調査の記事

2022/01/26|1,550文字

 

労基署の再監督https://youtu.be/aI9FLfYKlVQ

 

<是正勧告書と指導票>

労働基準監督署が立入調査(臨検監督)に入り問題点が見つかると、その事業場に「是正勧告書」や「指導票」という書類を交付します。

「是正勧告書」は、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法などの罰則に触れていると思われる事実が見つかったときに、その是正と報告を求める文書です。

「指導票」は、罰則には触れないと思われるものの、厚生労働省のガイドラインに沿っていないなど問題となる事実が見つかると、その改善と報告を求める文書です。

立入調査終了後に、その場で作成・交付されることが多いのですが、複雑な事案に関するものは、後日、交付されることもあります。

 

<是正勧告書の性質>

是正勧告は行政指導ですから、不服申立のようなことはできません。

本来であれば、是正勧告書を交付せず、いきなり逮捕・書類送検も可能なのです。

しかし、労働法の罰則に触れることが犯罪ではあっても、刑法犯とは異なり認知度が低いためにワンクッション置いて、是正の機会を与えているものと考えられます。

 

<是正勧告書への対応>

是正勧告書で指摘を受けた事実は、違法なものですから、基本的には直ちに是正しなければなりません。

是正報告書を交付されたなら、違法な部分を是正し、是正の内容を端的にまとめた「是正報告書」を作成します。

提出先は、立入調査を担当した労働基準監督官です。

是正勧告書には、提出期限が書かれています。

どうしても間に合いそうにない場合は、労働基準監督官に相談しましょう。

期限を過ぎてしまうと、督促状が届いてあたふたします。

督促状に示された提出期限を過ぎてしまうと、労働基準監督官の心証を害してしまいます。

また、是正勧告書に誤りが無いとは言い切れません。

立入検査に社会保険労務士などの専門家が立ち会わなかった場合には、会社側の説明が不適格であったために、労働基準監督官が勘違いすることもあります。

これについても、労働基準監督官に相談することをお勧めします。

 

<指導票の性質>

指導はまさに行政指導なのですが、是正勧告書で指摘された事項と異なり、指導票で指摘された事項は違法というわけではなく、直ちに是正が求められるという内容ではありません。

無理の無い範囲で是正し、時間を要する項目については、改善計画を提出することになります。

 

<指導票への対応>

指導票で指摘を受けた事実は、違法ではないものの改善を求められたわけですから、放置せず段階的に改善していかなければなりません。

指導票を交付されたなら、指摘された事項を改善し、あるいは改善計画を立て、その内容を端的にまとめた「改善報告書」を作成します。

指導票に示された事項には、直ちに改善するのが難しいものが含まれていることが多いものです。

具体的な計画を立て、確実にこなしていく道筋を示すことができれば、これを「改善報告書」にまとめ、立入調査を担当した労働基準監督官に提出することで、一応の決着を見ることになります。

この点、違法性を指摘された是正勧告書については、すべての事項について是正が完了しなければ、解放してもらえないのとは異なります。

 

<解決社労士の視点から>

店舗などが労働基準監督署の立入検査を受け、「是正勧告書」を受け取ったのに、これを恥として本部に報告せず、また「勧告に過ぎないから」という判断で放置するということもあります。

さらに督促状が届いても放置し、再度「是正勧告書」が交付されて、これもまた放置ということになると、さすがに逮捕・書類送検が行われても不思議ではありません。

こうしたことを想定して、各事業場の責任者や代行者には、労働基準監督署や年金事務所などの調査が予告・実施された場合には、会社への速やかな報告が必須である旨、きちんと説明しておく必要があるでしょう。

2021/11/13|1,073文字

 

労働基準監督署の立入調査https://youtu.be/lNxUYDb6rFo

 

<労働局の指導>

厚生労働省は、違法な長時間労働を複数の事業場で行っていた社会的に影響力の大きい企業について、都道府県労働局長等から企業の経営幹部に対して、全社的な是正を図るよう指導を行った上で、その旨を公表することにしています。

令和3(2021)年11月1日、これに基づき東京労働局長が指導を実施し、その当日に内容が公表されています。

◯違法な長時間労働の実態

労働基準法第32条に違反し、かつ1か月当たり80時間を超える時間外・休日労働が複数の事業場で認められた

◯是正指導の状況

令和3(2021)年11月1日、東京労働局長から代表取締役社長に対し、違法な長時間労働について、代表取締役社長主導のもと、本社及びすべての傘下事業場における状況を再度点検し、速やかに全社的な改善措置を講ずるよう指導書を交付

◯早期是正に向けた当該企業の取組方針

長時間労働削減並びに法令遵守のため、本社主導で全社的な改善に取り組む

また、採用強化による必要人員の確保、機動的な社員配置を行うとともに、デジタル化の推進及びグループ会社を活用した業務効率化により、労働時間の削減を進める

 

<企業に対する指導・公表制度>

対象はあくまでも複数の事業場を有する大企業ですが、違法な長時間労働等が複数の事業場で認められた企業に対する指導・公表制度についても公表されています。

◯通常の場合

1.違法な長時間労働、2.過労死・過労自殺等で労災支給決定、3.これらと同程度に重大・悪質

1年間で2事業場に上記1.~3.があると、労働基準監督署長による企業幹部の呼出指導、ついで改善状況を確認するための全社的な立入調査が行われます。

ここで再び違反の実態が確認されると、労働局長による指導と企業名の公表が行われます。

◯特に重大・悪質な場合

1.月100時間超の違法な長時間労働、2.過労死・過労自殺で労災支給が決定され労基法32・40,35,36-6,37条違反あり

1年間で2事業場に上記2.が、あるいは上記1.と上記2.が2事業場で発生した場合には、即、労働局長による指導と企業名の公表が行われます。

 

労基法第32・40条違反 :時間外・休日労働協定(36協定)で定める限度時間を超えて時間外労働を行わせている

労基法第35条違反 :36協定に定める休日労働の回数を超えて休日労働を行わせている

労基法第36条6項違反 :時間外・休日労働時間数が月100時間以上又は2~6月平均で80時間を超えている

労基法第37条違反 :時間外・休日労働を行わせているにもかかわらず、法定の割増賃金を支払っていない など

 

2021/09/28|3,104文字(長いなぁ)

 

これって労働時間?https://youtu.be/2UlD66LICBo

 

<是正結果の概要>

厚生労働省は、労働基準監督署が監督指導を行った結果、令和2(2021)年度に不払となっていた割増賃金が支払われたもののうち、支払額が1企業で合計100万円以上である事案を取りまとめ公表しました。

 

【監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和2年度)】

1.是正企業数1,062企業(前年度比549企業の減) うち、1,000 万円以上の割増賃金を支払ったのは、112企業(同49企業の減)

2.対象労働者数6万5,395人(同1万3,322人の減)

3.支払われた割増賃金合計額69億8,614万円(同28億5,454万円の減)

4.支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり658万円、労働者1人当たり11万円

 

<不正確な労働時間の把握の問題>

○立入調査(臨検監督)のきっかけ

「出勤の記録をせずに働いている者がいる。管理者である店長はこのことを黙認している。」との情報を基に、労基署が立入調査を実施。

○指導の内容

ICカードを用いた勤怠システムで退社の記録を行った後も労働を行っている者が監視カメラに記録されていた映像から確認され、賃金不払残業の疑いが認められたため、実態調査を行うよう指導。

○企業の一次対応

労働者の正確な労働時間について把握すべく実態調査を行い、不払となっていた割増賃金を支払。

○企業の改善策

・労働基準監督官を講師として、各店舗の管理者である店長を対象に労務管理に関する研修会を実施するとともに、店長以外の従業員に対しても会議等の機会を通じて法令遵守教育を行い、賃金不払残業を発生させない企業風土の醸成を図った。

