ポータブルスキル見える化ツール

2022/04/23|1,273文字

 

<ポータブルスキルの測定>

厚生労働省は、ミドルシニア層のホワイトカラー職種を対象に、ポータブルスキルを測定し、それを活かせる職務や職位を提示する「ポータブルスキル見える化ツール」を開発し、提供しています。

ここで、ポータブルスキルとは、業種や職種が変わっても強みとして発揮できる持ち運び可能な能力をいいます(一般社団法人人材サービス産業協議会(JHR)が開発)。

平たく言えば「どこの会社に行っても通用する能力」です。

 

<ポータブルスキル見える化ツールの特徴>

ポータブルスキル見える化ツール(ホワイトカラーの職業能力診断ツール)は、令和元年度、令和2年度「職業能力診断ツール開発に向けた調査・研究事業」及び令和3年度「職業能力診断ツール活用促進等事業」により開発され、「job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))」内に掲載中のものです。

このツールの主な特徴は、自分では気付かない強みを発見し、可能性を広げるサポートをする機能を備えている点です。

15分程度の入力で出てくる診断結果を基に、持ち味を活かせる職務や職位が確認できるため、キャリア形成やキャリアチェンジで強みを発揮することができるようになります。

さらに、このツールの提供に合わせて、国家資格者であるキャリアコンサルタントなどの支援者が、ホワイトカラー職種のミドルシニア層の求職者・相談者等に相談支援を行う際に、このツールを活用しやすくするためのマニュアルと映像教材も、厚生労働省ホームページに掲載されています。

 

<9つのポータブルスキル>

●仕事のし方

1.現状の把握 取り組むべき課題やテーマを設定するために行う情報収集やその分析のし方

2.課題の設定 事業、商品、組織、仕事の進め方などの取り組むべき課題の設定のし方

3.計画の立案 担当業務や課題を遂行するための具体的な計画の立て方

4.課題の遂行 スケジュール管理や各種調整、業務を進めるうえでの障害の排除や高いプレッシャーの乗り越え方

5.状況への対応 予期せぬ状況への対応や責任の取り方

●人との関わり方

6.社内対応 経営層・上司・関係部署に対する納得感の高いコミュニケーションや支持の獲得のし方

7.社外対応 顧客・社外パートナー等に対する納得感の高いコミュニケーションや利害調整・合意形成のし方

8.上司対応 上司への報告や課題に対する改善に関する意見の延べ方

9.部下マネジメント メンバーの動機付けや育成、持ち味を活かした業務の割り当てのし方

 

<解決社労士の視点から>

ポータブルスキル見える化ツールは、自己診断によって持ち味を測定し自己理解を深めるためのツールです。

会社が社員に実施させて、その結果から人事異動を考えるような使い方はできません。

これは、自分の本音に従って回答するからこそ、持ち味が測れるわけであって、会社が実施させるような場合には、自分の期待する結果に向けて本音を曲げて回答してしまうため、正しい結果が期待できないからです。

なお、専門技術や専門知識のような専門能力の測定には不向きですので、ここは注意が必要です。

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