労災の記事

<業務災害とは>

労働者の業務上の負傷、疾病、障害、死亡を業務災害といいます。

「業務災害」として認定されるためには、業務に内在する危険有害性が現実化したと認められること(業務起因性)が必要で、その前提として、労働者が使用者の支配下にある状態(業務遂行性)にあると認められなければなりません。

 

<これも業務遂行性が認められる>

厳密には業務といえない行為であっても、労働者が使用者の支配下にある状態だといえるので、業務遂行性が認められる行為として次のものがあります。

・事業主の私用を手伝うなどの作業中

・生理的行為(用便、飲水等)による作業中断中

・作業に関連または附随する行為、作業の準備、後始末、待機中

・火災等緊急事態に際しての緊急行為中

・事業施設内での休憩中でその事業施設に欠陥があった場合

・出張中(住居と出張先の往復を含む)

 

<業務災害の特殊ケース>

次のような災害も、過去に業務災害として認められています。

・上司の指示により、無届欠勤者の事情を調査するため、通常より約30分早く自宅を出発し、自転車で欠勤者宅に向かう途中で電車にはねられ死亡した〔昭和24年12月15日基収第3001号通達〕

・勤務時間中に、作業に必要な私物の眼鏡を自宅に忘れた労働者が、上司の了解を得て、家族が届けてくれた眼鏡を工場の門まで自転車で受け取りに行く途中で運転を誤り負傷した〔昭和32年7月20日基収第3615号通達〕

・小型パイプが事業場の資材置場に乱雑に荷下しされていたため、それを整理していた際、材料が小型のため付近の草むらに投げ込まれていないかと草むらに探しに入ったところ、その草むらの中にいた毒蛇に足をかまれて負傷した〔昭和27年9月6日基災収第3026号通達〕

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

業務災害にあたらないものを、勘違いして労災保険の手続きをしても、病院や労働基準監督署でストップがかかります。それでも、健康保険の手続きに切り替えたり、被災者やご家族に説明して、お叱りを受けたりという負担は発生します。

恐いのは、業務災害として労災保険の補償が受けられるのに、業務災害ではないと勘違いして手続きを進めないことです。この場合には、時効により権利が失われる前でも、遅れたことにより手続きを進めるのが困難なこともあります。

迷ったら、所轄労働基準監督署の労災課に確認すれば良いのですが、少し聞きづらいと感じたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.03.27.解決社労士

<通勤災害とは>

労働者の通勤による負傷、疾病、障害、死亡をいいます。ここで「通勤」とは、労働者が就業に関し合理的な経路および方法により移動、往復することをいい、業務の性質を有するものを除きます。

 

<これも「通勤」の一種>

転勤に伴い、やむを得ない事情により配偶者、子、要介護状態にある父母・親族等と別居することとなった場合に、帰省先への移動に反復性や継続性が認められれば、単身赴任先と帰省先との間の移動が通勤と認められうるとされます。〔平成18年3月31日基発0331042号通達〕

 

<「みちくさ」の例外>

通勤経路の途中で、通勤とは関係ない目的で、合理的な経路をそれた場合や、通勤とは関係のない行為を行った場合は、その時点で通勤とは認められなくなるのが原則です。

しかし、日常生活上必要な行為で厚生労働省令に定められているものである場合は、「みちくさ」をしても元の経路に戻った後からは、通勤災害として認められうるとされます。

「日常生活上必要な行為で厚生労働省令に定められているもの」とは、次の行為です。

・日用品の購入その他これに準ずる行為

・職業訓練、学校教育法1条に規定する学校で行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為

・選挙権の行使その他これに準ずる行為

・病院または診療所で診察や治療を受けることその他これに準ずる行為

・要介護状態にある配偶者、子、父母、配偶者の父母、要介護状態にあり同居し扶養している孫、祖父母、兄弟姉妹の介護(継続的にまたは反復して行われるものに限る)

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

通勤災害にあたらないものを、勘違いして労災保険の手続きをしても、病院や労働基準監督署でストップがかかります。それでも、健康保険の手続きに切り替えたり、被災者やご家族に説明して、お叱りを受けたりという負担は発生します。

恐いのは、通勤災害として労災保険の補償が受けられるのに、通勤災害ではないと勘違いして手続きを進めないことです。この場合には、時効により権利が失われる前でも、遅れたことにより手続きを進めるのが困難なこともあります。

迷ったら、所轄労働基準監督署の労災課に確認すれば良いのですが、少し聞きづらいと感じたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.03.26.解決社労士

<建設会社と社長を書類送検>

青梅労働基準監督署は、建設会社とその代表取締役社長を、労働安全衛生法違反(労災かくし)の容疑で、平成261020日、東京地方検察庁立川支部に書類送検しました。

この事件では、会社と社長の両方が書類送検されています。こうした場合には、会社も社長個人も信用を失ってしまいます。

 

<逮捕・送検の理由>

労災事故は、平成25513日、JR五日市線熊川駅と東秋留駅間の多摩川に架かる橋梁下右岸河川敷(東京都あきる野市平沢)での立木伐採工事で起こりました。このとき、建設会社の労働者Bが伐採した立木の幹が落下して、付近で作業を行っていた同社所属の労働者Aの頭部から背部に激突したのです。その結果Aは、3か月の治療を要する怪我を負い、負傷の翌日から休業しました。

本来であれば、青梅労働基準監督署長に遅滞なく「労働者死傷病報告書」を提出しなければなりませんでした。しかしこの建設会社は、災害発生からおよそ5か月が経過した平成25108日になってから報告書を提出しました。