・社内コンプライアンス組織の指導員を増員して、店舗巡回を行い、抜き打ち調査を行うことにより勤怠記録との乖離がないか確認することとした。

●ポイント

管理職としては、自部門の人件費が少なくなるという期待から、不正を見逃したくなる誘惑にかられます。

労務管理に関する研修会や法令遵守教育は、最低でも年1回、しつこく繰り返すことが必要です。

途中で手を緩めると、いつの間にか元に戻ってしまう可能性は驚くほど高いのです。

 

<労働時間記録との乖離の問題>

○立入調査(臨検監督)のきっかけ

「時間外労働が自発的学習とされ割増賃金が支払われない」との情報を基に、労基署が立入調査を実施。

○指導の内容

ICカードを用いた勤怠システムにより労働時間管理を行っていたが、ICカードで記録されていた時間と労働時間として認定している時間との間の乖離が大きい者や乖離の理由が「自発的な学習」とされている者が散見され、賃金不払残業の疑いが認められたため、実態調査を行うよう指導。

○企業の一次対応

勤怠記録との乖離の理由が自発的な学習であったのか否かについて労働者からのヒアリングを基に実態調査を行った。

この結果、自発的な学習とは認められない時間について不払となっていた割増賃金を支払った。

○企業の改善策

・代表取締役が適切な労働時間管理を行っていくとの決意を表明し、管理職に対して時間外労働の適正な取扱いについて説明を行った。

・労働組合と協議を行い、今後、同様の賃金不払残業を発生させないために労使双方で協力して取組を行うこととした。

・事業場の責任者による定期的な職場巡視を行い、退勤処理をしたにもかかわらず勤務している者がいないかチェックする体制を構築した。

●ポイント

賃金支払義務の無い「自発的学習」と認定されるためには、参加/不参加が全くの自由であって、参加しなくても欠勤控除されず、評価の対象とされず、上司を含め社内で非難されることが無いものであることが必要です。

また、その学習が業務に必須のものであれば、参加せざるを得ないのですから、この場合も「自発的学習」とは言えません。

 

<自己申告制の不適切な運用の問題>

○立入調査(臨検監督)のきっかけ

「自己申告制が適正に運用されていないため賃金不払残業が発生している」との情報を基に、労基署が立入調査を実施。

○指導の内容

生産部門は、ICカードを用いた勤怠システムにより客観的に労働時間を把握している一方、非生産部門は、労働者の自己申告による労働時間管理を行っていた。

非生産部門の労働者について、申告された時間外労働時間数の集計や、割増賃金の支払が一切行われておらず、賃金不払残業の疑いが認められたため、実態調査を行うよう指導。

○企業の一次対応

非生産部門の労働者について、申告が行われていた記録を基に時間外労働時間数の集計を行い、不払となっていた割増賃金を支払った。

○企業の改善策

・非生産部門もICカードを用いた勤怠システムで労働時間管理を行うとともに、時間外労働を行う際には、残業申請書を提出させ、残業申請書と勤怠記録との乖離があった場合には、実態調査を行うこととした。

・労務管理担当の役員から労働時間の管理者及び労働者に対して、労働時間管理が不適切な現状であったため改善する旨の説明を行い、客観的な記録を基礎として労働時間を把握することの重要性についての認識を共有した。

●ポイント

自己申告制も「やむを得ない」事情があるときには許されます。

しかし、厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」によれば、対象労働者ひとり一人の教育、上司の教育、抜き打ちの実態調査、把握した労働時間と実際の労働時間の食い違いについての原因究明と改善など、非常にハードルが高いといえます。

真に「やむを得ない」事情がある場合を除き、自己申告制を運用することはお勧めできません。

 

<全社的な賃金不払残業が行われていたケース>

○立入調査(臨検監督)のきっかけ

「退勤処理を行った後に働いている者がいる」との情報を基に、労基署が立入調査を実施。

○指導の内容

ICカードを用いた勤怠システムにより労働時間の管理を行っていたが、労働者からの聴き取り調査を実施したところ、退勤処理後に労働をすること、出勤処理を行わず休日労働をすることがある旨の申し立てがあり、賃金不払残業の疑いが認められたため、実態調査を行うよう指導。

○企業の一次対応

労働者へのヒアリングやアンケートなどにより実態調査を行った結果、全社的に退勤処理後の労働が認められ、また、出勤処理を行わず休日労働を行っていることが判明したため、不払となっていた割増賃金を支払った。

○企業の改善策

・会社幹部が出席する会議において、代表取締役自ら賃金不払残業解消に関するメッセージ(労働時間の正しい記録、未払賃金の申告)を発信し、発信内容を社内のイントラネットに掲載するなどして、会社一丸となり賃金未払残業を解消することを周知した。

・36協定(時間外労働の協定届)の上限時間数を超えないために、時間外労働の適正な申請をためらうことが賃金不払残業の一因となっていた。このため、各店舗の勤務状況の実態調査を行い、人員不足や業務過多の店舗に対する人員確保や本社からの応援を行い、店舗の業務が過度に長くならないような措置を講じた。

●ポイント

賃金不払残業に限らず、パワハラやセクハラなど、代表者が「これを絶対に許さない」という決意を全社に表明することは、最初に行うべきことですし大きな効果が期待できます。

ただし、これもまた「労基署に言わされているのではないか」「本心は違うのではないか」と思われないように、繰り返し継続する必要があります。

代表者が「まともに残業代を支払って人件費が増えるのは嫌だ」「お気に入りの役職者のパワハラやセクハラは大目に見よう」と考えているのではないかと疑われるようでは、一歩も前に進めないのです。

2021/07/14|1,903文字

 

労働基準監督官の行動規範https://youtu.be/gmncel00ZWc

 

<労働基準監督署への申告>

労働基準監督署への申告については、労働基準法に次の規定があります。

 

【監督機関に対する申告】

第百四条 事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。
2 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。

 

申告事案は、最低労働基準を定めた労働基準法などに違反するとして、労働者が労働基準監督署に救済を求めるものですから、労働基準監督署では、労働者が置かれた状況に配慮し、懇切・丁寧な対応に留意しつつ、迅速・的確に処理を行っています。

 

<令和2(2020)年の申告>

申告受理件数は3,965件で、前年と比べ159件(3.9%)減少しました。

直近10年間の申告受理件数の推移をみると、平成23(2011)年の6,460件をピークとして、その後減少が続いていましたが、平成29(2017)年に増加に転じ、平成30(2018)年も引き続き増加していたところ、平成31年(令和元年)以降再び減少に転じています。

申告を内容別にみると、賃金不払が 3,075 件(前年比 6.1%減)で最も多く、業種別では、接客娯楽業(22.3%)、商業(16.1%)、保健衛生業(11.8%)の順となっています。

次いで、解雇が 622 件(前年比 11.7%増)となっており、業種別では、同じく接客娯楽業(27.5%)、商業(15.4%)、保健衛生業(10.3%)の順となっています。

具体的な申告事例としては、次のようなものが公表されています。

 

<賃金不払>

退職した労働者から、退職月の賃金が一部支払われていないとの申告を受け、調査したところ、退職月の賃金額が約定した金額を下回る東京都最低賃金の金額まで減額されていたことが判明した。(その他の事業)

 

労働者が、会社側と感情的に対立したまま退職し、会社側が賃金の一部を支払わないということがあります。

しかし、賃金の全額を支払わないことは、労働基準法違反の犯罪となりますから、会社側がこうした手段に出ることは避けなければなりません。

 

<休業手当不払>

パート労働者から、会社から休業を命じられて休業しているにもかかわらず、休業手当が支給されないとの申告を受け、調査したところ、正社員以外には休業手当を支給していないことが判明した。(接客娯楽業)

 

労働基準法に規定されている労働者の権利には、正社員限定とされているものがありません。

非正規社員には、同一労働同一賃金についての認識も強まっていますので、不公平な格差は是正されなければなりません。

 

