2021年 12月

2021/12/31|1,309文字

 

働き方改革と労働基準法との関係https://youtu.be/HTNnv1oQJvI

 

<働き方改革>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「働き手の不安を解消し満足度を高めるための多面的な施策により、日本全体で質の良い労働力を確保するための変革」といえるでしょう。

 

社員は人間ですから、ある程度の時間働き続ければ、肉体的精神的疲労が蓄積して効率が低下してきます。

しかし、休憩や休暇によってリフレッシュできれば、体力と気力が回復して労働生産性が高まります。

適切な労働時間で働き、ほどよく休暇を取得することは、仕事に対する社員の意識やモチベーションを高めるとともに、業務効率の向上にプラスの効果が期待されます。

 

これに対し、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性も高まりますし、労働生産性は低下します。

また、離職リスクの上昇や、企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じることになります。

社員のためだけでなく、そして企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が得策です。

 

社員の能力がより発揮されやすい労働環境、労働条件、勤務体系を整備することは、企業全体としての生産性を向上させ、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につなげることができます。

 

<忘れられている働き方改革の条件>

「働き方改革のせいで収入が減った。転職せざるを得ない」という声が聞かれます。

働き方改革は、「働き手の不安を解消し満足度を高めるための多面的な施策により」行うもののはずです。

社員から、何らかの不満が出るような施策は誤っていることになります。

ところが、業務量を無視した残業時間の削減、業務の上司への押し付けが横行しています。

上司が名ばかり管理監督者であれば、残業手当も支給されません。

 

<社会保険労務士による働き方改革>

一つひとつの企業に寄り添った労務管理を提案し、「人を大切にする」企業づくりを一緒に行う。

それが、「人を大切にする」働き方改革の専門家、私たち社会保険労務士です。

 

社会保険労務士は、社会保険労務士法に基づく国家資格者です。

・採用前から退職後まで、労働社会保険、労務管理、法令等遵守、就業規則と運用管理、トラブル対応などのサポート

・ひとつひとつの企業に寄り添った「適切な労務管理」の提案を通じて、「人を大切にする」働き方改革の導入・推進や人材確保に向けた支援などを幅広く行い、企業の成長・発展をバックアップ

 

具体的には、次のような業務に携わっています。

・就業規則の作成と法改正や市場動向に応じた改定

・三六協定書など労使協定書の適正な作成・届出・運用管理・賃金と評価制度の設計、運用管理

・社内研修の提案と実施(マナー、ハラスメント、メンタルヘルス等)

・仕事の両立支援(子育て、介護、病気の治療)

・高齢者の雇用継続支援、障害者の雇用

・労働条件審査(コンサルタント的な内部監査)

・労働者の社外相談窓口(パワハラ、セクハラ、人間関係、能力向上)

 

考え込むよりは、社会保険労務士に相談するのが近道です。

「聞くは一時の恥 聞かぬは一生の恥」と言うではないですか。

2021/12/30|1,075文字

 

社会保険労務士の顧問契約https://youtu.be/XcBLsc-tOiQ

 

<法令の規定>

社会保険労務士は、依頼に応じる義務があると言われます。

その根拠となっているのは、主に次の社会保険労務士法の規定です。

 

【依頼に応ずる義務】

第二十条 開業社会保険労務士は、正当な理由がある場合でなければ、依頼(紛争解決手続代理業務に関するものを除く。)を拒んではならない。

 

この条文は「開業社会保険労務士は、」から始まっています。

社会保険労務士として登録する場合、独立して開業する開業社会保険労務士の他に、企業などで勤務する勤務社会保険労務士などの形があります。

勤務社会保険労務士は、自分が働いている企業のために業務を行っているわけです。

他の会社や個人から、社会保険労務士としての業務を受けることがありません。

 

また、カッコ書きで「紛争解決手続代理業務に関するものを除く」と書かれています。

紛争解決手続代理業務を行えるのは、社会保険労務士の中でも研修を受け試験に合格して登録を受けた人だけです。

この人たちは「特定社会保険労務士」などと呼ばれています。

「特定社会保険労務士」は、社会保険労務士の業務にプラスアルファで紛争解決手続代理業務も行うことができるわけです。

決して、社会保険労務士の業務のうちの特定のものだけを行えるということではありません。

 

結局、依頼に応じる義務があるのは、開業社会保険労務士であって、その対象となる業務は、紛争解決手続代理業務に関するものを除くということになります。

 

<現実的な対応として>

開業社会保険労務士の業務は幅広いものです。

ですから、障害年金、企業の手続業務、助成金の申請、給与計算、就業規則の作成・改定、労使紛争の予防解決、教育・研修など、どれか1つ特定の分野に集中して専門的に行っている社会保険労務士事務所も多いのです。

また、業務経験を積んでいない新人の社会保険労務士もいます。

こうした所に、依頼があった場合に、依頼を拒めないとすると不都合があります。

依頼された社会保険労務士も困りますし、依頼した企業や個人が適切なサービスを受けられないということになりかねません。

そこで、社会保険労務士が自ら依頼を受けられないと判断した場合には、その分野に明るい、その業務経験を積んでいる社会保険労務士を紹介するようにしています。

多くの国家資格がある中、特に社会保険労務士は仲間意識が強いのではないでしょうか。

お互いにライバル視し足を引っ張り合うのではなく、強い協力関係が形成されていると感じられます。

こうしたことから、社会保険労務士への依頼を考えた場合には、どうぞお近くの社会保険労務士にお気軽にご連絡ください。

2021/12/29|980文字

 

判例の研究も大事https://youtu.be/gu3FuGCfc1A

 

<労働契約法の規定>

労働契約法には、安全配慮義務について次の規定があります。

 

(労働者の安全への配慮)

第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

 

労働契約法は、最高裁判所の判決の理由中に示された判断を中心にまとめられた法律です。

 

<最高裁の判決>

上の規定の元となったのは、昭和50(1975)年2月25日の最高裁第三小法廷の判決です。

陸上自衛隊の隊員が、自衛隊内の車両整備工場で車両を整備していたところ、後退してきたトラックにひかれて死亡し、遺族が国に対して損害賠償を請求した事件です。

この判決は、「国は、国家公務員に対し、その公務遂行のための場所、施設、器具等の設置管理またはその遂行する公務の管理にあたって、国家公務員の生命および健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負っているものと解すべきである」と述べています。

 

<安全配慮義務の根拠>

現在では、労働契約法が安全配慮義務の根拠となります。

しかし、労働契約法ができた平成19(2007)年よりも前から、安全配慮義務が認められてきました。

その根拠については、学者の間でも考えが分かれ定説というものがありませんでした。

それでも、簡単に説明すると次のようになるでしょう。

 

【安全配慮義務の説明】

労働契約の内容は、次のことが基本です。

・労働者は、労務の提供について債務者、賃金について債権者である。

・使用者は、労務の提供について債権者、賃金について債務者である。

債務者の立場から、それぞれ誠実に債務を履行するのは当然のことです。

 

これとは別に、信義則上、債権者は債務者がうまく債務を履行できるよう配慮する義務を負っています。

ここで、「信義則」というのは、民法第1条第2項に定められた「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」という原則のことです。

 

こうして債権者には、債務者に対する次のような配慮が求められます。

・使用者は、安全配慮義務などを負う。

・労働者は、例えば銀行支店の統廃合により、給与振込口座に変更が生じたら、会社に届出る義務を負う。

 

債権者としての義務に違反したときに、債権者が被る不利益は自ら負担することになりますし、債務者に与えた不利益については賠償責任を負うことになります。

2021/12/28|852文字 

 

シフト調整で社会保険未加入https://youtu.be/USoOj2jX-z8

 

中小企業でも任意特定適用事業所であれば、ここの従業員は大企業と同じ基準で社会保険に加入することになります。

 

<大企業での加入基準>

平成28(2016)年10月から、厚生年金保険と健康保険の適用対象者が拡大されました。

週20時間以上働く短時間労働者で、厚生年金保険の加入者(被保険者)数が常時501人以上の法人・個人・地方公共団体に属する適用事業所および国に属する全ての適用事業所で働く人も厚生年金保険等の適用対象となっています。

 

【平成28(2016)年10月から拡大された適用対象者】

勤務時間・勤務日数が、常時雇用者の4分の3未満で、以下の①~⑤すべてに該当する人

① 週の所定労働時間が20時間以上あること

② 雇用期間が1年以上見込まれること

③ 賃金の月額が8.8万円以上であること

④ 学生でないこと

⑤ 被保険者数が常時501人以上の企業に勤めていること

⑤の企業を特定適用事業所といいます。

 

<中小企業への基準適用>

平成29(2017)年4月からは、被保険者数が常時500人以下の企業であっても、労使合意に基づき申出をした企業では、上記の基準が適用されています。

 

【平成29(2017)年4月から拡大された基準適用企業】

次の同意を得たことを証する書類(同意書)を添付して、本店または主たる事業所の事業主から所轄の年金事務所に「任意特定適用事業所該当/不該当申出書」を提出した企業

 ・従業員の過半数で組織する労働組合があるときは、その労働組合の同意

 ・こうした労働組合がないときはA、Bのいずれかの同意

A.従業員の過半数を代表する者の同意

B.従業員の2分の1以上の同意

このような手続をした企業を任意特定適用事業所といいます。

 

企業が新人を採用する際には、社会保険の加入について十分な説明を行うはずです。

しかし、加入基準が複雑になってきていますので、採用される側としても、「前に働いていた会社と同じ条件で働くのだから、社会保険には入らないのだろう」という先入観をもたずに、きちんと確認する必要があります。

2021/12/27|1,343文字

 

<健康診断の対象者>

企業は、常時使用する労働者に対し、労働安全衛生法に定める基準により、健康診断を実施しなければなりません。

たとえ就業規則に規定が無くても、この実施義務を免れることはできません。

むしろ、健康診断に関する規定が漏れているわけですから、就業規則への補充が必要です。

労働安全衛生法に定める対象者の基準は次の2つです。両方の基準を満たす人については、健康診断の実施義務があります。

 

【健康診断の対象者の基準】

・期間を定めないで採用されたか、期間を定めて採用されたときでも1年(深夜業を含む業務、一定の有害業務に従事する人は6か月)以上引き続き使用(または使用を予定)されていること。

