メンタルヘルスの記事

<ストレスの原因>

厚生労働省が公表した「平成30年版過労死等防止対策白書」では、職場でストレスなどを感じている人の割合や内容について次のようにまとめられています。

 

仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合は、平成28(2016)年は59.5%であり、依然として半数を超えている。

「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる」とした労働者のうち、その内容をみると、「仕事の質・量」(53.8%)が最も多く、次いで、「仕事の失敗、責任の発生等」(38.5%)、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」(30.5%)となっている。

 

<相談相手>

現在の自分の仕事や職業生活でのストレスについての相談相手については、次のようにまとめられています。

 

現在の自分の仕事や職業生活でのストレスについて「相談できる人がいる」とする労働者の割合は91.1%となっており、「相談できる人がいる」とする労働者が挙げた相談相手は、「家族・友人」(84.8%)が最も多く、次いで、「上司・ 同僚」(76.0%)となっている。

また、家族・友人等を除き、職場に事業外資源(事業場外でメンタルヘルス対策の支援を行う機関及び専門家)を含めた相談先がある労働者の割合は71.2%である。

なお、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(平成 30 年7月 24 日閣議決定)において、2022 年までに仕事上の不安悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合を90%以上とすることを目標としている。

また、「ストレスを相談できる人がいる」とした労働者のうち、実際に相談した人がいる労働者の割合は85.0%となっており、実際に相談した相手をみると、「家族・友人」(81.3%)が最も多く、次いで、「上司・同僚」(71.3%)となっている。

 

ここで「事業場外資源」には社会保険労務士も含まれます。

たしかに、社会保険労務士の中には手続業務や給与計算などの事務的な業務のみを専門に行っている者もいます。

しかし、社会保険労務士の専門分野は、採用、教育、労務管理、人事制度、就業規則、労使協定など人に関すること全体に及びます。

ですから、顧問の社会保険労務士を相談窓口に設定し、不安、悩み、ストレスが労使紛争へと発展しないうちに解決できるようにしている企業も多いのです。

 

<メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合>

 

メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は、56.6%(平成28 年)となっている。

また、事業所の規模別にみると、50 人以上の事業所は80%を超える割合となっている一方、10人~29 人の事業所は48.3%となっている。

なお、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(平成 30 年7月 24 日閣議決定)において、2022 年までにメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上とすることを目標としている。

また、平成27 年12 月から施行されている、医師、保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を集団分析して、その結果を活用した事業場の割合は37.1%(平成28 年)となっている。

なお、大綱において、ストレスチェック結果を集団分析し、その結果活用した事業場の割合を60%以上とすることを目標としている。

 

事業所の規模が小さいほど、メンタルヘルス不調により職場を離れる者が出た場合のダメージは大きいのですが、対策に取り組んでいない割合が多いというのは心配です。

 

<職場のハラスメント>

昔に比べて増えたように見えないパワハラ、セクハラ、マタハラなどの相談が増えています。

ハラスメントに対する意識について、経営者と労働者との間に大きな溝があるのでしょうか。

50年前には禁煙の場所が限られていたのに、今では喫煙できる場所が限られています。歩きタバコをしている人には、高齢者の方も多く見られます。喫煙に対する社会の目の変化についていけない部分もあるのでしょう。

 

職場のハラスメントの問題については、近年、全国の総合労働相談コーナーへの「いじめ・嫌がらせ」の相談件数が増加するなど、社会問題として顕在化している。

具体的には、総合労働相談コーナーにおいて、民事上の個別労働紛争に係る相談を平成29(2017)年度中253,005 件受け付けているが、そのうち、職場での「いじめ・嫌がらせ」に関する相談受付件数は、72,067 件(23.6%)であり、相談内容として最多となっている。

 

職場のハラスメント対策は、経営者がハラスメントを正しく理解し、これを絶対に許さないと宣言するのが第一歩です

これが行われない職場から従業員が離れていくのは、残念ながら仕方のないことだと思います。

 

2018.11.09.解決社労士

平成30(2018)330日に、厚生労働省の「ストレスチェック実施プログラム」が更新されました。

 