<割増賃金不払>

退職した労働者から、在職中の割増賃金が支払われていなかったとの申告を受け、調査したところ、1か月単位の変形労働時間制を採用していないにもかかわらず、1か月単位の変形労働時間制を採用したものとして時間外労働として計算していたことが判明した。(教育・研究業)

 

1か月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制など、変形労働時間制は法定の手続を踏み、それぞれの制度に特有の正しい賃金計算が必要です。

なんとなく、それらしき制度を運用し、誤った賃金計算を行えば、当然に労働基準法違反となってしまいます。

 

<解雇>

解雇された労働者から、即時解雇されたにもかかわらず、解雇予告手当が支払われていないとの申告を受け、調査したところ、解雇予告手当の支払いを行わないまま即時解雇したことが判明した。(接客娯楽業)

 

解雇予告手当の支払が不要なのは、労働基準法に示された例外に該当する場合だけです。

会社側の裁量で支払わないことは許されません。

即時解雇であれば、特殊なケースを除き、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当の支払が必要となります。

 

<労働時間>

労働者から、違法な時間外労働を行っているとの申告を受け、調査したところ、36協定の上限時間を超えて、月100時間を超える時間外労働、または2か月平均で80時間を超える時間外労働を行わせていたことが判明した。(その他の事業)

 

36協定違反や労働基準法の上限を超える時間外労働は違法です。

こうしたことが発生する恐れがある場合には、緊急避難的に会社全体の業務量を削減する必要があるかもしれません。

また、採用の強化や定着率の向上も大事です。

 

<解決社労士の視点から>

そもそも業界の常識が、労働基準法違反ということも多々あります。

常識を疑い、法令などの情報源に遡って確認することが、経営者に求められています。

2021/07/11|934文字

 

労災保険は自動加入https://youtu.be/LHPgv8RJ0RI

 

<送検状況の公表>

令和3(2021)年6月29日、東京労働局管内での令和2年度の送検状況が公表されました。

労働基準法や労働安全衛生法などには罰則があり、この罰則に触れる行為は犯罪ですから、刑法犯同様に送検されることがあるわけです。

公表内容から、東京労働局と管下の労働基準監督署が、どのような事件を送検しているのか、実態を把握することができます。

 

<送検状況の概要>

令和2(2020)年4月から令和3(2021)年3月までの1年間に、管下の労働基準監督署(支署)では、70件(前年度に比べ30件増加)の司法事件が東京地方検察庁に送検されました。

その内容を見ると、危険防止措置に関する違反が19件となっているなど、労働安全衛生法違反の事案が大幅に増加しています。

また、賃金・退職金不払に関する違反(16件)、割増賃金不払に関する違反(8件)も多く見られます。

業種別で見ると、建設業(19件)が最も多く、次いで商業及び清掃・と畜業が11件となっています。

 

<違反事項の内容>

労働基準法・最低賃金法違反により送検されたのは34件で、主な送検事項は、賃金・退職金不払に関する違反が16件、割増賃金不払に関する違反が8件、労働時間・休日に関する違反が5件でした。

労働安全衛生法違反により送検されたのは36件で、主な送検事項は、危険防止措置に関する違反が19件(このうち、墜落・転落災害に関する違反が14件)、労災隠しが4件でした。

 

<今後の対応>

東京労働局及び管下の労働基準監督署(支署)では、法違反を原因として重大な労働災害を発生させたものや、同種の法違反を繰り返し、遵法状況に悪影響を及ぼすもの等、重大・悪質な事案に対しては、引き続き、送検も含め厳正に対処していくとしています。

 

<解決社労士の視点から>

最近になって、全国的に労災事故が増加傾向にあります。

こうした中で、法違反が原因での重大な労災事故は、1発アウトで送検されることもあります。

また、労基署の立入検査(臨検監督)を受け、交付された是正勧告書に応じて改善報告書を提出したにもかかわらず、再び同じ違法行為を行ってしまえば、悪質と認定される可能性は極めて高くなります。

こうしたことに留意して、遵法経営を目指しましょう。

2021/04/15|1,980文字

 

<地方労働行政運営方針の意義>

厚生労働省は、令和3(2021)年4月1日付で「令和3年度地方労働行政運営方針」を策定しました。

各都道府県労働局は、この運営方針を踏まえつつ、各局の管内事情に即した重点課題や対応方針などを盛り込んだ行政運営方針を策定し、計画的な行政運営を図ることにしています。

労働基準監督署の労働基準監督官は、監督指導実施計画に沿って臨検監督(実地調査)を行っていますが、この計画も「行政運営方針」に基づいています。

労働基準行政で優先順位の高いものほど、重点項目の上のほうに記載されていますから、会社の所轄労働基準監督署が監督(調査)に入るとしたら、何を見られるかが把握しやすいといえます。

 

<令和3年度の運営方針の特徴>

労働行政の最大の課題として、長期化する新型コロナウイルス感染症への対応を掲げています。

今後は、新型コロナウイルス感染症が社会経済活動に様々な影響を及ぼす中で、現下の厳しさがみられる雇用情勢と、労働市場の変化の双方に対応した機動的な雇用政策を実施していくこと、人材ニーズに柔軟に対応した人材開発やテレワークなどの多様な働き方の定着などに取り組むとしています。

さらに、構造的な課題の少子高齢化の中で、労働供給の確保や生産性向上等に引き続き取り組む必要があること、人生100年時代を迎え、どのような生き方や働き方であっても安心できる社会を創っていくことも必要なことを確認しています。

このため、働き方改革関連法の着実な施行等が大事であることを強調しています。

年次有給休暇の管理と取得させる義務の履行、時間外労働時間の法的規制の遵守、同一労働同一賃金への対応などが、企業にとっても重点課題となるでしょう。

 

<ウィズ・ポストコロナ時代の雇用機会の確保>

1.雇用の維持・継続に向けた支援

新型コロナウイルス感染症の影響等により休業させられた労働者の雇用の維持・継続のため、雇用調整助成金により事業主を支援し、産業雇用安定助成金により在籍型出向を活用した雇用維持を促進します。

2.業種・地域・職種を越えた再就職等の促進

新型コロナウイルス感染症の影響等による求職者のニーズの多様化に対応するため、ハローワークに新たに専門の相談員を配置する等により、業種、地域、職種を越えた再就職等の支援を行います。

さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により離職を余儀なくされ、就労経験のない職業に就く希望者を、一定期間試行雇用する事業主の賃金の一部をトライアル雇用助成金で助成します。

3.非正規雇用労働者の再就職支援

非正規雇用労働者等の早期再就職を支援するため、ハローワークに専門の相談員を配置し、担当者制による求職者の個々の状況に応じた体系的かつ計画的な就職支援の強化を図ります。

また、求職者等に向けた企業の職場情報の提供を行う職場情報総合サイト(しょくばらぼ)や職業の様々な情報が手軽に入手できる職業情報提供サイト(日本版O-NET)を活用し、求人・求職の効果的なマッチングを図ります。

4.女性活躍・男性の育児休業取得等の推進

不妊治療のための休暇制度・両立支援制度の利用促進に取り組む中小企業事業主に対する助成金の利用を促進し、不妊治療を受けやすい職場環境の整備を推進します。

また、女性活躍推進法の行動計画策定義務対象企業が101人以上に拡大されることを踏まえ、中小企業事業主に対する女性活躍推進アドバイザーによる個別支援等を行います。

 

<ウィズコロナ時代に対応した労働環境の整備、生産性向上の推進>

1.「新たな日常」の下で柔軟な働き方がしやすい環境整備

適正な労務環境下での良質なテレワークの普及促進を図るため、テレワーク相談センターによる働き方改革推進支援センターと連携した個別相談対応やセミナーの開催等により、テレワークを実施する中小企業への支援を行います。