・1週間の所定労働時間が、その企業で同種の業務に従事する正社員の4分の3以上であること。

 

1週間の所定労働時間が正社員の4分の3未満の労働者であっても、2分の1以上であれば、健康診断を実施することが望ましいとされています。努力義務です。

 

<実施義務のある健康診断>

実施しなければならない健康診断は次のとおりです。

1.常時使用する労働者に対しては、雇入れの際に行う健康診断、及び1年に1回定期に行う健康診断。

2.深夜業に常時従事する労働者に対しては、その業務への配置替えの際に行う健康診断、及び6か月に1回定期に行う健康診断。

3.一定の有害な業務に常時従事する労働者に対しては、採用、及びその業務への配置替えの際と、その後に定期で行う特別の項目についての健康診断。

4.その他必要な健康診断。

 

<深夜勤務と健康診断>

上記のうち、2.が深夜勤務についての健康診断です。

この中の「常時従事」については、法令には明確な基準が示されていませんが、通達で「深夜業を含む業務に関しては、業務の常態として、深夜業を1週1回以上または1か月に4回以上行う業務」と示されています。〔昭和23年10月1日付基発第1456号〕

実施しなければ、1人につき50万円以下の罰金という罰則も、常時50人以上の労働者を使用していれば、所轄の労働基準監督署に健康診断結果報告書を提出しなければならないのも一般の定期健康診断と同じです。

22:00~翌朝5:00の勤務回数を適正に把握して、健康診断の実施漏れが発生しないように注意しましょう。

 

<自発的健康診断の結果の提出>

企業側の義務とは別に、深夜勤務をしている労働者から自発的な健康診断の結果の提出が、労働安全衛生法に制度として認められています。

(自発的健康診断の結果の提出)
第六十六条の二 午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間における業務(以下「深夜業」という。)に従事する労働者であつて、その深夜業の回数その他の事項が深夜業に従事する労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものは、厚生労働省令で定めるところにより、自ら受けた健康診断(前条第五項ただし書の規定による健康診断を除く。)の結果を証明する書面を事業者に提出することができる。

こちらについては、厚生労働省令が「6か月を平均して1か月当たり4回以上深夜業に従事した者」という基準を示しています。

2021/12/26|1,440文字

 

<働き方改革とは>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料を基に考えると「働き手の不安を解消し満足度を高めるための多面的な施策により、日本全体で質の良い労働力を確保するための変革」といえるでしょう。

 

社員は人間ですから、ある程度の時間働き続ければ、肉体的精神的疲労が蓄積して効率が低下してきます。

しかし、休憩や休暇によってリフレッシュできれば、体力と気力が回復して生産性が高まります。

適切な労働時間で働き、ほどよく休暇を取得することは、仕事に対する社員の意識やモチベーションを高めるとともに、業務効率の向上にプラスの効果が期待されます。

 

これに対し、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性も高まりますし、生産性は低下します。

また、離職リスクの上昇や、企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じることになります。

社員のためだけでなく、そして企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が得策です。

 

社員の能力がより発揮されやすい労働環境、労働条件、勤務体系を整備することは、企業全体としての生産性を向上させ、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につなげることができます。

 

<長時間労働の解消>

現在、大手企業を中心に最も進んでいる働き方改革といえば、残業時間を初めとする労働時間の削減でしょう。

労働時間の削減は、ひとつ一つの業務の必要性を見直すことが基本です。

過去からの習慣で行っている業務、得られる成果が経営陣の自己満足だけのような業務は最初に切り捨てられます。

これはこれで正しいのですが、労働者側の声として「働き方改革の影響で収入が減った。転職を考えている」というのがあります。

残業時間の減った正社員は、その分だけ残業手当が減り給与が減少します。

パート社員は時間給ですから、出勤日数や労働時間が減った分だけ収入が減ります。

会社側は、働き方改革で労働時間が減り、労働生産性が向上したということで喜んでいる一方、働き手の不満は膨らんでいるようです。

 

<正しい働き方改革>

「残業時間が減ったから残業手当も減った。バンザイ!」というのは、飽くまでも会社側の考えです。

収入が減れば、社員のモチベーションは低下します。

生活レベルも低下して疲労回復も限定されてしまいます。

会社への帰属感は低下します。

「この会社が好きだけど、今の仕事が気に入っているけれど、転職しないと生活できない」という社員も増えてしまいます。

こうした状態では、労働生産性が低下します。

やる気が無くなり、不安が先行しますから当たり前のことです。

社員は人間ですから、収入が減ればやる気が無くなります。

残業時間が減ったのなら、今までの残業分を定額残業代として支給してはいかがでしょうか。

残業代を不当に削るための定額残業代ではなく、働き方改革が進んだことへの報奨としての定額残業代です。

パート社員についても時給のアップを考えましょう。

採用難の中、ただでさえ人材確保のために時給を高めに設定する必要があります。

「皆さんのご協力のおかげで働き方改革が進んでいます。これに報いるため時給の見直しを行います」というアナウンスをすると効果的です。

たしかに形式的には、会社の人件費は少しも削減されません。

しかし、社員の疲労は軽減され、やる気は大幅にアップします。

これが正しい働き方改革の姿なのです。

2021/12/25|860文字

 

<民法改正>

令和4(2022)年4月から、民法の改正により、成年年齢が20歳から18歳に引下げられます。

18歳・19歳も法律上は大人の扱いを受け、両親のような法定代理人の同意を得ずに、様々な契約を交わすことができるようになります。

この反面、法定代理人の同意を得ずに交わした契約であっても、未成年者取消権は使えなくなります。

このことから、社内の18歳・19歳の従業員が、悪質商法の被害者となりやすくなることが懸念されます。

会社としても、こうした従業員に対しては、注意喚起しておくことをお勧めします。

 

<成年になる日>

令和4(2022)年4月1日、一斉に成年になるのは、平成14(2002)年4月2日から平成16(2004)年4月1日までに生まれた人たちです。

平成16(2004)年4月2日以降に生まれた人は、18歳の誕生日の前日に成年に達することになります。

 

<成年になるとできること>

クレジットカードを作る、携帯電話の契約をする、アパートを借りる、ローンを組むなどの契約が一人でできます。

住む場所や進学先・就職先も自分の意思で決めることができます。

国家資格の取得、10年有効パスポートの取得、性別変更の審判を受けることなど、できるようになることが一気に増えます。

 

<20歳にならないとできないこと>

飲酒や喫煙は、健康面への配慮から20歳にならないとできません。

また、青少年保護などの観点から、公営ギャンブルや大型・中型自動車免許の取得も20歳からとなっています。

さらに、国民年金保険料の納付義務のように、制度設計上20歳からとされるものもあります。

 

<労働契約>

労働契約は口頭でも成立します。〔民法第623条、労働契約法第6条〕

契約成立により、雇主と労働者には互いに責任と権利が生じ、身勝手な解約はできません。

未成年の労働者の親権者などが、労働者にとって一方的に不利だと判断した場合に、法定代理人として解約できるに過ぎません。〔労働基準法第58条第2項〕

この未成年の基準も、20歳から18歳に引下げられることになります。

2021/12/24|1,999文字

 

<年次有給休暇の付与日数>

労働基準法で、年次有給休暇の付与日数は次の【図表1】のとおりです。週所定労働日数が4日以上で、週所定労働時間が30時間以上の場合には、週所定労働日数が5日以上の欄が適用されます。

 

【図表1】

週所定

労働日数

勤 続 期 間

6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月以上
5日以上

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

4日以上5日未満

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

3日以上4日未満

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

2日以上3日未満

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

1日以上2日未満

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

 

これは法定の日数ですから、就業規則にこれと異なる規定があれば、労働者に有利である限りそれに従います。

【図表1】の中の週所定労働日数は、一般には「4日」「3日」などと表示されていますが、たとえば「4日」というのは「4日以上5日未満」という意味です。

月間所定労働日数さえ決まっていれば、週所定労働日数は次の計算式で求められます。

週所定労働日数 = 月間所定労働日数 × 12か月 ÷ 52週

こうして求められた週所定労働日数を、【図表1】に当てはめて年次有給休暇の日数を確定することができます。

 

会社によっては、所定労働日数を年間で決めている場合もあります。

この場合、次の【図表2】が用いられます。

 

【図表2】

年間所定

労働日数

勤 続 期 間

6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月以上

217日以上

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

169~216日

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

121~168日

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

73~120日

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

48~72日

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

 

所定労働日数を半年間で決めているのなら2倍し、3か月間で決めているのなら4倍すれば良いのです。

 

<出勤率の問題>

年次有給休暇の付与について、労働基準法に次の規定があります。

 

(年次有給休暇)第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

○2 使用者は、一年六箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して六箇月を超えて継続勤務する日(以下「六箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数一年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる六箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の八割未満である者に対しては、当該初日以後の一年間においては有給休暇を与えることを要しない。

 

法律上は、出勤率が八割以上なら【図表1】か【図表2】で定められた年次有給休暇が付与され、八割未満なら全く付与されないということになります。

 

この出勤率は、大雑把に言うと 出勤した日数 ÷ 出勤すべき日数 で計算されます。

しかし、シフト制で、しかもそのシフトの変更が激しい職場などでは、出勤すべき日数(全労働日)を確定するのが困難です。

 

また、出勤率が八割未満ということは、年次有給休暇をフルに取得したうえ、さらに欠勤も発生している状態だと考えられます。

何らかの事情があって、そうなってしまったのでしょう。

翌年度も、同じ事情があるのなら、少しは年次有給休暇を付与してあげたいというのが人情です。

 

<出勤率を計算しないで付与する方法>

【図表2】の年間所定労働日数の欄を、年間出勤日数に変え、数値をその八割に置き換えたのが次の【図表3】です。

 

【図表3】

年間出勤日数

勤 続 期 間

6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月以上

173日以上

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

135~172日

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

96~134日

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

58~95日

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

38~57日

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

 

【図表3】は、【図表2】で出勤率八割をギリギリの日数でクリアした状態を想定して作ってあります。

ですから、実際の年間出勤日数だけをカウントし、面倒な出勤率を計算せずに、年次有給休暇を付与した場合には、労働者に少しだけ有利となり、労働基準法違反とはなりません。

