在職老齢年金の見直し(令和4年4月)

2022/02/16|914文字

 

国民年金の任意加入制度

 

<在職定時改定の導入>

現在、老齢厚生年金の受給権を取得した後に就労し、厚生年金に加入している場合は、資格喪失時(退職時・70歳到達時)に、受給権取得後の加入者(被保険者)であった期間を加えて、老齢厚生年金の額が改定されています(いわゆる退職改定)。

この場合、厚生年金保険料を支払いながら働いている間は、老齢厚生年金の支給額が増えず、退職後に増える形になります。

高齢期の就労が拡大する中、就労を継続したことの効果を退職を待たずに早期に年金額に反映することで、年金を受給しながら働く在職受給権者の経済基盤の充実を図ることを目的として、65歳以上の人については、在職中であっても、年金額の改定が定時に行われることとなります(毎年1回、10月分から)。

つまり、厚生年金保険料を支払いながら働いている間、毎年、老齢厚生年金の支給額が増えていくことになります。

 

<支給停止基準額の引き上げ>

老齢厚生年金に加入しながら働いている60歳から64歳に支給されている、特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度について、支給停止とならない範囲が拡大されます。

具体的には、支給停止が開始される賃金と年金の合計額の基準が、現行の28万円から47万円(令和2年度額)に引き上げられます。

60歳から64歳の在職老齢年金制度(低在老)については、年金の一部または全部が支給停止とならないように、労働時間を抑えようとする傾向が一定程度確認されていることで、労働力不足の原因となりかねないと言われてきました。

また、2030年度まで支給開始年齢の引上げが続く女性の就労を支援する必要もあります。

なにより、制度を分かりやすくするという要請から、今回の法改正が行われました。

 

<解決社労士の視点から>

働き方改革は、少子高齢化の進む日本で、良質な労働力の確保を目指して強力かつ継続的に推進されています。

令和4(2022)年4月の法改正の中でも、上記の2つは、能力のある高齢者が働くことを抑制せず意欲的に働くとともに、経済基盤を充実させることができるようにするものです。

企業としては、この流れに乗って、高齢者の活用を進めることが得策だといえるでしょう。

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