2022/03/10|905文字
<パワハラ対策との違い>
パワハラやセクハラの大半は、社内で発生するものですから、その多くは未然に防止することができます。
しかし、カスハラ(カスタマーハラスメント)は、関連会社や取引先からのパワハラやセクハラと同様に外部からの攻撃ですから、予防策を講じることが困難です。
そのためカスハラ対策は、これを想定した事前の準備と、起こってしまった場合の善後策を確立することによる対応となります。
<カスハラを想定した事前準備>
まず企業のトップが、カスハラ対策についての基本方針を確立し、従業員を守る基本姿勢を示し、従業員に必要な教育を施すことが必要です。
次に相談窓口を設置し、有効に機能するように窓口担当者の研修を行い、全従業員に窓口の存在と役割を周知します。
さらにカスハラ行為への対応体制を構築し、具体的な対応方法をマニュアル化します。
そして、このマニュアルに従い、顧客等からのカスハラ、迷惑行為、クレームに対する具体的な対応について、従業員を教育します。
集合研修と個人別のロールプレイングが必要でしょう。
<カスハラが発生したときの対応>
まず事実の確認が最優先です。
顧客、従業員などからの情報を元に、確実な証拠や証言に基づいて、カスハラに該当しうる客観的事実の確認をします。
これに基づき、商品の瑕疵やサービスの過失が認められた場合には、顧客等に謝罪し、商品の交換や返金に応ずる方向で対応します。
瑕疵や過失が無い場合には、顧客等の要求に応じないことが大事です。
被害を受けた従業員がいれば、メンタルヘルス不調も視野に入れて、組織的な対応をします。
再発防止や対応の改善のため、事実の発生から対応の完了までの流れを検証し、マニュアルを含め対応を見直します。
特に、再発防止策については万全を期し、被害を受けた従業員等の意見を聴取しつつ検討し、被害者が安心できる内容となるよう努めます。
<解決社労士の視点から>
カスハラ対策の目的は、顧客等の迷惑行為や悪質で不当なクレームから従業員を守ることにあります。
カスハラ対策の各過程では、この目的を前面に出し、決して「悪質顧客を排除する」のような話を持ち出さないようにすることをお勧めします。