具体的には、欠勤がほとんど無い場合に、1行上の日数が付与されることになります。

そして、出勤率が低くても、それなりの日数だけ年次有給休暇が付与されます。

 

この仕組みなら、積極的にシフトに入ろうとするでしょうし、なるべく欠勤しないように頑張れるのではないでしょうか。

2021/12/23|1,109文字

 

「管理監督者」という言葉が分かりにくい理由https://youtu.be/dlaHqUuVQ1Y

 

<不幸な「名ばかり管理監督者」>

残業手当、休日出勤手当といった時間外割増賃金を支給されない役職者が多数います。

その根拠とされるのが次の条文です。

 

【労働基準法第41条】

この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者

二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者

三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

 

この「監督若しくは管理の地位にある者」に該当するのはどのような人なのか、労働基準法の中には説明がありません。

会社の中で素人的にイメージされるのは、何となく「役職者」「管理職」でしょうか。

このように解釈すれば、新入社員であれ誰であれ、役職さえ付けて管理職扱いにすれば、残業手当などを支給しなくても構わないことになりますから、会社にとっては都合の良い解釈です。

小さな企業の中では、正社員の全員にリーダー、チーフ、班長など、手頃な役職名を付けて、割増賃金を支給しないという現象も見られました。

最近でも、「管理職」には残業手当を支給しないこととしている大企業や大手グループ企業について、その違法性を指摘するニュースが流れています。

 

実は、労働基準法の中には、「役職者」「管理職」という用語が1回も登場しません。

これひとつを取ってみても、「役職者」「管理職」を「監督若しくは管理の地位にある者」と解釈することには無理があります。

 

<「監督若しくは管理の地位にある者」の条件>

管理監督者と認められるためには、次の3つの条件が、すべて満たされていなければなりません。

 

【管理監督者の条件】

・経営者と一体的な立場で仕事をしていること。つまり、大きな権限を与えられていて、多くの事案について上司に決裁を仰ぐ必要が無い立場にあること。

・出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていないこと。つまり、出退勤時間が自らの裁量に任されていること。遅刻や早退をしたら、給料や賞与が減らされるような立場では、管理監督者とはいえません。

・その地位にふさわしい待遇がなされていること。つまり、一般社員と比較して一段上の待遇がなされていること。部下が長時間労働をすると、あるいは高い評価を得ると、年収が逆転しうるのでは管理監督者とはいえません。

 

イメージとしては、あと一歩で取締役という立場にあり、強い権限を持っている人が本当の管理監督者です。

責任ばかりが重くて、権限が与えられていないような社員は、管理監督者であるはずがありません。

2021/12/22|1,422文字

 

パワハラの定義https://youtu.be/Mdh36sSuu2o

 

<男女平等>

かつての男尊女卑は否定され、憲法は平等権を保障しています。

 

日本国憲法第14条第1項:平等権

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

これを受けて、労働基準法は男女同一賃金の原則を定めています。

 

労働基準法第4条:男女同一賃金の原則

使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。

 

さらに、男女雇用機会均等法は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図る」として、募集・採用における機会均等を保障し、配置、昇進、降格、教育訓練、福利厚生、職種・雇用形態の変更、退職の勧奨、定年、解雇、労働契約の更新について、性別による差別を禁止しています。

 

<LGBTQの保護>

しかし、上記の男女平等の考え方は、男性と女性を峻別し、両者の平等をいうものであって、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー等の性的マイノリティ(少数者)   の存在を十分に踏まえたものではありません。

そこで、性的マイノリティを保護する必要性について、社会的に認識されるようになってきました。

かつてはLGBTと言われていたのですが、これらに含まれない性的マイノリティの保護も必要であることから、LGBTに分類されないこうした人たちをQで表し、LGBTQと言うことが多くなってきました。

 

<SOGIによる差別の禁止>

ところが、性的マイノリティと性的マジョリティ(多数者)を分断して対応することにも、疑問が生じてしまいます。

全体の何%未満ならマイノリティなのか、そうした比率を把握できるのかという問題があります。

そこで、SOGIという言葉が使われるようになりました。

SOはセクシャルオリエンテーションの略で、恋愛の対象は、男女どちらか、両方か、いないかという性的指向を意味します。

GIはジェンダーアイデンティティーの略で、自分の心の中の性別は、男女どちらか、不明かという性自認を意味します。

SOGIによる差別の禁止は、性別や少数者・多数者という分断をせずに、すべての人が保護の対象となります。

 

<国の考え方>

令和3(2021)年2月には、性同一性障害特例法により男性から女性に変更した看護助手が、ソジハラで精神障害を発生したとされ労災認定を受けました。

ソジハラは、SOGIハラスメントの略で、性的指向・性自認に関するハラスメントです。

ソジハラの内容は、戸籍上も女性となったにも拘らず、職場で男性のような名前で呼ばれていたというものです。

これに先立ち、大企業では令和2(2020)年6月から義務化された職場におけるパワハラ防止措置の実施に伴い、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)」が適用されています。

この中で、ソジハラがパワハラに該当すると明記されています。

 

<解決社労士の視点から>

押印廃止のように、政府の取組が民間に先行するものもあります。

ソジハラ対策もまた、これに含まれるでしょう。

社内で、SOGI、ソジハラについて周知できていない企業も多いのではないでしょうか。

思わぬことで、企業の責任が問われることにもなりかねません。

すべての企業で、SOGIハラスメント防止対策に取組んでいただきたいと思います。

2021/12/21|1,425文字

 

有期労働契約の打切り>

一般の正社員のように、契約期間を区切らず定年まで働く契約を無期労働契約といいます。

これに対して、パートやアルバイトなど契約期間を区切って更新を重ねていく契約を有期労働契約といいます。

有期労働契約で雇っている労働者を、期間満了時に契約の更新を行わずに終了させることを「雇止め(やといどめ)」といいます。

 

<法律の規定>

一定の場合に「使用者が(労働者からの契約延長の)申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」という抽象的な規定があります。〔労働契約法第19条〕

ここで、「客観的に合理的な理由を欠き」というのは、労働契約法第1条に示された労働契約法の目的や全体の趣旨に反することをいうと考えられます。

 

労働契約法第1条(目的)

この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。

 

また、「社会通念上相当である」というのは、裁判で認定された世間一般の常識に反していないことを指していると考えられます。

 

これは、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「雇止めに関する法理」という理論を条文にしたものです。

ですから、雇止めがこの理論による有効要件を満たしていなければ、裁判では無効とされ、有期労働契約が自動的に更新されることになります。

 

<雇止めに関する法理>

雇止めは、次のような事情が多く認められるほど、有効と判断されやすくなります。

・業務内容や労働契約上の地位が臨時的なものであること。

・契約更新を期待させる制度や上司などの言動が無かったこと。

・契約更新回数が少ないこと、また、通算勤続期間が短いこと。

・他の労働者も契約更新されていないこと。

・雇止めに合理的な理由が認められること。

 

反対に、次のような事情があると、雇止めが無効であり労働契約が継続していると判断されやすくなります。

業務内容や労働契約上の地位が継続的なものであること。正社員と同様の働き方をしていること。

・就業規則に契約更新を期待させる内容や上司など一定の立場にある人から「長く働いて欲しい」「来年もよろしく」など契約更新を期待させる言葉があったこと。

・契約更新回数が多いこと、また、通算勤続期間が長いこと。

・同じ職場で、同様の契約をしている労働者の中に、契約を更新されている人がいること。

・雇い止めに客観的に合理的な理由が認められないこと(些細なことや上司の好き嫌いを理由に契約を更新しないなど)。

契約更新を期待させる事情があったり、契約を更新しない理由が不合理であったりする場合です。 

 

<注意ポイント>

契約期間の終了間際になってから雇止めの話を切り出したり、事前に充分な説明が無かったりすれば、それだけで「社会通念上相当でない」と判断されます。

雇止めをする事情が発生したときに、「あまり早く事情を説明したら勤務意欲を失うのではないか」と考えてためらってはいけません。

対象者は次の仕事を見つける必要がありますから、できるだけ早く納得のいく説明を聞きたいのです。

2121/12/20|1,831文字

 

<所定労働日数についての勘違い>

「所定」は「定まる所」つまり「決めたこと」「決まっていること」ですから、所定労働日数というのは就業規則や労働契約で決められている労働日数です。

月給制の人について、1か月の所定労働日数がある場合、これを下回ったら欠勤控除が必要で、これを上回ったら休日出勤手当が必要だという勘違いが起こりやすいようです。

 

<所定労働日数の意味>

所定労働日数は、月給の時間単価を計算するのに必要です。

月給を月間所定労働時間で割って時間給を計算し、時間外労働1時間当たりの賃金を、時間給 × 1.25などとして計算します。

この場合、月間所定労働時間 = 1日の所定労働時間 × 月間所定労働日数で計算されるのが一般です。

 

<月間所定労働日数を決めるときの端数>

就業規則に従って、カレンダーで年間の休日数を数え365日から引いて年間の労働日数を確定します。

うるう年と平年でも違いますし、同じ平年でも日曜日と祝日の重なる回数などによって変動があります。

そして、月間所定労働日数 = 年間の労働日数 ÷ 12 の計算式によって、月間所定労働日数を決めることが多いと思います。

このとき、22.51日、23.16日など、端数が出るのが通常です。

こうした場合に、切り上げると月給の時間単価は安くなり、切り捨てると高くなります。

今までの運用実績があるのなら、切り上げると厳密には不利益変更となりますので、切り捨てるのが無難です。

月間所定労働日数に小数点以下の端数があっても、給与計算には困らないのですが、一般には整数で決められています。

 

<平均所定?>

就業規則などに「平均所定労働日数」「平均月間所定労働日数」と書いてあるのを見ることがあります。

「予定」労働日数の「平均」を計算して、「所定」労働日数を決めるわけですから、「所定」の「平均」という言葉が出てくるのは不合理です。

 

<所定労働日数を決めなくても大丈夫か>

賃金が時間給の場合や、月給制でも労使協定を交わしてフレックスタイム制を使っていれば、賃金計算には困りません。

しかし、所定労働日数が決まっていないと、年次有給休暇の付与日数が決まりません。

 

労働基準法で、年次有給休暇の付与日数は次の【図表1】のとおりです。週所定労働日数が4日以上で、週所定労働時間が30時間以上の場合には、週所定労働日数が5日以上の欄が適用されます。

