加害者がいる労災や健康保険の手続き

2022/09/20|1,177文字

 

<ケガをさせられた場合の追加の手続き>

通勤途上でひき逃げされたり、居酒屋でアルバイトをしていてお客様に殴られたり、休日に道を歩いていて自転車にぶつかられたりしてケガをすると、通常とは違う手続きが必要となります。

具体的には、労災では「第三者行為災害届」、私傷では「第三者行為による傷病届」という書類が必要になります。

 

<第三者行為>

保険には保険料の負担があって、負担した人やその関係者に給付があるわけです。

労災保険では会社が保険料を負担して、従業員が治療を受けると労災保険から給付が行われて、従業員は治療費を負担しなくても済みます。

健康保険では会社と従業員が保険料を折半して、従業員や扶養家族が治療を受けると健康保険から給付が行われて、治療費の3割を負担するだけで済みます。

ところが無関係な第三者からケガをさせられて、治療費に保険が使われると、ケガをさせた第三者は、治療費の負担が減ったり負担が無くなったりして得してしまうのです。

こうした不都合が起こらないように、保険者である政府や協会けんぽなどが、加害者に費用を負担させています。

 

<万一ケガをさせられたら>

可能な限りケガをさせた人に逃げられないようにしましょう。

周囲の人に助けを求めることもできます。

その場で示談してはいけません。

「大丈夫ですから、どうぞご心配なく」などと言ってしまうと、会社も手続きができなくて困ることになります。

大丈夫かどうかは、診察した医師の決めることです。

その場で治療など必要ないと感じても、冷静な判断が困難な状況であることを考えましょう。

相手の氏名と連絡先は確実に把握しなければなりません。

結果的に医師の診察を受ける必要すら無かったなら、その相手にその旨を連絡する必要があります。

また、なるべく正確な日時や場所、状況など記憶が新鮮なうちにメモを残しておきましょう。

そして、会社の労災保険や健康保険の手続き担当者に連絡して指示を仰ぎましょう。

 

<書類の内容>

交通事故の場合と、それ以外の場合とで内容が異なります。

しかし、共通する内容で主なものは、事故の発生状況を説明した書類、負傷原因の報告書、加害者と示談しませんという念書(万が一示談していたら示談書)、加害者からの損害賠償金の納付を確約する書類などです。

 

<書類作成ご担当のかたへ>

実際に書類を作成する会社の担当者は、被害者からの情報が頼りとなります。

すべての情報がそろっていても、慣れていないと書類の作成に数時間かかってしまいます。

必要な書式は、労働基準監督署や協会けんぽなどで入手できます。

このとき、ついでに必要な添付書類の確認をするとよいでしょう。

交通事故の場合には、警察に「交通事故証明書」の発行を依頼するのですが、手続きが遅れると人身事故でも物損扱いとなるなど不都合が起こります。

大変ですが落ち着いて急ぎましょう。

 

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