2021/12/15|753文字
ケンカのケガと傷病手当金
<健康保険法等の改正>
治療と仕事の両立の観点から、より柔軟な所得保障ができるよう「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律(令和3年法律第66号)」により健康保険法等が改正されます。
この改正により令和4(2022)年1月1日から、傷病手当金の支給期間が通算化されるようになります。
<通算化の意味>
傷病手当金の支給期間が、支給開始日から「通算して1年6か月」になります。
・同一のケガや病気に関する傷病手当金の支給期間が、支給開始日から通算して1年6か月に達する日まで対象になります。
・現在は、支給期間中に途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合、支給開始日から起算して1年6か月を経過後は、不支給となっています。
・法改正により、支給期間中に途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合には、支給開始日から起算して1年6か月を超えても、繰り越して支給可能になります。
<改正法施行日>
この法改正は、令和4(2022)年1月1日から施行されます。
令和3(2021)年12月31日時点で、支給開始日から起算して1年6か月を経過していない傷病手当金が対象となります。
言い換えれば、令和2(2020)年7月2日以降に支給が開始された傷病手当金が対象ということになります。
<実務の視点から>
現状の制度では、傷病手当金を受給中の従業員について、支給開始日のみ記録して1年6か月後の支給終了日をチェックしておけば、手続漏れなどを気にしなくて済みました。
しかし法改正により、実際の受給期間を通算していき、通算1年6か月後をチェックする必要が生じたわけです。
もっとも、途中で傷病手当金の支給が途切れた従業員についてのみ、注意すれば足りるということになります。