 

【図表1】

週所定

労働日数

勤 続 期 間

6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月以上
5日以上

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

4日以上5日未満

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

3日以上4日未満

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

2日以上3日未満

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

1日以上2日未満

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

 

これは法定の日数ですから、就業規則にこれと異なる規定があれば、労働者に有利である限りそれに従います。

【図表1】の中の週所定労働日数は、一般には「4日」「3日」などと表示されていますが、たとえば「4日」というのは「4日以上5日未満」という意味です。

月間所定労働日数さえ決まっていれば、週所定労働日数は次の計算式で求められます。

週所定労働日数 = 月間所定労働日数 × 12か月 ÷ 52週

こうして求められた週所定労働日数を、【図表1】に当てはめて年次有給休暇の日数を確定することができます。

 

会社によっては、所定労働日数を年間で決めている場合もあります。

この場合、次の【図表2】が用いられます。

 

【図表2】

年間所定

労働日数

勤 続 期 間

6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月以上

217日以上

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

169~216日

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

121~168日

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

73~120日

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

48~72日

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

所定労働日数を半年間で決めているのなら2倍し、3か月間で決めているのなら4倍すれば良いのです。

 

結論として、所定労働日数が全く決まっていないとすると、年次有給休暇の日数が確定しません。

これでは、平成31(2019)年4月1日から、労働者からの申し出が無くても、使用者が積極的に年次有給休暇を取得させる義務を負うことになったのに、対応できないので困ったことになってしまいます。

やはり、明確に確定することが求められているのです。

2021/12/19|910文字

 

ケンカのケガと傷病手当金https://youtu.be/QGEngWbtIeM

 

<傷病手当金とは>

傷病手当金は、休業中に健康保険の加入者(被保険者)とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、私的な原因による病気やケガのために会社を休み、会社から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

被保険者は、給与天引きなどにより保険料を支払っている人です。

国民健康保険の被保険者は対象外です。

 

<支給の条件>

傷病手当金は、次の4つの条件をすべて満たしたときに支給されます。

・業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

 業務や通勤によるケガは労災保険で補償されますから対象外です。

・仕事に就くことができないこと

 医師の判断によります。大事をとって休業しても対象外です。

・連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

 最初の3日が、たまたま年次有給休暇でもOKです。

・休業した期間について給与の支払いがないこと

 給与の支払があって、その給与が傷病手当金の額より少ない場合は、傷病手当金と給与の差額が支給されます。

 

<支給される期間>

傷病手当金が支給される期間は、令和2(2020)年7月2日以降に支給が開始された場合は、支給開始から最長1年6か月です。

医師が労務不能を認めた日と、実際に休業した日が重なっている期間に限ります。

 

<支給される金額>

傷病手当金は、1日につき健康保険加入者(被保険者)の標準報酬日額の3分の2に相当する額(1円未満四捨五入)が支給されます。

標準報酬日額は、標準報酬月額の30分の1に相当する額(10円未満四捨五入)です。

標準報酬月額は、原則として4月から6月までの給与の総支給額を基準に、その年9月以降の保険料の計算基準となる月給です。

ここでの標準報酬月額は、支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額を用います。

法改正により、平成28(2016)年4月1日からこのようになりました。

 

<注意したいこと>

たとえば4日間の休業だと、もらえる傷病手当金は1日分です。

「傷病手当金支給申請書」に医師の証明を書いてもらうのに、3千円から1万円の文書料がかかります。

交通費などの経費や手間を考えると、申請を見送った方が良い場合もあるでしょう。

2021/12/18|773文字

 

<職場情報総合サイト>

厚生労働省が、平成30(2018)年9月に職場情報総合サイト「しょくばらぼ」を一般公開しました。

「しょくばらぼ」は、「若者雇用促進総合サイト」-「女性の活躍推進企業データベース」-「両立支援のひろば」の3サイトに掲載されている各企業の職場情報を収集し、転載しています。

また、各企業の各種認定・表彰の取得等の情報も掲載しています。

このように、職場情報をワンストップで閲覧できるようにし、横断的に検索・比較できるようにすることで、企業と働き手のよりよいマッチングの実現が期待できます。

職場環境の維持向上に努めている企業にとっては、アピールの場が新たに増えたことになります。

 

職場情報総合サイトしょくばらぼ:https://shokuba.mhlw.go.jp/index.html

 

【「しょくばらぼ」の特徴について】

1 主なコンテンツ・機能

  ・当サイトについて(掲載する職場情報、メリット、当サイト設立の背景)

  ・利用方法(使い方・ご利用の流れ、操作マニュアル)

  ・職場情報検索(企業名・条件からの検索機能、複数の企業の比較機能)

  ・CSV一括ダウンロード(職場情報の全件データのダウンロード機能)

 

2 掲載する主な職場情報

  ・採用状況に関する情報

  ・働き方に関する情報

  ・女性の活躍に関する情報

  ・育児・仕事の両立に関する情報

  ・能力開発に関する情報

  ・ハローワークインターネットサービスに掲載されている求人情報とのリンク

 

3 職場情報総合サイトの活用のメリット

  ■求職者

  ○ライフスタイルや希望条件にあった企業の選択

  ○事前に企業の就業実態を把握し、入社後のミスマッチを防止

  ■データ登録企業

  ○職場情報を開示することによる企業のPR

  ○職場改善への取組が評価されることによる優秀な人材の獲得

2021/12/17|1,493文字

 

<所定労働日数についての勘違い>

「所定」は「定まる所」つまり「決めたこと」「決まっていること」ですから、所定労働日数というのは就業規則や労働契約で決められている労働日数です。

月給制の人について、1か月の所定労働日数がある場合、これを下回ったら欠勤控除が必要で、これを上回ったら休日出勤手当が必要だという勘違いが起こりやすいようです。

 

<所定労働日数の意味>

所定労働日数は、月給の時間単価を計算するのに必要です。

月給を月間所定労働時間で割って時間単価を計算し、時間外労働1時間当たりの賃金を、時間単価 × 1.25などとして計算します。

この場合、月間所定労働時間 = 1日の所定労働時間 × 月間所定労働日数で計算されるのが一般です。

 

<所定労働日数を決めなくても大丈夫か>

賃金が時間給の場合はもちろん、月給制でも労使協定を交わしてフレックスタイム制を使っていれば、賃金計算には困りません。

しかし、所定労働日数が決まっていないと、年次有給休暇の付与日数が決まりません。

 

労働基準法で、年次有給休暇の付与日数は次の【図表1】のとおりです。週所定労働日数が4日以上で、週所定労働時間が30時間以上の場合には、週所定労働日数が5日以上の欄が適用されます。

 

【図表1】

週所定

労働日数

勤 続 期 間

6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月以上
5日以上

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

4日以上5日未満

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

3日以上4日未満

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

2日以上3日未満

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

1日以上2日未満

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

 

これは法定の日数ですから、就業規則にこれと異なる規定があれば、労働者に有利である限りそれに従います。

【図表1】の中の週所定労働日数は、一般には「4日」「3日」などと表示されていますが、たとえば「4日」というのは「4日以上5日未満」という意味です。

月間所定労働日数さえ決まっていれば、週所定労働日数は次の計算式で求められます。

週所定労働日数 = 月間所定労働日数 × 12か月 ÷ 52週

こうして求められた週所定労働日数を、【図表1】に当てはめて年次有給休暇の日数を確定することができます。

 

会社によっては、所定労働日数を年間で決めている場合もあります。

この場合、次の【図表2】が用いられます。

 

【図表2】

年間所定

労働日数

勤 続 期 間

6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月以上

217日以上

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

169~216日

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

121~168日

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

73~120日

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

48~72日

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

所定労働日数を半年間で決めているのなら2倍し、3か月間で決めているのなら4倍すれば良いのです。

 

結論として、所定労働日数が全く決まっていないとすると、年次有給休暇の日数が確定しません。

このような会社に所轄の労働基準監督署が立入調査(臨検監督)に入った場合には、過去の勤務実績から、1週間あたりの出勤日数を基に年次有給休暇を付与するよう指導しているようです。

しかし、このような便法では、常に出勤率100%という扱いになりますし、出勤率80%以上であれば年次有給休暇が付与されるという法定の基準よりも、少なめの日数が付与されるなどの不合理があります。

たとえシフト制などで変動が大きい場合にも、基準となる所定労働時間、所定労働日数を決めておくことがトラブル防止のためにも必要でしょう。

2021/12/16|1,251文字

 

セクハラ対策の失敗https://youtu.be/T67U7qWeYx4

 

<懲戒処分の時効>

懲戒処分について、消滅時効期間を定める法令はありません。

会社の就業規則にも「○年以上経過した事実に対する懲戒処分は行わない」などの規定は無いでしょう。

ただ、懲戒処分は労働契約に付随するものですから、次に示す民法の基本原則が適用されます。

 

 【民法第1条:基本原則】

  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

3 権利の濫用は、これを許さない。

 

つまり、いくら会社に懲戒権があるからといって、ずいぶん前の事実について懲戒処分を行うことは、不誠実でもあり権利の濫用ともなりうるので許されません。

 

<懲戒と刑罰>

刑事訴訟法には、公訴時効についての規定があります。

犯罪が終わってから、一定期間を過ぎると検察官が公訴を提起できなくなります。

会社による懲戒処分は、国家権力による刑罰とは違いますが、その目的は共通しています。

 

【懲戒処分の目的】

・懲戒対象となった社員に反省を求め、その将来の言動を是正しようとすること。

・会社に損害を加えるなど不都合な行為があった場合に、会社がこれを放置せず懲戒処分や再教育を行う態度を示すことによって、他の社員が納得して働けるようにすること。

 

何が許され何が許されないのか社員一般に対して基準を示し、みんなが安心して就業できる職場環境を維持するためには、就業規則の懲戒規定が具体的でわかりやすいことが必要です。

そうでなければ、懲戒対象者が処分に納得せず、会社を逆恨みすることもあります。

これでは、懲戒処分の目的が果たされません。

社会保険労務士に報酬を支払ってでも、それぞれの会社にピッタリの就業規則を作る必要があることは、懲戒規定だけを考えても明らかです。

 

