大雨による被災と賃金の支払

2022/10/03|543文字

 

<賃金の支払義務>

労働基準法第24条は、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定期日を定めて支払わなければならない」としています。

大雨や水害等で、①事業場の倒壊、②資金繰りの悪化、③金融機関の機能停止等が生じた場合でも、労働基準法には、天災事変などの理由による賃金支払義務の免除に関する規定はありません。

つまり、会社は事業活動ができなくなった場合でも、既に働いた分の賃金は、当然に支払われなければなりません。

なお、事業再開の見込みがなく、賃金の支払の見込みがないなど、一定の要件を満たす場合には、国が事業主に代わって未払賃金を立替払する「未払賃金立替払制度」を利用することができます。

窓口は、労働基準監督署となっています。

 

<賃金の前払い>

労働基準法第25条は、「労働者が、出産、疾病、災害等の非常の場合の費用に充てるために請求する場合は、賃金支払期日前であっても、使用者は、既に行われた労働に対する賃金を支払わなければならない」と定めています。

ここでいう「災害」には、大雨や水害等が含まれます。また、「疾病」には大雨や水害等によるケガも含まれます。

ですから、賃金支払日前であっても、労働者から使用者に請求があれば、使用者は賃金を計算して支払わなければなりません。

 

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