<ストレスチェック>

「ストレスチェック」とは、ストレスに関する質問票(選択回答)に労働者が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。

労働安全衛生法が改正されて、労働者が50人以上いる事業所では、平成27(2015) 12 月から、毎年1回、この検査をほぼ全ての労働者に対して実施することが義務付けられました。

ただし、契約期間が1年未満の労働者や、労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者は義務の対象外です。

 

<ストレスチェック実施プログラム>

厚生労働省では、改正労働安全衛生法に基づき、事業者向けにストレスチェックの受検、結果出力、集団分析などができる「ストレスチェック実施プログラム」をホームページ上でダウンロードできるよう、公開しています。

 

https://stresscheck.mhlw.go.jp/

 

この実施プログラムには、以下のような機能があります。

1. 労働者が画面でストレスチェックを受けることができる

2. 労働者の受検状況を管理できる

3.労働者が入力した情報に基づき、あらかじめ設定した判定基準に基づき、自動的に高ストレス者を判定できる

4. 個人のストレスチェック結果を出力できる

5. あらかじめ設定した集団ごとに、ストレスチェック結果を集計・分析し、仕事のストレス判定図を作成できる

6.集団ごとの集計・分析結果を出力できる

7.労働基準監督署へ報告する情報を表示できる

 

<ストレスチェックの目的>

労働者が自分のストレスの状態を知ることで、ストレスをためすぎないように対処したり、ストレスが高い状態の場合は医師の面接を受けて助言をもらったり、会社側に仕事の軽減などの措置を実施してもらったり、職場の改善につなげたりすることで、鬱(うつ)などのメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みです。

 

<個人で試したい場合>

個人でストレスチェックを試したい場合は、「こころの耳」に掲載されている「5分でできる職場のストレスセルフチェック」も利用できます。

 

https://kokoro.mhlw.go.jp/check/index.html

 

2018.04.13.解決社労士

<過労死等防止対策白書とは>

平成29年10月6日に、政府が過労死等防止対策推進法に基づき、「過労死等防止対策白書」(正式には「平成29年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」)を閣議決定しました。

その具体的な内容は、厚生労働省ホームページからダウンロードできます。

政府刊行物センターなどで販売されるのは、10月下旬からの予定となっています。

 

過労死等防止対策推進法(平成26年法律第100号)

(年次報告)

第6条 政府は、毎年、国会に、我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況に関する報告書を提出しなければならない。

 

この条文によると、行政府である内閣が、国民の代表者で構成される国会に対して、我が国における過労死等の状況と政府が講じた対策を報告するものであることがわかります。

 

<過労死等防止対策>

厚生労働省では、「過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会」の実現に向け、引き続き過労死等防止対策に取り組んでいくとしています。

ここで「過労死等」というのは、業務における過重な負荷による脳血管疾患もしくは心臓疾患を原因とする死亡、もしくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡またはこれらの脳血管疾患、心臓疾患、精神障害と定義されています。

マスコミなどで報道されている場合には、「過労死」という言葉が使われていても、必ずしも定義が明確ではないので注意が必要です。

 

<政府の設定した目標>

政府は平成27年7月24日に、過労死等の防止のための対策を効果的に推進するため、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を閣議決定しました。

その中で、具体的な目標が次のように設定されています。

 

週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下にする(平成32年まで)

一般の事業では、法定の週労働時間が40時間ですから、1週間の法定外残業時間を20時間未満にしようということです。

 

・年次有給休暇取得率を70%以上にする(平成32年まで)

労働基準法に定められている年次有給休暇について、付与された日数の70%以上を取得させるということです。

 

・メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上にする(平成29年まで)

大企業では対策が進んでいますが、80%以上というのは頭数が基準ではなく事業場数が基準ですから、中小企業にも対策が求められていることになります。

 

これらの目標が、行政府である内閣から、国民の代表者で構成される国会に対して示されたということは、もし目標が達成できなければ、政府は国民に対して政治責任を負うということです。

 

政府が労働関係の政策を推進する場合、一般には次の手順で行っていると思います。

1. 国民に周知するための広報を強化する。

2. 国会に企業の努力義務を定める法案を提出して成立させる。

3. 罰則付きの法的義務を定める改正法案を提出して成立させる。

4. 指導と取締りを強化し、罰則の適用を厳格にしていく。

 