これが逮捕・送検の理由です。

労災事故のうち、被災者が3日を超える休業をした場合には、「労働者私傷病報告書」の提出が義務付けられています。しかし、頻繁に提出が必要となる書類ではありませんから、提出義務すら認識されていないことがあります。それでも、遅滞なく提出しなければ、意図的に提出しないものと見なされ、労災かくしと評価されうるのです。

 

<逮捕・送検の背景>

行政の立場からすると「労災かくし」が行われることは、災害原因究明、同種災害の防止対策の確立など、労働者の安全を確保する機会を失わせるほか、被災労働者が適正に労災補償を受ける権利を侵害することに繋がるということになります。

そこで、労働基準行政では「労災かくし」の排除を推進し、あらゆる機会を通じて事業者に「労働者死傷病報告」の提出を周知・啓発しています。

もちろん、こうした行政の動きは、一般にはわかりにくいものですが、行政が「労働者死傷病報告」の提出を周知・啓発しているにもかかわらず、きちんと提出しなければ、それは労災かくしであると評価されやすいのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

会社の人事担当者は、労働法を中心とする法改正には敏感だと思います。しかし、労働局や労働基準監督署がどのような手続きについて周知・啓発を強化しているかについてまでは、気が回らないかもしれません。

それでも、こうしたことに目を光らせていないと、今まで大丈夫だったことが逮捕・送検の対象となっていることに気付きません。

会社を守るためにも、労災が発生したときには、必要な手続きについて、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.03.03.解決社労士

<労災保険の適用>

次のような通勤災害についても、通常の労災と同じ基準で労災保険が適用されます。

・会社への届出と違う経路での通勤途中のケガ

・会社への届出と違う交通手段による通勤途中でのケガ

・バイク通勤禁止の会社でバイクによる通勤中転倒してケガ

不合理な寄り道や遠回りは、通常の労災と同じく労災保険の対象外となります。

 

<なぜかというと>

労災保険は、政府の制度ですから、会社のルールによって労災保険の適用範囲を制限したり広げたりはできません。

これを許すと、何のために国が統一的に労災保険の仕組みを作っているのか、わからなくなってしまいます。

それに、保険は保険料と保険金の給付のバランスが細かく計算され設計されています。それぞれの会社が、保険金の給付について独自のルールを作り、それが有効だとすると、保険料と保険金の給付のバランスが崩れてしまい、保険制度そのものが破たんする可能性すらあります。

 

<労災保険の勘違い>

アルバイトやパートに労災保険が適用されないという勘違いもあります。

また、労災保険を使うと保険料が高くなるという勘違いもあります。たしかに、従業員が100人を超える会社では、メリット制という保険料の割増・割引の制度がありますから、一定の限度を超えて保険給付を受けると、保険料が割増になることはあります。しかし、従業員が100人未満の会社で、保険料の割増はありません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

会社が労災保険の手続きに協力的でない場合には、被災者は所轄の労働基準監督署の労災課に相談できます。もちろん、信頼できる社労士にご相談いただければ、手続きの代行もいたします。

一方で会社としては、通勤手当をごまかしている従業員からは、払い過ぎの金額を徴収したいでしょう。しかし、給与から勝手に控除することはできません。

また、禁止しているバイク通勤を行った従業員には、適正な懲戒処分が必要です。「けしからんからクビ」というのでは不当解雇になります。

こうしたことに対応できる就業規則の改善と運用も、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.02.16.解決社労士

<事実の認定>

ある人が亡くなったとき、自殺、他殺、事故死、病死のどれなのか、ご本人に確認できれば簡単に判断できるのですが、ご本人が亡くなってしまった以上、客観的な事実の認定の積み重ねで判断するしかありません。

例は良くないですが、人を殺すつもりで突き飛ばしたら殺人、殺す気が無かったら傷害致死です。このとき、犯人が「殺すつもりでした」と言えば殺人罪、「殺す気はありませんでした」と言えば傷害致死だとしたら、ほとんどの犯人は後者を選びます。実際、殺人を犯した人の多くは「殺すつもりは無かった」と言います。

しかし、検察は本人の発言よりも、客観的な事実を認定して判断します。その場の客観的な状況、目撃者の証言、犯人と被害者との関係、犯人の性格を示す事実など、多くの事実を把握して判断材料とするのです。

 

<過労によるうつ病>

うつ病の原因も、仕事なのかプライベートなのか、これはご本人に聞いても不明なことすらあります。仕事の状況とプライベートの状況について、客観的な事実を確認して、うつ病の原因を推定するわけです。

 

<うつ病による自殺>

うつ病にかかったら必ず自殺するということではなく、自殺の原因がうつ病に限られるわけでもありません。

やはり、自殺するほど重いうつ病だったのか、うつ病の他に自殺の原因が無かったか、客観的事実を確認した上で認定するのです。

 

<会社が注意すべきこと>

従業員が自殺するようなうつ病の原因を作らないことです。

原因となる客観的な事実を発生させないためには、次のような対策が必要です。

・孤独にしない

・人間関係を悪くしない

・パワハラ、セクハラ、マタハラなど嫌がらせの事実を発生させない

・仕事の指示は具体的で明確に出す

・困ったときの相談窓口を設け機能させる

・抱えるストレスをチェックし、分析し、職場環境を改善する

・長時間労働を許さない

・業務終了から次の業務開始までの時間を十分に空ける

・休日と休暇を取らせる

そして、個人の体質、性格、遺伝的要素を言い訳にしないことです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「人手不足だから」は言い訳になりませんし、パワハラの定義すら無い会社には必ずパワハラがあり被害者がいます。

もし、具体的に何をどうしたら良いのか不明な点があれば、迷わず信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.02.10.解決社労士

<労災保険法1条>

労働者災害補償保険は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかつた労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もつて労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。

