2022/09/27|1,269文字
<休憩時間の長さ>
使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。〔労働基準法第34条第1項〕
したがって、出社したらすぐに休憩とか、休憩してからすぐに退社というのはできません。
また、8時間勤務で全く残業が無いのなら休憩時間は45分と定めてもOKです。
若いアルバイトの中には、休憩時間を削ってまで働きたいという人もいます。
しかし、休憩には心身の疲労を回復して、業務効率の低下を防いだり、労災の発生を予防する意味もありますから、本人の希望で法定以下に短縮することはできないのです。
では、反対に延長はどうでしょうか。
実働8時間休憩4時間という労働契約でも、その休憩時間が実際に仕事から離れて自由に使える時間であれば、法的な問題にはならないでしょう。
ただ、そうした条件で採用を希望する人は稀でしょうし、途中でこういう労働条件とすることが本人にとって不都合であれば、労働条件の不利益変更の問題となりえます。
<休憩時間の分割>
たとえば、1時間の休憩時間を40分1回と10分2回に分けて与えることは許されます。
喫煙者が喫煙室で休憩を取る場合などは、この方が助かります。
しかし、3分の休憩を20回与えるなど、実質的に見て休憩時間とはいえないような与え方はできません。
そこは世間一般の常識の範囲内で、疲労回復という休憩時間の本来の趣旨に沿って考えましょう。
<休憩時間の一斉付与>
休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、その事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。〔労働基準法第34条第2項〕
ただし、お店などでは誰かしら接客する人がいないと不都合ですから、この労使協定がなくても、次の業種では一斉付与の例外が認められています。
運送業(旅客または貨物)、商業、金融・広告業、映画・演劇業、郵便・信書便・電気通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署の事業
反対に、これ以外の業種ではきちんと労使協定を交わしておきましょう。
書類の作成をサボるだけで、労働基準法違反というのはつまらないことです。
<休憩時間の自由な利用>
使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない。〔労働基準法第34条第3項〕
「何かの必要に備えて自分の席にいなさい」ということであれば、これは休憩時間にはなりません。
待機時間は労働時間です。
また、「お客様の少ない時間帯に様子を見て60分の休憩をとる」というルールは無効です。
休憩が取れなくなる可能性がありますし、実質的に見て待機時間が発生してしまうでしょう。
使用者が休憩中の外出を制約できるかについては、事業場内において自由に休憩できる限りは、外出許可制をとっても差しつかえないとされています。〔昭23年10月30日基発1575号通達〕