休憩を与えなくてもよい労働者の範囲

2022/09/22|1,075文字

 

<労働基準法施行規則第32条>

休憩時間を与えなくてもよい職種があります。

運輸交通業または郵便・信書便の事業に使用される労働者のうち列車、気動車、電車、自動車、船舶、航空機に乗務する機関手、運転手、操縦士、車掌、列車掛、荷扱手、列車手、給仕、暖冷房乗務員、電源乗務員で長距離にわたり継続して乗務する者には休憩時間を与えないことができます。

乗務員でこれらに該当しない者については、その者の従事する業務の性質上、休憩時間を与えることができないと認められる場合において、その勤務中における停車時間、折返しによる待合せ時間その他の時間の合計が「一般の休憩時間」に相当するときは、休憩時間を与えないことができます。

郵便・信書便、電気通信の事業に使用される労働者で屋内勤務者30人未満の郵便窓口業務を行う日本郵便株式会社の営業所(郵便局)で郵便の業務に従事する者には休憩時間を与えないことができます。

 

<一般の休憩時間>

こうした特殊な業務の労働者を除き、「一般の休憩時間」を与えなければなりません。

「一般の休憩時間」とは、「労働時間が6時間を超える場合には少くとも45分、8時間を超える場合には少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与える」というものです。〔労働基準法第34条第1項〕

その日の労働時間が6時間以下であれば、その日については休憩時間を与えないことができます。

使用者としては、労働者から「休憩なんて要りませんよ」と言われていたので与えなかったところ、退職してから「休憩を与えられていませんでした」と訴えられたら、反論の余地がないということです。

労働法が保障する労働者の権利の中には、労働者が放棄できないものがあるのです。

ですから、安易に「本人が同意しているから」「念書を書いてもらったから」大丈夫とはいえません。

 

<法定の基準を上回る定め>

以上はすべて法定の基準ですから、就業規則や労働契約に法定の基準より多くの休憩を与える規定があれば、労働者に有利である限りその規定が優先されます。

たとえば、6時間勤務の労働者に昼休みを1時間与えるなどは、法定の基準を上回るものとなります。

ただし、「労働者に有利である限り」という部分は、慎重な判断が必要です。

たとえば、昼休みが4時間ある場合には、就業の場所のすぐ近くに自宅があって、帰宅してくつろげる労働者なら問題ありませんが、いたずらに拘束時間が増えるだけの労働者にとっては不利になることもあります。

こうしたときには、不利になる労働者についてのみ、規定の効力が認められないケースもありますので注意しましょう。

 

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