2022/11/01|1,152文字
<監督指導結果の公表>
東京労働局は、令和4(2022)年10月28日に、長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した、監督指導の結果を取りまとめ公表しました。
この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等についての労災請求が行われた事業場を対象としています。
この中で、指導結果のポイントが次のように示されています。
【令和3年4月から令和4年3月までの監督指導結果のポイント】
一、監督指導の実施事業場: 3,458 事業場
二、主な違反内容 [一、のうち法令違反があり「是正勧告書」を交付した事業場] 1 違法な時間外労働があったもの: 1,325 事業場(38.3%) うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が 月 80 時間を超えるもの: 471 事業場(35.5%) うち、月 100 時間を超えるもの: 323 事業場(24.4%) うち、月 150 時間を超えるもの: 80 事業場( 6.0%) うち、月 200 時間を超えるもの: 28 事業場( 2.1%) 2 賃金不払残業があったもの: 358 事業場(10.4%) 3 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの: 840 事業場(24.3%) 三、 主な健康障害防止に関する指導の状況 [一、のうち健康障害防止のため「指導票」を交付した事業場] 1 過重労働による健康障害防止措置が 不十分なため改善を指導したもの: 1,669 事業場(48.3%) 2 労働時間の把握が不適正なため指導したもの: 830 事業場(24.0%) |
<「是正勧告書」の交付>
「是正勧告書」は、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法などの罰則に触れていると思われる事実が見つかったときに、その是正と報告を求める文書です。
是正勧告は行政指導ですから、不服申立のようなことはできません。
本来であれば、是正勧告書を交付せず、いきなり逮捕・書類送検も可能なのです。
しかし、労働法の罰則に触れることが犯罪ではあっても、刑法犯とは異なり認知度が低いためにワンクッション置いて、是正の機会を与えているものと考えられます。
<「指導票」の交付>
「指導票」は、罰則には触れないと思われるものの、厚生労働省のガイドラインに沿っていないなど問題となる事実が見つかると、その改善と報告を求める文書です。
指導はまさに行政指導なのですが、是正勧告書で指摘された事項と異なり、指導票で指摘された事項は違法というわけではなく、直ちに是正が求められるという内容ではありません。
無理のない範囲で是正し、時間を要する項目については、改善計画を提出することになります。