新型コロナウイルスの記事

2021/09/10|2,240文字

 

<令和4年度概算要求>

令和3年8月31日、厚生労働省は令和4年度厚生労働省所管予算概算要求の概要等を公表しました。

新型コロナウイルス感染症から国民の命・暮らし・雇用を守る万全の対応を引き続き行うとともに、感染症を克服し、ポストコロナの新たな仕組みの構築、少子化対策、デジタル化、力強い成長の推進を図ることにより、一人ひとりが豊かさを実感できる社会を実現するため、以下を柱に重点的な要求を行うものとしています。

●新型コロナの経験を踏まえた柔軟で強靱な保健・医療・介護の構築

●ポストコロナに向けた「成長と雇用の好循環」の実現

●子どもを産み育てやすい社会の実現

●安心して暮らせる社会の構築

 

<新型コロナの経験を踏まえた柔軟で強靱な保健・医療・介護の構築>

○新型コロナ克服の保健・医療等体制の確保 新型コロナから国民を守る医療等提供体制の確保

 PCR検査等の検査体制の確保

 保健所・検疫所等の機能強化

 ワクチン接種体制の構築

 医療用物資等の確保・備蓄等

 

○ワクチン・治療薬等の研究開発の推進等

 ワクチンの研究開発・生産体制の戦略的な強化

 治療薬の研究開発・実用化の支援

 

○地域包括ケアシステムの構築、データヘルス改革等

 地域医療構想・医師偏在対策・医療従事者の働き方改革の推進

 自立支援・重度化防止、認知症施策の推進、介護の受け皿整備・介護⼈材の確保の推進

 予防・重症化予防・健康づくり、データヘルス改革の推進

 

ここで、「データヘルス改革」というのは、保健医療サービスを国民が効率的に受けられる環境の構築を目的として、ICTを活用した健康管理・診療サービスの提供や、健康・医療・介護領域のビッグデータを集約したプラットフォームを構築していく厚生労働省の戦略のことを指します。

 

<ポストコロナに向けた「成長と雇用の好循環」の実現>

○雇用維持・労働移動・人材育成 雇用の維持・在籍型出向の取組への支援

 女性・非正規雇用労働者へのマッチングやステップアップ支援、新規学卒者等への就職支援

 デジタル化の推進、人手不足分野への労働移動の推進

 

○多様な人材の活躍促進

 女性活躍・男性の育休取得促進

 就職氷河期世代の活躍支援

 高齢者の就労・社会参加の促進

 障害者の就労促進、外国⼈の支援

 

○働きやすい職場づくり

 良質なテレワークの導入促進

 最低賃金・賃金の引上げに向けた生産性向上等の推進、同⼀労働同一賃金など公正な待遇の確保

 総合的なハラスメント対策の推進

 

「働きやすい職場づくり」の項目の中に「最低賃金・賃金の引上げに向けた生産性向上等の推進」とあります。

つまり、生産性向上等により、企業に余力が発生したのを受けて、最低賃金・賃金の引上げが行われるという本来の姿が示されています。

現実には、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、企業の体力が低下しているこの時期に、最低賃金の大幅アップが行われます。

これによって、業種によっては、雇用の維持・推進が困難になることが懸念されます。

 

<子どもを産み育てやすい社会の実現>

○子育て家庭や女性の包括支援体制 母子保健と児童福祉の⼀体的な支援体制の構築

 ヤングケアラー等への支援

 困難な問題を抱える女性への支援

 生涯にわたる女性の健康の包括的支援

 

○児童虐待防止・社会的養育の推進、ひとり親家庭等の自立支援

 地域における見守り体制の強化

 里親委託の推進や施設退所者等の自立支援

 ひとり親家庭等への就業支援を中心とした総合的支援

 

○不妊症・不育症の総合的支援

 不妊治療の保険適用

 不妊治療と仕事の両立支援

 

○総合的な子育て支援

 「新子育て安心プラン」等に基づく受け皿整備

 保育人材確保のための総合的な取組

 

「子育て家庭や女性の包括支援体制」の項目の中の「ヤングケアラー」は、法令上の定義はありませんが、一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを、日常的に行っている18歳未満の子どもとされています。

社会的養護が必要な子どもを、児童福祉法に基づき行政から委託を受けて、家庭に一時的に預かり育てるのが「里親」です。貧困や虐待、実親の病気など、実家庭で生活できない子どもは現在全国に5万人近くいます。

 

<安心して暮らせる社会の構築>

○地域共生社会の実現等 相談支援、参加支援、地域づくりの⼀体的実施による重層的支援

 生活困窮者自立支援、ひきこもり支援、自殺対策、孤独・孤立対策

 成年後見制度の利用促進

 

○障害児・者支援等

 医療的ケア児への支援の拡充

 依存症対策の推進

 

○水道、戦没者遺骨収集、年金、被災地支援等

 水道の基盤強化

 戦没者遺骨収集等の推進

 安心できる年金制度の確立

 被災地における心のケア支援、福祉・介護提供体制の確保

 

「医療的ケア児」は、医療的ケアを必要とする子どものことです。

医学の進歩を背景として、NICU等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引等の医療的ケアが日常的に必要な子どもの数は、全国で2万人を超えています。

 

<解決社労士の視点から>

4つの重点要求のうち、企業と最も関わりが深いのは少子化対策です。

令和4年4月と10月にも、育児休業に関する法改正が控えています。

コロナの影響もあって、少子化対策は、より強力に継続されることが想定されます。

今後、法改正や市場動向の変化に取り残されないよう注意する必要があります。

2021/09/07|1,135文字

 

<事業者が実施義務を負っている主な健康診断>

事業者は労働者に対し、厚生労働省令の定めに従って、医師による健康診断を実施する義務を負っています。〔労働安全衛生法第66条第1項、第2項〕

その主なものは次の3つです。

・雇入時健康診断…常時使用する労働者を雇入れる直前または直後に実施。〔労働安全衛生規則第43条〕

・定期健康診断…常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回定期的に実施。〔労働安全衛生規則第44条〕

・特定業務従事者健康診断…深夜業や重量物の取り扱い等の有害業務に常時従事する労働者に対して、6か月以内ごとに1回定期的に実施。〔労働安全衛生規則第45条第1項〕

 

<対象者の範囲>

雇入時健康診断と定期健康診断は、正社員はもちろんですが、所定労働時間が正社員の4分の3以上の従業員は受けさせることが、法的に義務づけられています。ただし、1年未満の有期労働契約で、契約更新によっても1年以上働く見込みがない者は除きます。

特定業務従事者健康診断は、契約形態や所定労働時間に関係なく、定期、入社時、有害業務への配置転換時について実施義務があります。

 

<定期的な実施>

定期健康診断の「1年以内ごとに1回定期的に」、特定業務従事者健康診断の「6か月以内ごとに1回定期的に」というのは、時期がずれると「定期的」ではなくなってしまうので、それぞれの労働者にとって同じ月の実施となるのが通常です。

労働者が50人以上の事業場では、所轄の労働基準監督署長に定期健康診断結果報告書を提出するので、時期がずれれば、そのことが労働基準監督署に知れることにもなります。

 

<コロナの影響で予定通りできない場合の対応>

現実的な問題として、いつも同じ時期に同じ健診機関で健康診断を実施していたところ、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、一時的に健康診断が行われないという事態が発生しています。

こうした場合の対応については、法令に規定が無いのですが、労働基準監督署は次のような対応を取るように指導しています。

・いつもと違う健診機関で、いつもと同じ時期に健康診断を実施できるよう努力する。

・これができない場合には、なるべく近い時期に健康診断を実施するよう努力する。

・健康診断の実施時期がずれた場合には、やむを得ずずれて実施した事情についての記録を残し保管する。

つまり、いつもの時期に実施できるよう努力することは求められるものの、どうしてもできなかった場合には、具体的な事情と対応について記録を残し保管して、所轄の労働基準監督署から照会があった場合には説明できるようにしておくということです。

結局、不可能を強いられることは無いのですが、きちんと理由を説明できる証拠は残さなければならないということです。

2021/09/04|1,914文字

 

<テレワークを導入しなかった理由>

新型コロナウイルス感染症の拡大前には、テレワークの実施に消極的な企業も多く、政府が働き方改革の一環で推奨していたにも関わらず、特に中小企業では導入が広がりませんでした。

これについては、次のようなことが理由として掲げられています。

 

・業種や職種がテレワークに不向き

・コミュニケーションをとることが難しい

・人材教育やマネジメントが難しい

・情報セキュリティの不安がある

・各従業員の出退勤や休憩時間の把握が困難

・出社しなければできない業務がある

・社内規定が整備されていない

・環境整備のための予算が無い

・正社員以外の従業員が多い

・従業員に持ち運びできるPCが与えられていない

・同居家族の協力が得られない

・仕事とプライベートの区別がつきにくい

・労災への対応がよく分からない

・経営層の理解が無い

・管理職にIT苦手意識が強い

 

こうしてみると、テレワークの実施を諦める決定的な理由があるわけではなく、心理的なハードルが高いように思えます。

 

<テレワークを導入した理由>

従来から、テレワークが推奨される理由としては、主に生産性の向上が挙げられています。

この他にも、次のようなことが理由として掲げられています。

 

・従業員の移動時間の短縮

・従業員の通勤による疲労の軽減

・非常時の事業継続を可能にする

・上司などの目を気にせず業務に集中できる

・育児や介護との両立を可能にする

・遠方に転居しても勤務を続けられる

 

こうした理由に加えて、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、次のような理由も加わって、一気にテレワークの導入が進みました。

 

・社内でのクラスター発生の防止

・通勤による従業員の感染の防止

・勤務中の長距離移動による感染拡大の防止

・密な状態で食事をとることによる感染拡大の防止

・新型コロナウイルスの感染が拡大しても事業継続を可能にする

 

今まで、できない理由を並べてテレワークに消極的であった企業の多くが、一度はテレワークに取り組んでみるという動きが盛んになりました。

中には、オフィスの縮小や移転を行った企業も見られました。

これによって、大幅な経費の削減も可能となりました。

 

<テレワークをやめた理由>

積極的にテレワークに取組んでみた結果、当初認識していた「テレワークを導入しなかった理由」を改めて痛感することとなった企業が多かったようです。

また、ペーパーレス化の進んでいない企業では、書類を会社にしか保存していないから、稟議書に捺印が必要だから、といった紙の書類への対応で出勤せざるを得ない状況は、マスコミにも大きく取り上げられました。

このこともあって、政府は捺印省略を一気に進めたのですが、民間企業での対応は思うように進んでいません。

さらに、当初は新型コロナウイルスに対する恐怖から、テレワークを強く希望していた従業員も、いざ導入してみると、通信費、光熱費、消耗品費だけでなく、新しい机、椅子、パソコンなどの負担についてのルールが不明確で、経済的な負担が大きくなったり、残業代が減少したり、通勤手当が支給されなくなったりと、収入も減るなど不利益を痛感するようになりました。

すべての従業員がテレワークの対象となるわけではなく、一部の従業員に限られるため、不公平感を払拭できない、特に派遣社員についてはテレワークの実施が困難であるという問題も指摘されました。

 

<隠された理由>

テレワークをやめた理由として、企業に対するアンケートでクローズアップされないものとして、リモートワークハラスメント(リモハラ)があります。

これは、テレワークあるいはリモートワークでは、距離感を錯覚したりコミュニケーションの取り方が従来と異なったりすることにより、新たなハラスメントの発生や増強が起こるものです。

特に、1対1でのリモート対応では密室化するわけですから、ハラスメント発生の危険が高まります。

ハラスメントで怖いのは「慣れ」です。

マスコミで取り上げられるハラスメントは、かなり深刻な人権侵害であることが多いのですが、発生した組織内では、徐々にエスカレートし「慣れ」によって、何とも思わなくなっているという恐ろしさがあります。

テレワークで発生した「慣れ」は、出勤しても残りますので、従業員の感覚の変化には注意する必要があるでしょう。

 

<解決社労士の視点から>

新型コロナウイルス感染症拡大への対応で、企業がテレワークを拡大したのに対応して、政府は前倒しでオンライン化を進めました。

一度は諦めたテレワークであっても、態勢を整えて再チャレンジする価値があります。

また、テレワークだけでなく、業務のオンライン化を進めるチャンスでもあります。

2021/08/29|1,345文字

 