また、良質なテレワークを導入・実施し、人材確保や雇用管理改善の観点から効果をあげた事業主への支援(人材確保等支援助成金の支給)を行います。

2.ウィズコロナ時代に安全で健康に働くことができる職場づくり

職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、「取組の5つのポイント」やチェックリスト等を活用した職場における感染防止対策の取組を推進するとともに、新型コロナウイルス感染症に係る労災補償については、迅速かつ的確な調査及び決定を行います。

3.雇用形態に関わらない公正な待遇の確保

雇用形態に関わらない公正な待遇の確保に向けて、働き方改革推進支援センターによるワンストップ窓口で、労務管理等の専門家による個別訪問支援等に加え、新たに業種別団体等に対し専門家チームによる支援を実施します。

また、賃金引上げや非正規雇用労働者のキャリアアップを図るため、各種助成金の活用も含めた支援を行います。

 

解決社労士

2021/03/22|1,574文字

 

<自主点検表>

自主ですから「自社はどうなのか」ということで、自己点検に用いるのが本来の趣旨です。

しかし現実には、所轄の労働基準監督署から送られてきて、自己点検を迫られるのです。

「この点検表は、御社の労務管理が労働基準法等に照らして問題ないかを自ら点検し、問題があれば自主的に改善するきっかけとしていただくためのものです。それぞれの設問の回答のうち、御社に当てはまるものを選んでください」という、やんわりとした説明が加えられています。

しかし、「自主点検した結果は、別紙「労働条件に関する自主点検結果報告書」に転記の上、同封の返信用封筒を用いて◯月◯日までに、御返送いただきますようお願いします」ということになっていますから、決して自主的なものではありません。

 

<労働基準監督署の監督>

自主点検結果に違法な項目があれば、所轄の労働基準監督署から立入調査(臨検監督)が入ります。

「問題があれば自主的に改善するきっかけとしていただく」ということですから、自主点検結果報告書を提出してから一定の期間を経過していれば、改善済みになっている筈という建前です。

改善が滞っていれば、当然に行政指導が入ります。

指導が入れば、これに対して改善内容の報告をする義務があります。

かといって、自主点検結果報告書の提出を怠っても立入調査の対象となりますし、虚偽の報告に対しては罰則の適用もありえます。

 

<所定労働時間>

一般の事業では週40時間、労働者数10人未満の商業・接客娯楽業等の事業場では週44時間が所定労働時間の上限ですから、これを上回れば違法ということになります。

実態としては、所定労働時間を決めていないので答えようがないという中小企業もあります。

労働者の都合を踏まえ、話し合いで出勤日や労働時間を決定しているので、むしろ望ましい状況なのですが、法律の規定に照らすといけないことになってしまいます。

変形労働時間制など、労働基準法が準備している制度の利用が求められます。

 

<休日>

労働基準法では、週1日または4週4日が法定休日となっています。

このうち、4週4日には運用のルールがあるのですが、これを遵守していないこともあります。

また、飲食店などでは、月8日という休日の定め方をしている場合もあります。

これらは労働基準法違反なのですが、当事者にはピンと来ない部分です。

労働基準監督署の指導が入っても、対応に苦慮することになります。

しかし、労働基準監督署からは適法になるまで是正を求められます。

 

<三六協定>

三六協定を所轄の労働基準監督署長に届出していない企業、協定が期限切れのまま放置している企業も多数あります。

この場合、1分の残業が違法であり犯罪ということになります。

残業した労働者ではなく、残業させた使用者に罰則が適用されます。

これもついうっかりの手続ミスですが、「忘れていました」は言い訳になりません。

自主点検表でチェックした結果、忘れていることが判明したので、あわてて三六協定の届出をしましたということであれば、ギリギリセーフといったところです。

 

<最低賃金>

試用期間、固定残業代などで、うっかり最低賃金を下回ってしまうことがあります。

たとえ短期間でも、最低賃金を下回ることは、最低賃金法違反の犯罪ですから注意が必要です。

 

<就業規則>

働き方改革や少子高齢化対策で、法改正があまりにも頻繁です。

就業規則の内容を適法に維持するのは、困難を極めている状態です。

しかし、内容が適法で、しかも実態が就業規則通りであることが求められます。

 

<解決社労士の視点から>

自主点検表の最後には、「セミナー及び個別訪問の参加希望」の欄が設けられています。

労働法への完璧な対応に自信が無ければ、これに申し込むことによって、改善の猶予が与えられます。

可能な限り、これを希望するのが得策だと考えられます。

2021/02/07|1,487文字

 

<会計検査院の存在根拠>

会計検査院については、日本国憲法に次の規定があります。

 

第九十条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。

2 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。

 

憲法に規定された組織ですから、国家レベルで重要な組織であることは明らかです。

 

<会計検査院の役割>

会計検査院の組織及び権限は、憲法の規定に従い会計検査院法に定められています。

その中の条文を読んでも、会計検査院の役割は簡単に理解できるものではありません。

会計検査院のホームページの最初に記載されている次の説明がわかりやすいと思います。

 

会計検査院は、国の収入支出の決算、政府関係機関・独立行政法人等の会計、国が補助金等の財政援助を与えているものの会計などの検査を行う憲法上の独立した機関です。

 

結局、国に入るべきお金がきちんと入っていること国から出て行くべきではないお金が出て行っていないこと、この2つをチェックしているわけです。

国の財源は税金が中心です。

国のお金が不足すれば、増税されることになります。

国に入るべきお金がきちんと入らないと、増税に結びつくわけですから、我々国民も企業も大いに迷惑します。

また、国から出て行くべきではないお金が出て行ってしまっても、国のお金が不足することになり、やはり増税に結びつきます。

会計検査院は、こうしたことが起こらないように、国のお金の流れをチェックしているのです。

 

<国に入るべきお金がきちんと入っているかの調査>

たとえば、所轄の労働基準監督と会計検査院が一緒に企業の調査に入ることがあります。

企業が正しく労災保険や雇用保険の対象者を確定し、正しく保険料を納めていないと、国に入るべきお金がきちんと入らない恐れがあります。

そこで、労災保険と雇用保険の保険料を納める手続である労働保険年度更新が正しく行われている必要があります。

年度更新の手続を監督しているのは、基本的に所轄の労働基準監督署ですから、労働基準監督署が年度更新の内容を再確認するのを会計検査院がチェックするという二段構えになります。

こうした場合、当然ですが一番緊張するのは労働基準監督署の職員の方々です。

所轄の年金事務所と会計検査院が一緒に企業の調査に入る場合もあります。

社会保険の加入対象者や加入時期が正しいこと、保険料の計算が正しいこと、定時決定(算定基礎届)の内容などについて再確認が行われます。

 

<国から出て行くべきではないお金が出て行っていないかの調査>

所轄のハローワークと会計検査院が一緒に企業の調査に入る場合があります。

就職した後も失業手当(求職者給付の基本手当)を受給している人がいないか、関連企業への転職なのに再就職手当を受給していないかなど、給付すべきではないお金が支給されていないかをハローワークが再確認し、それを会計検査院がチェックするのです。

ここでも、一番緊張するのはハローワークの職員の方々です。

 

<解決社労士の視点から>

社労士は会計検査院の調査や労働基準監督署の監督に立会うことも、国家資格者としての立場で業務として行っています。

もちろん立会いだけでなく、その後の報告書の作成・提出のフォローや代行も行っています。

きちんと対応しておくと、お世話になっている労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所の皆さんに感謝されるわけですから、メリットは大きいと思います。

調査が入るとわかったら、あるいは抜き打ちの調査を受けたら、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

2020/12/30|1,239文字

 

<かたり調査>

国の調査名をかたって不正に情報を収集する「かたり調査」にはご注意ください。

ネットであれこれ調べてみれば、ニセモノは判断がつきます。

心配なら、総務省に確認するのが確実です。

 