<実際の公訴時効期間>

セクハラについて見ると、現在の刑事訴訟法では次のように規定されています。

30年 ― 強制性交等致死罪、強制わいせつ致死罪

15年 ― 強制性交等罪

3年 ― 名誉毀損罪、暴行罪、過失致傷罪、脅迫罪

1年 ― 侮辱罪、軽犯罪法違反罪

しかも、一部の公訴時効期間は、平成16(2004)12月の刑事訴訟法改正により、延長されています(翌年1月1日施行)。

こうしてみると、被害者が亡くなったような重大なケースを除き、20年前のセクハラで懲戒処分を行うというのは、懲戒権の濫用となる可能性が高いでしょう。

 

<時代背景からすると>

日本でセクハラという言葉が使われるようになったのは1980年代半ばだとされています。

しかし、男女雇用機会均等法が改正され、性的嫌がらせへの会社の配慮についての規定が置かれたのが平成9(1997)年です。

20年前というと、行為者がセクハラについての社員教育を受けていなかった可能性が高く、また、就業規則にもセクハラに対する懲戒処分の規定が無かった可能性があります。

行為の当時、就業規則に規定が無かったのならば、後から新たに規定ができても、これを根拠に懲戒処分をすることはできません(不遡及の原則)。

2021/12/15|753文字

 

ケンカのケガと傷病手当金https://youtu.be/QGEngWbtIeM

 

<健康保険法等の改正>

治療と仕事の両立の観点から、より柔軟な所得保障ができるよう「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律(令和3年法律第66号)」により健康保険法等が改正されます。

この改正により令和4(2022)年1月1日から、傷病手当金の支給期間が通算化されるようになります。

 

<通算化の意味>

傷病手当金の支給期間が、支給開始日から「通算して1年6か月」になります。

・同一のケガや病気に関する傷病手当金の支給期間が、支給開始日から通算して1年6か月に達する日まで対象になります。

・現在は、支給期間中に途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合、支給開始日から起算して1年6か月を経過後は、不支給となっています。

・法改正により、支給期間中に途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合には、支給開始日から起算して1年6か月を超えても、繰り越して支給可能になります。

 

<改正法施行日>

この法改正は、令和4(2022)年1月1日から施行されます。

令和3(2021)年12月31日時点で、支給開始日から起算して1年6か月を経過していない傷病手当金が対象となります。

言い換えれば、令和2(2020)年7月2日以降に支給が開始された傷病手当金が対象ということになります。

 

<実務の視点から>

現状の制度では、傷病手当金を受給中の従業員について、支給開始日のみ記録して1年6か月後の支給終了日をチェックしておけば、手続漏れなどを気にしなくて済みました。

しかし法改正により、実際の受給期間を通算していき、通算1年6か月後をチェックする必要が生じたわけです。

もっとも、途中で傷病手当金の支給が途切れた従業員についてのみ、注意すれば足りるということになります。

2021/12/14|655文字

 

パワハラの理解と業務の円滑な遂行https://youtu.be/2MGzpEY4ojI

パワハラしやすい人https://youtu.be/9dnI-MD1zkQ

 

<加害者に対して>

パワハラというのは、意図して行うような例外を除き、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

被害者が退職した後も、加害者が嫌がらせを続ける場合があります。

しかし、この場合には、加害者が被害者に対して業務上必要な働きかけをするということがありませんので、人権侵害行為が単独で行われている状態です。

この人権侵害行為の多くは不法行為に当たり、被害者から加害者に対して損害賠償の請求が可能です。

さらに、この人権侵害行為が犯罪にあたる場合には、警察に被害を申し出て対応してもらうことになります。

ここで考えられる犯罪としては、刑法に規定されているものだけでも、暴行罪、傷害罪、脅迫罪、名誉毀損罪、侮辱罪などが考えられます。

 

<加害者の勤務先に対して>

加害者の勤務先としても、社員が退職者に対して権利侵害行為を行っているという事実は重大な関心事です。

たとえ勤務と無関係に行われた行為であっても、社員が会社の利益や信用を低下させる行為を行った場合には、行為者に対して懲戒処分を行いうるのです。

警察沙汰になったり、裁判になったりすれば、会社にとって大きなダメージとなりますから、放置することはできません。

退職者としてではなく、一個人として会社に被害を受けていることの事実を伝えるのが良いでしょう。

このような場合に心細いのであれば、交渉事ではありませんので、社会保険労務士に付き添いを依頼することも可能です。

2021/12/12|855文字

 

最低賃金違反を主張できないhttps://youtu.be/1eoYYTCzCkM

 

<最低賃金の発効日>

最低賃金は、都道府県ごとに定められ、改定日にも多少の違いがあります。

たとえば、東京都の最低賃金(時間額)は、令和2(2020)年にコロナ禍によって改定が見送られたものの、例年10月1日をもって引き上げられます。

この日が発効日ですから、この日に勤務した分から最低賃金(時間額)を下回る時間給は違法になってしまいます。

日給でも月給でも、1時間あたりの賃金が最低賃金(時間額)を下回ってはいけません。

 

<雇用契約書を変更する必要性>

契約期間が最低賃金の改定前後にまたがる雇用契約書(労働契約書)であれば、その人の賃金時間額が最低賃金を下回っている場合に、改定日以降の期間について最低賃金以上の賃金に改定した内容で雇用契約書を交わし直す必要があります。

賃金という重要項目でもありますし、いつの分からの変更か明らかにする意味でも、また、最低賃金改定の説明をするチャンスでもあることから、修正して訂正印ではなくて、きちんと作り直して説明のうえ交付することをお勧めします。

 

<雇用契約書が複数ある場合の効力>

上記の場合、古い雇用契約書には、まだ契約期間が残っていて、新しい雇用契約書と期間がダブることになります。

そして古い雇用契約書も、その期間の雇用契約を明らかにする重要な文書ですから、回収するわけにもいきません。

雇用契約書を含め契約書には必ず作成年月日が記されています。

これは、契約内容が変更され新しい契約書が作成された場合には、作成年月日の新しいものが優先的に効力を持つという約束事があるからです。

ですから期間の重なった複数の雇用契約書があっても、最新のものが適用されるということで安心なのです。

雇用契約書の作成年月日を空欄にしたままではいけません。

きちんと契約書を完成させた日の日付を入れておきましょう。

 

最低賃金の引き上げに限らず、有期契約の無期化や、社会保険加入基準の変更などで、雇用契約の管理は少し複雑になってきています。

面倒に思えてきたらお近くの社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

2021/12/12|1,540文字

 

ダブルワーク禁止https://youtu.be/SKw4MHjy9zc

 

<シフトゼロなら休業ゼロの疑問>

パートやアルバイトで、シフト制で勤務している労働者は、たとえば来月1か月は店舗が休業という場合、全くシフトに入らないことになります。

この場合、そもそも出勤予定日が無いのだから、1日も出勤しない状態であっても、休業は発生せず、したがって休業手当は不要であり、雇用調整助成金の対象にもならないという解釈があります。

実際、この解釈によって、大企業を含む多くの企業がシフト制の労働者に休業手当を支払わず、雇用調整助成金の手続も行わないという事実があって、この問題をマスコミが採り上げています。

 

<休業の定義>

休業とは、労働者による労務提供が行われない場合のうち、労働者が労働契約に従って労働の用意をなし、労働の意思を持っているにもかかわらず、その給付の実現が拒否され、または不可能となった場合をいいます。

そもそも労働者が労務を提供することができない場合や、労務を提供する意思が無い場合には、休業には該当しないことになります。

休業の定義の中で「労働契約に従って」というのが、大きなポイントとなります。

シフトが組まれるなどにより、出勤が予定されている日に休むのが休業ではなく、労働契約が予定している日に休むのが休業だということになります。

週3日シフトに入るという労働契約であったのに、1日しかシフトに入らないのであれば、2日の休業が発生することになるのです。

 

<労働契約の内容>

労働契約の内容は、労使の合意により決定されます(労働契約法第6条)し、労働契約は口頭で成立します(民法第623条)。

使用者が労働条件通知書の交付などによって労働条件を明示しないのは、労働基準法違反となり罰則も適用されうるのですが、この場合でも労働契約は成立しています。〔労働基準法第15条第1項、第120条第1号〕

つまり、使用者が明示義務を負っている労働条件の一部があやふやであったとしても、労働契約そのものは成立しているわけです。

ただ、シフトに殆ど入れない、全く入れないなどの場合に、休業が何日になるのかがあやふやになってしまいます。

 

<合理的意思解釈>

労働契約の締結にあたって、使用者は「退職者の穴を埋めてもらうのに、週3日程度働いてもらいたい。週2日では足りないし、週4日だと人手が余る」などと考えます。

一方、労働者も「月10万円は稼ぎたいので、週3日は働きたい。週2日だと足りないし、週4日だと家事ができない」などと考えます。

しかし、週何日あるいは月何日出勤するのか明確な合意が無いまま、なんとなく合意して労働契約が成立することがあります。

この場合でも、労働契約に従って休業の日数が決定されることになります。

その労働者の過去の労働日数の実績や、同様の「約束」で勤務している労働者の労働日数の実態などから、「労働契約の内容をこのように考えるのが合理的だ」というものを割り出して、これを基準とすることになります。

こうしたやり方を「合理的意思解釈」と呼び、民事裁判でも使われている手法です。

雇用調整助成金についても、シフト勤務で労働契約の内容の一部が不明確な場合には、過去の勤務実績を踏まえて、金額が確定されることになっています。

 

<解決社労士の視点から>

たとえば年次有給休暇の付与日数は、週所定労働日数(時間)によって法定されています。

労働契約の内容が不明確で確定し難い場合には、労働基準監督署が過去の勤務実績を基準に付与するよう指導しています。

しかし、入社の6か月後に付与される年次有給休暇とは異なり、休業手当の問題は入社後すぐにも発生しうるのです。

やはりシフト制といえども、1週あたりの労働日数、労働時間を明確に決めて明示しておくことが、トラブル防止のためにも必要でしょう。

2021/12/11|1,000文字

 

<「被」という漢字の意味>

「被」という漢字には、受け身の意味があります。

ここで「受け身」というのは、行動の主体からの動作・作用を受ける人を主人公にして話す話し方です。

 

AさんがBさんをほめた。

この事実をBさんから見ると、

BさんがAさんからほめられた。

となります。

 