 

<必要な保険給付>

治療費が無料になります。また、仕事を休んでいる間の所得が補償され、障害が残った場合には一時金や年金が支給されます。被災者が死亡した場合には残された遺族に対して補償が行われます。

 

<社会復帰の促進など>

被災労働者の円滑な社会復帰を促進するために、義肢、義眼、補聴器など補装具の購入・修理費が支給されます。

被災労働者とその遺族の援護を図るために、お子さんの学資が援助され、介護施設が運営され、労災ケアサポーターによる訪問支援が行われます。

この他、メンタルヘルス対策、アスベスト対策、労災発生防止対策、賃金支払い確保のための事業が行われています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

労災保険を会社に適用させる手続きが完了していなかったり、労災が発生しても給付を受けるための手続きが行われていなかったりというのは、もちろん違法なのですが、それ以前に大変もったいないことです。

迷ったら信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。 

 

2017.01.27.解決社労士

<建前上の請求人>

労災保険法によると、被災した労働者本人が請求人です。もちろん、労働者が死亡した場合には本人からの請求は無理ですから、その遺族が請求人となります。

この建前から、労災の請求をするかどうかは、被災した労働者本人や遺族が決めることになります。

しかし、労災保険の請求手続きを、建前通りに労働者本人や遺族が行うことには無理があると感じられます。

 

<事業主の手助け>

一方で「労働者本人がケガのため、自ら手続きができないときは、事業主は労災保険の請求手続きを手助けしなければならない」「労働者から労災保険の請求手続きに必要な証明を求められたときは、事業主は速やかに必要な証明をしなければならない」という規定があります。〔労災保険法施行規則23条〕

このように会社について、労災保険の請求手続きに関する証明義務と助力義務が規定されています。

 

<実際には>

実務的には、会社が労災保険の請求手続きを主導することになります。

多くの会社は、被災労働者に労災保険の手続きについて説明し、請求書の記入をその大半の部分で代行し、労働基準監督署に請求書を提出するなど、ほとんどの手続きを行っています。

実際に、手続きを本人任せにしていると、所轄の労働基準監督署の労災課から「きちんと手続きを主導しなさい」という指導が入ることになります。

 

2017.01.16.解決社労士

<転倒事故の増加>

積雪・凍結を原因とする転倒災害、交通労働災害、建物屋根等の除雪作業中の墜落・転落災害等の労働災害が多発しています。

東京では、平成262月の記録的な大雪によって、積雪・凍結を原因とする転倒災害が多く発生しました。

また、平成2811月、関東全域で雪が観測されました。11月に雪が観測されたのは54年ぶりです。

一般に都心部は「雪に弱い」と言われています。早めの積雪・凍結対策を行うことにより、転倒災害等防止への取組みが必要です。

 

<STOP!転倒災害プロジェクト実施要綱(抜粋)>(厚生労働省)

(1)重点取組期間に実施する事項

① 2月の実施事項

ア 安全管理者や安全衛生推進者が参画する場(安全委員会等)における転倒災害防止に係る現状と対策の調査審議

イ チェックリスト※を活用した安全衛生委員会等による職場巡視、職場環境の改善や労働者の意識啓発

② 6月の実施事項

職場巡視等により、転倒災害防止対策の実施(定着)状況の確認

(2)一般的な転倒災害防止対策

① 作業通路における段差や凹凸、突起物、継ぎ目等の解消

② 4s(整理、整頓、清掃、清潔)の徹底による床面の水濡れ、油汚れ等のほか台車等の障害物の除去

③ 照度の確保、手すりや滑り止めの設置

④ 危険箇所の表示等の危険の「見える化」の推進

⑤ 転倒災害防止のための安全な歩き方、作業方法の推進

⑥ 作業内容に適した防滑靴やプロテクター等の着用の推進

⑦ 定期的な職場点検、巡視の実施

⑧ 転倒予防体操の励行

(3)冬期における転倒災害防止対策

① 気象情報の活用によるリスク低減の実施

ア 大雪、低温に関する気象情報を迅速に把握する体制の構築

イ 警報・注意報発令時等の対応マニュアルの作成、関係者への周知

ウ 気象状況に応じた出張、作業計画等の見直し

② 通路、作業床の凍結等による危険防止の徹底

ア 通路、作業床の凍結等における除雪、融雪剤の散布による安全通路の確保

イ 事務所への入室時における靴裏の雪、水分の除去、凍結のおそれのある屋内通路、作業場への温風機の設置等による凍結防止策の実施

ウ 屋外通路や駐車場における転倒災害リスクに応じた「危険マップ」の作成、関係者への周知

エ 凍結した路面、除雪期間通過後の路面等における荷物の運搬方法、作業方法の見直し

 

2017.01.09.解決社労士

<早く給付を受けるために>

労災が発生して、労災保険の給付を受けるには、労働基準監督署に所定の書類を提出します。

多いのは、治療費を無料にするための書類と賃金の一部を補償してもらうための書類ですが、これらの書き方にはコツがあります。

表現を工夫しないと、労基署から問い合わせの電話が入ったり、訂正を求められたり、書き直しが必要になったります。

被災者は一日も早く給付(お金)をもらいたいのですから、スムーズな手続きが望ましいのです。

 

<ポイントとなる記入欄>

これらの書類で一番のポイントは「災害の原因及び発生状況」の欄です。

この欄には、「(あ)どのような場所で (い)どのような作業をしているときに(う)どのような物又は環境に(え)どのような不安全な又は有害な状態があって(お)どのような災害が発生したかを詳細に記入すること」という注意書きがあります。