<回答の義務>

統計調査の案内文には、「協力してください」という書き方がしてあります。

しかし、統計法第13条では、国の重要な統計調査である基幹統計調査について、「個人又は法人その他の団体に対し報告を求めることができる」と規定しています(報告義務)。

また、同法第61条では、「報告を拒み、又は虚偽の報告をした者」に対して、「50万円以下の罰金に処する」と規定しています。

これらの規定は、個人情報保護法に優先して適用されます。

罰則の規定はともかく、国の重要な統計調査ですから協力しましょう。

なお、基幹統計調査以外の統計調査はアンケートですから、原則として回答は任意です。

 

<調査対象事業所の選定方法>

すべての事業所を対象とする調査を除き、全国の縮図となるように一定の精度を保つ標本数を確保しつつ、無作為に事業所を選ぶ方法を採っています。

つまり、くじ引きに当たったようなものです。意図的に選ばれるわけではありません。

 

<秘密の保護>

調査対象となった人や法人には調査に回答する義務がある一方、安心して調査に回答できるよう、調査員を始めとする調査関係者に対しては、調査で知り得た内容について秘密を保護することが統計法第41条で規定されています。

また、この法律では、第39条で調査票情報を適正に管理すること、第40条で調査票情報を統計調査の目的以外に使用してはならないことがそれぞれ規定されています。調査関係者に対しては、これらの規定を厳守するよう指導を徹底しています。

ですから、税金徴収の資料として流用されたり、労働基準監督署の監督に利用されたりすることもありません。

 

※次に示すものは、国の基幹統計調査です。

•国民経済計算

•国勢統計

•住宅・土地統計

•労働力統計

•小売物価統計

•家計統計

•個人企業経済統計

•科学技術研究統計

•地方公務員給与実態統計

•就業構造基本統計

•全国消費実態統計

•社会生活基本統計

•経済構造統計

•産業連関表

•人口推計

•法人企業統計

•民間給与実態統計

•学校基本統計

•学校保健統計

•学校教員統計

•社会教育統計

•人口動態統計

•毎月勤労統計

•薬事工業生産動態統計

•医療施設統計

•患者統計

•賃金構造基本統計

•国民生活基礎統計

•生命表

•社会保障費用統計

•農林業構造統計

•牛乳乳製品統計

•作物統計

•海面漁業生産統計

•漁業構造統計

•木材統計

•農業経営統計

•工業統計

•経済産業省生産動態統計

•商業統計

•ガス事業生産動態統計

•石油製品需給動態統計

•商業動態統計

•特定サービス産業実態統計

•経済産業省特定業種石油等消費統計

•経済産業省企業活動基本統計

•鉱工業指数

•港湾統計

•造船造機統計

•建築着工統計

•鉄道車両等生産動態統計

•建設工事統計

•船員労働統計

•自動車輸送統計

•内航船舶輸送統計

•法人土地・建物基本統計

 

解決社労士

2020/07/10|983文字

 

<スーパーマーケットと経営者を逮捕・送検>

江戸川労働基準監督署長は、スーパーマーケット経営会社とその代表取締役等を労働基準法違反の容疑で、東京地方検察庁に書類送検したことがあります。

 

<逮捕・送検の理由>

このスーパーマーケット経営会社の代表取締役は、東京都江戸川区内の2店舖で勤務する従業員に残業代を支払いませんでした。

そこで、江戸川労働基準監督署労働基準監督官が、割増賃金の不払につき是正指導し、その是正措置結果について報告をするよう求めました。

ところが、この代表取締役は、部長A、課長Bと共謀し、労働基準監督官に対し、実際には支払をしていないのに、過去の賃金不払残業に対する割増賃金を遡及して支払ったとする虚偽の内容を記載した是正報告書を提出しました。

このウソの報告書提出が逮捕・送検の理由です。

 

<捜査が入ったキッカケ>

この会社に対しては、二度にわたり、江戸川労働基準監督署が、割増賃金の不払について是正するよう監督指導を行ってきました。

ところが、その指導にもかかわらず、違反行為を続けてきたので捜査に着手したのです。

そしてこの会社は、是正指導に対して是正報告を行っていたのですが、本社などを家宅捜索したところ、実際には遡及支払を行っていないことがわかり、ウソの報告であったことが判明したのです。

 

<サービス残業に対する指導>

各労働基準監督署では、事業者に対して適正な労働時間管理の徹底を図り、賃金不払残業を起こさせないことを重点とした監督指導を実施しています。

また、是正指導にも関わらず改善の意欲が認められず、賃金不払残業を繰り返し、または労働基準監督署に対し虚偽の報告を行うなど重大悪質な事業者に対しては、書類送検を含めて厳正に対処しています。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

労働基準監督署は、退職者などからの申告に基づき、会社に抜き打ちの調査をすることがあります。

また、事前に調査内容や調査日時を通知したうえで調査に入ることもあります。

通知があった場合には、ぜひ信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

調査への立会や、その後の報告書作成・提出を含め、会社の負担を最小限にして速やかな対応をすることができます。

また、顧問の社労士がいれば、抜き打ち調査への対応も安心です。

 

※労基署による監督をわかりやすく調査と表示したところがあります。

 

解決社労士

2020/04/18|980文字

 

「まいきん」というのは、毎月勤労統計調査の略称です。

 

<調査の目的>

賃金、労働時間、雇用の変動を明らかにすることを目的に厚生労働省が実施する調査です。

統計法に基づき、国の重要な統計調査である基幹統計調査として実施されています。

毎月勤労統計調査の結果は、経済指標の一つとして景気判断や、都道府県の各種政策決定に際しての指針とされるほか、雇用保険や労災保険の給付額を改定する際の資料として、また、民間企業等における給与改正や人件費の算定、人事院勧告の資料とされるなど、国民生活に深く関わっています。

さらに、日本の労働事情を表す資料として海外にも紹介されています。

 

<回答の義務>

毎月勤労統計調査など、国の重要な統計調査である基幹統計調査について、「個人又は法人その他の団体に対し報告を求めることができる」と規定されています(報告義務)。〔統計法第13条〕

また「報告を拒み、又は虚偽の報告をした者」に対して、「50万円以下の罰金に処する」と規定されています。〔統計法第61条〕

「統計法」に基づき実施する基幹統計調査である毎月勤労統計調査の報告義務は「個人情報保護法」によって免除されるものではありません。

調査対象の事業場は、無作為に抽出されます。

これはクジに当たるようなものです。

当たったら、面倒でも協力しましょう。

 

<調査の秘密>

調査対象となった人や法人には調査に回答する義務がある一方、安心して調査に回答できるよう、調査員を始めとする調査関係者に対しては、調査で知り得た内容について秘密を保護することが定められています。〔統計法第41条〕

また、調査票情報を適正に管理すること、調査票情報を統計調査の目的以外に使用してはならないことも規定されています。〔統計法第39条、第40条〕

調査関係者に対しては、これらの規定を厳守するよう指導が徹底されます。

「毎月勤労統計調査」の調査票は外部の人の目に触れないよう厳重に管理され、またそれらは集計して調査結果を得るためだけに使われ、税金徴収の資料や労働局の調査などに使われることは絶対にありません。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

詐欺の準備のための情報集めを目的として、まぎらわしい名称でインチキな調査回答依頼が届くこともあります。

怪しいと思ったり迷ったりしたら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/03/08|1,263文字

 

<労働基準監督署が調査(監督)に入るケース>

労働基準監督署が企業の調査(監督)に入るケースとしては、次の3つが多いでしょう。

・方面(ほうめん)という部署が、労働基準法の順守状況を確認するため。

・安全衛生課という部署が、労働安全衛生や労働環境の状況を確認するため。

・労災課という部署が、労災発生後の再発防止策を確認するため。

 