英語の授業では受動態として習いましたし、漢文の授業では「る」「らる」という受け身の助動詞として習いました。

 

<社会保険で「被」が付くことば>

「被保険者」は、保険について受け身の人のことをいいます。

保険者は、保険を運用する人のことをいいます。

健康保険の保険者は、保険証に書かれています。

協会けんぽであったり、健康保険組合であったり…

国民健康保険では、市町村が保険者です。

そして、保険が適用され給付を受ける人が「被保険者」ということになります。

日常用語では「保険加入者」ですね。

 

「被扶養者」は、扶養について受け身の人のことをいいます。

扶養する人を、わざわざ「扶養者」ということは少ないでしょう。

誰かに扶養されている人のことを「被扶養者」といいます。

日常用語では「扶養家族」ですね。

特に被扶養者のうち配偶者を「被扶養配偶者」といいます。

国民年金では勤め人が第二号被保険者、その被扶養配偶者が第三号被保険者ということになっています。

 

<労働保険で「被」が付くことば>

雇用保険や労災保険でも、保険を適用される人が「被保険者」ということになります。

労災保険では、保険事故に遭った人のことを「被災者」といいます。

業務災害や通勤災害という災害に遭った人ということです。

 

<その他「被」が付くことば>

「被相続人」というのは亡くなった人です。

「相続人」は、相続する人、相続を受ける人のことですから、相続をされる側の人は亡くなった人ということになります。

 

「被害者」は害を受ける人です。相手は「加害者」です。

 

「被告人」は、犯罪の嫌疑を受けて公訴を提起された人です。

「告訴された人」が語源ですが、その意味は「起訴された人」です。

告訴は、犯罪の被害者などが、捜査機関に犯罪事実を申告し、犯人の訴追を求めることですから、起訴とは意味が違っています。

なお「被告」は、民事裁判で訴えを提起された人のことを指しますから、犯罪者というわけではありません。

日常用語では、「被告人」と「被告」が混同されています。

テレビなどのニュースでも、正しく区別して表現されないことがあります。

 

2021/12/10|940文字

 

<社会保険の加入基準>

社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入は、1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が常時雇用者(正社員など)の4分の3以上というのが原則の基準です。

ただし、大企業などで特定適用事業所となっている場合には、1週間の所定労働時間が20時間以上でも加入となりえます。

「勤務日数が少なくなった」というのが、一般の企業で1か月の所定労働日数が常時雇用者(正社員など)の4分の3を下回ったという意味であれば、社会保険から脱退(資格喪失)することになります。

特定適用事業所の場合には、1週間の所定労働時間が20時間を下回ったのであれば、同様に社会保険から脱退(資格喪失)することになります。

 

<所定労働時間・日数>

「所定」とは「あらかじめ決められている」という意味です。

そして、所定労働時間や所定労働日数は、使用者と労働者との労働契約での合意によって決まります。

企業は「就業規則」か、個人ごとに交付する「労働条件通知書」などの書面で、労働者に所定労働時間や所定労働日数を示します。

 

<事実か契約か>

社会保険の加入基準は、事実としての勤務日数ではなく、所定労働日数が原則です。

ですから、病気や家庭の事情により、一時的に勤務日数が少なくなったに過ぎない場合には、所定労働日数は変更が無いと考えられます。

なぜなら、一時的な事情が解消すれば、元どおりの勤務をするようになると考えられるからです。

もし、長期にわたって勤務日数が少ないままであることが見込まれるのであれば、使用者と労働者とで話し合い、所定労働日数を変更する必要があります。

これをしないと、社会保険の加入だけでなく、年次有給休暇の付与日数や出勤率の計算が実態に合わなくなってしまいます。

 

<例外措置>

所定労働日数が原則だというのは例外があるからです。

使用者が労働者の社会保険加入を不当に避けるため、実際には加入基準を満たす勤務実態であるのに、所定労働時間を短く、所定労働日数を少なくして、労働条件通知書も嘘の内容にして交付しているような場合があります。

こうした場合には、勤務の実態に即して社会保険に加入(資格取得)することになっています。

 

2021/12/09|1,211文字

 

行政通達の性質https://youtu.be/AmfsgmOpY4s

 

<省令と通達の発出>

令和3(2021)年12月1日付で、「事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令」(厚生労働省令第188号)が出されました。

また、厚生労働省の施行通達「事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」(基発1201第1号)も発出されています。

主な改正内容は、次のとおりです。

 

<トイレの設置基準>

トイレは男女別に設けることが原則ですが、同時に就業する労働者が常時10人以内である少人数の事務所では、トイレを男女別にすることの例外として、独立個室型のトイレを設ければ良いことになりました。

ただしこれは、トイレを男女別に設置する原則の適用が困難な作業場における例外規定ですから、同時に就業する労働者の数が常時10人以内である場合でも、可能な限り男女別に設置することが望ましいとされます。

また、既に男女別のトイレが設置されている場合に、トイレの一部を廃止し、または倉庫等他の用途に転用することは、趣旨を踏まえれば不適切な対応であり許容されません。

さらに、新たに作業場を設ける場合、その作業場で同時に就業する労働者の数が常時10人以内であっても、あらかじめ男女別のトイレを設置しておくことが望ましいとされます。

 

<独立個室型のトイレ>

男女別のトイレを設置したうえで、バリアフリートイレなど独立個室型のトイレを設置する場合は、男性用個室、男性用小便器および女性用個室をそれぞれ一定程度設置したものとして取り扱えるようになりました。

1個の独立個室型のトイレを男女が共用することに伴う風紀上の問題や心理的な負荷については、消臭や清潔の保持についてのマナー、サニタリーボックスの管理方法、盗撮等の犯罪行為の防止措置、異常事態発生時の措置(防犯ブザーの設置、管理者による外側からの緊急解錠等)など、トイレの使用や維持・管理に関するルール等について、衛生委員会等で調査審議、検討等を行ったうえで定めておくことが望ましいとされます。

これは、非常事態を想定した対応についても同様です。

 

<救急用具>

事業者が備えなければならない救急用具品目を定める規定は削除されました。

事業場で発生することが想定される労働災害等に応じ、応急手当に必要なものを備え付けることになります。

この場合、マスクやビニール手袋、手指洗浄薬等、負傷者などの手当の際の感染防止に必要な用具および材料も併せて備え付けておくことが望ましいとされます。

 

<照度の基準>

作業の区分が「一般的な事務作業」「付随的な事務作業」の2区分に変更されました。

ここで「一般的な事務作業」とは、改正前の「精密な作業」および「普通の作業」に該当する作業を、「付随的な事務作業」とは、改正前の「粗な作業」に該当する作業をいいます。

照度基準については、一般的な事務作業においては300ルクス以上、付随的な事務作業においては150ルクス以上です。

2021/12/08|1,195文字

 

パワハラの加害者に注意できる職場にするための準備https://youtu.be/_c02jzqD_Qs

パワハラ加害者の処分https://youtu.be/CHoRL8XmcXA

 

<加害者への責任追及>

パワハラについて社内に相談窓口があれば、その相談窓口に事実を伝えます。

もし相談窓口が無ければ、加害者の直属上司に事実を伝えます。

これによって期待される会社の対応は、加害者から被害者への謝罪を促すこと、就業規則の規定に沿った懲戒処分、加害者の人事異動などです。

しかし、会社の対応が無い場合や、不適切・不十分と感じられる場合には、加害者に対する損害賠償の請求が考えられます。

 

【民法第709条:不法行為による損害賠償】

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

少なくとも、精神的な損害を受けているでしょうから慰謝料の請求ができます。

この他、治療費や勤務できなかったことによる賃金の損失などが考えられます。

 

<会社への責任追及>

会社は従業員に対し、パワハラに走らないように指導すること、従業員がパワハラを受けずに勤務できる環境を整えることについて責任を負っています。

法的には、使用者責任と安全配慮義務です。

 

【民法第715条:使用者等の責任】

ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。

3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

 

【労働契約法第5条:労働者の安全への配慮】

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

 

労働契約法には、損害賠償のことが書かれていませんが、労働契約法第5条違反で従業員の権利が侵害されると、先に出てきた民法第709条によって損害賠償を請求できることになります。

 

<加害者への制裁>

ここまでの内容は、パワハラについて責任を負う人たちに損害賠償を請求するという民事上の話です。

これとは別に、法令によって加害者に制裁が加えられる場合があります。

 

パワハラは通常、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

 

この人権侵害行為が犯罪にあたる場合には、警察に被害を申し出て対応してもらうこともできます。

パワハラに伴う犯罪としては、刑法に規定されているものだけでも、暴行罪、傷害罪、脅迫罪、名誉毀損罪、侮辱罪などが考えられます。

 

加害者に制裁する権限は、国家権力に独占されています。

たとえパワハラで辛い思いをしても、加害者に直接仕返しするようなことは許されません。

その仕返しが犯罪となることもあります。

2021/12/07|967文字

 

こんな求人広告で大丈夫?https://youtu.be/kRYQfahG4Mg

 

<年齢制限は原則禁止>

労働者の募集と採用の際には、原則として年齢を不問としなければなりません。

これは、形式的に求人票や求人広告で「年齢不問」とすれば良いということではありません。

年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接で年齢を理由に不採用としたりすることは違法です。

また原則として、応募者の年齢を理由に雇用形態や職種などの求人条件を変えることもできません。

 

【違法な求人条件の例】

・ハードな重労働について40歳以下で募集・若者向けの洋服の販売スタッフについて30歳以下で募集

・PC操作や夜間業務の多い職種について若い人限定で募集

・一定の経験が必要な指導業務について50歳以上で募集

 

<認められている例外>

合理的な理由により、例外的に年齢制限が許される場合があります。

例外的に年齢制限を行う場合は、法定の例外事由に該当する必要があります。

また、年齢の上限を定める場合には、求職者、職業紹介事業者等に対して、その理由を書面や電子媒体により提示することが義務づけられています。

ただし、年齢制限が65歳以上の場合には、対象外となっています。

〔高年齢者雇用安定法第20条第1項〕

 

例外となる場合(雇用対策法施行規則第1条の3第1項)

