産業医とは ― 選任義務の基準、資格、職務、権限

2024/02/27|932文字

 

<対象事業場>

産業医については、労働基準法ではなく労働安全衛生法の第13条に義務規定が置かれています。

常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医を選任し労働者の健康管理などを行わせることが義務付けられています。

事業場というのは、事務所、営業所、店舗などをいいますから、50人以上というのは会社全体の人数ではありません。

 

<産業医の資格>

産業医は、医師のうち次のいずれかの条件を満たす者から選任します。

(1)厚生労働大臣の指定する者(日本医師会、産業医科大学)が行う研修を修了した者

(2)産業医の養成課程を設置している産業医科大学その他の大学で、厚生労働大臣が指定するものにおいて当該過程を修めて卒業し、その大学が行う実習を履修した者

(3)労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験区分が保健衛生である者

(4)大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授、常勤講師又はこれらの経験者

 

<産業医の職務>

産業医は、次のような職務を行うこととされています。

(1)健康診断、面接指導等の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置、作業環境の維持管理、作業の管理等労働者の健康管理に関すること。

(2)健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。

(3)労働衛生教育に関すること。

(4)労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること。

産業医は、労働者の健康を確保するために必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理などについて必要な勧告をすることができます。

また産業医は、原則として毎月1回作業場などを巡視し、作業方法や衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じることになっています。

 

<実務の視点から>

産業医選任義務の有無の確認や労働基準監督署への届出、衛生委員会や事業場巡視での活用については、信頼できる社労士にご相談ください。

産業医の先生が、労災保険の適用や企業の賠償責任などについて、権限外の説明をすることがあるなど、企業から相談を受けることがあります。こうしたことは、社労士から産業医の先生に丁寧な説明が必要でしょう。

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