新型コロナウイルスの記事

2020/07/19|2,200文字

 

<新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の労災認定基準>

「医師、看護師、介護従事者等の医療従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合は、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として労災保険給付の対象となる」という基準があります。

この基準は、「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱い」(令和2年4月 28 日基補発0428第1号通達)に示されているものです。

医療従事者が、新型コロナウイルスに感染した場合には、一般に「業務上」である可能性が高いですから、こうした基準が適用されるわけです。

一方で、医療従事者以外の人が新型コロナウイルスに感染した場合には、一般に「業務上」である可能性が低いですから、同じ基準は適用されません。

医療従事者以外の人については、この通達で「感染源が業務に内在していることが明らかな場合は、労災保険給付の対象となる」という基準が設けられています。

原則と例外が逆になっているわけです。

また、この通達では「感染経路が特定されない場合であっても、感染リスクが相対的に高いと考えられる業務(複数の感染者が確認された労働環境下での業務や顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務など)に従事し、業務により感染した蓋然性が高いものと認められる場合は、労災保険給付の対象となる」という基準が設けられていて、医療従事者以外であっても、感染リスクが高い環境下での業務については、中間的な基準が適用されることになっています。

 

<飲食店店員の事例>

厚生労働省から、次の事例が示されています。

 

飲食店店員のEさんは、店内での業務に従事していたが、新型コロナウイルス感染者が店舗に来店していたことが確認されたことから、PCR検査を受けたところ新型コロナウイルス感染陽性と判定された。

また、労働基準監督署における調査の結果、Eさん以外にも同時期に複数の同僚労働者の感染が確認され、クラスターが発生したと認められた。

以上の経過から、Eさんは新型コロナウイルスに感染しており、感染経路が特定され、感染源が業務に内在していたことが明らかであると判断されたことから、支給決定された。

 

これは、医療従事者以外についての、「感染源が業務に内在していることが明らかな場合は、労災保険給付の対象となる」という基準が適用されたものです。

 

<建設作業員の事例>

厚生労働省から、次の事例が示されています。

 

建設作業員のFさんは、勤務中、同僚労働者と作業車に同乗していたところ、後日、作業車に同乗した同僚が新型コロナウイルスに感染していることが確認された。Fさんはその後体調不良となり、PCR検査を受けたところ新型コロナウイルス感染陽性と判定された。

また、労働基準監督署における調査の結果、Fさんについては当該同僚以外の感染者との接触は確認されなかった。

以上の経過から、Fさんは新型コロナウイルスに感染しており、感染経路が特定され、感染源が業務に内在していたことが明らかであると判断されたことから、支給決定された。

 

これも、医療従事者以外についての、「感染源が業務に内在していることが明らかな場合は、労災保険給付の対象となる」という基準が適用されたものです。

 

<小売店販売員の事例>

厚生労働省から、次の事例が示されています。

 

小売店販売員のGさんは、店頭での接客業務等に従事していたが、発熱、咳等の症状が出現したため、PCR検査を受けたところ新型コロナウイルス感染陽性と判定された。

労働基準監督署において調査したところ、Gさんの感染経路は特定されなかったが、発症前の14日間の業務内容については、日々数十人と接客し商品説明等を行っていたことが認められ、感染リスクが相対的に高いと考えられる業務に従事していたものと認められた。

一方、発症前14日間の私生活での外出は、日用品の買い物や散歩などで、私生活における感染のリスクは低いものと認められた。

医学専門家からは、接客中の飛沫感染や接触感染が考えられるなど、当該販売員の感染は、業務により感染した蓋然性が高いものと認められるとの意見であった。

以上の経過から、G さんは、新型コロナウイルスに感染しており、感染経路は特定されないが、従事した業務は、顧客との近接や接触が多い労働環境下での業務と認められ、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと判断されることから、支給決定された。

 

これは、医療従事者以外についての、「感染経路が特定されない場合であっても、感染リスクが相対的に高いと考えられる業務(複数の感染者が確認された労働環境下での業務や顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務など)に従事し、業務により感染した蓋然性が高いものと認められる場合は、労災保険給付の対象となる」という基準が適用されたものです。

 

