2021/08/11|1,031文字
<顔出ししたくない人の言い分>
オンライン会議で顔出ししたくない人は、次のような主張をします。
オンライン会議に参加する前は、服装や髪型を整え、化粧をしたり、ひげを剃ったり、部屋を片付けたりと、準備に手間と時間がかかります。
参加中は、緊張した姿勢と表情を維持しなければならず、プライベートな空間を社内の人に見られます。
そもそも、会議を行うのに姿を見せる必要はなく、音声だけで話し合えるのではないかと考えます。
<顔出しさせたい人の言い分>
一方、オンライン会議で顔出しさせたい人は、次のような主張をします。
会社で会議を行う場合には、出社の時点で服装や髪型が整っているし、化粧やひげ剃りは済ませてあって当然だから、オンライン会議だからといって特別な負担はありません。
会議中に緊張を強いられるのも、オンライン会議に特有のことではありません。
姿を見せることによって、表情やジェスチャーによる一段高いコミュニケーションが可能となります。
そもそも、話し手が熱心に話している時、聞き手がちゃんと聞いているかどうか把握できないのでは困ります。
<背景の設定>
プライベートな空間を人目に晒すことが問題であれば、カメラをオフにするのではなく、背景を設定することも可能です。
ただし、テレビ番組や居酒屋の背景では不適切ですから、参加者全員で同じ背景にする、あるいは会社が作成した公式の背景を用いることも考えられます。
<リモートハラスメント(リモハラ)>
何とかして顔出しさせたいがために「おいこら!ちゃんと顔を見せろ!」などと暴言を吐くことや、顔出ししないメンバーの会議出席を拒否することは、リモハラとなりますので許されません。
また、他のメンバーが見聞きできる状態での叱責は、それ自体がパワハラとなります。
会議が終了してから、顔出ししなかった理由を確認し、これを踏まえて指導すべきです。
<解決社労士の視点から>
社員間で「常識」が対立する場合には、ルールを確定することによって解決します。
就業規則(テレワーク規程、オンライン会議規程)に、オンライン会議での顔出しについて規定を置きます。
顔出しが義務付けられているオンライン会議で、顔出しできない理由がある場合には、参加者から主催者に理由を明らかにして事前の許可を得るという規定も必要でしょう。
また、プライバシー保護の観点から、背景設定を禁止することは望ましくありません。
さらに、パワハラやセクハラについての注意規定を置くこともお勧めします。