しかし、必ずしもこれらの項目を分けてすべて記入しなければならないわけではありません。

労災保険の給付対象であることが説明できていれば良いのです。

そして、労災と認められるためには、業務遂行性と業務起因性を示す必要があります。

 

<業務遂行性>

業務遂行性というのは、労働者が使用者の支配・管理下にある状況のことをいいます。

たとえば、「昼食のお弁当を買いに外出していて事故にあった」と書いてあれば、労基署の担当者は「労災ではない」と判断しやすいでしょう。

しかし、「昼食のお弁当を買いに行く当番だったので休憩時間前に外出していて事故にあった」と書いてあれば、業務遂行性が認められ労災保険が適用されうるのです。

 

<業務起因性>

また、業務起因性というのは、業務にひそんでいる危険が現実化したと認められることをいいます。

たとえば、「空の段ボール箱を持って立ち上がったら腰を傷めた」と書いてあれば、労基署の担当者は「労災ではない」と判断する可能性が高いと言えます。

しかし、「空の段ボール箱(縦80cm×横100cm×高さ120cm)を持って立ち上がる途中で、お客様から声を掛けられ振り返ったときに、腰をひねって傷めた」と書いてあれば、客観的に見て腰を傷めうる作業であること、お客様に対応したのだから業務であることが明らかになります。

 

<心がけとして>

提出された書類をチェックするのは、労基署の担当者です。社内の人なら読んでわかる内容であっても、労基署の担当者が読んで業務遂行性と業務起因性が確認できなければ、手続きが滞ってしまうのです。

たとえば、パチンコ店の店員がケガをした状況について「災害の原因及び発生状況」の欄に記入したとします。それが、社内の人やパチンコ店の常連客にわかる内容でも、パチンコ店に入ったことのない人が読んだらわからない内容では不十分なのです。

ですから、労働基準監督署に提出する書類は、現場を見たことがない人でもわかるように、表現を工夫して作成しましょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

良くないことですが、書類が下手で受けられるはすの給付が受けられないというのは、労災に限らず、年金でも、健康保険でも、雇用保険でも、実際に起きていることです。

不安な点があれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.01.05.解決社労士

<必要な手続き>

労働者が労働災害により負傷した場合などには、休業補償給付などの労災保険給付の請求を所轄の労働基準監督署長あてに行います。

具体的には、厚生労働省の「労災保険給付関係請求書等ダウンロード」のページで、手続きに適合した書式をダウンロードし、会社、被災者、診断した医師の記入欄を記入し、労働基準監督署に提出します。

なお、休業4日未満の労働災害については、労災保険によってではなく、使用者が労働者に対し、休業補償を行わなければならないことになっています。 平均賃金の60%以上の補償が必要です。就業規則に明示しましょう。

 

<療養補償給付>

治療費の補償が行われます。

治療した医療機関が労災保険指定医療機関の場合には、「療養補償給付たる療養の給付請求書」をその医療機関に提出します。請求書は医療機関を経由して労働基準監督署長に提出されます。

このとき、本来は療養費を支払う必要が無いのですが、医療機関の立場からすると必ずしも労災の手続きが行われるとは限りませんので、「保証金」の名目で被災者から一定の現金を受け取り、「預かり証」を発行するのが通例です。

治療した医療機関が労災保険指定医療機関でない場合には、一旦治療費を立て替えて支払います。その後「療養補償給付たる療養の費用請求書」を、直接、労働基準監督署長に提出すると、その費用が口座振込で支払われます。

 

<休業補償給付>

労働災害により休業した場合には、第4日目から休業補償給付が支給されます。「休業補償給付支給請求書」を労働基準監督署長に提出します。

 

<その他の保険給付>

他にも障害補償給付、遺族補償給付、葬祭料、傷病補償年金、介護補償給付などの保険給付があります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

被災者は1日でも早く補償を受け現金を手にしたいところです。ところが、手続きに慣れていないと、受けられる補償の内容や必要な書類の種類で迷ってしまうことになります。

こんな時は、迷わず信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.12.29.

<労災保険は強制保険>

労災保険は政府が管掌する強制保険です。

労働保険(労災保険と雇用保険)では、法律上当然に保険関係が成立する事業を適用事業といい、農林水産業の一部を除き、原則として1人でも労働者を使用する事業は、すべて適用事業になります。

そして、適用事業については、その事業が開始された日または適用事業に該当するようになったときに、事業主の意思にかかわりなく法律上当然に保険関係が成立することになります。

これは市区役所に出生届を出さなくても、赤ちゃんが生まれなかったことにはならないのと同じです。

 

<届出義務>

適用事業については、その事業開始の日または適用事業に該当することとなった日に自動的に保険関係が成立しますので、適用事業の事業主は、保険関係成立の日から10日以内に、「保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署または公共職業安定所へ提出しなければなりません。

この手続きは、社労士(社会保険労務士)が代行できます。

この届出を行わなくても、保険関係は成立しますので、労災事故が発生すれば被災者に労災保険が適用されます。

 

<届出を怠った場合>

成立手続を行うよう指導を受けたにもかかわらず、自主的に成立手続を行わない事業主に対しては、最終的な手段として、行政庁の職権による成立手続と労働保険料の認定決定が行われます。

この場合には、さかのぼって労働保険料を徴収されるほか、追徴金も徴収されることとなります。

 

<無届のうちに労災が発生した場合>

事業主が故意または重大な過失により「保険関係成立届」を提出していない期間中に労働災害が生じ、労災保険給付を行った場合は、事業主からさかのぼって労働保険料を徴収(併せて追徴金を徴収)するほかに、労災保険給付に要した費用の全部または一部を徴収することになります。

 

2016.12.14.