<雇用保険の離職理由>

雇用保険の失業手当(求職者給付の基本手当)は、かなり大雑把に言うと、自己都合の離職よりも会社都合のほうが有利です。

しかし実際には、自己都合・会社都合という区分ではなく、労働契約期間の満了や自己都合退職といった一般的な離職の場合と、特定受給資格者や一部の特定理由離職者の場合とに区分されています。

これは、予め転職の準備や経済的な備えができる退職と、転職が困難で経済的な備えができない退職とに区分して、離職者の受給内容に差を設けているのです。

ですから、会社と離職者とで雇用保険の話をする場合には、自己都合・会社都合というのではなく、給付制限期間の有無と所定給付日数について話すのが現実的です。

 

<退職金制度>

退職金制度では、自己都合と会社都合とで、支給金額に差のあることが多いものです。

自己都合でも会社都合でもない場合は、想定されないのが殆どです。

たとえば、1店舗のみを経営する会社が、行政により店舗の立退きを命じられた場合、廃業することになるのは、会社都合ではなく「行政都合」のようにも見えます。

しかし、店舗を移転して営業を続けるという選択肢もありますから、廃業するのは会社の主体的な決定によるものとされ、一斉解雇の場合には会社都合となります。

 

<休職制度>

休職制度で、会社都合によるものについて規定を置くことは少なく、殆どの場合が自己都合によるものとなります。

そして、休職期間が満了すれば、自動退職(自然退職)とされることが多く、中には解雇とする規定も見られます。

会社都合での休職や、復職できる状態となったにも関わらず会社都合で復職させられない場合には、休職期間の満了をもって自己都合による自動退職することはできず、話合いのうえ会社都合での退職とする場合が多いでしょう。

特にセクハラ、パワハラ、長時間労働、退職強要などによる精神疾患を原因とする休職の場合には、休職期間の満了をもって退職とすることは、不当解雇となるのが一般ですから注意が必要です。

 

<感染症の自宅待機>

インフルエンザに罹患した従業員から、年次有給休暇を取得する旨の申し出があれば、会社はこれに従うことになります。

しかし本人から「比較的症状が軽いので出勤したい」「テレワークにしたい」という希望が出された場合には、会社から年次有給休暇の取得を強制することはできません。

会社が休業させたいと考えるのであれば、休業手当を支払うことになります。

また、家族が新型コロナウイルスに感染し、従業員が濃厚接触者とされ、保健所から自宅待機するよう指導があった場合には、自己都合でも会社都合でもなく「行政都合」です。

この場合には、会社が休業手当を支払う義務を負いませんが、ご本人が年次有給休暇を取得することはできます。

しかし従業員の中に、お子さんが新型コロナウイルスに感染して濃厚接触者となった母親がいて、保健所から自宅待機を指示され、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金を受給しようとする場合に、会社は休業期間を証明してあげることになります。

この場合、会社が金銭的な負担をすることはなく、休業の事実を確認する書類の作成に協力するだけです。

「会社都合ではなく自己都合だから」と考えて、協力を拒まないように注意しましょう。

2021/08/20|827文字

 

<特例改定の対象者>

今回の標準報酬月額の特例改定は、令和3(2021)年8月から12月までの間に新型コロナウイルス感染症の影響による休業に伴い報酬が急減した人が対象です。

令和2(2020)年6月から令和3(2021)年5月までの間に休業により著しく報酬が下がり特例改定を受けた人であっても対象となります。

 

<対象者の具体的な条件>

次のすべての条件を満たす人が対象です。

・新型コロナウイルス感染症の影響による休業があったことにより、令和3(2021)年8月から令和3(2021)年12月までの間に、著しく報酬が下がった月が生じたこと

・著しく報酬が下がった月に支払われた報酬の総額(1か月分)が、既に設定されている標準報酬月額に比べて2等級以上下がったこと(固定的賃金の変動がない場合も対象)

・特例措置による改定内容に本人が書面により同意していること

 

<届出>

月額変更届(特例改定用)に申立書を添付して、所轄の年金事務所に原則として郵送で提出します。

令和3(2021)年9月1日から令和4(2022)年2月28日までの届出が対象となります。

※令和3年4月から7月までの間の特例の届出期間は、令和3年9月30日までとなっています。

※令和3年1月から3月までの間の特例の届出期間は、令和3年5月31日で終了しています。

 

<対象者の同意>

届出に当たっては、対象者(被保険者)本人の十分な理解に基づく事前の同意が必要となります。

「保険料が安くなる」というメリットだけでなく、傷病手当金、出産手当金及び年金の額は、改定後の標準報酬月額に基づき算出されるので、こちらも減額されるというデメリットの理解が必須です。

 

<再度の改定手続>

上記の特例改定を受けた人は、休業が回復した月に受けた報酬の総額を基にした標準報酬月額が、特例改定により決定した標準報酬月額と比較して2等級以上上がった場合、その翌月から標準報酬月額を改定することになりますので、月額変更届の提出が必要です。

2021/08/11|1,031文字

 

<顔出ししたくない人の言い分>

オンライン会議で顔出ししたくない人は、次のような主張をします。

オンライン会議に参加する前は、服装や髪型を整え、化粧をしたり、ひげを剃ったり、部屋を片付けたりと、準備に手間と時間がかかります。

参加中は、緊張した姿勢と表情を維持しなければならず、プライベートな空間を社内の人に見られます。

そもそも、会議を行うのに姿を見せる必要はなく、音声だけで話し合えるのではないかと考えます。

 

<顔出しさせたい人の言い分>

一方、オンライン会議で顔出しさせたい人は、次のような主張をします。

会社で会議を行う場合には、出社の時点で服装や髪型が整っているし、化粧やひげ剃りは済ませてあって当然だから、オンライン会議だからといって特別な負担はありません。

会議中に緊張を強いられるのも、オンライン会議に特有のことではありません。

姿を見せることによって、表情やジェスチャーによる一段高いコミュニケーションが可能となります。

そもそも、話し手が熱心に話している時、聞き手がちゃんと聞いているかどうか把握できないのでは困ります。

 

<背景の設定>

プライベートな空間を人目に晒すことが問題であれば、カメラをオフにするのではなく、背景を設定することも可能です。

ただし、テレビ番組や居酒屋の背景では不適切ですから、参加者全員で同じ背景にする、あるいは会社が作成した公式の背景を用いることも考えられます。

 

<リモートハラスメント(リモハラ)>

何とかして顔出しさせたいがために「おいこら!ちゃんと顔を見せろ!」などと暴言を吐くことや、顔出ししないメンバーの会議出席を拒否することは、リモハラとなりますので許されません。

また、他のメンバーが見聞きできる状態での叱責は、それ自体がパワハラとなります。

会議が終了してから、顔出ししなかった理由を確認し、これを踏まえて指導すべきです。

 

<解決社労士の視点から>

社員間で「常識」が対立する場合には、ルールを確定することによって解決します。

就業規則(テレワーク規程、オンライン会議規程)に、オンライン会議での顔出しについて規定を置きます。

顔出しが義務付けられているオンライン会議で、顔出しできない理由がある場合には、参加者から主催者に理由を明らかにして事前の許可を得るという規定も必要でしょう。

また、プライバシー保護の観点から、背景設定を禁止することは望ましくありません。

さらに、パワハラやセクハラについての注意規定を置くこともお勧めします。

2021/07/08|767文字

 

コロナハラスメントhttps://youtu.be/Y0ga4SznnTM

 

説明会の開催>

令和3(2021)年6月25日、内閣官房のコロナワクチン接種証明担当によるワクチン接種証明書の発行手続に関する自治体向け説明会が開催されました。

これによると、コロナワクチン接種証明書について、7月中に書面での交付が可能となるように準備が進められています。

 

<接種証明書>

市区町村で実施された新型コロナウイルスワクチンの接種記録等を、接種者からの申請に基づき交付するものです。

国際的な人的往来で利用する際、予防接種を受けた本人に対して接種事実を証明する接種済証では、英語の表記、記載事項の不足、偽造防止対策といった課題があるため、接種済証とは別にワクチン接種証明書が発行されることになりました。

発行主体は、予防接種を実施し個人の接種記録を管理する市区町村です。

 

<証明内容>

新型コロナウイルスワクチンの接種記録(ワクチンの種類、接種年月日など)と接種者に関する事項(氏名、生年月日、旅券番号など)が接種証明書に記載されます。

証明内容の詳細については、今後、諸外国の動向等を踏まえて決定される予定です。

 

<手続の概要>

1.窓口または郵送で申請を受理

2.ワクチン接種記録システム(VRS)を使用して審査・入力

3.窓口または郵送で証明書を交付

 

<申請に必要な書類>

・申請書

・旅券

・接種券

・接種済証か接種記録書、またはその双方

・(旅券に旧姓・別姓・別名(英字)の記載がある場合)旧姓・別姓・別名が確認できる本人確認書類

・(代理人による請求の場合)委任状

・(郵送の場合)返信用封筒(申請者が切手貼付、返送先住所を記載し提出)と住所の記載された本人確認書類

 

<その他>

将来的には電子申請、証明書の電子化を目指すとともに、当面は用途を国外利用に限定し、交付請求時には旅券の提示を必須とし、真に必要な場合のみ取得することとするそうです。

2021/06/17|1,170文字

 

バラバラに取る昼休みhttps://youtu.be/ngjJ_i4-1JE

 

<政府の感染症対策方針にも>

令和3(2021)年5月28日、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策本部は「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」の一部を変更し、職場における感染防止のための取組として、事業者に対して昼休みの交代制などを促すこととしました。

休憩室や食堂などでの密を避けるため、交代制の昼休みは手軽で有効な手段ではありますが、一定の配慮と手続が必要となります。

 

<一斉付与の原則>

【労働基準法第34条第2項本文:休憩の一斉付与】

前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。

この根拠としては、一斉でなければ心理的に休憩を取りづらいとか、会社が管理しにくいとか、労働基準法の前身である工場法の名残であるとか言われています。

しかし、一斉付与でなくてもよい業種が、労働基準法施行規則第31条に定められています。

運輸交通業、商業、金融保険業、興業の事業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署の事業がこれに該当し、一斉に休憩を取ったのでは、お客様にご迷惑をお掛けするということのようです。

ですから、これらの業種に該当する企業では、昼休みの時差取得をするのに特別な手続は不要です。

 

<労使協定の締結>

【労働基準法第34条第2項但書:一斉付与の免除】

ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

このように、休憩の一斉付与を免除されていない業種であっても、労使協定の締結によって、一斉付与の義務を免れることができます。

この労使協定は、所轄の労働基準監督署長に届け出なくてもよいものです。

 

<同一労働同一賃金への配慮>

食堂や休憩室の利用について、正社員は午前11時から午後2時、非正規社員はこれ以外の時間帯などと定めるのは、こうすることに合理的な理由がなければ、同一労働同一賃金の観点から問題ありです。

「同一労働同一賃金」は、「賃金」という文字が入っているものの、休暇や福利厚生にも及ぶ原理ですから、昼休みの時差取得にあたっては、同一労働同一賃金の趣旨に反しないように配慮する必要があります。

 

<公平性の確保や業務への配慮>

結局、部署毎に交代で休憩を取得することになると思われますが、休憩時間が固定では部署間の不公平が発生してしまいます。

そこで、毎月のローテーションで休憩時間が変更になる仕組を考えることになります。

しかし、あまり早い時間帯、あるいは遅い時間帯に昼休みを取ったのでは、業務に支障が出る部署もあり、この辺の調整が難しいかもしれません。

昼休みの交代制について仕組を考える部署は、各部署からの聞き取りを行い、よく考えてローテーションを組む必要があるでしょう。

2021/06/08|1,214文字

 

<国税庁公表のFAQ>

令和3(2021)年5月31日、国税庁が「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」を改定しました。

このFAQは、企業が従業員の感染予防対策費用を負担した場合に、それが給与として課税対象となるか否かの基準を示しています。

企業が、新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応で費用を支出した場合には、過去に例が無いものもあり、従来の基準に無理やり当てはめて判断することは危険です。

給与計算を正しく行うため、給与として課税対象となるもの/ならないものを適正に区別しましょう。

 

<給与として課税対象とならないもの>

給与として課税対象とならないものには、次のようなものがあります。

・企業がマスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などを従業員に配付した現物

・マスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などの消耗品の購入費で、業務のために通常必要な費用を精算する方法により支給する金銭