例外事由 1号 定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
例外事由 2号 労働基準法その他の法令の規定により年齢制限が設けられている場合
例外事由 3号 イ 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
例外事由 3号 ロ 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、 期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
例外事由 3号 ハ 芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合
例外事由 3号 ニ 60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる者に限定して募集・採用する場合

 

これらの例外事由は、厳密に解釈されていますので、安易な拡張解釈は許されません。

しかし、年齢制限の必要を感じる理由を分析してみれば、例外事由に該当する場合も多いのではないでしょうか。

2021/12/06|1,141文字

 

会社から従業員に知らせる義務https://youtu.be/jXROFAMORWQ

 

<今回の育児・介護休業法改正の趣旨>

今回の改正は、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できるようにするためのものです。

◯令和4(2022)年4月1日施行

・育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け

・有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

◯令和4(2022)年10月1日施行

・男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設(出生時育児休業。(通称:産後パパ育休))

・育児休業の分割取得

◯令和5(2023)年4月1日施行

育児休業の取得の状況の公表の義務付け

 

<実務上の対応>

上記のように、3回に分けて施行されます。

令和4(2022)年のうちに、2回に分けて就業規則を変更していくことになるでしょう。

しかし、妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認を、令和4年4月から唐突に始めると、あらぬ誤解を生むことになりかねません。

特に男性の育児休業取得実績が殆どない職場で、男性が育児休業の取得を打診されれば、あれこれ勘違いする恐れがあります。

かなり前もって、社員全体に対する事前の説明をしておく必要があります。

 

<個別の周知と意向確認の措置>

労働者から、本人または配偶者が妊娠または出産した旨等の申出があった場合に、その労働者に対して、育児休業制度等について周知するとともに、制度の利用意向を確認するための措置を実施する必要があります。

令和4(2022)年10月1日からは、出生時育児休業も含みます。

取得を控えさせるような形での個別周知と意向確認は認められません。

周知事項は、次の4項目です。

・育児休業・出生時育児休業に関する制度

・育児休業・出生時育児休業の申し出先

・育児休業給付に関すること

・労働者が育児休業・出生時育児休業期間について負担すべき社会保険料の取扱い

これらの個別周知および意向確認の措置は、面談または書面交付(郵送可)によって行います。

ただし、労働者が希望した場合には、FAXや電子メール等によって行うこともできます。

 

<妊娠・出産等の申出方法>

法令では、妊娠・出産等の申出方法を書面等に限定していないため、社内規程に特別な定めが無ければ口頭でも可能です。

事業主が申出方法を指定する場合は、予め明らかにしておく必要があります。

この場合、その方法については、申出を行う労働者にとって過重な負担を求めることにならないよう配慮しつつ、適切に定めることが求められます。

労働者が措置の適用を受けることを、抑制するような手続を定めることは認められません。

また、指定された方法によらない申出でも、必要な内容が伝わるものである限り、措置を実施する必要があります。

2021/12/05|1,872文字

 

賃金についての法規制https://youtu.be/X9e4g4Ae8NQ

 

<理論上許される場合>

「女性社員だけ昇給しない」と決めて昇給しないのであれば、一般には労働基準法違反です。

ただし、男女平等の人事考課により、合理的な昇給制度を適用した結果、偶然、女性社員だけが昇給しなかったというのは、適法ということになるでしょう。

また、社内で男性社員の賃金水準が女性社員に比べて低い場合に、格差を是正するための措置であれば、許される場合もあります。

理論上は、この通りです。

しかし、会社側が適法性を証明するのは容易ではありません。

また、例外的に適法性を証明できたとしても、その正当性は社内でも世間でも支持されないでしょう。

 

<法令の規定>

憲法の平等規定を受けて、労働基準法に男女同一賃金の原則規定があります。

 

 日本国憲法第14条第1項

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

 労働基準法第4条

使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。

 

<裁判所の判断>

日本シェーリング事件の平成元年12月14日最高裁判決では、「賃上げは稼働率80%以上の者とする」旨の賃上げ協定の中の条項に関し、生理休暇、産休、育児時間による欠務を欠勤として算入するとの取扱がなされたことに対し、これらの欠務のため賃上げを得られず、また、旧賃金を基礎とした一時金の支給しか受けられなかった女性社員らが、会社に対し、賃金差額、債務不履行ないし不法行為により受けた損害の賠償を求め勝訴しています。

この判決は、賃上げ協定の中の条項が公序に反することを理由としています。

公序というのは、公の秩序です。

男女平等という公の秩序に反する条項は無効だということです。

 

民法第90条

公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

 

<政府の方針>

平成22(2010)年8月31日には、厚生労働省が「男女間賃金格差解消に向けた労使の取組支援のためのガイドライン」を作成し公表しています。

ガイドラインの趣旨を、次のように説明しています。

 

男女雇用機会均等法などの法整備が進み、企業でも女性の活躍の場が広がっていますが、男女間賃金格差は先進諸外国と比べると依然、大きい状況にあります。また、多くの企業が男女間賃金格差を計算したこともないとの実態もあります。今回作成したガイドラインは、賃金や雇用管理の在り方を見直すための視点や、社員の活躍を促すための実態調査票といった支援ツールを盛り込んでいます。現実的な対応方策を示すことで、労使による自主的な見直しの取組を支援していきます。

 

ガイドラインのポイント

1.男女間格差の「見える化」を推進 男女での取扱いや賃金の差異が企業にあっても、それが見えていない場合もあると考えられる。男女間格差の実態把握をし、取組が必要との認識を促すため、実態調査票などの支援ツールを盛り込んだ。

2.賃金・雇用管理の見直しのための3つの視点

 

(1)賃金・雇用管理の制度面の見直し

 <具体的方策>

 ・ 賃金表の整備

 ・ 賃金決定、昇給・昇格の基準の公正性、明確性、透明性の確保

 ・ どのような属性の労働者にも不公平の生じないような生活手当の見直し

 ・ 人事評価基準の公正性、明確性、透明性の確保、評価結果のフィードバック

 ・ 出産・育児がハンデにならない評価制度の検討

 

(2)賃金・雇用管理の運用面の見直し

 <具体的方策>

 ・ 配置や職務の難易度、能力開発機会の与え方、評価で、男女で異なる取扱いをしていないかを現場レベルでチェック

 ・ コース別雇用管理の設定が合理的なものとなっているかを精査

 ・ コースごとの採用や配置は、先入観やこれまでの実績にとらわれず均等に実施

 

(3)ポジティブ・アクションの推進

 <具体的方策>

 ・ 女性に対する社内訓練・研修の積極的実施や、基準を満たす労働者のうち女性を優先して配置、昇進させる等のポジティブ・アクションの実施

 

<解決社労士の視点から>

現在は、働き方改革関連法の中で、同一労働同一賃金が求められています。

家庭の中で女性の果たす役割を固定的に捉え、これを前提として賃金を決定するというのは、同一労働同一賃金の考え方に反します。

すでに男女同一賃金は「当たり前のこと」として、次の段階に入っています。 

「女性社員だけ昇給しない」という事実は、それ自体が適法な場合であっても、社会の大きな流れには逆らっているわけですから、お客様を含めて世間から支持されるものではありません。

2021/12/04|1,349文字

 

<法改正のポイント>

年次有給休暇は、労働者の所定労働日数や勤続年数などに応じた法定の日数以上を与えることになっています。

与えるというのは、年次有給休暇を取得する権利を与えるということです。

実際に労働者の方から「この日に年次有給休暇を取得します」という指定が無ければ、使用者の方から積極的に取得させる義務は無いのです。

これが以前の労働基準法の規定内容です。

ところが、平成31(2019)年4月1日からは、労働者からの申し出が無くても、使用者が積極的に年次有給休暇を取得させる義務を負うようになりました。

しかし、その対象者は限定されています。

 

<対象となる労働者>

年次有給休暇の付与日数が10日以上である労働者が対象です。

付与された日数が少ない労働者の場合には、自由に取得日を指定できる日数が少なくなってしまうことが配慮されています。

 

労働基準法で、年次有給休暇の付与日数は次の【図表】のとおりです。週所定労働日数が4日で、週所定労働時間が30時間以上の場合には、週所定労働日数が5日の欄が適用されます。

 

【図表】

週所定

労働日数

勤 続 期 間

6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月以上

5日

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

4日

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

3日

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

2日

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

1日

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

 

これは法定の日数ですから、就業規則にこれと異なる規定があれば、労働者に有利である限りそれに従います。

 

この【図表】の中で、「年次有給休暇の付与日数が10日以上である」のは、赤文字の部分です。

これをまとめると、次のようになります。

 

年次有給休暇の付与日数が10日以上のパターン

・週5日出勤の従業員が勤続6月以上になった場合

・週4日出勤で週所定労働時間が30時間以上の従業員が勤続6月以上になった場合

・週4日出勤で週所定労働時間が30時間未満の従業員が勤続3年半以上になった場合

・週3日出勤の従業員が勤続5年半以上になった場合

 

ここで勤続期間は、最初の入社から通算しますから、パート社員などで期間を区切って契約する有期労働契約であっても、契約更新でリセットされません。

 

<使用者に求められること>

労働者が6か月間継続勤務したときに年次有給休暇が付与され、その後1年間勤務するごとに年次有給休暇が付与されるというのが労働基準法の定めです。

この基準日から次の基準日の前日までの1年間で、年次有給休暇の取得について、次の3つの合計が5日以上となる必要があります。

 

・労働者からの取得日の指定があって取得した年次有給休暇の日数

・労使協定により計画的付与が行われた年次有給休暇の日数

・使用者が取得日を指定して取得させた年次有給休暇の日数

 

こうしたことは、多くの企業にとって不慣れですから、ともすると次の基準日の直前にまとめて年次有給休暇を取得させることになりかねません。

これでは業務に支障が出てしまいますので、計画的に対処することが必要になります。

 

基準となるのは週所定労働日数と週所定労働時間です。

これが確定できないと、年次有給休暇の付与日数も決まりません。

未確定ならば、必要に応じ専門家に相談するなどして確定させてください。

2021/12/03|1,962文字

 

マイナスの給料って?https://youtu.be/1O5LDpm6hAs

 

<給与から控除(天引)できるもの>

給与から控除できるものとしては、次のものが挙げられます。

・法令に別段の定めがある場合(所得税法による所得税等の源泉徴収、健康保険法、厚生年金保険法、労働保険徴収法による保険料の控除)