<業務上腰痛の認定基準>

腰痛は労災保険の対象外だというウワサがあります。

しかし、厚生労働省の定めた認定基準の条件を満たす場合には、労災認定できることになっています。

この認定基準では、災害性の原因による腰痛と、それ以外の腰痛とで、それぞれ別の条件が定められています。

 

<災害性の原因による腰痛>

次の2つの条件を両方とも満たす腰痛が対象です。

・腰のケガまたはケガの原因となった急激な力の作用が、仕事中の突発的な出来事によって生じたことが明らかであること。

・腰に作用した力が腰痛を起こさせ、または元々あった腰痛を著しく悪化させたと認められること。

ぎっくり腰は、日常的な動作の中でも生じるので、たまたま仕事中に起こったとしても、原則として労災補償の対象とはなりません。

 

<災害性の原因によらない腰痛>

突発的なことが原因ではなく、重量物を取り扱う仕事など、腰に大きな負担のかかる仕事をする人に起こった腰痛で、作業状態や作業期間からみて、その仕事が原因で起こったと認められるものが対象です。

日々の業務によって、腰への負担が徐々に作用して、ついには腰痛を発症したという場合で、筋肉疲労の場合と骨の変化の場合とがあります。

 

<労災の認定について>

労災の認定をするのは所轄の労働基準監督署(労働局)です。会社や労働者自身が判断するのではありません。

もし判断に迷ったり、納得がいかないということがあれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.12.11.

<労災保険の適用対象>

労災保険は年齢制限なく適用されます。

原則として、中学卒業年齢になれば雇われることができますので、15歳になって最初の331日になれば、労災保険の対象となります。

高校生のアルバイトも対象者です。

 

<ではどうして対象外と言われたのか>

労災保険について聞かれた人が、良く知らずに答えたのかもしれません。勤務先で確認するときには、労災保険に限らず、その仕事を担当している人に聞きましょう。

しかし、ウソをついてしまった可能性もあります。手続きを求められても良くわからないとか、どこかの事務所に手続きを依頼すると高い報酬を請求されるとか、正直に答えるのが不都合に思えたかもしれません。

 

<正しいことを確認するには>

労災保険について正確なことを確認するには、勤務先を管轄する労働基準監督署にたずねましょう。たとえ未成年者であっても、親切に回答してくれます。また、希望すれば、会社に話をしてくれます。

 

労災保険の手続きを依頼するとなると、お近くの社労士(社会保険労務士)ということになります。報酬は社労士事務所によってバラバラです。顧問契約を交わしていれば、簡単な手続きは顧問料の範囲内で行う所が多いようです。

柳田事務所の場合には、人事や総務の担当者の方に手続きの仕方を教えるのがメインです。社員が成長すれば会社も成長します。社長がご自分で覚えている会社もあります。

もちろん、担当者がいなかったり、急ぎだったりすれば、手続きを代行します。

 

2016.11.09.

<支給の内容>

業務や通勤が原因となったケガや病気が「治ったとき」、身体に一定以上の障害が残った場合には、業務災害なら障害補償給付、通勤災害なら障害給付が支給されます。

そして、障害の程度は障害等級に区分され、第1級から第7級は、障害(補償)年金、障害特別支給金、障害特別年金が、第8級から第14級は、障害(補償)一時金、障害特別支給金、障害特別一時金が支給されます。

 

<治ったとき>

ケガや病気が「治ったとき」というのは、一般には健康な状態に回復したことをいいます。

しかし、労災保険ではこうした場合だけでなく、ケガや病気の症状が安定して、医学上一般に認められた医療を行っても、その効果が期待できなくなった状態になった場合にも「治ったとき」といいます。

これは「症状固定」「治癒(ちゆ)」とも呼ばれます。

ここで、「医学上一般に認められた医療」とは、労災保険の療養の範囲として認められたものをいいます。したがって、実験段階または研究的過程にあるような治療方法は、ここでいう医療にはあたりません。

 

<アフターケア>

脊髄(せきずい)損傷、頭頚部外傷症候群、慢性肝炎などのケガや病気に対しては、症状固定後でも後遺症が変化したり、後遺症に伴う病気を発症する恐れがあるので、予防や保健上の措置として、診察、保健指導、薬剤の支給などを行う「アフターケア」が実施されています。

このアフターケアは、都道府県労働局長が交付する「健康管理手帳」を労災病院、医療リハビリテーションセンター、総合せき損センター、労災指定医療機関に提示することにより、無料で受けることができます。

 

2016.11.07.

<賞与と特別支給金>

労災保険には、給付の本体とは別に特別支給金があります。

賞与(3か月を超える期間ごとに支払われる賃金)は、本体給付には反映されませんが、特別支給金の一部に反映されます。

賞与が反映されるのは、特別支給金のうち障害特別年金・障害特別一時金・遺族特別年金・遺族特別一時金・傷病特別年金です。

ただし、特別加入者には支給されません。

 

<賞与として扱われる範囲>

3か月を超える期間ごとに支払われる賃金が反映されます。

ボーナスのほか、半年ごとに支払われる勤勉手当や販売奨励金などがあてはまります。

ただし、通勤手当が3か月を超える期間ごとに一括で支給されても、特別支給金ではなく本体給付に反映されます。

なお、結婚手当、出産手当など臨時に支払われた賃金は、本体給付、特別支給金のどちらにも反映されません。

 

2016.10.25.