<実務の観点から>

上記3つの事例では、新型コロナウイルス感染症の労災認定に関する判断がむずかしいことから、いずれも労働基準監督署の調査を経て、労災であることが認定されています。

そもそも、労災認定を行うのは労働基準監督署(労働局)の権限ですから、会社側で安易に判断することは避けなければなりません。

万一、従業員の方が、新型コロナウイルスに感染した場合には、労災を疑って、所轄の労働基準監督署にご相談されることをお勧めします。

 

解決社労士

2020/07/15|670文字

 

<申請に必要な書類>

次のものを厚生労働省ホームページからダウンロードし、印刷して使えます。

ハローワークでも配布されています。

●労働者本人が申請する場合

 ・休業支援金・給付金支給申請書(労働者申請用・初回)

 ・休業支援金・給付金支給要件確認書

 ・(代理人等が提出する場合)同意書・委任状ひな形

●事業主経由で提出する場合

 ・休業支援金・給付金支給申請書(事業主提出用・初回)

 ・休業支援金・給付金支給申請書 続紙(事業主提出用・初回)

 ・休業支援金・給付金支給要件確認書

 

<添付書類>

・運転免許証等の本人確認書類の写し

・振込先口座(口座番号と名義)を確認できるキャッシュカードや通帳のコピー

・給与明細書など休業前と休業中の賃金額が確認できる書類のコピー

新規採用者で、1日も勤務しないまま休業に入った場合には、予定されていた給与額での算定となり、雇用契約書・労働条件通知書等の賃金額がわかる書類を添付します。

 

<締切>

休業した期間ごとに、次のように定められています。

令和2年4月~6月:令和2年9月30日(水)

令和2年7月:令和2年10月31日(土)

令和2年8月:令和2年11月30日(月)

令和2年9月:令和2年12月31日(木)

 

<郵送受付先>

600-8799

日本郵便株式会社 京都中央郵便局留置

厚生労働省新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金担当

 

<問合せ先>

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金コールセンター

電話番号:0120-221-276

受付時間:月~金 8:30~20:00 土日祝 8:30~17:15

 

解決社労士

2020/06/22|1,075文字

 

<整理解雇>

整理解雇とは、会社の事業継続が困難な場合に、人員整理のため会社側の都合により労働契約を解除することです。

法律上は普通解雇の一種ですが、労働慣例により他の普通解雇と区別するため整理解雇という用語が使われています。

 

<法律上の解雇制限>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法第16条〕

しかし、これでは内容が抽象的すぎて、具体的な場合にその解雇が有効なのか無効なのか判断に困ります。

 

<コロナショックによる収益悪化の特性>

新型コロナウイルスの感染者が出た店舗など、営業が制限された場合には、使用者が労働者の労務の提供を受けることができません。

しかし、多くの場合には、都道府県の要請を受けて営業を自粛した結果、収益の悪化が生じています。

現実の問題としては、休業せざるを得ない状況であったにも拘らず、法的には、使用者の判断で営業を自粛したのだから、必ずしも労務の提供を受けることが不可能であったとはいえなかったと評価されます。

この場合、整理解雇や雇い止めについては、多くの裁判を通じて確立された「整理解雇制限法理」が適用されます。

 

<整理解雇制限法理>

整理解雇制限法理というのは、次の4つの要素から、解雇の有効性を制限的に判断する考え方です。

4つのうち1つでも要件を欠いていたら、解雇が無効になるということではなく、総合的に判断されます。

1.経営上の人員削減の必要性

会社の財政状況に問題を抱え、新規採用などできない状態となったことです。

2.解雇回避努力の履行

配置転換や希望退職者の募集などを実施したことです。

3.解雇対象者の人選の合理性

差別的な人選は許されず、客観的な基準によらなければなりません。

4.手続の相当性

事前の説明や労働者側との協議など、誠実に行うことが求められます。

 

<コロナショックの特殊性>

コロナショックの特殊性を理由に、整理解雇制限法理が特例的に緩和されるということはありません。

ただ、各要素について、整理解雇が有効と判断されやすい事情はありえます。

あらゆる助成や支援を受けても、なお財政状況に問題が残り、経営上の人員削減の必要性が高いと判断されるような場合や、配置転換しようがない場合が想定されます。

また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、ほぼ公知の事実となっていますので、この点について、詳細な説明は不要です。

