退職勧奨と解雇の境界線

2026/02/13|1,166文字

 

<退職勧奨とは>

退職勧奨は、会社が従業員に対して「退職を検討してほしい」と伝える行為です。

ポイントは「従業員が断る自由がある」という点です。

  • 退職勧奨の特徴

・あくまで「お願い」や「提案」

・従業員は応じる義務がない

・応じる場合は「退職届」や「合意書」を提出する

・合意がなければ退職にはならない

  • 退職勧奨が許される範囲

会社が退職を提案すること自体は違法ではありません。

ただし、次のような行為があると「違法な退職強要」と判断される可能性があります。

・何度も執拗に呼び出す

・長時間にわたり退職を迫る

・威圧的な言動(怒鳴る、人格否定など)

・「辞めないなら降格させる」「給料を下げる」など不利益を示唆

・退職届を無理やり書かせる

こうした行為があると、形式は退職勧奨でも実質は「強制」であり、退職勧奨としては無効であり、その実質から解雇と判断されることがあります。

 

<解雇とは>

解雇は、会社が従業員の意思に関係なく雇用契約を終了させる行為です。

そのため、法律で非常に厳しく制限されています。

  • 解雇が認められる条件

労働契約法では、解雇には「客観的合理性」と「社会的相当性」が必要とされています。

簡単に言うと、

・誰が見ても納得できる理由があるか

・社会常識から見て妥当か

ということです。

  • 解雇の主な種類

・普通解雇:能力不足、勤務態度不良、協調性欠如など

・懲戒解雇:横領、重大な規律違反など

・整理解雇:経営悪化による人員削減(いわゆるリストラ)

どの解雇も、会社側には高い説明責任があります。

 

<退職勧奨と解雇の境界線>

では、どこからが退職勧奨で、どこからが解雇になるのでしょうか。

  • 境界線のポイント

・従業員に「断る自由」があるか

・会社の言動が強制的・威圧的でないか

・退職を拒否した場合に不利益を示唆していないか

・退職届の提出が本人の自由意思か

これらが満たされていれば退職勧奨、欠けていれば「実質的な解雇」と判断される可能性があります。

  • よくある境界線の例

・「会社としては退職を検討してほしいが、あなたの意思を尊重します」

→ 退職勧奨の範囲

・「辞めないなら評価を下げる」「配置転換する」

→ 退職強要の疑い

・「退職届を書かないと困る」「今ここで書いて」

→ 強制性が高く無効の可能性

・「あなたの能力では仕事を任せられない。退職してほしい」

→ 言い方によるが、繰り返し・威圧的なら強要に近い

 

<退職勧奨を受けたときの注意点>

相談会でもよく聞かれるポイントです。

  • すぐに返事をしなくてよい

その場で決める必要はありません。

「持ち帰って検討します」で問題ありません。

  • 退職届は絶対に急いで書かない

一度提出すると撤回が難しくなります。

  • 言われた内容をメモに残す

日時、場所、発言内容、誰がいたかなどを記録しておくと後で役立ちます。

  • 不安な場合は専門家に相談

社労士、労働局、労働組合などに相談できます。

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