<業務災害についての法令の規定>

労働者が業務上負傷しまたは疾病にかかった場合、その傷病による療養のため労働できずに賃金を受けない日(休業日)の第4日目から休業補償給付が支給されます。〔労災保険法14条〕

労災保険法の対象とはならない休業日の第1日目から第3日目(待期期間)までは、事業主が平均賃金の60%以上を補償することになっています。〔労働基準法76条〕

そして、労働者の業務災害による負傷などについては、労働基準法により、事業主に補償義務が課せられています。しかし、労災保険より給付された場合に、事業主は補償義務を免除されることになっています。〔労働基準法84条〕

事業主は、このために労災保険に入らされているわけです。

 

<結論として>

労働基準法76条の休業補償についても、休業第4日目以降について労災給付が行われた場合は、事業主はその補償義務を免除されることになります。

一方、休業補償給付が行われない第1日目から第3日目までについては、事業主が労働基準法に基づいて、その補償を行うことになります。

つまり、被災者は労災保険からは休業の最初の3日間(待期期間)の補償を受けられないのですが、その3日間分は事業主から補償を受けることになります。

 

<通勤災害についての法令の規定>

なお、通勤災害に対する保険給付は、労災保険法で独自に定められた制度です。通勤災害における休業日の第1日目から第3日目までについては、事業主に補償義務は課せられていないのです。

これは、業務上の災害については事業主の責任が重いのに対して、通勤途上の災害については事業主に責任を問うことが適当ではないからです。

 

2016.10.12.

<労災防止の目的>

ケガをした本人は反省しているのに、何かと周囲の人から責められたり、勤務のたびにイヤな記憶がよみがえったりして、残念ながら退職していくケースが散見されます。これは、戦力の喪失です。

たとえ辞めなくても、しばらくの間は100%の力を発揮できないでしょう。また、大ケガであれば休業することもあります。これは戦力の低下です。

さらに、労働基準監督署の調査が入って、労災防止の指導があると、今までやってこなかったことを義務付けられるなど、そちらに戦力を奪われることになります。

労災を防止する大きな目的は、戦力を確保して生産性を維持することにあると思います。

 

<実質面での対策>

ケガ人を出さないための対策です。

従業員の注意力を向上させるというのは、まず無理でしょう。たとえ注意力が低下しても事故が発生しないようにする工夫が必要です。

これには教育が最も有効です。機械・器具の扱い方や、滑りやすい転びやすいポイント、危険な作業について、部門別の朝礼のときに再確認していくのが効果的です。進行係が一方的に説明するだけでなく、参加者に質問して答えをもらってから正解を解説すると、記憶に定着しやすくなります。

 

<形式面での対策>

労災防止策を実施していることの証拠を残して、労働基準監督署の調査が入っても、説明できるようにしておくことです。

当然ですが調査に入った方は、目に見えるものしかチェックできません。「毎朝朝礼で教育しています」と言っても、それが真実かどうかは見えません。

ですから、朝礼で指導した内容は、ノートなどへの記録が必要です。他にも研修を実施すれば、その案内書やレジュメなどに参加者の署名をしてもらって保管するなど、目に見える記録の保管が必要です。

職場に注意喚起のためのポスターやハリガミも必要です。たしかに掲示物で本当に労災防止の効果があるかどうかは疑問です。しかし、形式面での対策としては欠かせないものです。

 

<心がけとして>

他にも設備の更新など、お金をかければできる対策はたくさんあります。しかし、生産性の維持という観点からは一歩後退です。

実質面と形式面の両方での対策をするにあたって、手間のかかることをしてしまっては、生産性が低下してしまいます。より簡単に、より日常的に、そして経費のかからない方法をとっていくことが大事です。

 

それでも具体的に何をどこまでやればいいのか迷ったら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

「岡目八目」ということばがあります。事の当事者よりも、第三者のほうが情勢や利害得失などを正しく判断できることをいいます。会社の状況に慣れてしまった従業員よりも、客観的に見ることのできる専門家の意見は貴重だと思います。

 

2016.09.17.

<労災保険適用の判断>

基本的に、業務災害や通勤災害による傷病の治療費は労災保険の適用により無料となります。

そして、労災にあたるかどうかは、所轄の労働基準監督署や労働局が判断します。被災者が判断するのではなく、会社が判断するのでもありません。

労災が発生したときに「労災保険を使うべきか?」と会社が考えるのは、適法に処理しようか、それとも違法に処理しようかという選択をしていることになり、違法な労災隠しにつながります。

 

<労災病院や労災指定医療機関に支払う保証金>

労災で病院にかかった場合には、「保証金」のようなものを仮に支払っておいて、「保証金の預かり証」と労災の手続き書類を提出したときに返金されるのが通常です。

この「保証金」は、万一、病院などに労災の手続き書類が提出されなかった場合に、病院が治療費を受け取れなくなることを防ぐために支払いを求めてくるものですから、その金額は病院などによって、1,000円だったり20,000円だったりとバラバラです。

なにしろ、患者が労災だと言っていても、必ずしも労災だとは限りません。また、労災であっても会社がすぐに労災の手続き書類を提出してくれるとは限りません。これに備えての対策なのです。

いずれにせよ、この「保証金」は、なるべく早く被災者に返金されることが望ましいので、会社は書類の作成と被災者への交付を急ぎたいものです。

また、会社が「保証金」を負担した場合には、「保証金の預かり証」も会社が受領しておくとよいでしょう。こうしないと、会社が負担して被災者に返金されるケースもありトラブルのもとです。

 

2016.08.31.

