「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の改定

2022/10/08|1,698文字

 

<ガイドラインの改定>

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定されています。

その中で、副業・兼業の促進について、次のように述べられています。

 

人生100年時代を迎え、若いうちから、自らの希望する働き方を選べる環境を作っていくことが必要であり、副業・兼業などの多様な働き方への期待が高まっています。

副業・兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーション、起業の手段や第2の人生の準備として有効とされており、「働き方改革実行計画」において、副業・兼業の普及を図るという方向性が示されています。

一方、同計画においては、副業・兼業の普及が長時間労働を招いては本末転倒であることも示されており、副業・兼業を行うことで、長時間労働になり労働者の健康が阻害されないよう、過重労働を防止することや健康確保を図ることが重要です。

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は、副業・兼業の場合における労働時間管理や健康管理等について示したものですので、企業も働く方も安心して副業・兼業に取り組むことができるよう、副業・兼業を進めるにあたって本パンフレットをご活用ください。

 

<政府による副業・兼業の促進>

それにしても、政府が副業・兼業を促進するのは何故なのでしょうか。

副業・兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、そして第2の人生準備として有効とされています。

また、人生100年時代を迎え、若いうちから、自らの希望する働き方を選べる環境を作っていくことが必要であり、副業・兼業などの多様な働き方への期待が高まっています。

こうしたことから、副業・兼業が促進されています。

 

<企業は副業・兼業を認めないといけないのか>

副業・兼業に関する裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であるとされています。

労働者は奴隷ではありませんから、労働時間以外の時間は基本的に自由です。

裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向で検討することが適当です。

副業・兼業を禁止している企業や一律許可制にしている企業は、まずは、原則副業・兼業を認める方向で就業規則などの見直しを行い、労働者が副業・兼業を行える環境を整備しましょう。

なお、労働者の多様なキャリア形成を促進する観点から、職業選択に資するよう、副業・兼業を許容していること、また条件付許容の場合はその条件について、自社のホームページなどで公表することによってリクルート上もアピールできます。

 

<副業・兼業を認める場合の企業の対応>

就業規則などの見直しにより、副業・兼業を認める環境が整ったら、次に注意しないといけないのは、「労働時間の通算管理」です。

労働者が雇用される形で副業・兼業を行う場合、原則として、自社と副業・兼業先の労働時間を通算して管理する必要があります。

労働時間を通算して管理するために、まずは労働者が行う副業・兼業の内容を確認する必要があります。

副業・兼業開始前に、労働者からの申告などにより、必要な情報を確認しましょう。

副業・兼業の内容を確認したら、次は労働時間の通算です。

労働時間の通算方法は2通りで、原則的な方法と簡便な方法(管理モデル)があります。

労働時間を通算して管理するにあたって自社で取り入れやすい方法を採用し、自社と副業・兼業先の労働時間を確実に通算するようにしましょう。

副業・兼業を進める上では、長時間労働になり労働者の健康が阻害されないよう、過重労働を防止することや健康確保を図ることが重要です。

労使でコミュニケーションを図り、労働者の健康確保に必要な措置を講じるようにしましょう。

 

<解決社労士の視点から>

従業員が副業・兼業をすれば、体力・気力などの面で、自社の業務に支障が出るのではないかと考えるのは当然のことです。

一方で、従業員の側から見れば、就業時間外では職業選択の自由があり、別の仕事をするのは自由だと考えるのも、これまた当然のことです。

若者を中心に副業・兼業のニーズは高まっています。

企業として、どこまで副業・兼業を許容するかが重大な経営判断となっています。

 

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