今回のように目標の期限がタイトな場合には、手順が省略されて急ピッチで進められることもあります。

各企業は法改正の動向に敏感に反応し、ある程度先回りして対応の計画・準備をすることが必要になります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

各企業が法改正に先回りして対応するというのはむずかしいと思います。

現状で、次のような問題を抱えている企業は、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

・月間80時間以上の残業が当たり前になっている社員がいる。

・労働時間の把握が不正確な社員がいる。

・社員が年次有給休暇を取得できていない。

・経営者がメンタルヘルス対策について具体的な宣言をしていない。

 

2017.10.07.解決社労士

<弁護士のアドバイス>

うつ病で休職していた社員が復職する場合、弁護士に相談すると、負担の軽い部署に配置転換して復職させるようアドバイスされる傾向にあるようです。

これは、会社として何かしらの対策を取らないまま、ただ単純に元の部署に同じ仕事で復職させたのでは、会社が責任を問われかねないと考えるからです。

休職していた社員に配慮し、何かアクションを起こすことによって、会社の責任は軽減されると考えるわけです。

 

<社労士(社会保険労務士)のアドバイス>

ところが、同様のケースを社労士に相談すると、元の部署に復職させるようアドバイスされる傾向にあるようです。

これは、良く知った上司や同僚の中で慣れた仕事をする方が、別の仕事に移るよりも精神的な負担が軽いから、うつ病が再発しにくいと考えるからです。

うつ病が再発したり、悪化したりすれば、会社は責任を問われうるので、余計なアクションを起こさない方が、会社の責任は重くならないと考えるわけです。

 

<鳥取県米子市中学校教諭事件>(鳥取地裁平成16330日判決)

うつ病で休職していた女性教諭が復職するに際して、中学校側が勤務の負担を軽減させる意図で、本校から分教室への配置転換をしました。

この分教室は、県の設置する児童自立支援施設の中にあり、生徒数が少なく教諭2人で運営している小さな教室です。

この女性教諭は、「配置転換の当時、精神疾患、精神障害が完治しておらず、以前の勤務状況を続けるべきであったにもかかわらず、配転を受けた結果、精神的、肉体的苦痛を被ったもので、これは中学校長、米子市、鳥取県による不法行為であるから、損害賠償を請求する」として、鳥取地方裁判所に民事訴訟を提起しました。

その結果、「中学校長、米子市、鳥取県は各自33万円を女性教諭に支払うように」との判決が下されました。

 

<どうすべきだったのか>

この中学校長は、女性教諭本人と配置転換について相談していませんでした。また、過去に分教室での生徒指導が負担となり、退職した女性講師がいたという事実を見落としていました。さらに、専門医の意見を改めて確認することも怠っていました。

本当に女性教諭の事を考えるのであれば、第一に本人の考えを確認しておくべきでした。ただ、職場の責任者が、うつ病で休職している人と会話することで、さらに病状を悪化させるリスクもありますから、できれば、専門医、弁護士、社労士などの第三者が間に入って話し合いを持つべきでした。

もし、職場にメンタルヘルス不調の従業員がいたら、なるべく早く信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.14.解決社労士

<ストレス軽減は企業の課題>

人手不足により一人ひとりの負担が大きくなるなどの理由で、職場環境が厳しくなり多くの人がストレスを強く感じるようになりました。

ストレスを軽減するには、コミュニケーションを良好にして、快適な職場環境を整えることが大切です。

企業にとっても、従業員のストレスを軽減することは、生産性を向上させることにつながりますから、積極的に取り組む課題となっています。

 

<管理職の役割>

管理職の皆さんは、ストレスを抱えた部下を持つことによっても、ストレスを多く感じていることでしょう。

しかし管理職には、部下のプライバシーに配慮しながらも、部下の職務適性などを考慮して、ストレスを解消するための工夫と努力が求められています。

実際、快適な職場環境を作るのに管理職の果たす役割は大きいといえます。

 

