国民健康保険税という徴集方法

2022/03/02|991文字

 

退職後の健康保険

 

<保険税と保険料>

国民健康保険税は、市区町村が国民健康保険の費用に充てるため、国民健康保険加入者(被保険者)の属する世帯の世帯主に対し課する税金です。〔地方税法第703条の4〕

これに対して、市区町村が地方税法の規定によらず保険料を徴収する場合や、国民健康保険組合が保険料を徴収する場合は、国民健康保険料と呼びます。

 

<市町村による方式の選択>

国民健康保険の運営者である保険者(市区町村)は、保険料と保険税のどちらかを選ぶことができます。

国民健康保険法第76条は、「国民健康保険に要する費用を世帯主から徴収しなければならない」と規定していますが、国民健康保険料と国民健康保険税のどちらの方式にするかは、保険者の裁量とされています。

つまり、同じ国保という名称であっても、地域によって保険料のところと保険税のところが存在します。

 

<市町村に有利な保険税方式>

国民健康保険法は、保険料方式を原則とし保険税方式を例外としています。

しかし、実際には、大半の市区町村が保険税方式を採用しています。

これは保険税方式を採用した方が、徴収権の消滅時効期間が長くなることや、滞納処分の優先順位が高くなること、過去の滞納分に対して請求できる上限年数が長いなど、市区町村にとって有利な点があるからです。

ちなみに、保険料だと2年、保険税だと5年で、保険料・保険税の徴収権は時効により消滅します。

また、国保の保険料(税)は、加入(資格取得)の届出をした日からではなく、資格を取得した日から賦課されます。

この届出が遅れると遡って賦課されることになります。

このとき、過去の滞納分に対して請求できる上限年数が、保険料では最大2年ですが、保険税では最大3年となっています。

しかし、保険料方式でも保険税方式でも、受けられる医療に違いはありません。

滞納したときに違いが出る可能性があるということです。

 

<世帯主が納付義務者>

国民健康保険税は世帯を単位とし、世帯主が納付義務者になります。

国民健康保険では、勤務先を通じて加入する健康保険とは異なり、扶養家族(被扶養者)の仕組がありませんので、ひとり一人が加入者(被保険者)となります。

また、世帯主が加入者(被保険者)ではなくても、世帯主が納付義務者となります。

国民健康保険税の計算方法は、市区町村によって異なります。

他の市区町村に転居したときに、これを実感することになります。

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