・労使協定(労働組合または労働者の過半数を代表する者と使用者との協定)によるもの

・欠勤控除(休んだ分を差し引く)

・減給処分(これは厳密には控除ではなく給与そのものの減少)

このうち欠勤控除だけで、給与の総支給額がマイナスになってしまう場合には、給与計算の方法が不合理だと考えられるので改める必要があるでしょう。

 

<欠勤控除>

遅刻・早退・欠勤によって労働時間が減少した分だけ、給与を減らすことをいいます。

時間給であれば、労働時間分の賃金を計算しますから欠勤控除は問題となりません。

主に月給制の場合に問題となります。

また、「完全月給制」のように欠勤控除をしない場合には問題となりません。

 

欠勤控除について、労働基準法その他の法令に規定はありません。

しかし一般に、労働者の労務の提供がない場合には、使用者は賃金を支払う義務がなく、労働者も賃金を請求できないという「ノーワーク・ノーペイの原則」が認められています。

この原則は、労務の提供と賃金の支払いが対応するという労働契約の性質上、当然に認められているものです。〔労働契約法第6条〕

ですから、欠勤控除をすることは違法ではないのですが、計算方法について就業規則等に明記しておく必要はあります(絶対的必要記載事項)。

 

<欠勤控除の単価>

欠勤控除を算出する場合、まず単価である「時間給」を計算します。

月給を、1か月の所定労働時間で割った金額が「時間給」となります。

1日当たりの所定労働時間に、1か月平均の所定労働日数をかけるなどして、1か月の所定労働時間を計算します。

1か月の所定労働時間が計算できないのは、労働条件通知書の内容が決まっていないという状態です。

トラブル防止のためにも労使で合意して決めておきましょう。

 

<減額方式の場合>

月給から欠勤時間分の賃金を控除する計算方法です。

これは欠勤控除の考え方を、そのまま計算方法に反映させているので、多くの会社で用いられています。

しかし、31日ある月など、その月の所定労働日数が1か月平均の所定労働日数を超える場合、1か月すべて欠勤すると給与がマイナスになるという不都合が生じることがあります。

このとき、対象者からマイナス分の給与を支払ってもらったり、翌月の給与から控除したりしている会社もあるようですが、明らかに不合理でしょう。

ですから、減額方式でマイナスになった場合にはゼロとして扱い、会社からの支払も労働者からの徴収もないこととするなど、規定に例外を設けるなどの工夫が必要です。

 

<加算方式の場合>

出勤した分の賃金を時間給で計算する方法です。

これなら給与がマイナスになることはありません。

しかし、28日しかない月など、その月の所定労働日数が1か月平均の所定労働日数を下回る場合、支給額が大幅に減ってしまいます。

減額方式よりも、明らかに不利になります。

 

<合理的な併用方式>

たとえば、減額方式と加算方式の両方で計算して、多い金額の方で給与を支給するなど、2つの方式を併用することによって、欠点を解消することができます。

 

<月間所定労働時間の変動>

なお、1か月の所定労働時間が、毎月の出勤日数や暦上の日数によって変動する会社もあるようです。

この場合には、欠勤控除の不合理が発生しにくくなります。

しかし、月給の時間単価が変動するというのでは、給与計算が複雑になりますし、同じ時間の残業手当が月によって変動するのなら、単価の安い月には仕事を溜めておいて、単価の高い月に集中して残業するという困った現象も起こりかねません。

年次有給休暇の取得も有利な月に集中しそうです。

毎月変動するのでは名ばかり「所定労働時間」になってしまいます。

月々の出社予定に基づく「予定労働時間」と、給与計算に用いる「所定労働時間」とを混同しているようにも見えます。

やはり、1か月の所定労働時間は一定にすべきでしょう。

 

<他の控除と欠勤控除が重なってマイナスの場合>

社会保険料など法定の項目を給与から控除することは法律上問題ありません。

しかし、欠勤控除をしたら給与が少額となり、ここから社会保険料を控除するとマイナスになってしまう場合、これでよいのか迷ってしまいます。

それでも、欠勤控除だけでマイナスになる場合とは違い、マイナス分を別途労働者に請求することは問題ありません。

こうした例外的な場合についてまで、就業規則に規定しておくことは稀でしょうから、マイナス分をどのように支払ってもらうかなど細かいことは、会社と労働者とで話し合って決めればよいでしょう。

2021/12/02|914文字

 

パワハラしやすい人https://youtu.be/9dnI-MD1zkQ

 

<リスク回避のため>

パワハラに走る人には特徴があります。

こうした特徴の現れている人に、部下や後輩を与えるとパワハラを誘発することになります。

リスク回避のためには、これらの特徴が消えるまで教育研修などを行い、人事異動を慎重にするなどの配慮が必要でしょう。

 

<善悪判断の自信過剰>

「自分は正しい」という思い込みが強いという特徴があります。

ニュースに接したとき、「誰が正しい、誰が悪い」ということを口にします。

自分の社内での手柄について、繰り返し話題にします。

グループ研修などを通じて、「常に自分が正しいわけではない」ことを理解させましょう。

 

<主体的な制裁意識>

「悪いことをした人に対しては、自分が制裁を加えるべきだ」と考える特徴があります。

社内で不都合なことをした人に対しては、直属上司が指導すべきですし、社内規定に従った懲戒が行われるべきです。

しかし、他部署の人に注意したり、街中で赤の他人に怒ったりするのは、この特徴の現われです。

組織論や懲戒が行われる場合の段取りについて、理解させる必要があります。

 

<原因の誤判断>

自分の行為から生じた不都合な結果について、他人の行為が原因であると考える特徴があります。

自分が会議室で花瓶を倒して割った場合には、「こんな所に花瓶を置いた人が悪い」と考えます。

他人が会議室で花瓶を倒して割った場合には、「不注意で花瓶を割った人が悪い」と考えます。

こうした考え方の矛盾と問題点について、本人に自覚させなければなりません。

 

<器が小さい>

人格的に未成熟で心に余裕が無いという特徴です。

他人の成功を喜べない、他人をほめることができない、人の好き嫌いが激しい、自分と家族を優先して考える、自分に利益が無いことには消極的、お金に細かい、他人を批判するが自分への批判は気にする、好意的なアドバイスを受け入れないなどの傾向が見られます。

これでは、部下や後輩がついてきませんから、イライラしてパワハラに走るのも当然でしょう。

この特徴は、家庭内の「しつけ」の現われでもあり、社内での教育研修で改善するのは大変かもしれません。

人事考課の評価項目に入れておき、自覚を促して、自ら改善していただくことも考えましょう。

2021/12/01|1,474文字

 

従業員から「解雇してほしい」と言われたらhttps://youtu.be/7zcxjG9_gxw

 

<問題社員かもしれない>

採用面接では人柄の良さを見せ、履歴書や職務経歴書によると経験やスキルは申し分の無いものだった。

そして、試用期間中は期待通りの働きぶりを見せ、皆「良い人材に来てもらえた」と喜んでいた。

ところが、試用期間が終わり本採用されると、様々な理由で遅刻が目立ち、体調不良を理由に早退も多い。

仕事のやり直しが多く、残業も長時間に及んでいる。

上司や同僚には「なかなか希望通りに年次有給休暇が取得できないですね」「◯◯さんは三六協定の限度を超えて残業していますね」など、批判するかのような発言が増えてきた。

 

<性悪説の社長>

うっかり問題社員を採用してしまったようだ。

遅刻や早退が多いけれど、会社に申し出た理由もどうせ嘘だろう。

そもそも履歴書や職務経歴書の内容も怪しいもんだ。

なにしろ人事考課の結果はひどいものだ。

私自らこの問題社員と面談して退職勧奨しよう。

 

こうした考えを持って面談すれば、「遅刻の本当の理由は何だ?」「体調不良で早退することが多いのだから治療に専念してはどうか?」「履歴書や職務経歴書の内容に誤りが無いか、これまでの勤務先に確認してみても良いか?」「この会社は自分に向いていないと思わないのか?」と詰問調になってしまいます。

そして、最後には「この会社を辞めて別の仕事をしてはどうか?」と退職勧奨することになります。

1回の面談で問題社員から退職の申し出があればともかく、面談を繰り返すうちに、内容がエスカレートしていくことが多いものです。

こうなると、思惑通り問題社員から退職願が出てきたとしても、やがて代理人弁護士から内容証明郵便が届いたりします。

退職の強要があったと主張され、未払賃金の支払や慰謝料など多額の金銭を請求されてしまいます。

 

<性善説の社長>

問題社員のレッテルを貼られてしまった者がいるようだ。

遅刻や早退が多いけれど、遠慮して会社に本当の理由を言えないのだろうか。

履歴書や職務経歴書の内容からすると、実力を発揮できていない。

なにしろ人事考課の結果はひどいものだ。

対応について人事部長と協議し、この社員の救済に乗り出そう。

 

こうした社長の方針に基づき、人事部長が本人と面談します。

「家庭の事情などで定時に出勤するのが難しいようなら、時差出勤を認めるので申し出てほしい」

「体調不良による早退が見られるが、通院などで必要があればフレックスタイム制の適用を考えたいので相談してほしい」

「過労を避けるため、勤務が安定するまで残業禁止とします」

「人事考課の結果を踏まえ、各部門の協力を得て、特別研修を実施することになった。これで、あなたは本来の力を発揮できるようになるだろう」

「末永く会社に貢献できるよう、是非とも頑張ってほしい」

会社からこのような対応を取られたら、本当の問題社員は、楽して残業代を稼げない、研修で努力を強いられサボれないなど思惑が外れてしまいます。

自ら会社を去っていくことでしょう。

名ばかり問題社員であれば、社長の期待に応えて戦力化される筈です。

 

<解決社労士の視点から>

性悪説で行けば、短期間で決着を見ることができますし、会社の負担は少なくて済むのかもしれません。

しかし、労働審判や訴訟など深みにはまってしまうリスクも高いのです。

その問題社員からの情報で、会社の評判も落ちることでしょう。

そして、対象者が問題社員ではなかった場合には、貴重な戦力を失うことになるのです。

性善説で行けば、会社の負担は大きいのですがリスクは抑えられます。

どちらの方針で行くか、長期的視点に立って判断していただけたらと思います。

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