<方面による調査(監督)>

多いのは、サービス残業と過重労働のチェックです。

これらの前提として、労働時間の適正な把握・管理も対象となります。

労働基準法などの法令違反は「是正勧告書」で、その他の改善すべき点は「指導票」で指導が行われます。

これに対して、企業は「是正報告書」を提出して、改善したことを報告します。

これにて一件落着となっても、ほとぼりが冷めると元に戻ることもありますから、2~3年後に改善内容が定着していることを確認するため、再調査が入ることは多いものです。

最初の調査で何一つ指摘を受けていなければ、再調査ということもありません。

 

<安全衛生課による調査(監督)>

労働安全衛生法などの順守状況が確認されます。

たとえば、機械類の操作がある場合には、現場にマニュアルがあるか、わかりやすい警告表示があるかなどがチェックされます。

また、重量物の取り扱いがある場合には、誰が作業を行っているか、特に女性が制限を超えて重量物を扱っていないかなどがチェックされます。

もし、これらについて是正を求められても、改善することは比較的簡単ですが、2~3年後に改善内容が定着していることを確認するため、再調査が入ることは多いものです。

このときには、安全教育の実施について、実績資料の提示を求められることもあります。

 

<労災課による調査(監督)>

同種の労災事故が繰り返され、あるいは重大な労災事故があった場合には、3か月~1年半後に調査が入ることがあります。

このときは、「企業が自主的に行っている労災の再発防止策」を監督署が確認します。きちんと出来ていれば良いのですが、不十分なら「是正勧告書」「指導票」による指導が行われます。

そして、この指導があった場合には、2~3年後に改善内容が定着していることを確認するため、再調査が入ることは多いものです。

 

<社会保険労務士の役割>

以上のように、最初の調査(監督)で何も指摘されなければ、再調査(再監督)ということも無いのですが、「何も指摘されない」というのはかなり少数です。

会社の中に、専任の担当者がいない場合には、顧問の社労士が対応することになります。

現場任せにしておくと、いつの間にか最初の調査が入った時点の状態に戻ってしまっていることが多いものです。

社労士は、労働基準監督署の調査が入っても指摘事項が最小限になるよう、普段から労働環境の改善や労災発生防止策についてアドバイスします。

もちろん、実際に調査が入ることになれば、この調査にも立ち会いますし、その後の監督署からの指導へも対応します。

監督署の担当官にしても、専門家がいれば安心ですから、スムーズに事が進みます。

 

解決社労士

2019/12/30|805文字

 

YouTube労働基準監督官の行動規範

https://youtu.be/gmncel00ZWc

 

<労働基準監督官の任務>

労働基準監督官の基本的任務は、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などの労働法で定められている労働者の労働条件や安全・健康の確保・改善を図るための各種規定が、工場、事業場等で遵守されるよう、事業者などを監督することにあります。

労働基準監督官は、監督を実施し法令違反が認められた場合には、事業主などに対し文書で指導し是正させるのです。

また、危険性の高い機械・設備等について労働基準監督署長が命ずる使用停止などの行政処分の実行も行っています。

 

<労働基準監督官の権限>

こうした任務を全うするため、労働基準監督官には労働法により臨検(立入調査)権限を始め、帳簿・書類などの検査権限、関係者への尋問権限など多くの権限が与えられています。〔労働基準法第101条、第103条、労働安全衛生法第91条、第98条、最低賃金法第32条など〕

また、労働基準監督官には、司法警察員としての職務権限があるため、重大・悪質な法令違反を犯した事業者などに対しては、司法警察権限を行使して、刑事事件として犯罪捜査を行うこともあります。〔労働基準法第102条、労働安全衛生法第92条、最低賃金法第33条など〕

 

<立入調査>

労働基準監督官の監督は、各種情報に基づき問題があると考えられる事業場を選定して行われています。

例えば、労働災害発生の情報や労働者からの賃金不払、解雇等の申告・相談をきっかけとして、また、問題が懸念される事業場などをあらかじめ選定した上で計画的に、監督が実施されています。

なお、事業場のありのままの現状を的確に把握するため、原則として予告することなく事業場に監督を行っています。

臨検(立入調査)の拒否・妨害や尋問に対する陳述の拒否・虚偽の陳述、書類の提出拒否・虚偽を記載した書類の提出については、罰則が設けられています。〔労働基準法第120条、労働安全衛生法第120条、最低賃金法第41条など〕

 

解決社労士

2019/10/25|1,266文字

 

<労働者名簿の調査>

労働者名簿は、法定三帳簿の一つですから、労働基準監督署の監督が入った場合には、当然に調査対象とされる機会は多いものです。

しかし、労働者名簿単独で調査対象とされることは少なく、むしろ他の目的があって、その手掛かりを探るために調査されることが多いのです。

労働者名簿単独でのチェックポイントとしては、法定の項目がきちんと書かれていて、労働者の入社から退職の3年後まで保管されているかという点になります。〔労働基準法第107条、労働基準法施行規則第53条〕

また、本籍やマイナンバーなど記入されていてはいけない項目もありますので、余計なものが入っていないかのチェックもありえます。

 

<未払い残業代の調査>

労働基準監督署の監督が入った場合に、労働者名簿の中で役職者の比率が高いと、役職を与えて管理監督者扱いにして残業代をカットしている可能性が疑われます。

この場合には、次に賃金台帳との照合が行われ、残業代支払い対象の役職者がピックアップされることになります。

そしてさらに、未払い残業代の計算という手順になります。

 

<社会保険未加入の調査>

年金事務所による調査では、労働者名簿の中の正社員比率と、社会保険の加入者数を比較して、正社員しか社会保険に加入させていないのではないかと疑われます。

この場合には、タイムカードや出勤簿で正社員以外の従業員の勤務実態が確認され、社会保険加入対象のパート社員などがピックアップされることになります。

そしてさらに、一人ひとりの加入日の特定や、未払い保険料の計算という手順になります。

 

<雇用保険関係の不正受給の調査>

ハローワークの調査では、雇用保険関係の給付を受けた人について、内定時期や入社日を確認するために、労働者名簿を調査することがあります。

この場合には、万一不正受給があったとしても、基本的には不正受給していた従業員が責められることになります。

そして、場合によっては、受給額の3倍が徴収されるということになります。

ただし、会社が従業員の不正受給に加担しうるケースでは、この点についての調査に発展する可能性もあります。

 

<労働安全衛生管理体制の調査>

労働基準監督署が労働安全衛生の面で監督に入った場合には、事務所や店舗ごとの人数から、安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者、産業医の選任の要否がチェックされます。

同様に、安全委員会、衛生委員会の開催、健康診断結果報告の有無などがチェックされます。

この場合には、会社が法定の手続きなどをしているか、届出書類の控えの提示を求められることになります。

そしてさらに、委員会の議事録や健康診断個人別結果票の控えなどの確認という手順になります。

 

<必要な対応>

監督・調査について事前に予告があれば事前に、予告がなければ事後に社労士にご相談ください。

その場限りの対応をしてしまい、再調査が入ったときにガツンとやられるケースが多いようです。

やはり、ごまかすのではなく、長い目で見て会社が良くなるようにきちんとした対応をしたいものです。

 

解決社労士 柳田 恵一

令和元(2019)年9月24日、厚生労働省が長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した、監督指導の結果を取りまとめ公表しました。

この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象としています。

対象となった29,097事業場のうち、11,766事業場(40.4%)で違法な時間外労働を確認したため、是正・改善に向けた指導を行いました。なお、このうち実際に1か月当たり80時間を超える時間外・休日労働が認められた事業場は、7,857事業場(違法な時間外労働があったもののうち66.8%)でした。

厚生労働省では、今後も長時間労働の是正に向けた取組を積極的に行うとともに、11月の「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的な監督指導を行います。

 

【平成30年4月から平成31年3月までの監督指導結果のポイント】

(1) 監督指導の実施事業場:29,097事業場

   このうち、20,244事業場(全体の69.6%)で労働基準関係法令違反あり。

 