・テレワークを行う環境を整備するための、従業員の自宅に設置する間仕切り、カーテン、椅子、机、空気清浄機などの備品の購入費であって、これらの備品が従業員に貸与される場合

・感染が疑われる従業員について、ホテル等の利用料・ホテル等までの交通費など、業務のために通常必要な費用を精算する方法または企業の旅費規程等に基づいて支給する金銭

(従業員が立て替えるのではなく、企業がホテル等に利用料等を直接支払う場合も同様)

・業務命令により従業員が受けたPCR検査費用や、テレワークに関連して業務スペースを消毒する必要がある場合の費用などについて、その費用を精算する方法により支給する金銭

(従業員が立て替えるのではなく、企業が検査機関や委託先等に費用を直接支払う場合も同様)

 

<給与として課税対象となるもの>

給与として課税対象となるものには、次のようなものがあります。

・マスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などの消耗品の購入費で、通常必要なもの以外の費用について支給するものや、従業員の家族など従業員以外の者に支給するもの

・マスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などの消耗品の購入費として、あらかじめ従業員に支給した金銭について、業務のために通常必要な費用として使用しなかった場合でも返還する必要がないもの

・テレワークを行う環境を整備するための、従業員の自宅に設置する間仕切り、カーテン、椅子、机、空気清浄機などの備品の購入費であって、これらの備品の所有権が従業員に帰属することとされるもの

・勤務とは関係なく使用する電化製品など

・業務のために通常必要な費用として従業員に支給され、使用しなかった場合でも返還する必要がないもの

・従業員が自己判断でホテル等に宿泊した場合の費用やホテル等までの交通費など

・従業員が自己判断で受けたPCR検査費用や、従業員が自己判断で支出した消毒費用など

2021/05/03|1,569文字

 

<厚生労働省の対応>

厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症対策として妊娠中の女性労働者等について、企業に対し職場での配慮を呼びかけています。

また、妊娠中の女性労働者の母性健康管理を適切に図ることができるよう、「新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置」を設けるとともに、この措置により休業が必要とされた妊娠中の女性労働者のために有給の休暇制度を設けて取得させる事業主を支援する助成制度を設けています。

これらの措置及び助成金の期限は、令和4(2022)年1月末までとなっています。

 

<母性健康管理措置>

新型コロナウイルス感染症が拡大する中、妊娠中の女性労働者は、職場の作業内容等によって感染の不安やストレスを抱える場合があります。

こうした人の母性健康管理を適切に図ることができるよう、男女雇用機会均等法に基づく母性健康管理上の措置として、新型コロナウイルス感染症に関する措置が規定されています。

妊娠中または出産後1年以内の女性労働者が保健指導・健康診査の際に、心理的なストレスが母体または胎児の健康保持に影響があるとして、主治医や助産師から指導を受け、事業主に申し出た場合、その指導事項を守ることができるようにするために必要な措置を講じることが事業主に義務付けられています。

主治医等から指導があった場合に備え、指導事項は母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)に書いてもらい、事業主に提出するよう妊娠中の女性労働者にご案内しておきましょう。

具体的な措置としては、感染の恐れが低い作業への転換や出勤の制限(在宅勤務・休業)などがあります。

本措置の対象期間は、令和2(2020)年5月7日から令和4(2022)年1月31日までです。

 

<新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇制度導入助成金>

令和3(2021)年度について助成内容が変更されています。

支給額は15万円で、1事業場につき1回限りとなっています。

 

【主な支給要件】

・新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として、医師又は助産師の指導により、休業が必要とされた妊娠中の女性労働者が取得できる有給の休暇制度(年次有給休暇を除き、年次有給休暇の賃金相当額の6割以上が支払われるものに限る)を整備すること

・有給休暇制度の内容を新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容とあわせて労働者に周知すること

・令和3(2021)年4月1日から令和4(2022)年1月31日までの間に、この休暇を合計して5日以上労働者に取得させること

 

平均賃金ではなく、年次有給休暇を取得した場合の賃金を基準として、また全額ではなく6割以上の支払が基準となっています。

 

<両立支援等助成金(新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース)>

支給額は、対象労働者1人当たり28万5千円で、1事業所当たりの上限は5人までとなっています。

 

 【主な支給要件】

・新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として、医師または助産師の指導により、休業が必要とされた妊娠中の女性労働者が取得できる有給の休暇制度(年次有給休暇を除き、年次有給休暇の賃金相当額の6割以上が支払われるものに限る)を整備すること

・有給休暇制度の内容を新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容とあわせて労働者に周知すること

・令和2(2020)年5月7日から令和4(2022)年1月31日までの間に、この休暇を合計して20日以上労働者に取得させること

 

 

なお、令和2年度(令和3年3月31日まで)に取得した有給休暇について、令和2年度の新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援助成金を申請する場合は、5月31日が申請期限となります。

2021/03/05|1,421文字

 

YouTube自己都合の転居と通勤手当の増額

https://youtu.be/iTn2M0ZOKFA

 

<新型コロナウイルス感染症拡大の影響>

コロナの影響で、感染者の多い地域から少ない地域へ転居する動きが見られました。

ほとんどの場合、会社からの指示ではなく自己都合での転居です。

また、在宅勤務が定着してくると、会社の近くにある家賃の高い物件に住むよりは、会社から離れた家賃の安い物件に住むことを考える従業員も増えてきます。

こうした場合、自己都合で転居した従業員の通勤手当が、大幅に増額されることは防げないのでしょうか。

 

<就業規則の規定>

通勤手当をどのように支給するかは、労働基準法などに規定がありません。

就業規則にどう定めるかは、基本的に各企業の自由です。

「実費を支給する」というだけの規定であれば、従業員が自己都合で転居した場合でも、通勤手当が実費を基準に支給されることになり、大幅に増額されることがあるでしょう。

「月額7万円を上限として」というように、通勤手当の上限額が規定されているのであれば、これを上回る費用は個人負担となります。

「ただし、自己都合で転居したことにより通勤の費用が増加した場合には、その増加分は従業員の負担とする」という規定であれば、元の住居を基準とした通勤手当の支給となります。

 

<不利益変更の回避>

就業規則を変更して、通勤手当に上限額を設けると、これを上回る費用が発生している従業員に不利益が生じます。

不利益変更を回避するためには、「ただし、令和3年9月30日以前に入社した従業員には、通勤手当の上限を設けない」という但し書きを加えるなどの配慮が必要でしょう。

また、就業規則を変更して、「自己都合で転居したことにより通勤の費用が増加した場合には、その増加分は従業員の負担とする」という規定にする場合にも、「なお、令和3年9月30日以前の転居による通勤費用の増加にはこれを適用しない」という規定を加えるなどの配慮が必要でしょう。

 

<在宅勤務者の出勤費用>

自宅での勤務と出勤しての勤務が半々という場合には、出勤日数に応じた通勤手当の支給額が就業規則に規定されているのではないでしょうか。

出勤日数にかかわらず、「1か月につき6か月通勤定期代の6分の1を支給する」というような規定の場合、出勤日数の違いによる不公平が発生することもありますから、出勤予定日数に応じた支給額にするなどの合理的な規定に改めることも検討したいところです。

なお、在宅勤務が常態化している従業員に対して、本社への出勤を命ずるような場合、通常の勤務地は自宅ですから、本社と自宅との往復にかかる経費は、旅費交通費となるのが通常でしょう。

また、かなり遠方であれば、出張旅費規程などの適用によって、給与部分と経費部分とに分割されると思われます。

 

<同一労働同一賃金との関係>

正社員など通常の労働者と、非正規社員とで、通勤手当の支給基準を異にする会社もあります。

こうした待遇の違いについて、合理的な説明が簡単であれば良いのですが、難しいのであれば、出勤予定日数に応じた共通の規程に改めてはいかがでしょうか。

つまり、自己都合の転居や在宅勤務への対応とあわせて、同一労働同一賃金への対応を踏まえた通勤費支給規程に改善するわけです。

 

<解決社労士の視点から>

就業規則の変更となると、社内への周知は必須です。

しかし通勤手当については、従業員の関心も高いでしょうから、単に周知するだけではなく、変更までの期間を十分にとり、具体例を示して十分な説明をしておくことも必要です。

2021/02/26|1,624文字

 

YouTube解決社労士のご紹介

https://youtu.be/qUAFJ0sjnDg

 

<働き方改革の始まり>

安倍晋三前首相は平成28(2016)9月、内閣官房に「働き方改革実現推進室」を設置し働き方改革の取り組みを提唱しました。

 

このタイミングで一億総活躍社会を目標に設定したのは、生産年齢人口(1564歳)がハイペースで減少しているからです。

一億総活躍社会は「50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰しもが活躍できる社会」とされています。

日本の人口は減少傾向にあるのですが、それでも50年後に1億人以上を維持したうえで、ひとり一人が活躍できる、言い換えれば社会に貢献できるようにしようということです。

 

<働き方改革3つの課題>

働き方改革を実現するためには次の3つの課題があります。

・長時間労働

・非正規と正社員の格差

・労働人口不足(高齢者の就労促進)

 

企業-労働者間の労働契約の内容は本来自由ですが、弱者である労働者を保護するという要請から、労働基準法などにより企業に様々な制約が課され、労働契約に対して法的な介入がなされています。

働き方改革は、このような労働契約に対する介入ではなく、政府から企業に対する提言の形をとっています。

それは、企業に対して法的義務を課さなくても、企業が積極的に働き方改革を推進しなければ生き残れないので、義務付けるまでもないということなのでしょう。

 

とはいえ、働き方改革には政府が推進すべき内容と企業が取り組むべき内容が混在しています。

より広い視点から、企業が取り組むべき課題を整理すれば、次の3つに集約されると思います。

 

・労働条件の改善 ・労働環境の改善 ・労働生産性の向上

 

これらは、現在の労働市場の実態からすれば、わざわざ政府から言われなくても、企業は積極的に取り組むべき内容です。

 

<労働条件の改善>

給与や賞与が高額であり、労働時間が短くて十分な睡眠が確保でき、休暇も取れるとなれば、働きたい人が押し寄せます。

さらに、教育研修が充実していて人事考課制度が適正であれば、専業主婦やニートも働きたくなって当然です。

これによって、出生率も上がり人口減少にも歯止めがかかるでしょう。

今は、新型コロナウイルスの影響で、期せずして労働時間の減少が生じています。

将来に対する不安も増大していますから、安心して結婚・子育てを考えるどころか、安眠すらできない人々が増えてしまいました。

これから新型コロナウイルスの終息に向かう中で、労働時間の増加を伴わない回復が期待されます。

 

<労働環境の改善>

温度、湿度、明るさ、換気、騒音、スペースの広さ、機械化の充実など物理的な環境も大事ですが、パワハラやセクハラがなくて部下から見てもコミュニケーションが十分と思えるような環境であれば、人が集まって当然でしょう。

採用難の時代でも、労働条件と労働環境が良い職場には、就職希望者が途絶えることはないのです。

新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務を中心とするテレワーク導入が進行しました。

必ずしも、自宅の労働環境が良いとは限りませんが、生活とのバランスは取りやすくなっています。

今後も、労働者にとっては通勤の負担がなく、会社にとっては固定費の負担が少ないテレワークは定着することでしょう。

 

<労働生産性の向上>

労働条件や労働環境の改善は、企業にそれなりの余裕がなければできません。

そのためには、労働生産性を向上させ、企業の収益力を高めなければなりません。

しかし、労働生産性を高めるには、労働条件や労働環境を改善して、良い人材を確保し育てなければなりません。

このように、労働条件や労働環境の改善と労働生産性の向上は、鶏と卵の関係にあるのです。

 

<解決社労士の視点から>

以上のことから、働き方改革が企業の生き残りのために必須であること、できるところから少しずつではなく、総合的に同時進行で行うべきことが明らかになったと思います。

どのように計画し推進すべきか、迷うところがあれば、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

2021/02/18|1,662文字

 

YouTubeコロナハラスメント

https://youtu.be/Y0ga4SznnTM

 

<コロナハラスメント>

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、コロナ関連のハラスメントが発生しています。

これは、コロナハラスメントと呼ばれています。

コロハラは私生活の場でも発生しますが、職場で発生するコロハラは会社が見過ごすわけにはいきません。

ハラスメントは、どれも嫌がらせであり人権侵害です。

これを会社が放置すると、生産性の低下や退職者の増加をもたらします。

 