<メンタルヘルス不調に気付くには>

部下のメンタルヘルス不調に気付くには、その人の「従来の行動様式からの小さな変化」に注目することが必要です。

余裕をもって出社していた部下が遅刻するようになった、朝の挨拶に元気がなくなった、身だしなみが乱れてきた、書類を探している姿が目立つようになった、一人ぼっちでいることが多くなったなどです。

この状態が続き、仕事の能率低下やミスが目立つようになったら、放置することはできません。

少しでも早く徴候に気付いて、ゆっくり話を聴くことが大切です。

 

<気持ちを聴く姿勢>

話を聴く場合、アドバイスするよりも、部下の気持ちを十分に聴くという姿勢が大事です。

話の中で、眠りにつけない、夜中に目覚める、食べられない、疲れが取れないなど体の不調を訴えたり、飲酒量や喫煙量が増えたという話が出てきたりしたら、心から心配していることを伝え、専門の医師や相談窓口への相談を勧めましょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

ストレスを抱えて悩んでいる人は、上司に言い出せないこともあります。ましてや、ストレスの最大の原因が上司からのパワハラだと感じている人は、上司に相談できるわけがありません。

職場でのストレスの相談窓口に、信頼できる社労士を利用してはいかがでしょうか。労働法の解釈や、会社の対応の誤解によって、ストレスをためこんでしまう従業員も多いものです。こんなとき、社労士ならストレスが小さいうちに対応することができるでしょう。

 

2017.02.12.解決社労士

<ストレスチェック制度が導入されて>

企業には健康診断の実施が義務付けられています。しかし、従業員の皆さんは「健康診断さえ受けていれば安心」ではありません。ひとり一人が健康に関心を持ち、それなりの対応をする必要があります。

同じことがストレスチェック制度にもいえます。

「労働安全衛生法」という法律が改正されて、労働者が50 人以上いる事業所では、平成2712 月から、毎年1回、この検査を実施することが義務付けられました。これとは別に、ひとり一人が心の健康に関心を持ち、ストレスをためない暮らしかたを心がける必要があります。

 

<ストレスをためない暮らし方>

ストレスと上手につきあうには、まず毎日の生活習慣を整えることが大切です。バランスの取れた食事や良質な睡眠、適度な運動の習慣を維持することが、健康の基礎固めになります。

「7時間眠らなければダメ」など、自分を追い込むような考え方はやめましょう。睡眠は、その日の過ごし方などによって、深い日もあれば、浅い日もあります。たとえ眠れない夜があっても、そのことにこだわらなければ大丈夫です。翌日にはその分だけ眠りが深くなるものです。1日単位ではなく、1週間、1か月単位で良質な睡眠を心がけましょう。

食事についても、食べ過ぎた後は量を少し控え目にするとか、普段食べないものを食べてみるなどは自然に行えるものです。

また、週に1回激しい運動をするよりも、毎日やや急ぎ足で散歩したほうが効果を期待できます。

 

<ストレスが少したまったら>

ストレスが少したまったときの対策として、日常生活の中にリラックスできる時間をもつことも大切でしょう。

ぼんやりと景色を眺める、ゆったりお風呂に入る、軽くストレッチする、好きな音楽を聴くなど、気軽にできることをやってみましょう。

お酒を飲んでつらさを紛らわせようとするのは、睡眠の質を低下させ、こころの病気を引き寄せます。実際、ストレスがたまるとお酒の量が増えるということがあります。お酒以外の方法でストレスを和らげるようにして、お酒の量を元に戻したいものです。

 

<柔軟に考える>

「7時間眠らなければダメ」など、自分をしばるような考え方をしていると、うまくいかなかったときに強いストレスを感じてしまいます。

困ったことに、私たちはストレスを感じているときほど、物事を固定的に考えて、さらにストレスを発生させてしまっていることがあります。

こうしたことから抜け出すためには、「できたこと」に注意を向けるのがお勧めです。「7時間睡眠」を心がけて、6時間だったら「まずまずの達成率!」と思うことです。

また、何かを失ったストレスから抜け出すには、「残されたもの」に注意を向けることです。大切なものを失うストレスは大きいものです。しかし、それと引き換えに、思い出や教訓、自由な時間など、残されたものは決して少なくないはずです。