(2) 主な違反内容

[(1)のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場]

  ① 違法な時間外労働があったもの:11,766事業場(40.4%)

    うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が

       月80時間を超えるもの:        7,857事業場(66.8%)

       うち、月100時間を超えるもの:   5,210事業場(44.3%)

       うち、月150時間を超えるもの:   1,158事業場( 9.8%)

       うち、月200時間を超えるもの:    219事業場( 1.9%)

  ② 賃金不払残業があったもの:1,874事業場(6.4%)

  ③ 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの

                                                                   :3,510事業場(12.1%)

 

(3) 主な健康障害防止に関する指導の状況

[(1)のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場]

  ① 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの

                                                                  :20,526事業場(70.5%)

    うち、時間外・休日労働を月80時間※以内に削減するよう指導したもの

                                                                 : 11,632事業場(56.7%)

 ※ 脳・心臓疾患の発症前1か月間におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外・休日労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いとの医学的知見があるため。

  ② 労働時間の把握が不適正なため指導したもの:4,752事業場(16.3%)

 

これは、改正労働基準法をはじめ、働き方改革関連法施行前の法令に基づく監督指導結果です。

今年度は、改正法への対応の遅れから、違反を指摘されてしまう事業場の増加が懸念されます。

なお、賃金不払残業には、賃金不払早出や賃金不払休日出勤なども含まれます。

休日出勤の後、代休が取れずに放置されるような、隠れた賃金不払もありますから、「賃金不払残業」という言葉にとらわれないようにしましょう。

 

2019.09.26. 解決社労士 柳田 恵一

<行政指導>

行政指導の定義は、行政手続法第2条第6号に次のように規定されています。

 

【行政指導】

行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。

 

役所が、特定の人や事業者などに対して、ある行為を行うように、または行わないように、具体的に求める行為(指導、勧告、助言など)が行政指導です。

特定の人や事業者の権利や義務に直接具体的な影響を及ぼすのは「処分」であって、行政指導ではありません。

役所の行為が、処分か行政指導かは、法令の規定を読んでも判別が困難なものもあります。

ただ、行政指導であれば、行政指導をする者は、行政指導をしようとする相手方に対して、その行政指導の「趣旨及び内容」(その行政指導はどのような目的でどのようなことを求めているのか)と「責任者」(その行政指導をすることは役所のどのレベルの判断によって行われているか)を明確に示さなければならないことになっています。〔行政手続法第35条第1項〕

判断に迷うことがあれば、その行為を行っている各役所に確認するのが確実です。

 

<行政指導の効力>

行政指導には法律上の拘束力はなく、相手方の自主的な協力を求めるものです。

したがって、よく言われるように、行政指導を受けた者にについて、その行政指導に必ず従わなければならない義務が生じるものではありません。

また、行政指導の相手方がその指導に従わないからといって、役所が嫌がらせをするなどの差別的、制裁的な取扱いをすることは禁止されています。〔行政手続法第32条第2項〕

 

<行政指導の拒否>

たとえば、申請者の申請に対して、役所が自主的に申請を取り下げるよう、また、申請の内容を変更するようしつこく行政指導することもあります。

こうした場合、申請者がその行政指導に従わないことを明らかにしたときは、役所は、これに反して、行政指導を続け、その行政指導に従うまでは申請の審査を保留するなど、行政指導に従わざるを得ないようにさせることによって、申請者の権利の行使を妨げてはならないことになっています。〔行政手続法第33条〕

結局、行政指導を拒否して申請書を提出すれば、役所には審査を開始する義務が生じることになりますので、行政指導に従う意思がない場合には、それを役所に対して明確に示せば行政指導を免れることができます。

 

<労働基準監督署による行政指導>

労働基準監督署は、労働基準法などの法律に基づいて、定期的にあるいは従業員からの申告などにより、事業場(工場や事務所など)に立ち入り、機械・設備や帳簿などを調査して関係労働者の労働条件について確認を行います。

その結果、法違反が認められた場合には、事業主などに対しその是正を指導します。

通常は、「是正勧告書」という文書による指導です。

これも行政指導ですから、事業主などの自主的な協力を求めていることになります。

もし、「是正勧告書」の内容が誤りであると判断したなら、事業主などは従わないこともできます。

しかし、事業場から是正・改善報告が提出されない場合には、労働基準監督署はこれを放置せず、再度の調査・確認と指導を行います。

こうして、重大・悪質な事案については、書類送検され罰則が適用される場合もあります。

同じ行政指導であっても、違法性を指摘する内容が含まれるものについては、専門家に相談したうえで慎重に対応することを強くお勧めします。

 

2019.09.10. 解決社労士 柳田 恵一

YouTube労働基準監督官の行動規範

https://youtu.be/gmncel00ZWc

 

<労働基準監督官の任務>

労基署が立入調査(臨検監督)をする場合、通常その任務にあたるのは労働基準監督官です。

労働基準監督官の基本的任務は、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などの労働法で定められている労働者の労働条件や安全・健康の確保・改善を図るための各種規定が、工場、事業場等で遵守されるよう、事業者などを監督することにあります。

労働基準監督官は、監督を実施し法令違反が認められた場合には、事業主などに対し文書で指導し是正させるのです。

また、危険性の高い機械・設備等について労働基準監督署長が命ずる使用停止などの行政処分の実行も行っています。

 

<労働基準監督官の権限>

こうした任務を全うするため、労働基準監督官には労働法により臨検(立入調査)権限を始め、帳簿・書類などの検査権限、関係者への尋問権限など多くの権限が与えられています。〔労働基準法第101条、第103条、労働安全衛生法第91条、第98条、最低賃金法第32条など〕

また、労働基準監督官には、司法警察員としての職務権限があるため、重大・悪質な法令違反を犯した事業者などに対しては、司法警察権限を行使して、刑事事件として犯罪捜査を行うこともあります。〔労働基準法第102条、労働安全衛生法第92条、最低賃金法第33条など〕

 

<立入調査(臨検監督)>

労働基準監督官の監督は、各種情報に基づき問題があると考えられる事業場を選定して行われています。

例えば、労働災害発生の情報や労働者からの賃金不払、解雇等の申告・相談をきっかけとして、また、問題が懸念される事業場などをあらかじめ選定した上で計画的に、監督が実施されています。

なお、事業場のありのままの現状を的確に把握するため、原則として予告することなく事業場に監督を行っています。

立入調査(臨検監督)の拒否・妨害や尋問に対する陳述の拒否・虚偽の陳述、書類の提出拒否・虚偽を記載した書類の提出については、罰則が設けられています。〔労働基準法第120条(30万円)、労働安全衛生法第120条(50万円)、最低賃金法第41条(30万円)など〕

 

<実際に立入調査を拒否したら>

たとえば、残業代の不払いが発覚することを恐れ、立入調査を拒否して、30万円の罰金を支払ったとしても、2年分の残業代を払うよりは安くて済む計算です。

ここの「2年分」というのは改正民法に合わせて、労働基準法も「5年分」に改正されそうです。

来春からは、5年前に遡って未払い賃金を支払うよう労働者から請求されるようになるでしょう。

ますます30万円なら安いようにも思えます。

もし、これで済むのなら、多くの企業が立入調査を拒否してしまうかもしれません。

しかし、それ相当の容疑が固まれば、労働基準監督官による捜索・差し押えなど強制捜査が行われるでしょうし、そこまでいかなくても聞き込みや張り込みは可能です。従業員が何時に職場に入り何時に出たかを確認したり、直接従業員に話を聞くことはできるのです。

それに、会社が労働基準監督官を追い返したとなれば、直接労基署に実情を訴えに行く従業員も出てくるでしょうし、多数の退職者が出るかもしれません。

ネット上でも、あることないことウワサが広がることでしょう。

そもそも悪質なことをしていなければ、立入調査を拒否する必要などないのですから、拒否そのものがアウトです。

 