<発生のシーン>

勤務中にマスクを着用していない従業員に怒りがぶつけられます。

東京や外国の感染拡大地域から帰ってきた従業員が、出勤しないように強く求められます。

会議の席で、マスクを着用していない取締役が、大声で発言するのを他の従業員が制止できずにいます。

会社の飲み会では、会場が十分な感染拡大防止策をとっていて、参加者全員がマナーを守るのでなければ、感染を恐れる従業員にとってはコロハラとなりえます。

運悪く感染した従業員は、なかなか職場に復帰させてもらえませんし、復帰後も「いつ、どこで、どのように感染したのか」と、プライバシーを詮索されてしまいます。

従業員の家族が感染した場合にも、その従業員は家族の感染を責められます。

 

<感染防止ハラスメント>

誰しも、新型コロナウイルスに感染することを恐れています。

その一方で、「こうすれば絶対に感染しない」と言い切れる予防法はありません。

手指や机・椅子のアルコール消毒、マスクやフェイスシールドの着用、自宅や会社での検温と体調管理など、やるべきことは多岐に渡ります。

こうした対策を徹底している従業員の「常識」から見れば、感染防止対策をあまりしない従業員の行動は許せないものに感じ、嫌がらせをしてしまいがちです。

故意にアルコールを吹きかけるなどの暴挙も聞かれます。

 

<感染疑いハラスメント>

繰り返し咳込んだり、額に手を当ててぼんやりしたりすると、周囲から新型コロナウイルスに感染したのではないかと、疑いの目を向けられます。

喘息持ちであったり、額に手を当てのるが癖だったりしても、疑いが晴れることはありません。

周囲の従業員は、ソーシャルディスタンスを遥かに超える距離をとったり、帰宅を促したりと、本人からすれば嫌がらせと感じる行動をとることがあります。

特にこうした様子が見られなくても、東京への出張から帰ってきたばかりとなると、出勤せずに在宅で勤務することや、年次有給休暇を取得することを迫られたりすることもあります。

 

<感染者へのハラスメント>

運悪く新型コロナウイルスに感染し、隔離され、PCR検査で陽性反応が出なくなり、さらに一定の期間自宅療養してから出勤しても、バイキン扱いされてしまうことがあります。

また、周囲への感染リスクが無いことが分かっても、どこでどうやって感染したのか詮索されます。

感染者の多い場所に出掛けていたことが判明すれば、それを非難の対象とされることもあります。

 

<コロハラの防止>

コロハラは、被害者の「常識」と加害者の「常識」とが食い違っているために発生します。

「常識」というのは、各個人に固有のものですから、食い違うのが当たり前です。

会社でコロハラの発生を防止するには、全従業員が各個人の「常識」ではなく、社内ルールに従って行動することにすれば良いのです。

ここで、社内ルールとして定めておくことが必要なのは、次のようなものです。

 

・従業員が社内外で講ずる感染防止策のルール・従業員が体調不良で感染が疑われるときの行動ルール・従業員の家族が体調不良で感染が疑われるときの行動ルール

・従業員や家族が感染したときの行動ルール

・従業員が濃厚接触者とされたときのルール

 

注意したいのは、「本人」に当たる従業員のルールだけでなく、周囲の従業員が取るべき行動のルールも必要だということです。

 

<解決社労士の視点から>

上記に掲げたルールの中には、新型コロナウイルスに特有のものもありますが、多くはインフルエンザなどの感染症にも共通するものです。

納得できるルールを定められるよう、社内でよく話し合って策定することが大切です。

2021/02/11|1,174文字

 

YouTube解決社労士のご紹介

https://youtu.be/qUAFJ0sjnDg

 

<産業雇用安定助成金の創設>

新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合に、出向元と出向先の双方の事業主に対して助成する「産業雇用安定助成金」が創設されました。

この助成金は、令和3(2021)年2月5日から施行されましたが、同年1月1日からの出向に遡って助成を受けることができます。

 

<対象事業主>

1. 出向元事業主

新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動の一時的な縮小を余儀なくされたため、労働者の雇用維持を目的として出向により労働者(雇用保険被保険者)を送り出す事業主

2. 出向先事業主

当該労働者を受け入れる事業主

 

<助成金の対象となる出向>

雇用調整を目的とする出向が対象です。

具体的には、新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図ることを目的に行う出向を指します。

雇用維持を図るための助成ですから、出向期間終了後は元の事業所に戻って働くことが前提となります。

 

<助成金の対象とはならない出向>

出向元と出向先が、親会社と子会社の間の出向である場合や、代表取締役が同一人物である企業間の出向である場合など、資本的・経済的・組織的関連性などからみて独立性が認められない場合は助成金の対象とはなりません。

出向先で別の人を離職させるなど、玉突き出向を行っている場合にも、助成金の対象とはなりません。

 

<出向運営経費の助成率・助成額>

出向元事業主および出向先事業主が負担する賃金、教育訓練および労務管理に関する調整経費など、出向中に要する経費の一部が助成されます。

 

 

中小企業

中小企業以外

出向元が労働者の解雇などを行っていない場合

9/10

3/4

出向元が労働者の解雇などを行っている場合

4/5

2/3

上限額(出向元・先の計)

12,000円/日

 

<出向初期経費の助成率・助成額>

就業規則や出向契約書の整備費用、出向元事業主が出向に際して予め行う教育訓練、出向先事業主が出向者を受け入れるための機器や備品の整備など、出向の成立に要する措置を行った場合に助成されます。

 

 

出向元

出向先

助成額

各10万円/1人当たり(定額)

加算額

各5万円/1人当たり(定額)

 

上の表で「加算額」は、出向元事業主が雇用過剰業種の企業や生産性指標要件が一定程度悪化した企業である場合、出向先事業主が労働者を異業種から受け入れる場合について、助成額の加算が行われるものです。

 

<助成対象となる経費>

■出向開始日が令和3(2021)年1月1日以降の場合、

出向開始日以降の出向運営経費および1月1日以降の出向初期経費が助成対象となります。

■出向開始日が令和3(2021)年1月1日より前の場合、

1月1日以降の出向運営経費のみが助成対象となります。

 

解決社労士

2021/02/04|1,606文字

 

YouTubeコロナハラスメント

https://youtu.be/Y0ga4SznnTM

 

<労災保険の手続>

従業員が勤務中に新型コロナウイルスに感染したと思われる場合には、労災保険の適用が考えられますので、会社はその手続に協力する義務を負います。

労災認定を行うのは労働基準監督署(労働局)の権限ですから、会社側で安易に判断することは避けなければなりません。

新型コロナウイルス感染症の労災認定に関する判断はむずかしいですから、所轄の労働基準監督署と相談しながら手続を進めるのが得策です。

 

<新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の労災認定基準>

「医師、看護師、介護従事者等の医療従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合は、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として労災保険給付の対象となる」という基準があります。

この基準は、「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱い」(令和2年4月 28 日基補発0428第1号通達)に示されているものです。

医療従事者が、新型コロナウイルスに感染した場合には、一般に「業務上」である可能性が高いですから、こうした基準が適用されるわけです。

一方で、医療従事者以外の人が新型コロナウイルスに感染した場合には、一般に「業務上」である可能性が低いですから、同じ基準は適用されません。

医療従事者以外の人については、この通達で「感染源が業務に内在していることが明らかな場合は、労災保険給付の対象となる」という基準が設けられています。

原則と例外が逆になっているわけです。

また、この通達では「感染経路が特定されない場合であっても、感染リスクが相対的に高いと考えられる業務(複数の感染者が確認された労働環境下での業務や顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務など)に従事し、業務により感染した蓋然性が高いものと認められる場合は、労災保険給付の対象となる」という基準が設けられていて、医療従事者以外であっても、感染リスクが高い環境下での業務については、中間的な基準が適用されることになっています。

 

<安全配慮義務>

労働契約法には、安全配慮義務について次の規定があります。

 

【労働者の安全への配慮】

第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

 

労働契約法は、最高裁判所の判決の理由中に示された判断を中心にまとめられた法律です。

ですから、この法律ができる前から、安全配慮義務は認められていたことになります。

そもそも信義則上、債権者(使用者)は債務者(労働者)がうまく債務を履行できるよう(働けるよう)配慮する義務を負っています。

ここで、「信義則」というのは、民法第1条第2項に定められた「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」という原則のことです。

こうして債権者(使用者)は、債務者(労働者)に対して、安全配慮義務などを負うことになります。

 

<新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する安全配慮義務の内容>

従業員に感染拡大予防のための教育指導を行う必要があります。

正しい手洗い、うがいの励行、正しいマスクの着用、顔に手で触れない、三密を避けるなどを指導し、守れない従業員には個別指導を行います。

また、在宅勤務を拡大する、座席の間隔を空ける、アクリル板などで飛沫の飛散を防止するなど職場環境への配慮も必要です。

会社が安全配慮義務を尽くしていれば、感染者が発生した場合に、本人や家族から不法行為責任や債務不履行責任を問われても、反証は容易になります。

 

<解決社労士の視点から>

速やかで正しい労災保険の手続や、感染拡大防止に向けて安全配慮義務を尽くすことは、会社が損害賠償責任を負わないという消極目的だけでなく、お客様やお取引先の信頼を高め、従業員の定着率を高めるなど積極目的でも行うべきです。

是非とも、前向きに取り組んでいただきたいと思います。

2021/01/08|1,839文字

 

YouTube解決社労士のご紹介

https://youtu.be/qUAFJ0sjnDg

 

<コミュニケーション不足>

コミュニケーションというのは、人と人との間で行われる知覚・感情・思考の伝達です。

労働問題の原因の大半は、コミュニケーション不足にあると考えられます。

コミュニケーションの良い職場では、労働問題が少ないといえます。

しかし、「コミュニケーションを心がけましょう」と言ってみたところで、それは掛け声に終わってしまいます。

 

<コミュニケーションコスト>

コミュニケーションコストとは、知覚・感情・思考の伝達に必要な、時間・労力・精神的負担のことです。

短時間で手軽に気軽に伝われば、コミュニケーションコストが低いことになりますし、長時間にわたり苦労しないと伝わらないのは、コミュニケーションコストが高い状態です。

 

<伝え手のコミュニケーションコスト>

伝え手のコミュニケーションコストは、受け手に伝えるのに必要な時間・労力・精神的負担です。

主に受け手側に、忙しそう、嫌そうに見える、伝えると怒りそう、反論しそう、理解力が低いなどの問題があると、伝え手のコミュニケーションコストが高くなります。

受け手が、いつも機嫌良く、話しかけると嬉しそうに笑顔になって、反論せずに最後まで聞いて、「ああなるほど」と言ってくれる相手であれば、伝え手のコミュニケーションコストは極めて低くなります。

こういう受け手の所には、情報が集まります。

 

<受け手のコミュニケーションコスト>

受け手のコミュニケーションコストは、伝え手から知覚・感情・思考を受け取るのに必要な時間・労力・精神的負担です。

主に伝え手側に、遠慮している、自信が無い、感情的になっている、言語能力が不足している、論理的でない、話が脱線するなどの問題があると、受け手のコミュニケーションコストが高くなります。

伝え手が、自信を持って堂々と冷静に、分かりやすく論理的に手短に話してくれる人なら、受け手のコミュニケーションコストは極めて低くなります。

こういう伝え手には、協力者が集まります。

 

<職場のコミュニケーションコスト>

職場のコミュニケーションコストは、情報の共有と価値観の統一が進んでいて、メンバーが高い言語能力と理解力を備えていれば、全体に低くなります。

言語能力と理解力は、個人の資質と努力にかかっていますので、職場のコミュニケーションコストを下げるには、情報の共有と価値観の統一を図るのが合理的です。

価値観の統一を図るには話し合いが必要ですから、コミュニケーションコストが低い職場ほど、価値観の統一が進むことになります。

反対に、相手の立場に立って考えることが苦手なメンバーが多いと、価値観の統一を図るのは困難です。

 

<報連相の問題>

ある職場で、報連相不足が認識されたとします。

「報連相を心がけましょう」と言ってみたところで、それは掛け声に終わってしまいます。

もちろん、報連相をする部下の意識が低いだけであれば、こうした掛け声だけで改善されることもあるでしょう。

しかし、多くの場合には、部下のコミュニケーションコストが高くて、報連相がしにくいという実態があります。

つまり上司が、部下の前ではいつも忙しそうで機嫌が悪く、何か伝えても途中で反論しながら怒るというのでは、安心して報告も、連絡も、相談もできる筈がありません。

報連相不足が問題視される職場では、管理職が態度を改めることによって、改善が進みやすくなります。

 