<健康保険より有利な労災保険>

労災保険では、労働者が業務または通勤が原因で負傷したり、病気にかかった場合に、労働者の請求に基づき、治療費の給付などを行っています。

しかし、業務または通勤が原因と考えられるにもかかわらず、労災保険による請求を行わず、健康保険を使って治療を受けるケースがあります。

これは、労働者に不利です。

健康保険では、被災者が原則として治療費の3割を負担しますが、労災保険なら、被災者の自己負担は原則としてありません。

また、負傷や病気で休んだ場合、健康保険の傷病手当金では賃金の約67%の補償となりますが、労災扱いならば賃金の80%が補償されます。

さらに、業務災害であれば、休業の3日目まで事業主が賃金の60%以上を補償します。

 

<労災保険に切り替え可能な場合>

受診した病院の締め日などの関係で、健康保険から労災保険への切り替えが簡単にできる場合には、次の手順によります。

・病院の窓口で支払った金額が返還

・労災保険の様式第5号または様式第16号の3の請求書を受診した病院に提出

 

<労災保険への切り替えができない場合>

受診した病院の締め日などの関係で、健康保険から労災保険への切り替えが簡単にできない場合には、次の手順によります。

・一度、医療費の全額を自己負担した上で労災保険に請求

・全国健康保険協会などへ業務災害または通勤災害である旨を申し出る

・「負傷原因報告書」の記入・提出(不要な場合もあり)

・全国健康保険協会などから医療費返納の通知と納付書が届く

・近くの金融機関で返納金を支払う

(健康保険が使えないのに使ってしまったため返金が必要となります)

・返納金の領収書と病院に支払った窓口一部負担金の領収書を添えて、労災保険の様式第7号または第16号の5を記入のうえ、労働基準監督署へ医療費を請求

 

<結論として>

間違った手続をやり直すのは、大変になってしまうことが多いものです。最初から必要な手続きをきちんと確認しましょう。

また、事業主の都合で、労災なのに健康保険の手続きを進めようとすることがあります。これ自体もちろん犯罪です。

そして、ケガが悪化して長く入院するような場合には、労働者の負担がとても大きくなります。

困ったときは、早めに所轄の労働基準監督署か社労士などに相談しましょう。

 

2016.08.11.

<労災手続きを担当すると>

労災は突然に起こります。得てして担当者が忙しいときに限って起きやすいような気もします。

特に不慣れな場合には、労基署や病院に提出する書類の書式はどれを使ったらよいのやら、似たものが多過ぎます。こんなときは、とにかく正確に遅れないように書類の作成に集中するものです。

一方、ベテランともなると、必要な情報を迅速かつ正確にそろえてサッサと書類を完成させてしまいます。

しかし、これでは2つの重要な視点が欠けてしまいます。

 

<再発防止>

ヒヤリハット運動というのがあります。事故の危険を感じて、ヒヤリとした経験、ハッとした経験があったら、これをキッカケに事故防止の対策を打とうという運動です。

実際に労災が発生してしまったなら、より一層強い意味で再発防止に取り組まなければなりません。

労災が発生すると、会社には一定のフォーマットが用意されていて、被災者や同僚・上司などがその各欄を埋める形で報告書を作成し、労災手続きを担当する部門に提出するということが多いようです。

そのフォーマットの中に、「再発防止策」の欄はあるでしょうか。簡単にできる対策であれば、「何月何日にこの対策を実施済み」と記入することになりますが、関連部門への要望という形になるかも知れません。

 

<被災者へのアプローチ>

その労災事故について、一番よくわかっているのは被災者本人です。それなのに、書類だけのやりとりで本人への取材がないのはもったいないです。本人の率直な意見は、今後の労災防止に大いに役立ちます。

このとき、「まだ痛みますか?」「大変でしたね」と声をかければ、本音も引き出すことができるでしょう。こうした言葉をかけることなく、サッサと用件だけ済ませようとすれば、被災者の心は凍りつきます。なぜなら、被災者は周囲の人からは「お前の不注意だ」「会社にとって迷惑だ」などと言われてしまっていることもあるからです。

再発防止に効率よく取り組むには、被災者本人の要望を聴くのが一番です。会社として、どうしていれば今回の事故が防げたかがわかるのです。たとえば、器具の正しい使い方を指導されていなかったとか、このところ長時間残業が続いていて注意力が低下していたとか、中には妻がまさに出産中のそのときに仕事を休めず上の空で働いていてケガをするというケースもあります。

 

<手続きを委託している場合>

スピーディーに労災手続きを済ませるには、社労士や労働保険事務組合に委託するのが便利です。

しかし、これだと再発防止や被災者への適切なアプローチという2つの重要な視点が欠けてしまいます。

どうせ委託するのであれば、親身に被災者の声に耳を傾け、真剣に再発防止を考える顧問社労士に頼むのがお勧めです。

手続きだけの商売をしていると、再発防止は考えないものです。なにしろ労災が減れば、自分たちの仕事も減るわけですから。

 

2016.08.03.

<労災病院や労災指定医療機関>

基本的に、業務災害や通勤災害による傷病の治療費が無料となります。

とはいえ実際には、病院などに「保証金」のようなものを仮に支払っておいて、「保証金の預かり証」と労災の手続き書類を提出したときに返金されるのが通常です。

この「保証金」は、万一、病院などに労災の手続き書類が提出されなかった場合に、病院が治療費を受け取れなくなることを防ぐために支払いを求めてくるものですから、その金額は病院などによって、1,000円だったり20,000円だったりとバラバラです。

いずれにせよ、この「保証金」は、なるべく早く被災者に返金されることが望ましいので、会社は書類の作成と被災者への交付を急ぎたいものです。

また、会社が「保証金」を負担した場合には、「保証金の預かり証」も会社が受領しておくとよいでしょう。こうしないと、会社が負担して被災者に返金されるケースもありトラブルのもとですから。

 

<労災病院ではない病院や労災指定ではない医療機関>

基本的に、被災者が治療費を一時的に負担しておいて、被災者名義の指定口座に振り込み返金されます。

したがって、手続き書類には口座番号を書く欄があります。ここが、労災病院用の手続き書類とは違うところです。

傷病が悪化して治療が長引くと、一時的にせよ負担額がバカになりません。普段は健康保険証を使って3割負担なのですが、ここでは全額患者の負担となりますから。

労災病院などの場合と同じように、会社が書類の作成と被災者への交付を急ぐことはもちろんですが、労災病院などに移ることも考えたいです。

 

<実際に労災が発生した時の注意点>

上記のことから、なるべく労災病院などでの治療が便利です。しかし、被災者は痛い思いをしていますから、労災病院にこだわるのではなく、最寄りの病院などでなるべく早く治療を受けさせましょう。

たとえば、手をやけどした場合、流水で30分ほど冷やしている間に、病院を探し連絡を取っておいてから、被災者を連れていくというのがよいでしょう。

 

2016.07.10.

