解雇の通告が意味するもの

2022/10/19|1,008文字

 

<解雇予告の効果>

労働基準法は、解雇の予告について、「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない」と規定しています。〔労働基準法第20条第1項本文〕

つまり、使用者は労働者に対して、解雇の30日以上前に予告をしておけば、解雇予告手当を支払わなくても済むということです。

たとえば労働者に対して「12月末日をもってあなたを解雇します」と11月20日に使用者が予告した場合には、解雇の効力が発生し労働契約が終了するのは、11月20日ではなく12月末日です。

 

<解雇予告の誤解>

ところが日常用語では、解雇の予告をしたことを「解雇した」と表現したり、解雇の予告を受けたことを「解雇された」と表現したりすることがあります。

このためか労働者側が、解雇の予告を受けたことをもって、解雇の効力が発生したものと認識してしまうことがあります。

そして、解雇の予告を受けた後、無断欠勤が続くということがあります。

これは「解雇されたのだから出勤しなくてもよい」という誤解によるものです。

また、早々に退職を申し出て、転職先探しに専念する労働者もいます。

この場合には、解雇の効力が生ずる前に、自己都合で退職したことになるのですが、離職票の離職理由が「解雇」になっていないということで、使用者に対して異議を唱える労働者もいます。

 

<誤解の防止方法>

解雇予告通知書には、通常「就業規則第◯条第◯項の規定に基づき◯◯年◯◯月◯◯日をもって貴殿を解雇いたします」とだけ書かれています。

これに次のような説明を加えたり、口頭で説明したりすることによって、誤解を避けることができます。

・解雇の効力が発生するのは◯◯年◯◯月◯◯日ですから、この日が退職予定日となります。

・退職予定日の30日以上前の解雇予告ですから、解雇予告手当の支払いはありません。

・退職予定日までは通常の勤務を続けてください。

・退職予定日前の日をもって退職する旨の退職願を提出した場合には、自己都合退職となります。

 

<解決社労士の視点から>

会社側としては、ついつい「勘違いする従業員が悪い」と思いたくなるものです。

しかし、説明不足については会社の責任が問われますし、従業員の誤解によって会社側にも不都合が生じます。

勘違いが生じないような十分な説明が必要なのです。

 

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