2022/05/26|593文字
<職能給の考え方>
従業員の職務遂行能力で基本給を決める賃金制度です。
担当したことのある職務については、実際に発揮された能力が基準となります。
担当したことのない職務については、学歴、職歴、資格などで能力を推定することになります。
<職能給の長所>
・仕事と基本給が一致せず職掌・職種を超えた人事異動が容易
・従業員の能力開発を促し企業の長期的な発展に寄与
・保有能力が低下しない限り基本給は下がらず長期勤続を促す効果がある
・昇進と昇格を分離することによりポストが不足しても昇格が可能
<職能給の短所>
・仕事と基本給が一致しないことによる不満の発生
・ポストがなくても昇格できるので人件費が上昇
・既存の能力の陳腐化には対応できない
・職務遂行能力の定義次第ではその運用が年功的になる
<最近では>
これまでの能力の概念である「保有能力」が、仕事で発揮されている「発揮能力」に改められてきています。
また、会社の業績に著しく貢献している従業員の「行動特性」が分析され、各人の「行動特性」との類似性を評価指標に取り入れる動きもあります。
IT、DX、AI関連の能力が高く評価されています。
この分野の人材の不足により、外国人に人材を求める動きも盛んです。
しかし、これらの傾向は大手企業中心のものですから、中小企業では社会保険労務士などの専門家と相談しながら、自社に適合した賃金制度の導入が不可欠となっています。