休職期間の延長か再雇用か

2021/07/30|1,324文字

 

休職制度

 

<就業規則の定め>

休職は、労働基準法などに規定がなく、各企業の定める就業規則に従って運用されます。

モデル就業規則の最新版(令和3(2021)年4月版)は、休職について次のように規定しています。

 

【休職】

第9条  労働者が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職とする。

① 業務外の傷病による欠勤が  か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき                   年以内

② 前号のほか、特別な事情があり休職させることが適当と認められるとき

                           必要な期間

2 休職期間中に休職事由が消滅したときは、原則として元の職務に復帰させる。ただし、元の職務に復帰させることが困難又は不適当な場合には、他の職務に就かせることがある。

3 第1項第1号により休職し、休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする。

 

このモデル就業規則には、休職期間の延長についての規定がありません。

規定が無いということは、原則として休職期間の延長も無いということになります。

例外中の例外として、休職期間の延長を認めた場合には、具体的な事情や延長した期間についての資料を保管しておいて、いつか同様の事情で休職期間の延長を検討する場合に備える必要があります。

これをしないと、行き当りばったりの運用となってしまい、不公平が生じるからです。

 

<休職期間延長の定め>

休職制度の設計は、基本的には企業に任されていますので、就業規則に休職期間の延長についての定めを置いて運用することも可能です。

「◯◯の場合は、事情により休職期間を延長することがあります」などと規定することになります。

こうした規定を運用する場合にも、やはり不公平が生じないように、具体的な事情や延長した期間についての資料を保管しておいて、いつか同様の事情で休職期間の延長を検討する場合に備える必要があります。

 

<休職期間満了による退職と再雇用>

モデル就業規則第9条の第3項にあるように、休職期間の満了時に休職の事由が解消していなければ自動退職(自然退職)となります。

休職期間満了の間際になって、このまま退職で良いのか、休職期間を延長すべきか、迷いが生ずることもあります。

特に会社に対する貢献度の高い社員については、こうした迷いが生じやすくなります。

この場合、考慮する要素としては退職金があります。

退職すれば、一度退職金が支給され、再雇用の場合には勤続年数がリセットされます。

また勤続年数は、年次有給休暇の付与日数に関わってきますが、再雇用の場合にはやはり勤続年数がリセットされます。

この他、会社の制度の中で、勤続年数と連動する永年勤続表彰のようなものがあれば、これにも影響します。

健康保険の傷病手当金や出産手当金は、一定の条件はあるものの退職後も継続となります。

雇用保険も加入期間(被保険者期間)に影響しますが、1年以内の再雇用であれば、期間は通算されます。

休職期間の延長は、あくまでも例外措置ですから、会社側の都合と本人の希望を良く吟味して決定することが必要です。

PAGE TOP