 

<さらにストレスがたまったら>

誰かに相談してみましょう。これは、特に男性にお勧めです。女性は、誰かにグチを言ったり話を聴いてもらったりということが上手です。これに対して、男性は他人に弱みを見せるのがイヤで、話さないことが多いようです。

しかし、誰かに話すことで問題点が整理され、自分の中で解決策が見つかることもあります。相談に乗ってもらえたという安心感も、気持ちを落ち着かせるでしょう。友人、家族、同僚、地域や趣味の仲間など、日頃から気軽に話せる人を増やしておきたいものです。

 

<専門家への相談>

症状が続くときは早めに専門家に相談しましょう。医師やカウンセラーなどの専門家や、地域の精神保健福祉センター、保健所、自治体の相談所など、相談できる専門家はたくさんいます。

もし会社の中に、症状が重くて仕事をするのも大変な人がいたら、医師だけでなく労務管理の専門家である社労士(社会保険労務士)にもご相談ください。気になる症状をもった社員がいたら、異動、休職、復帰、あるいは退職についても、早めの検討が必要になるでしょう。そんなとき、信頼できる社労士がお役に立ちます。

 

2016.09.18.

<ストレスの連鎖とは?>

殺人事件や傷害事件が発生すると、警察は加害と被害の内容、両者間の因果関係を解明し、その一環として加害の動機を明らかにします。

しかし、動機となった「ストレス発散」のストレスの原因までは追究しません。

ひょっとしたら、加害者もまた誰かにいじめられていて、そのストレスを発散するために事件が起きたのかもしれません。

ストレスとその発散は連鎖します。どこかで連鎖を止めないと、最後には弱者に大きな被害が生じます。

あくまでも例え話ですが、次のようなストレスとその発散の連鎖があったとします。

金融機関→社長→部長→課長→一般社員(弱者)

(上の連鎖の)課長→妻→息子→息子の同級生(弱者)

ある会社の社長が、金融機関から大きなストレスを与えられることで、社内では、ストレスのはけ口が、弱い一般社員に及びます。これがパワハラです。

一方で、その会社の課長が、そのストレスを家庭に持ち込み、息子がそのストレスを学校に持ち込むとイジメの原因になります。

もしも、ここで部長がストレスに耐え、課長にぶつからなければ、ストレスの連鎖が止まることになります。

 

<ストレスチェックの目的は?>

ストレスチェックというのは、ストレスについての質問票に、労働者が選択肢の中から選ぶ形で回答を記入し、それを集計・分析することで、ストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。

労働者が50 人以上の事業所では、2015 年12 月から毎年1回、この検査を労働者に対して実施することが義務付けられました。〔労働安全衛生法66条の10〕

定期健康診断と同様に、契約期間が1年未満の労働者や、所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満の短時間労働者は法的義務の対象外です。

労働者が自分のストレスの状態を知ることで、ストレスをためすぎないように対処したり、ストレスが高い状態の場合には医師の面接を受けて助言をもらったり、会社側に仕事の軽減などの措置を実施してもらったり、職場の改善につなげたりすることで、「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止するのが目的です。

決して、ストレスに弱い労働者を発見して退職を勧奨したり、降格の根拠を見つけたりするためのものではありません。むしろ、こうしたことが無いように、充分な配慮が求められています。

結局、ストレスチェックの目的はストレスがたまりやすい職場を発見し、これを改善することにあると思います。

 

<ストレスがたまりにくい職場とは?>

すべては、コミュニケーションによる解決が可能だと思います。

上の「→」で結ばれた間に、ストレスの原因となったことについて、具体的な情報の伝達があればストレスの連鎖は止まります。

なぜ怒っているのか、不安なのか、その原因についての説明が大事です。

会社の中で、ストレス発散と思われるパワハラなどを本気で防ぎたいのであれば、コミュニケーションの仕組みを見直すことが有効です。

「みんなで飲みに行って話し合えばわかりあえる」という時代ではなくなりました。あくまでも勤務時間帯に使える仕組みを構築しましょう。

 

2016.03.21.