2019.07.14. 解決社労士 柳田 恵一

<会計検査院による実地検査>

国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査します。〔日本国憲法第90条〕

そして、常時または臨時に職員を派遣して、実地の検査をすることができます。〔会計検査院法第25条〕

 

会計検査院が行う実地の検査には、次のような内容も含まれます。

・労基署がきちんと労働保険料(雇用保険・労災保険)の指導をしているか。

・ハローワークが失業者の再就職後の不正受給を見逃していないか。

・助成金の不正受給がないか。

・年金事務所が対象企業や対象従業員をきちんと厚生年金に加入させているか。

とはいえ、これらのことは、実際に対象となる企業に出向いて調べてみないことにはわかりません。

そこで、会計検査院は労基署、ハローワーク、年金事務所の方々と共に、企業に出向いて実地の検査をするということになります。

 

<会計検査院の調査の特徴>

一言でいうと、とにかく厳しいです。

実際、労基署、ハローワーク、年金事務所が単独で調査に入った場合には、会社の現状を察してくださることもありますから、人情に訴えることも不可能ではありません。

しかし、会計検査院は「法律通り正しく行われているか」を調査しますので、会社の成長段階や体力に対する配慮はしてくれません。

視点が違います。

企業を指導するという考えではなくて、「企業を指導する労基署、ハローワーク、年金事務所」の指導ぶりを厳しくチェックするわけです。

労基署、ハローワーク、年金事務所の皆さんは、会計検査院を「鬼より怖い」といいます。

 

<一例として>

たとえばある企業で、パート社員が社会保険加入を嫌うので資格取得手続きをしなかったとします。

これが年金事務所に発覚すると「すぐに手続きしてください」という指導が行われるでしょう。

ところが会計検査院だと、「保険料を2年前からの分すべて、会社負担分も本人負担分も、まとめて納付してください」ということになります。

こうしないと、国の収入が法律通りにならないわけですから。

こうなると、対象となるパート社員から2年分の保険料を強制的に徴収する方法はないのですから、会社は大きな損失をこうむることになるわけです。

場合によっては、そのパート社員が突然に来なくなることもあるのです。

やはり、正しい手続き、正しい納付が基本です。

 

2019.07.05. 解決社労士 柳田 恵一

<労基署の是正勧告>

労基署の調査(監督)が入ると、法令違反の部分について改善を求める「是正勧告書」という文書が交付されます。

労基署から電話連絡が入り、労基署まで印鑑を持参して取りに行く形です。

これに対して会社は、改善の内容を「是正報告書」という文書にまとめて労基署に提出します。

こうした対応を誠実に行っても、再度の調査が入るということはあるのでしょうか。

 

<労働基準監督署による調査(監督)の種類>

一般には4つに分類されています。

定期監督 = 各年度の監督計画により、労基署が管轄する企業の中から調査対象を選択し、法令全般について一般的に調査

災害時監督 = 業務災害が発生したあとに、原因究明や再発防止の指導を行うために調査

申告監督 = 労働者からの申告があった場合に、その申告内容について確認するために調査

再監督 = 是正勧告により指摘した法令違反が是正されたかを確認するための調査

※是正勧告を受けて期限までに是正報告書を提出しなかった場合にも行われる。

 

<再調査(再監督)>

上記のように、企業側がきちんと対応しても、再度の調査(再監督)が行われる場合があります。

最初の調査の時や、その後の企業側の態度が悪いと、再度の調査を予告されることもあります。

「態度が悪い」と言っても、反抗的な態度を示す場合だけでなく、指導の内容に対する理解が見れらないような場合も含まれます。

いたずらに労基署を敵視するのではなく、自ら改善するのだという態度で臨みたいものです。

できれば、なるべく早い段階から、労基署対応に詳しい社会保険労務士に依頼することをお勧めします。

 

2019.07.04. 解決社労士 柳田 恵一

※労働基準監督署による「監督」をわかりやすく「調査」と表示したところがあります。

 

YouTube労働基準監督官の行動規範

https://youtu.be/gmncel00ZWc

 

<労働基準監督官の権限>

労働基準監督官には、事業場への臨検(立入調査)権限、帳簿・書類等の検査権限、関係者への尋問権限など多くの権限が与えられています。〔労働基準法第101条、第103条、労働安全衛生法第91条、第98条、最低賃金法第32条など〕

これらの権限を行使して、工場や事業場等に監督を実施し、関係者に尋問したり、各種帳簿、企画・設備等を検査します。

そして、法律違反が認められた場合には、事業主等に対しその是正を求めるほか、危険性の高い機械・設備等について労働基準監督署長が命ずる使用停止等の行政処分の実行を担っています。

なお、臨検(立入調査)の拒否・妨害や尋問に対する陳述の拒否・虚偽の陳述、書類の提出拒否・虚偽を記載した書類の提出については、罰則が設けられています。〔労働基準法第120条、労働安全衛生法第120条、最低賃金法第41条など〕

さらに労働基準監督官には、警察官のような司法警察員としての職務権限があるため、重大なまたは悪質な法違反を犯した事業者等に対しては、司法警察権限を行使して、刑事事件として犯罪捜査を行うこともあります。〔労働基準法102条、労働安全衛生法92条、最低賃金法33条など〕

 

<その場で対応できない場合>

労働基準監督官は、事業場のありのままの現状を的確に把握することが重要であるため、原則として予告することなく事業場の監督を行っています。

したがって監督時には、事業場で労働基準監督官に対応すべき職務を担っている社員も、通常の自分の仕事をしている状況にあると思われます。

しかし、労働基準監督官が法律上の権限を基に監督していることを踏まえれば、できる限り時間をとって、これに対応することが適切です。

ただし来客があるなどで、どうしても時間が取れない場合もあると考えられます。

このような場合には、労働基準監督官に事情を十分に説明し、監督時間の短縮や監督日時の延期を要望すればよいと考えられます。

 

<その後の指導>

調査が入った後には、ほとんどの場合、会社が「是正勧告書」「指導票」という2種類の書類を受け取ることになります。

「是正勧告書」は、法律違反があるので、すぐに正しい形に改めなさいという趣旨です。

最近は、予め「□労働時間の適正な把握をすること(労働安全衛生法 第66条の8の3)」などの項目が印刷されていて、該当項目にチェックマークを付けるタイプのものも見られます。労働基準監督官の調査は、より細かく、より厳しくなっていますので、省力化のためにこのような工夫がされるようになったのでしょう。

会社はこれに対応して、改善内容をまとめた「是正報告書」を労働基準監督署長に提出するのが一般です。

万一放置して、再び法律違反が見つかると、刑事事件として送検されることがあります。もちろん、ウソの「是正勧告書」を提出しても罰せられます。

「指導票」は、法律違反ではないけれど「世間の動向に追い付いていないので改善した方がいいですよ」という指導の内容が書かれています。

調査が入ったとき、社会保険労務士が立ち会えば、労働基準監督署の監督官の方も、「話の通じる専門家がいる」ということで安心します。もちろん反対に、緊張されてしまうこともありますが。

社労士が立ち会えば「是正勧告書」「指導票」の内容も、厳しくならないものです。反対に、専門知識の無い方が、わかりにくい説明をしたために誤解され、法律違反を指摘されることもあります。

 

<事前の予告がある場合>

立入調査は、必ずしも予告なしに行われるとは限りません。

もし、事前に調査の予告が入ったなら、その調査の意図を見抜いて準備しておけば、その後の会社の負担は大いに軽減されます。

ぜひ、充分な準備をしておきましょう。

下手な対応や下手な報告書の提出は、会社にとって命取りになることもあります。その場の勢いではなく、長期的視点に立っての対応をしたいものです。

 

2019.04.30. 解決社労士 柳田 恵一

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