<テレワークの問題>

テレワークでは一般に、コミュニケーションコストが高くなります。

リモート会議のツールを使っても、話し相手の反応にはラグ(遅延)が付き物ですから、コミュニケーションコストが高くなって当然です。

ましてやメールの場合には、相手の様子が分からないまま、文字だけで知覚・感情・思考を伝達するのですから、どうしてもコミュニケーションコストが高くなってしまいます。

当然のマナーともいえますが、メールを打ち終わっても、すぐに送信するのではなく、次のチェックを行いながら何度も推敲すべきです。

 

【メール送信前のチェック】

・可能な限り相手の立場に立って、分かりにくい点は無いか、誤解を招く点は無いか。

・論理矛盾は無いか。

・用件と無関係なことを書いていないか。

・相手がメールを読んで起こすべきアクションは明確か。

・誤字、脱字、誤変換、「てにをは」の誤りは無いか。

 

こうすることによって、コミュニケーションコストを低くすることができます。

もし、感情的になっていたら、一度冷静になってから上記のチェックを行うようお勧めします。

 

解決社労士

2021/01/01/|1,382文字

 

YouTubeコロナハラスメント

https://youtu.be/Y0ga4SznnTM

 

<「やむを得ない」の意味>

「やむを得ない」の「やむ」は「やめる」、「得ない」は「できない」という意味ですから、「やむを得ない」の意味は、「そうするよりほかに方法がない。しかたがない」という意味になります。

「やむ負えない」「やむ終えない」「やむ追えない」などの誤った表記も見られますが、これらは「やむおえない」ですから、そもそも誤りです。

「やもおえない」「やもうえない」という誤りも、耳にすることがあります。

かつては、「已むを得ない」と表記されていましたが、当用漢字で「止むを得ない」が一般的になりました。

 

<労働基準法の「やむを得ない」>

労働基準法により、解雇の予告や解雇予告手当の支払が無いまま解雇することは、犯罪となり罰則の適用もありえます。

しかし、「やむを得ない」事由のために事業の継続が不可能となった場合には、犯罪にはなりません。

 

【解雇の予告:労働基準法第20条第1項】

使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合または労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りでない。

 

条文には、「やむを得ない」事由の例として、天災事変が示されています。

簡単に「やむを得ない」と判断できないことは明白です。

実際、通達(昭和63年3月14日 基発150号、婦発47号)には、「やむを得ない」場合に該当する例として、次のものが挙げられています。

 

【やむを得ない場合の例】

・事業主の故意や重大な過失に基づかず、事業場が火災により焼失した場合

・震災によって工場、事業場の倒壊、類焼等により事業の継続が不可能となった場合

 

反対に、「やむを得ない」とはいえない場合の例として、次のものが挙げられています。

 

【やむを得ないとはいえない場合の例】

・国税の滞納処分を受け事業廃止となった場合

・取引先が休業状態となり、これが原因で事業が金融難に陥った場合

 

<コロナ禍による場合>

コロナ禍による業績の落ち込みから、正社員の整理解雇や非正規社員の雇い止め等を検討している企業もあります。

事業の継続が不可能となった場合には、コロナ禍が「やむを得ない」事由に該当するといえるのかが問題となります。

しかし、現時点では、厚生労働省などから、コロナ禍により事業の継続が不可能となった場合について、何らかの発表は見られません。

むしろ、助成金・補助金の特例、融資の拡大、税制上の措置、社会保険料の特例軽減などの緊急対応策により、事業の継続を維持するように促している状態です。

少なくとも、これらの緊急対応策を利用し尽くしてもなお、事業主の責任を問われない原因で、事業の継続が不可能となった場合でなければ、解雇の予告や解雇予告手当の支払が無いまま解雇することが許される「やむを得ない」事由があったとは、認められないのではないでしょうか。

さらに、コロナ禍による業績の落ち込みを理由とする解雇は、整理解雇にあたります。

整理解雇が有効となるためには、厳格な要件を満たす必要があります。

まずは、希望退職者の募集や退職勧奨など、労使の合意によって可能な対応を優先することをお勧めします。

 

解決社労士

2020/12/25|1,208文字

 

YouTubeコロナハラスメント

https://youtu.be/Y0ga4SznnTM

 

<小学校休業等対応助成金・支援金>

厚生労働省では、新型コロナウイルス感染症に関連して、小学校等の臨時休業等により仕事を休まざるをえなくなった保護者を支援するため、正規雇用・非正規雇用を問わない助成金制度(新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金)、委託を受けて個人で仕事をする人向けの支援金制度(新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金)を創設し、令和2(2020)年2月27日以降に取得した休暇等について支援を行っています。

これまでも、助成金・支援金の上限額等の引き上げや、対象期間の延長が行われてきましたが、令和2(2020)年12月18日、厚生労働省は、上記助成金・支援金について、新たに対象期間の延長、申請期限等に関する情報を公表しました。

 

<新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金>

新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、小学校等が臨時休業した場合等に、その小学校等に通う子の保護者である労働者の休職に伴う所得の減少に対応するため、正規雇用・非正規雇用を問わず、有給の休暇(労働基準法の年次有給休暇を除く)を取得させた企業に対する助成金です。

企業は、この助成金を活用し、有給の休暇制度を設け、年次有給休暇の有無にかかわらず利用できるようにすることで、保護者が希望に応じて休暇を取得できる環境を整えるよう努力することが求められています。

 

<助成金の額>

有給の休暇を取得した対象労働者に支払った賃金相当額の全額が助成されます。

具体的には、対象労働者1人につき、対象労働者の日額換算賃金額×有給の休暇の日数で算出した合計額を支給します。

ここで、「日額換算賃金額」とは、各対象労働者の通常の賃金を日額換算したものをいいます。

これには上限があり、令和2(2020)年3月31日までの休暇については8,330円、これ以降は15,000円となっています。

なお、対象となる休暇取得の期間が延長され、令和2(2020)年2月27日から令和3(2021)年3月31日までの間に取得した休暇についても支援の対象となる予定です。

 

<助成金の申請期限>

令和2年2月27日から9月30日までの休暇分は、令和2年12月28日が申請期限です。

令和2年10月1日から12月31日までの休暇分は、令和3年3月31日が申請期限です。

令和3年1月1日から3月31日までの休暇分は、令和3年6月30日が申請期限です。

ただし、次のようなやむを得ない事情がある場合には、申請期限経過後に申請することが可能です。

Ⅰ.労働者からの労働局の特別相談窓口への「(企業に)この助成金を利用してもらいたい」等の相談に基づき、労働局が事業主への助成金活用の働きかけを行い、これを受けて事業主が申請を行う場合

Ⅱ.労働者が労働局の特別相談窓口へ相談し、労働局から助言等を受けて、労働者自らが事業主に働きかけ、事業主が申請を行う場合

 

解決社労士

2020/12/22|2,411文字

 

YouTubeコロナハラスメント

https://youtu.be/Y0ga4SznnTM

 

<働き方改革>

平成31(2019)年4月に、長時間労働是正を中心とする働き方改革関連法が施行されました。

また、令和2(2020)年4月には、パートタイム・有期雇用労働法が大企業に施行され、労働者の待遇の在り方の見直しが進められています。

しかし、令和2(2020)年2月頃からは、こうした法改正への対応よりも、新型コロナウイルス感染拡大を防止するための対策に追われるようになりました。

これによって、働き方に大きな変化が生じ、働き方改革が一気に進んだ部分もあります。

 

<時差通勤>

令和2(2020)年3月から 4月上旬にかけて時差通勤の取組が拡大されました。

感染拡大を防止するためには、ソーシャルディスタンスが必要とされます。

時差通勤は、満員電車の過密を避ける取組です。

LINEによる全国調査によると、時差通勤を実施した人は2月19日調査で5%だったのが、3月2日調査では19%と増加しました。

緊急事態宣言が発出された4月7日より後の4月16日の調査では、19%のまま維持されています。

また、3月に行われた東京商工会議所による会員企業調査でも、時差通勤の実施企業割合は56.5%と高い数字を示しています。

規模が大きい企業ほど、実施率が高い傾向にありますが、50人未満の企業でも実施率は43.9%を示しています。

4月の調査では、企業数では半数程度、従業員数では2割弱が時差通勤をしていることが示されました。

緊急事態宣言が解除された5月25日以降も、利用者数は増加したものの、8月中旬以降は横ばいの傾向にあります。

これは、時差通勤を利用していた人の一定数が、テレワークや自宅勤務に移行していることが推測されます。

 

<テレワークの拡大>

内閣府個人意識調査によると、テレワーク希望者は39.8%に上り、実際のテレワーク率の34.6%を上回っています。

これは、日常業務の中に、さらにテレワークを取り込みたいという意向が示されていることになります。

一方で、自分の仕事はテレワークに合わない職種だと回答した人が、就業者全体で58.7%いることも事実です。

ただ、テレワーク経験者では、テレワーク未経験者よりも、テレワークに合わないと回答している人の割合が低いので、実際にやってみれば対応可能なことが多いかもしれません。

テレワークの不便な点としては、「社内での気軽な相談・報告が困難」や「画面を通じた情報のみによるコミュニケーション不足やストレス」といった、技術の活用や業務上の工夫では解決が難しいものがある一方、「取引先等とのやり取りが困難(機器、環境の違い等)」や「セキュリティ面での不安」、「テレビ通話の質」など、技術的に改善する余地があるものも多く挙げられています。

また、テレワークの利用拡大が進むために必要なものとして、「社内の打合せや意思決定の仕方の改善」、「顧客や取引先との打合せや交渉の仕方の改善」、「社内外の押印文化の見直し」、「仕事の進捗状況の確認や共有の仕方の改善」といった社内外の慣行を見直すことが必要なものや、「社内システムへのアクセス改善」といった設備投資が必要なもの、「書類のやりとりを電子化、ペーパーレス化」といった両方の変革が必要なものが挙げられています。

 

<労働時間の減少による生活の変化>

働き方改革は、長時間労働の是正等を通じたワーク・ライフ・バランスの改善を目指しています。

令和2(2020)年の前半は、感染症の影響もあり労働時間と通勤時間の両方が減少しています。内閣府個人意識調査(新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査14)によると、労働時間と通勤時間の減少により、家族と過ごす時間が増える傾向にあることが示唆されています。

 

<同一労働同一賃金>

令和2(2020)年 4月より、大企業でパートタイム・有期雇用労働法が施行され、同一労働同一賃金の導入が開始されました。

同一労働同一賃金は、同一企業・団体での「正社員」(無期雇用フルタイム労働者)と「非正規雇用労働者」(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指しています。

厚生労働省の「毎月勤労統計」によると、令和2(2020)年夏の特別給与(6-7月平均)は、一般労働者が-3.8%と減少し、204,388円となったものの、パートタイム労働者は前年比18.2%と増加し、6,333円となっています。

これは、パートタイム労働者に対しても、賞与が支払われるようになった事業所が増加したことを示唆しています。

しかし、所定内給与の格差是正は、明確な傾向が見られません。

 

※ここまでの参考文献:内閣府 令和2年度年次経済財政報告(経済財政政策担当大臣報告)

 

<コロナ対策と働き方改革>

新型コロナウイルス感染症拡大防止対策により、時差通勤やテレワークの導入が進み、通勤時間を含む労働時間が減少傾向にあります。

これは、必ずしも働き方改革の推進を意図したものではなく、コロナ対策によって、働き方改革の目指す結果が部分的に生じたものと考えられます。

一方で、同一労働同一賃金は、コロナ対策とは別に、意図して取り組まなければ進まない課題ですが、賞与(特別給与)について多少進んだことが示唆されています。

働き方改革の側面から眺める限り、コロナ対策が働き方改革の推進にとってプラスに働いたといえます。

しかし、その裏で、整理解雇、非正規雇用労働者の雇い止め、内定取消、正社員の待遇の不利益変更など、望ましくない動きも見られます。

少子高齢社会で労働力を確保するために、働き方改革の推進という政策が打ち出されたわけですから、雇用の確保を置き去りにして、表面的に働き方改革を追うのは本末転倒です。

