650円(改定なし))

・最低保障額:月額75,290円(73,090円)

(2)随時介護を要する方

・最高限度額:月額85,780円(85,780円(改定なし))

・最低保障額:月額37,600円(36,500円)  

 

<労災就学援護費の支給対象となる者の拡大>

労災就学援護費の支給対象者として、下記の者を追加することとする。

・公共職業能力開発施設に準ずる施設において実施する教育、訓練、研修、講習その他これらに類するものとして厚生労働省労働基準局長が定めるものを受ける者

 

<労災保険の特別加入制度の対象拡大>

特別加入制度の対象として、下記の事業を追加することとする。

・あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師が行う事業  追加業種において、雇用によらない形で働く方

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