<補償されるケース>

業務災害または通勤災害による傷病の治療のため働けず、賃金を受けられないときに補償されます。

勤務中に発生する業務災害のときは休業補償給付、通勤中に発生する通勤災害のときは休業給付といいます。

業務災害の場合は、もともと労働基準法で事業主に補償を義務づけていたので、「補償」ということばが入ります。

これに対して、通勤災害の場合には、事業主に通勤途上の事故にまで責任を負わせることに無理があります。そのため、労働基準法は事業主に補償を義務づけていないので、「補償」ということばが入りません。

労災保険は、事業主の補償義務を拡張して補償の内容に含めているのです。

 

<保険給付の内容>

休業4日目から、休業1日につき被災者の平均賃金の60%が基本です。

では、3日目まではどうかというと、業務災害の場合だけ事業主が補償します。〔労働基準法67条1項〕

ただ、休業特別支給金という制度があって、休業4日目から、休業1日につき被災者の平均賃金の20%が支給されます。

結局、被災者は合計80%の補償を受けるわけです。

この給付を受けるために、労働基準監督署長に提出する書類のタイトルには、休業特別支給金も兼ねていることが表示されていますので、1つの手続きで両方の請求ができるわけです。

 

<健康保険より手厚い補償>

治療費は、健康保険だと自己負担が30%ですが、労災保険だと無料です。

休業補償も、健康保険の傷病手当金が67%なのに対して、労災だと合計80%になります。

これは、憲法27条1項が、勤労を国民の義務としていることと深い関連があります。つまり、国民としての義務を果たしていて被災したのだから、プライベートな原因の場合よりも手厚い補償が必要だとされているわけです。

 

2016.07.09.

<業務災害>

業務災害とは、労働者の負傷、疾病(しっぺい)、死亡のうち、業務が原因となったものをいいます。労働者の業務としての行為の他に、事業場の施設・設備の管理状況などが原因となって発生するものがあります。

「業務上」という用語は、業務と傷病などとの間に、一般的な原因と結果の関係があることをいいます。

業務災害に対する保険給付は、労働者が事業場で雇われて、事業主の支配下にあるときに、業務が原因となって発生した災害に対して行われます。

ただし、労働者が労災保険の適用されない事業場に雇われていた場合は対象外となります。

 

<労災とはならないケガ>

・労働者が勤務時間帯に、仕事とは関係のないことを行ったり、仕事の範囲を超える勝手なことをしていて、それが原因でケガをした場合。

・労働者がわざとケガをした場合。

・労働者がプライベートな恨みなどを理由に第三者から暴行を受けてケガをした場合。

・大地震や台風など自然災害によってケガをした場合。ただし、落雷しやすい現場で作業していて落雷でやけどを負うなど、立地条件や作業環境などによっては労災と認められる場合があります。

・休憩時間や勤務の前後など、実際に業務に従事していない時間帯にケガをして、しかも事業場の施設・設備や管理状況に原因がない場合。ただし、トイレに行くなどの生理的行為については、事業主の支配下で業務に付随する行為として取り扱われますので、このときに生じたケガは労災となります。

 

2016.06.27.

<業務災害>

業務災害とは、労働者の負傷、疾病(しっぺい)、死亡のうち、業務が原因となったものをいいます。労働者の業務としての行為の他に、事業場の施設・設備の管理状況などが原因となって発生するものがあります。

「業務上」という用語は、業務と傷病などとの間に、一般的な原因と結果の関係があることをいいます。

業務災害に対する保険給付は、労働者が事業場で雇われて、事業主の支配下にあるときに、業務が原因となって発生した災害に対して行われます。

ただし、労働者が労災保険の適用されない事業場に雇われていた場合は対象外となります。

 

<業務上の疾病とは?>

業務との間に一般的な原因と結果の関係にある疾病(病気)は、労災保険給付の対象となります。

業務上疾病は、必ずしも労働者が事業主の支配下で発症することを条件とせず、事業主の支配下で有害な原因にさらされたことによって発症すれば認められます。

たとえば、ある労働者が勤務中に心臓病を発症しても、その労働者の業務の中に原因が見当たらなければ、業務と疾病との間に一般的な原因と結果の関係は成立しません。

反対に、勤務時間外に発症した場合でも、その労働者の業務の中に有害な原因があって発症したものであれば、業務上の疾病とされます。

 

<業務上の疾病とされる3つの条件>

・その労働者の業務の中に有害な原因があったこと。例として、化学物質、身体に過度の負担がかかる作業、病原体など。

・健康障害を起こすだけの原因にさらされたこと。つまり、有害な原因の強さ、量、回数、期間が健康障害を起こしうるものだったこと。

・発症の原因から健康障害の結果が発生するまでの経過が、医学的に見て不自然ではないこと。中には、労働者が有害な原因に接してから、相当な長期間を経過した後に健康障害が発生するパターンも認められます。

 

2016.06.26.