助成金の活用や、期間限定の在籍出向を行うことで、雇用を確保しつつ、働き方改革を推進することが企業に求められています。

 

解決社労士

2020/09/25|1,055文字

 

<通勤手当の性質>

労働基準法などに、使用者の通勤手当支払義務は規定されていません。

むしろ法律上、通勤費は労働者が労務を提供するために必要な費用として、労働者が負担することになっています。〔民法第485条〕

ただし、就業規則や雇用契約などで通勤手当の支給基準が定められている場合には、賃金に該当するとされています。〔昭和22年9月13日発基第17号通達〕

さて、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、在宅勤務の機会が増大しました。

通勤しない在宅勤務が増えると、毎月の通勤手当を定額で支給している場合には、その妥当性に疑問が生じます。

 

<就業規則の解釈>

通勤手当について、厚生労働省のモデル就業規則の最新版(平成31(2019)年3月版)は、次のように規定しています。

 

【通勤手当】

第34条  通勤手当は、月額    円までの範囲内において、通勤に要する実費に相当する額を支給する。

 

こうした規定の場合、通勤しない在宅勤務の日数が多い場合には、「通勤に要する実費」の解釈が分かれます。

通勤定期代は、1か月、3か月、6か月で割引率が異なります。

1か月当たり17から20往復以上すれば、SuicaなどのICカードでの乗車より割安になります。

出勤日数が、これに達しない場合、3か月で5往復半以上であれば回数券がお得です。

ただし、回数券はICカードの利用を前提とせず、切符で片道10回乗車した場合の料金で11枚購入できるのが基本ですから注意が必要です。

出勤日数が極めて少ない場合に、切符代で計算するのか、ICカード利用で計算するのか、解釈が分かれるかもしれません。

こうした事情を踏まえて、就業規則に「通勤に要する実費」を規定するわけですが、最も経済的な運賃の選択が容易ではないケースもあり、多めの支給となることも良しとすべき場合があるでしょう。

 

<出勤日変更の場合>

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、突然、在宅勤務を命じられるケースも目立ちました。

こうした場合に、上記のような厳密な計算で「通勤に要した実費」を支給するのでは、従業員に不当な負担を強いることになります。

例えば、通勤定期券は1か月単位で解約できるのですが、在宅勤務がいつまで続くか分からない状況での解約は決断できません。

また、回数券の購入についても、判断がむずかしいでしょう。

結局、「通勤に要する実費」というのは、「通勤に要すると見込まれた実費」と解釈すべきだと考えられます。

今回のコロナ禍のような緊急事態では、あらゆる点で、従業員に有利な運用をするしかないと思われます。

 

解決社労士

2020/09/19|1,472文字

 

<印鑑の盗用>

会社の中で、勝手に上司の印鑑や代表印を捺せば、問題とされ、懲戒処分を受けることもあります。

また、勝手に他人の印鑑を使って文書を作成すれば、犯罪となることもあります。

 

【刑法第159条第1項:私文書偽造等】

行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

 

これは、印鑑に対する世間一般の信頼を保護するための規定です。

 

<署名の偽造>

同様に、会社の中で、勝手に上司や代表者の署名を偽造すれば、やはり問題とされ、懲戒処分を受けることもあります。

また、上に示した刑法の条文も、「印章」と「署名」を同等に扱っています。

こうしたことからすると、署名に対する世間一般の信頼も保護されており、必ずしも印鑑にこだわる必要はないといえます。

実際、国や地方公共団体から「押印廃止ガイドライン」「押印見直しガイドライン」などが相次いで出され、行政手続での押印省略が進んできました。

 

<押印原則の見直し>

最近では、令和2(2020)年8月27日に開催された第163回労働政策審議会労働条件分科会で、労働基準法に基づく届出等における押印原則の見直しが検討されています。

この中で、方針(案)として、次のものが示されています。

 

【押印原則の見直し】

36協定届を含め、押印を求めている法令様式等については、押印原則を見直し、使用者および労働者の押印欄の削除ならびに法令上、押印または署名を求めないこととする。

押印原則の見直しを踏まえ、電子申請における電子署名の添付も不要とする。

また、押印を求めている法令様式のうち、過半数代表者の記載のある法令様式については、36協定届も含め、様式上にチェックボックスを設けることとする。

 

「押印原則の見直し」とは言うものの、押印だけでなく署名も省略する内容となっています。そして、押印廃止後は、36協定の法令様式に、協定当事者が適格であることについてのチェックボックスを設け、使用者がチェックした上で、労働基準監督署長に届け出るという方針(案)となっています。

チェックボックスにチェックを入れれば、捺印や署名の代わりになるということです。

 

<新型コロナウイルス感染拡大の影響>

新型コロナウイルス感染拡大の中で、各企業は不要不急の出勤を自粛するよう求められました。

そうした中で、「書類に印鑑を貰わないと仕事が回らない」ということで、捺印する社員も、捺印される社員も出勤を余儀なくされるというのが、問題視されていました。

確かに、ハンコを貰うために、感染リスクを冒して出勤するというのは不合理です。

捺印や署名の電子化が進んだのも当然です。

 

<捺印・署名の廃止>

労働保険や社会保険の手続で、請求者の「記名・捺印または自筆の署名」で足りることになったにも関わらず、10年以上にわたって、民間側がついて行けない状態が続いていました。

たとえば、労災保険の請求書に被災者の自筆の署名があっても、病院の担当者から「本人の印鑑が無い」という理由で受け取りを拒否されることも、しばしばありました。

押印原則の見直しについては、行政の動きに民間がついて行けなかったわけです。

民間では、捺印や署名の電子化が進められているわけですが、行政では、捺印や署名の廃止が進められます。

社内での捺印や署名が、本当に必要なのか、一つひとつ検討してみてはいかがでしょうか。

 

解決社労士

2020/09/16|990文字

 

<産業雇用安定センターとは>

公益財団法人産業雇用安定センターは、企業間の出向や移籍を支援することにより「失業なき労働移動」を実現するため、昭和62(1987)年に国と事業主団体等が協力して設立された公益財団法人です。

設立以来、21万件以上の出向・移籍の成立実績があります。

 

<新型コロナウイルスの影響>

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、極端に人手不足となった業種と、雇用過剰となった業種が発生しました。

人手不足となった業種としては、宅配便などの運送業、スーパーマーケット、ホームセンターなどがあります。

人手不足が、長期にわたるのであれば、積極的に採用すれば良いのですが、新型コロナウイルス感染症が終息すれば、反対に雇用過剰となることが見込まれます。

ですから、思い切った大量採用はできません。

一方で、ホテル・旅館業、観光業、飲食業などでは、雇用過剰となりました。

こちらも、雇用過剰が長期にわたるのであれば、やむを得ず整理解雇を考えることになるのですが、新型コロナウイルス感染症が終息すれば、反対に人手不足となることが見込まれますし、一度解雇した従業員を再雇用するのは、かなりの困難を伴います。

ですから、ただでさえ法的に有効な解雇は難しいのに、コロナ禍を理由に解雇することは躊躇されます。

 

<産業雇用安定センターの活動>

産業雇用安定センターは、以前から出向・移籍を中核的業務としています。

今年に入り、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大していく中で、一時的に雇用過剰となっている企業から人手不足が生じている企業への異業種間の在籍型出向の支援についても取り組んでいるところです。

具体的には、センターの出向支援に関する情報が、各業界団体を通じて個々の企業に提供され、雇用過剰の企業(送出企業)と人手不足の企業(受入企業)の異業種における人材ニーズに関する情報がセンターに集約されます。

これを基に、センターが送出企業と受入企業間の在籍型出向のマッチングを行います。

今後とも、政府の雇用政策や各種方針に即応し、経済団体や労働組合などからの協力のもと、感染症下における雇用の維持と安定を図り「失業なき労働移動」の実現に向けた活動が継続されます。

こうしたサービスは、無料で行われていますので、新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けた企業では、センターの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

解決社労士

2020/08/16|1,667文字

 

<チェックリストの公表>

厚生労働省は、令和2年8月7日、労使団体や業種別事業主団体などの経済団体に対し、改訂された「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」などを活用して職場における感染予防、健康管理の強化を図ることを、傘下団体などに向け周知するよう、再度協力を依頼しました。

令和2年4月17日、5月14日に引き続き3回目となる今回の協力依頼は、新型コロナウイルス感染症対策分科会での提案を踏まえたものです。

新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は全国的に増加傾向にあり、一部地域では感染拡大のスピードが増しています。

このため、新型コロナウイルス感染症対策分科会では、新規感染者数を減少させるための迅速な対応として、事業者に対して、①集団感染(クラスター)の早期封じ込め、②基本的な感染予防の徹底が提案されました。

「チェックリスト」では、「感染予防のための体制」「配慮が必要な労働者への対応等」の2分野で新たな項目が追加されています。

 

<感染予防のための体制>

・事業場のトップが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に積極的に取り組むことを表明し、労働者に対して感染予防を推進することの重要性を伝えている。

・事業場の感染症予防の責任者および担当者を任命している(衛生管理者、衛生推進者など)。

・会社の取組みやルールについて、労働者全員に周知を行っている。

・労働者が感染予防の行動を取るように指導することを、管理監督者に教育している。

・安全衛生委員会、衛生委員会等の労使が集まる場において、新型コロナウイルス感染症の拡大防止をテーマとして取り上げ、事業場の実態を踏まえた、実現可能な対策を議論している。

・職場以外でも労働者が感染予防の行動を取るよう「新しい生活様式」の実践例について、労働者全員に周知を行っている。

・新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)を周知し、インストールを労働者に勧奨している。

 

事業場トップは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止について、具体的な方針を示さなければなりません。

ただ「積極的に取り組む」とだけ表明したのでは、かえって現場の混乱をもたらすからです。

なお、衛生管理者は50人以上、衛生推進者は10人以上の職場で選任が義務付けられています。〔労働安全衛生法第12条、第12条の2〕

 

<配慮が必要な労働者への対応等>

・風邪症状等が出た場合は、「出勤しない・させない」の徹底を全員に求めている。

・社内での健康相談窓口の周知とともに、「新型コロナウイルス感染症についての相談の目安」や最寄りの「帰国者・接触者相談センター」を全員に周知している。

・高齢者や基礎疾患(糖尿病、心不全、慢性呼吸器疾患、高血圧、がんなど)を有する者などの重症化リスク因子を持つ労働者および妊娠している労働者に対しては、本人の申出および産業医等の意見を踏まえ、感染予防のための就業上の配慮(テレワークや時差出勤等)を行っている。

・特に妊娠中の女性労働者が、医師又は助産師からの指導内容について「母健連絡カード」等で申し出た場合、産業医等の意見も勘案の上、作業の制限または出勤の制限(在宅勤務または休業をいう)の措置を行っている。

・テレワークを行う場合は、業務とプライベートの切分けに留意し、上司や同僚とのコミュニケーション方法を検討し、在宅勤務の特性も理解したうえで、運動不足や睡眠リズムの乱れやメンタルヘルスの問題が顕在化しやすいことを念頭において就業させている。

 

発熱については、当初、37.5℃が基準とされていました。

しかし、平熱は個人差が大きく、感染者の症状の現れ方にも差があることから、こうしたデジタルな基準は撤回されています。

また、感染症拡大の防止のためには、日常生活での対策も必要となりますが、テレワーク時に限らず、プライベートへの過干渉とならないように配慮が求められます。

 

職場での新型コロナウイルス感染症拡大防止では、明確な方針のもとでの、周知と教育の徹底がポイントとなります。

 

解決社労士

2020/07/19|2,200文字

 

<新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の労災認定基準>

「医師、看護師、介護従事者等の医療従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合は、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として労災保険給付の対象となる」という基準があります。

この基準は、「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱い」(令和2年4月 28 日基補発0428第1号通達)に示されているものです。

医療従事者が、新型コロナウイルスに感染した場合には、一般に「業務上」である可能性が高いですから、こうした基準が適用されるわけです。

一方で、医療従事者以外の人が新型コロナウイルスに感染した場合には、一般に「業務上」である可能性が低いですから、同じ基準は適用されません。

医療従事者以外の人については、この通達で「感染源が業務に内在していることが明らかな場合は、労災保険給付の対象となる」という基準が設けられています。

原則と例外が逆になっているわけです。

また、この通達では「感染経路が特定されない場合であっても、感染リスクが相対的に高いと考えられる業務(複数の感染者が確認された労働環境下での業務や顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務など)に従事し、業務により感染した蓋然性が高いものと認められる場合は、労災保険給付の対象となる」という基準が設けられていて、医療従事者以外であっても、感染リスクが高い環境下での業務については、中間的な基準が適用されることになっています。

