男性従業員へも育児休業周知・意向確認を行う義務

2021/12/06|1,141文字

 

会社から従業員に知らせる義務

 

<今回の育児・介護休業法改正の趣旨>

今回の改正は、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できるようにするためのものです。

◯令和4(2022)年4月1日施行

・育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け

・有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

◯令和4(2022)年10月1日施行

・男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設(出生時育児休業。(通称:産後パパ育休))

・育児休業の分割取得

◯令和5(2023)年4月1日施行

育児休業の取得の状況の公表の義務付け

 

<実務上の対応>

上記のように、3回に分けて施行されます。

令和4(2022)年のうちに、2回に分けて就業規則を変更していくことになるでしょう。

しかし、妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認を、令和4年4月から唐突に始めると、あらぬ誤解を生むことになりかねません。

特に男性の育児休業取得実績が殆どない職場で、男性が育児休業の取得を打診されれば、あれこれ勘違いする恐れがあります。

かなり前もって、社員全体に対する事前の説明をしておく必要があります。

 

<個別の周知と意向確認の措置>

労働者から、本人または配偶者が妊娠または出産した旨等の申出があった場合に、その労働者に対して、育児休業制度等について周知するとともに、制度の利用意向を確認するための措置を実施する必要があります。

令和4(2022)年10月1日からは、出生時育児休業も含みます。

取得を控えさせるような形での個別周知と意向確認は認められません。

周知事項は、次の4項目です。

・育児休業・出生時育児休業に関する制度

・育児休業・出生時育児休業の申し出先

・育児休業給付に関すること

・労働者が育児休業・出生時育児休業期間について負担すべき社会保険料の取扱い

これらの個別周知および意向確認の措置は、面談または書面交付(郵送可)によって行います。

ただし、労働者が希望した場合には、FAXや電子メール等によって行うこともできます。

 

<妊娠・出産等の申出方法>

法令では、妊娠・出産等の申出方法を書面等に限定していないため、社内規程に特別な定めが無ければ口頭でも可能です。

事業主が申出方法を指定する場合は、予め明らかにしておく必要があります。

この場合、その方法については、申出を行う労働者にとって過重な負担を求めることにならないよう配慮しつつ、適切に定めることが求められます。

労働者が措置の適用を受けることを、抑制するような手続を定めることは認められません。

また、指定された方法によらない申出でも、必要な内容が伝わるものである限り、措置を実施する必要があります。

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