労災補償の対象となる職業病の範囲

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<職業病リスト>

労災保険制度は、労働者の業務上の理由によるケガ・病気、通勤に伴うケガ・病気に対して、必要な保険給付を行います。

ケガであれば業務によること通勤途上だったことが明確であるのに対して、病気となると業務や通勤によって発生したといえるかが判断しにくいものです。

そこで労災保険制度による補償の対象となる病気は「職業病リスト」にまとめられています。

この「職業病リスト」には、病気の範囲を明確にすることにより、被災者の労災補償請求を容易にし、事業主が災害補償義務を果たすようにする役割があります。

 

<職業病の選定基準>

業務と病気との間に客観的な因果関係が確立しているものが列挙されています。

これは、新しい医学的知見や病気の発生状況を踏まえ、定期的に見直しが行われています。最新のものは、平成25101日施行です。このときの改正で、新たに21の病気が追加されています。

 

<労災補償の対象となる病気>

「職業病リスト」にある病気については、業務に起因することが明らかな病気とされます。これによって、被災者は業務と病気との因果関係の証明の負担を軽減されるわけです。

「職業病リスト」にない病気については、被災者が困難な証明責任を負うことになります。しかし、業務と病気との因果関係が証明できれば、労災補償の対象となります。

 

<現在の「職業病リスト」>

〔労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号) 別表第一の二)

一 業務上の負傷に起因する疾病

二 物理的因子による次に掲げる疾病

1 紫外線にさらされる業務による前眼部疾患又は皮膚疾患

2 赤外線にさらされる業務による網膜火傷、白内障等の眼疾患又は皮膚疾患

3 レーザー光線にさらされる業務による網膜火傷等の眼疾患又は皮膚疾患

4 マイクロ波にさらされる業務による白内障等の眼疾患

5 電離放射線にさらされる業務による急性放射線症、皮膚潰瘍等の放射線皮膚障害、白内障等の放射線眼疾患、放射線肺炎、再生不良性貧血等の造血器障害、骨壊死その他の放射線障害

6 高圧室内作業又は潜水作業に係る業務による潜函病又は潜水病

7 気圧の低い場所における業務による高山病又は航空減圧症

8 暑熱な場所における業務による熱中症

9 高熱物体を取り扱う業務による熱傷

10 寒冷な場所における業務又は低温物体を取り扱う業務による凍傷

11 著しい騒音を発する場所における業務による難聴等の耳の疾患

12 超音波にさらされる業務による手指等の組織壊死

13 1から12までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他物理的因子にさらされる業務に起因することの明らかな疾病

三 身体に過度の負担のかかる作業態様に起因する次に掲げる疾病

1 重激な業務による筋肉、腱、骨若しくは関節の疾患又は内臓脱

2 重量物を取り扱う業務、腰部に過度の負担を与える不自然な作業姿勢により行う業務その他腰部に過度の負担のかかる業務による腰痛

3 さく岩機、鋲打ち機、チェーンソー等の機械器具の使用により身体に振動を与える業務による手指、前腕等の末梢循環障害、末梢神経障害又は運動器障害

4 電子計算機への入力を反復して行う業務その他上肢に過度の負担のかかる業務による後頭部、頸部、肩甲帯、上腕、前腕又は手指の運動器障害

5 1から4までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他身体に過度の負担のかかる作業態様の業務に起因することの明らかな疾病

四 化学物質等による次に掲げる疾病

1 厚生労働大臣の指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)にさらされる業務による疾病であつて、厚生労働大臣が定めるもの

2 弗素樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂の熱分解生成物にさらされる業務による眼粘膜の炎症又は気道粘膜の炎症等の呼吸器疾患

3 すす、鉱物油、うるし、テレビン油、タール、セメント、アミン系の樹脂硬化剤等にさらされる業務による皮膚疾患

4 蛋白分解酵素にさらされる業務による皮膚炎、結膜炎又は鼻炎、気管支喘息等の呼吸器疾患

5 木材の粉じん、獣毛のじんあい等を飛散する場所における業務又は抗生物質等にさらされる業務によるアレルギー性の鼻炎、気管支喘息等の呼吸器疾患

6 落綿等の粉じんを飛散する場所における業務による呼吸器疾患

7 石綿にさらされる業務による良性石綿胸水又はびまん性胸膜肥厚

8 空気中の酸素濃度の低い場所における業務による酸素欠乏症

9 1から8までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他化学物質等にさらされる業務に起因することの明らかな疾病

五 粉じんを飛散する場所における業務によるじん肺症又はじん肺法(昭和三十五年法律第三十号)に規定するじん肺と合併したじん肺法施行規則(昭和三十五年労働省令第六号)第一条各号に掲げる疾病

六 細菌、ウイルス等の病原体による次に掲げる疾病

1 患者の診療若しくは看護の業務、介護の業務又は研究その他の目的で病原体を取り扱う業務による伝染性疾患

2 動物若しくはその死体、獣毛、革その他動物性の物又はぼろ等の古物を取り扱う業務によるブルセラ症、炭疽病等の伝染性疾患

3 湿潤地における業務によるワイル病等のレプトスピラ症

4 屋外における業務による恙虫病

5 1から4までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他細菌、ウイルス等の病原体にさらされる業務に起因することの明らかな疾病

七 がん原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程における業務による次に掲げる疾病

1 ベンジジンにさらされる業務による尿路系腫瘍

2 ベーターナフチルアミンにさらされる業務による尿路系腫瘍

3 四―アミノジフェニルにさらされる業務による尿路系腫瘍

4 四―ニトロジフェニルにさらされる業務による尿路系腫瘍

5 ビス(クロロメチル)エーテルにさらされる業務による肺がん

6 ベリリウムにさらされる業務による肺がん

7 ベンゾトリクロライドにさらされる業務による肺がん

8 石綿にさらされる業務による肺がん又は中皮腫

9 ベンゼンにさらされる業務による白血病

10 塩化ビニルにさらされる業務による肝血管肉腫又は肝細胞がん

11 1,2-ジクロロプロパンにさらされる業務による胆管がん

12 ジクロロメタンによりさらされる業務による胆管がん

13 電離放射線にさらされる業務による白血病、肺がん、皮膚がん、骨肉腫、甲状腺がん、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫

14 オーラミンを製造する工程における業務による尿路系腫瘍

15 マゼンタを製造する工程における業務による尿路系腫瘍

16 コークス又は発生炉ガスを製造する工程における業務による肺がん

17 クロム酸塩又は重クロム酸塩を製造する工程における業務による肺がん又は上気道のがん

18 ニッケルの製錬又は精錬を行う工程における業務による肺がん又は上気道のがん

19 砒素を含有する鉱石を原料として金属の製錬若しくは精錬を行う工程又は無機砒素化合物を製造する工程における業務による肺がん又は皮膚がん

20 すす、鉱物油、タール、ピッチ、アスファルト又はパラフィンにさらされる業務による皮膚がん

21 1から20までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他がん原性物質若しくはがん原性因子にさらされる業務又はがん原性工程における業務に起因することの明らかな疾病

八 長期間にわたる長時間の業務その他血管病変等を著しく増悪させる業務による脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症、心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む。)若しくは解離性大動脈瘤又はこれらの疾病に付随する疾病

九 人の生命にかかわる事故への遭遇その他心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務による精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病

十 前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣の指定する疾病

十一 その他業務に起因することの明らかな疾病

 

2016.08.20.