 

<飲食店店員の事例>

厚生労働省から、次の事例が示されています。

 

飲食店店員のEさんは、店内での業務に従事していたが、新型コロナウイルス感染者が店舗に来店していたことが確認されたことから、PCR検査を受けたところ新型コロナウイルス感染陽性と判定された。

また、労働基準監督署における調査の結果、Eさん以外にも同時期に複数の同僚労働者の感染が確認され、クラスターが発生したと認められた。

以上の経過から、Eさんは新型コロナウイルスに感染しており、感染経路が特定され、感染源が業務に内在していたことが明らかであると判断されたことから、支給決定された。

 

これは、医療従事者以外についての、「感染源が業務に内在していることが明らかな場合は、労災保険給付の対象となる」という基準が適用されたものです。

 

<建設作業員の事例>

厚生労働省から、次の事例が示されています。

 

建設作業員のFさんは、勤務中、同僚労働者と作業車に同乗していたところ、後日、作業車に同乗した同僚が新型コロナウイルスに感染していることが確認された。Fさんはその後体調不良となり、PCR検査を受けたところ新型コロナウイルス感染陽性と判定された。

また、労働基準監督署における調査の結果、Fさんについては当該同僚以外の感染者との接触は確認されなかった。

以上の経過から、Fさんは新型コロナウイルスに感染しており、感染経路が特定され、感染源が業務に内在していたことが明らかであると判断されたことから、支給決定された。

 

これも、医療従事者以外についての、「感染源が業務に内在していることが明らかな場合は、労災保険給付の対象となる」という基準が適用されたものです。

 

<小売店販売員の事例>

厚生労働省から、次の事例が示されています。

 

小売店販売員のGさんは、店頭での接客業務等に従事していたが、発熱、咳等の症状が出現したため、PCR検査を受けたところ新型コロナウイルス感染陽性と判定された。

労働基準監督署において調査したところ、Gさんの感染経路は特定されなかったが、発症前の14日間の業務内容については、日々数十人と接客し商品説明等を行っていたことが認められ、感染リスクが相対的に高いと考えられる業務に従事していたものと認められた。

一方、発症前14日間の私生活での外出は、日用品の買い物や散歩などで、私生活における感染のリスクは低いものと認められた。

医学専門家からは、接客中の飛沫感染や接触感染が考えられるなど、当該販売員の感染は、業務により感染した蓋然性が高いものと認められるとの意見であった。

以上の経過から、G さんは、新型コロナウイルスに感染しており、感染経路は特定されないが、従事した業務は、顧客との近接や接触が多い労働環境下での業務と認められ、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと判断されることから、支給決定された。

 

これは、医療従事者以外についての、「感染経路が特定されない場合であっても、感染リスクが相対的に高いと考えられる業務(複数の感染者が確認された労働環境下での業務や顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務など)に従事し、業務により感染した蓋然性が高いものと認められる場合は、労災保険給付の対象となる」という基準が適用されたものです。

 

<実務の観点から>

上記3つの事例では、新型コロナウイルス感染症の労災認定に関する判断がむずかしいことから、いずれも労働基準監督署の調査を経て、労災であることが認定されています。

そもそも、労災認定を行うのは労働基準監督署(労働局)の権限ですから、会社側で安易に判断することは避けなければなりません。

万一、従業員の方が、新型コロナウイルスに感染した場合には、労災を疑って、所轄の労働基準監督署にご相談されることをお勧めします。

 

解決社労士

2020/07/15|670文字

 

<申請に必要な書類>

次のものを厚生労働省ホームページからダウンロードし、印刷して使えます。

ハローワークでも配布されています。

●労働者本人が申請する場合

 ・休業支援金・給付金支給申請書(労働者申請用・初回)

 ・休業支援金・給付金支給要件確認書

 ・(代理人等が提出する場合)同意書・委任状ひな形

●事業主経由で提出する場合

 ・休業支援金・給付金支給申請書(事業主提出用・初回)

 ・休業支援金・給付金支給申請書 続紙(事業主提出用・初回)

 ・休業支援金・給付金支給要件確認書

 

<添付書類>

・運転免許証等の本人確認書類の写し

・振込先口座(口座番号と名義)を確認できるキャッシュカードや通帳のコピー

・給与明細書など休業前と休業中の賃金額が確認できる書類のコピー

新規採用者で、1日も勤務しないまま休業に入った場合には、予定されていた給与額での算定となり、雇用契約書・労働条件通知書等の賃金額がわかる書類を添付します。

 

<締切>

休業した期間ごとに、次のように定められています。

令和2年4月~6月:令和2年9月30日(水)

令和2年7月:令和2年10月31日(土)

令和2年8月:令和2年11月30日(月)

令和2年9月:令和2年12月31日(木)

 

<郵送受付先>

600-8799

日本郵便株式会社 京都中央郵便局留置

厚生労働省新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金担当

 

<問合せ先>

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金コールセンター

電話番号:0120-221-276

受付時間:月~金 8:30~20:00 土日祝 8:30~17:15

 

解決社労士

2020/06/22|1,075文字

 

<整理解雇>

整理解雇とは、会社の事業継続が困難な場合に、人員整理のため会社側の都合により労働契約を解除することです。

法律上は普通解雇の一種ですが、労働慣例により他の普通解雇と区別するため整理解雇という用語が使われています。

 

<法律上の解雇制限>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法第16条〕

しかし、これでは内容が抽象的すぎて、具体的な場合にその解雇が有効なのか無効なのか判断に困ります。

 

<コロナショックによる収益悪化の特性>

新型コロナウイルスの感染者が出た店舗など、営業が制限された場合には、使用者が労働者の労務の提供を受けることができません。

しかし、多くの場合には、都道府県の要請を受けて営業を自粛した結果、収益の悪化が生じています。

現実の問題としては、休業せざるを得ない状況であったにも拘らず、法的には、使用者の判断で営業を自粛したのだから、必ずしも労務の提供を受けることが不可能であったとはいえなかったと評価されます。

この場合、整理解雇や雇い止めについては、多くの裁判を通じて確立された「整理解雇制限法理」が適用されます。

 

<整理解雇制限法理>

整理解雇制限法理というのは、次の4つの要素から、解雇の有効性を制限的に判断する考え方です。

4つのうち1つでも要件を欠いていたら、解雇が無効になるということではなく、総合的に判断されます。

1.経営上の人員削減の必要性

会社の財政状況に問題を抱え、新規採用などできない状態となったことです。

2.解雇回避努力の履行

配置転換や希望退職者の募集などを実施したことです。

3.解雇対象者の人選の合理性

差別的な人選は許されず、客観的な基準によらなければなりません。

4.手続の相当性

事前の説明や労働者側との協議など、誠実に行うことが求められます。

 

<コロナショックの特殊性>

コロナショックの特殊性を理由に、整理解雇制限法理が特例的に緩和されるということはありません。

ただ、各要素について、整理解雇が有効と判断されやすい事情はありえます。

あらゆる助成や支援を受けても、なお財政状況に問題が残り、経営上の人員削減の必要性が高いと判断されるような場合や、配置転換しようがない場合が想定されます。

また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、ほぼ公知の事実となっていますので、この点について、詳細な説明は不要です。

ただ、会社の事業にどのような影響を与えたのか、具体的な内容の説明は必要になってくるでしょう。

 

解決社労士

2020/06/19|1,725文字

 

<出入国在留管理庁の対応>

出入国在留管理庁は、新型コロナウイルス感染症の影響により解雇等され、実習が継続困難となった技能実習生、特定技能外国人等の国内での雇用を維持するため、関係省庁と連携し、特定産業分野(特定技能制度の14分野)における再就職の支援を行うとともに、一定の要件の下、在留資格「特定活動」を付与し、外国人に対する本邦での雇用を維持するための支援を行っています。

 

<対象者>

新型コロナウイルス感染症の影響により、受入れ機関または受入れ予定機関の経営状況の悪化(倒産、人員整理、雇止め、採用内定の取消し等)等により、自己に責任のない理由で、その機関での活動ができなくなり、現在の在留資格で日本に引き続き在留することが困難となった外国人が対象者です。

具体的には、現在の在留資格で活動できない次のような外国人が対象となります。

(1)技能実習生、特定技能外国人

(2)就労資格(「技術・人文知識・国際業務」、「技能」等)で就労していた外国人

(3)教育機関における所定の課程を修了した留学生

 

<在留資格変更許可申請の手続>

在留資格変更許可申請を行う前に、外国人と新たな受入れ機関との間で雇用契約を締結する必要があります。

出入国在留管理庁では、この雇用契約がスムーズに成立することを目的として、関係省庁と連携し、特定産業分野での再就職の支援として、雇用契約に関するマッチング支援を行っています。

外国人との雇用契約の成立後に、次の必要書類を添えて外国人の住居地を管轄する最寄りの地方出入国在留管理局(支局、出張所)に在留資格「特定活動」への在留資格変更許可申請を行います。

ただし、新たな受入れ機関は、特定技能制度の14分野に属するものに限られます。

 

【必要書類】

 ○在留資格変更許可申請書

 ○受入れ機関が作成した説明書

 ○雇用契約に関する書面(雇用契約書、労働条件通知書等の写し)

 ○受入れ機関が作成した賃金の支払に関する書面

 

<付与される在留資格・期間>

特定活動(就労可)・最大1年

 

<行うことができる活動>

受入れ機関で、特定技能外国人の業務に必要な技能を身に付ける活動です。

 

<雇用契約の条件>

雇用契約の条件は、次のとおりです。

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例措置とはいえ、在留資格「特定活動」の趣旨を外れるものは認められません。

 

【雇用契約の条件】

ア 申請人が本特例措置により従事しようとする業務に係る報酬の額が、日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること

イ 申請人が、受入れ機関において特定技能外国人の業務に必要な技能を身に付けることを希望していること(希望する特定産業分野に係る技能試験等の合格が必要な者に限る。)

なお、製造業3分野(素形材産業分野、産業機械製造業分野、電気・電子情報関連産業分野)については、国内において、申請人が製造業各分野で対象となっている業務区分(職種)で勤務・実習中に解雇されたものに限られる。

ウ 受入れ機関が、申請人が特定技能外国人の業務に必要な技能を身に付ける希望があることを理解した上で、申請人の雇用を希望するものであること

エ 受入れ機関が、申請人を適正に受け入れることが見込まれること(在留外国人(就労資格に限られず、資格外活動許可を受けた者も含む。)を雇用した実績、出入国・労働関係法令の遵守等)

オ 受入れ機関が、申請人に対して特定技能に移行するために必要な技能等を身に付けることなどについて指導、助言等を行うことのほか、在留中の日常生活等に係る支援(関係行政機関の相談先を案内及び必要に応じて当該機関に同行することを含む。)を行う担当者を確保して適切に行うことが見込まれること

(注)支援については、例えば、受入れ機関が雇用する申請人が従前に所属していた監理団体や、特定技能へ移行する際に支援を委託する予定の登録支援機関において実施することも差し支えない。

カ 受入れ機関が、申請人を受け入れることが困難となった場合には地方出入国在留管理局に速やかに報告することとしていること

 

外国人の受け入れを検討中の企業では、今回の特例を活用して、トライアルを行ってみてはいかがでしょうか。

 

解決社労士

2020/05/21|2,041文字

 

YouTube平均賃金

https://youtu.be/SaKOhWzRJEc

 

<労働契約>

会社と従業員との間には、労働契約が締結されています。

この労働契約は、口約束でも成立します。

 

【民法第623条:雇用】

雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。

 

労働条件通知書や雇用契約書等の書面を交付しなければならないのは、労働基準法が労働者を保護するために、使用者に対して労働条件の明示義務を課しているからです。

 

【労働基準法第15条第1項】

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

 

労働と賃金とは、対価関係にありますから、労働の提供が無ければ、賃金の支払も無いという、ノーワーク・ノーペイの原則が働きます。

従業員が働かなければ会社は賃金を支払わなくても良い、従業員が働いたら会社は賃金を支払わなければならないという、当たり前のことが大原則となります。

 

<100%の補償が必要な場合>

従業員が労働に従事しない場合でも、会社が賃金を100%支払わなければならない場合があります。

 

【民法第536条第2項:債務者の危険負担等】

債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

 

これを労働契約に当てはめると、会社の落ち度で従業員が働けなくなったときには、会社は賃金の支払を拒めないということになります。

会社が従業員に解雇の通告をしたために、従業員が出勤できなくなったものの、不当解雇であって解雇が無効である場合には、賃金の支払義務を免れません。

この条文の中の「債権者の責めに帰すべき事由」というのは、故意、過失、信義則上故意や過失と同視すべきものとされています。

 

<60%以上の補償が必要な場合>

従業員が労働に従事しない場合でも、会社が賃金を60%以上支払わなければならない場合があります。

 

【労働基準法第26条:休業手当】

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

 

会社の主観的な判断により、不合理な理由で従業員の労働の提供を拒んだ場合には、会社が賃金の100%を支払う義務を負うのですが、客観的に合理的な理由で従業員の労働の提供を拒んだものの、会社に落ち度がある場合には、労働者を保護するため、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う義務を負います。

会社の経営判断で、従業員を休ませたところ、それには客観的に合理的な理由があって、しかし、従業員に落ち度はなく、厳しい目で見れば、どちらかというと会社側に落ち度がある場合に、この規定が適用されます。

国家機関による休業命令による場合は、休業命令を受けることについて会社に落ち度がありますから、この規定が適用されます。

仕入先から原材料が入らない場合には、その仕入先を選んだことについて会社に落ち度があるものと考え、この規定が適用されます。

なお、前掲の民法第536条第2項は任意規定とされ、当事者間で別の定めをすれば、その定めが優先されることになります。

ですから、会社の落ち度で従業員が働けなくなったときに、会社が労働基準法の制限ギリギリの60%だけ賃金を支払う旨の規定が就業規則にあれば、故意のある場合や、信義則に反する場合を除き、その規定が適用されることになります。

 

 

<補償が不要な場合>

民法に、次の規定があります。

 

【民法第536条第1項:債務者の危険負担等】

当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。

 

公共交通機関の遅れの場合、本来であればノーワーク・ノーペイの原則により、遅れて勤務できなかった時間の賃金は支払われないことになります。

しかし、実際には多くの会社で、遅刻が無かったものとして扱う慣行がありますので、この慣行にしたがって支払うのが通常でしょう。

このように経営判断で、法律上義務の無い賃金を支払うのは問題視されません。

 

<新型コロナウイルスの影響による休業の場合>

従業員本人が、新型コロナウイルスに感染して休業した場合、会社の命令で休業させるわけではなく、また感染したことについて会社に落ち度が無いのであれば、会社は賃金の支払義務を負いません。

その従業員が健康保険に加入していれば、傷病手当金を請求することができますし、業務上感染したのであれば、労災保険が適用されます。

問題は、会社の判断で店舗などを休業した場合です。

都道府県からの一般的な要請により休業したのであれば、60%以上の補償が求められるケースが多いでしょうし、業種が特定されてほぼ名指しのような形で休業させられたのであれば、会社が補償義務を負わないケースもあるでしょう。

この辺の判断が微妙なために、雇用調整助成金に様々な特例を設けて、多くの企業が利用できるようにしたのだと考えられます。

 

解決社労士

2020/03/30|1,650文字

 

<通達の発出>

令和2年3月17日、厚生労働事務次官が、都道府県労働局長に宛てて依命通達(令和2年3月17日厚生労働省発基0317第17号)を発出しました。

これは、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響から、中小企業・小規模事業者で労働基準関係法令への対応が困難となる状況が発生していることを受け、中小企業等に与える影響への配慮の徹底を指示するものです。

直接的には、中小企業への配慮を依頼する内容となっていますが、労働基準法の解釈・適用について、実態を踏まえた柔軟な対応をなしうることを示しているもので、大企業にとっても参考になるものです。

具体的には、次の事項を指示しています。

 

<中小企業等への配慮>

・中小企業等に対する相談・支援にあたっては、労働基準関係法令に係る違反が認められた場合においても、新型コロナウイルス感染症の発生および感染拡大による影響を十分勘案し、労働基準関係法令の趣旨を踏まえた自主的な取組みが行われるよう、きめ細かな対応を図ること。

・中小企業等の置かれた状況に応じ、時差出勤やテレワークについて必要な周知等を行うこと。

ポイント:法令違反があっても、必要な知識を与え、自主的な改善を求める。

 

<労働基準法第33条第1項の解釈>

 

【労働基準法第33条第1項】

災害その他避けることのできない事由によつて、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において第三十二条から前条まで若しくは第四十条の労働時間を延長し、又は第三十五条の休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならない。

 

・感染患者を治療する場合、高齢者等入居施設において新型コロナウイルス感染症対策を行う場合および感染・蔓延を防ぐために必要なマスクや消毒液、医療機器等を緊急に増産または製造する場合等が対象になり得るものであること。

・このほか、人命・公益を保護するために臨時の必要がある場合には、状況に応じた迅速な運用を図ること。

・あくまで必要な限度の範囲内に限り認められるものであり、やむを得ず月80時間を超える時間外・休日労働を行わせたことにより疲労の蓄積の認められる労働者に対しては、医師面接等を実施し、適切な事後措置を講じる必要があること。

ポイント:「臨時の必要がある場合」は限定されており、長時間労働で疲労が蓄積した労働者には、適切な事後措置が必要である。

 

<1年単位の変形労働時間制>

・新型コロナウイルス感染症対策のため、当初の予定どおりに1年単位の変形労働時間制を実施することが企業の経営上著しく不適当と認められる場合には、特例的に、1年単位の変形労働時間制の労使協定について、労使で合意解約をし、または協定中の破棄条項に従って解約し、改めて協定し直すことも可能であること。

・解約までの期間を平均して1週40時間超労働させた時間について割増賃金を支払うなど、協定の解約が労働者にとって不利になることのないよう留意すること。

ポイント:1年単位の変形労働時間制についての労使協定を合意解約し、また、協定のやり直しも可能だが、割増賃金の支払などで労働者に不利益が発生しないようにする必要がある。

 

<36協定の特別条項>

・36協定の「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」に、繁忙の理由が新型コロナウイルス感染症とするものであることが明記されていなくとも、一般的には、特別条項の理由として認められるものであること。

・現在、特別条項を締結していない事業場においても、法定の手続きを踏まえて労使の合意を行うことにより、特別条項付き36協定を締結することが可能であること。

ポイント:36協定の特別条項に新型コロナウイルス感染症についての記載が無くても、「繁忙の理由」として扱える。また、特別条項の無い36協定が届出済であっても、特別条項付きの36協定に切り替えることができる。

 

解決社労士

2020/03/18|1,435文字

 

令和2年3月6日、新型コロナウイルス感染症に関わる傷病手当金の支給について、厚生労働省保険局保険課から全国健康保険協会に宛てて、事務連絡文書が発信されています。

 

<感染者の傷病手当金>

健康保険加入者(被保険者)が新型コロナウイルス感染症に感染し、療養のため労務に服することができない場合には、傷病手当金の対象となります。

つまり、他の病気やケガと同様に、療養のため労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、労務に服することができない期間、直近12か月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額が、傷病手当金として支給されます。

例外的に業務によって感染した場合には、傷病手当金の対象とはならず、労災保険給付の対象となります。

 

<自覚症状の有無>

検査の結果、「新型コロナウイルス陽性」と判定され、療養のため労務に服することができない場合には、たとえ自覚症状が無いときでも、傷病手当金の支給対象となりえます。

反対に、「新型コロナウイルス陽性」と判定されていない場合でも、医師が診察の結果、被保険者の既往の状態を推測して初診日前に労務不能の状態であったと認め、意見書に記載したときには、初診日前の期間についても労務不能期間となりえます。

今回の新型コロナウイルス感染症では、次のような症状があるため被保険者が自宅療養を行っていた期間は、療養のため労務に服することができなかった期間に該当することとなります。

・風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている

・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある

 

<受診していない場合>

やむを得ない理由により、医療機関での受診を行わず、医師の意見書を添付できない場合でも、傷病手当金支給申請書にその旨を記載するとともに、その期間、被保険者が療養のため労務に服さなかった旨を証明する書類を事業主に作成してもらい添付すること等により、傷病手当金を受給できる場合があります。

 

<職場全体が休業になった場合>

事業所内で、新型コロナウイルス感染者が発生したこと等により、事業所全体が休業し、労務を提供することができなかった期間については、傷病手当金は支給されません。

傷病手当金は、労働者の業務災害以外の理由による疾病、負傷等の療養のため、被保険者が労務に服することができないときに給付されるものであるため、被保険者自身が労務不能と認められない限り、傷病手当金は支給されないことになります。

なお、使用者の独自の判断により、一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、労働基準法に基づき、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければなりません。〔労働基準法第26条〕

 

<家族が感染した場合>

家族が感染し、労働者が濃厚接触者になったが症状は無いという場合、その労働者が休暇を取得しても傷病手当金は支給されません。

繰り返しですが、傷病手当金は、労働者の業務災害以外の理由による疾病、負傷等の療養のため、被保険者が労務に服することができないときに給付されるものであるため、被保険者自身が労務不能と認められない限り、傷病手当金は支給されないことになります。

 

これらは、従来の取扱いに基づくものであって、新型コロナウイルス感染症についての特例を定めたものではありませんが、迷いやすい点もあることから公表されたものです。

 

解決社労士

2020/03/05|1,039文字

 

<感染経路>

ウイルスの主な感染経路は、飛沫感染と接触感染です。

飛沫感染は、感染した人の咳やくしゃみのしぶき(飛沫)に含まれるウイルスを吸い込むことによる感染です。

予防には、感染した人の咳やくしゃみが直接人にかからないよう、マスクやティッシュ等で口と鼻を覆う等の「咳エチケット」が効果的です。

マスクやティッシュ等が無い場合には、ひじを曲げてひじの内側で口と鼻を覆います。

接触感染は、ウイルスの付着した手で、目・口・鼻を触ることによる感染です。

予防には、手洗い、消毒が効果的です。

 

<従業員の取組>

●こまめな手洗い

手洗いは流水と石けんで15秒以上行い、水分を十分にふき取りましょう。

手が洗えない場合、手指消毒用アルコール製剤(エタノール等を60~80%程度含むもの) による消毒も効果があります。

●顔を触らない

手に付着したウイルスが目・口・鼻の粘膜から体内に入らないよう、手で顔を触らないようにしましょう。

●人ごみを避ける

外出する場合は、公共交通機関のラッシュの時間を避ける等、人ごみは避けましょう。

症状のある人(咳やくしゃみなど)に接触した場合は、手洗いなどを行いましょう。

●咳エチケット

咳やくしゃみが出るときは、マスク等で口や鼻を覆うなどの「咳エチケット」を心がけましょう。

 

<マスクの付け方>

口と鼻の両方を確実に覆う → ゴムひもなどを耳にかける → 鼻の部分に隙間ができたり、あごの部分が出たりしないようマスクを調節する

※あごや首にはウイルスが付着します。飲んだり食べたりの際、マスクを下にずらすと、マスクの内側にウイルスが付着してしまいます。

 

<マスクの外し方>

マスク表面には、ウイルスが付着している可能性があるので、触らずにゴムひもなどを持って外します。

※マスクは1日1枚程度交換します。

 

<企業の取組>

●感染予防に必要な備品・環境の整備

手指消毒薬、石けん・ペーパータオル等を備えるなど、衛生状態を保つための備品・環境を整備しましょう。

手指消毒薬の使用期限に注意しましょう。

●人が触れる場所を清掃・消毒

人が触れる場所(ドアノブ、スイッチ、階段の手すり、エレベーターの押しボタン等)を清掃・消毒しましょう。

消毒剤は、次亜塩素酸ナトリウム(製品表示に従い希釈)や消毒用エタノール等が有効です。

消毒剤を使う場合には、消毒剤を浸したペーパータオル等による拭き取り消毒を行うこと、換気すること、「使用上の注意」をよく読んで使うこと、作業をした後は手を洗うことなどに注意しましょう。

 

解決社労士

アクセスカウンター

月別過去の記事

年月日別過去の記事

2021年9月
« 8月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930