ただ、会社の事業にどのような影響を与えたのか、具体的な内容の説明は必要になってくるでしょう。

 

解決社労士

2020/06/19|1,725文字

 

<出入国在留管理庁の対応>

出入国在留管理庁は、新型コロナウイルス感染症の影響により解雇等され、実習が継続困難となった技能実習生、特定技能外国人等の国内での雇用を維持するため、関係省庁と連携し、特定産業分野(特定技能制度の14分野)における再就職の支援を行うとともに、一定の要件の下、在留資格「特定活動」を付与し、外国人に対する本邦での雇用を維持するための支援を行っています。

 

<対象者>

新型コロナウイルス感染症の影響により、受入れ機関または受入れ予定機関の経営状況の悪化(倒産、人員整理、雇止め、採用内定の取消し等)等により、自己に責任のない理由で、その機関での活動ができなくなり、現在の在留資格で日本に引き続き在留することが困難となった外国人が対象者です。

具体的には、現在の在留資格で活動できない次のような外国人が対象となります。

(1)技能実習生、特定技能外国人

(2)就労資格(「技術・人文知識・国際業務」、「技能」等)で就労していた外国人

(3)教育機関における所定の課程を修了した留学生

 

<在留資格変更許可申請の手続>

在留資格変更許可申請を行う前に、外国人と新たな受入れ機関との間で雇用契約を締結する必要があります。

出入国在留管理庁では、この雇用契約がスムーズに成立することを目的として、関係省庁と連携し、特定産業分野での再就職の支援として、雇用契約に関するマッチング支援を行っています。

外国人との雇用契約の成立後に、次の必要書類を添えて外国人の住居地を管轄する最寄りの地方出入国在留管理局(支局、出張所)に在留資格「特定活動」への在留資格変更許可申請を行います。

ただし、新たな受入れ機関は、特定技能制度の14分野に属するものに限られます。

 

【必要書類】

 ○在留資格変更許可申請書

 ○受入れ機関が作成した説明書

 ○雇用契約に関する書面(雇用契約書、労働条件通知書等の写し)

 ○受入れ機関が作成した賃金の支払に関する書面

 

<付与される在留資格・期間>

特定活動(就労可)・最大1年

 

<行うことができる活動>

受入れ機関で、特定技能外国人の業務に必要な技能を身に付ける活動です。

 

<雇用契約の条件>

雇用契約の条件は、次のとおりです。

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例措置とはいえ、在留資格「特定活動」の趣旨を外れるものは認められません。

 

【雇用契約の条件】

ア 申請人が本特例措置により従事しようとする業務に係る報酬の額が、日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること

イ 申請人が、受入れ機関において特定技能外国人の業務に必要な技能を身に付けることを希望していること(希望する特定産業分野に係る技能試験等の合格が必要な者に限る。)

なお、製造業3分野(素形材産業分野、産業機械製造業分野、電気・電子情報関連産業分野)については、国内において、申請人が製造業各分野で対象となっている業務区分(職種)で勤務・実習中に解雇されたものに限られる。

ウ 受入れ機関が、申請人が特定技能外国人の業務に必要な技能を身に付ける希望があることを理解した上で、申請人の雇用を希望するものであること

エ 受入れ機関が、申請人を適正に受け入れることが見込まれること(在留外国人(就労資格に限られず、資格外活動許可を受けた者も含む。)を雇用した実績、出入国・労働関係法令の遵守等)

オ 受入れ機関が、申請人に対して特定技能に移行するために必要な技能等を身に付けることなどについて指導、助言等を行うことのほか、在留中の日常生活等に係る支援(関係行政機関の相談先を案内及び必要に応じて当該機関に同行することを含む。)を行う担当者を確保して適切に行うことが見込まれること

(注)支援については、例えば、受入れ機関が雇用する申請人が従前に所属していた監理団体や、特定技能へ移行する際に支援を委託する予定の登録支援機関において実施することも差し支えない。

カ 受入れ機関が、申請人を受け入れることが困難となった場合には地方出入国在留管理局に速やかに報告することとしていること

 

外国人の受け入れを検討中の企業では、今回の特例を活用して、トライアルを行ってみてはいかがでしょうか。

 

解決社労士

2020/05/21|2,041文字

 

<労働契約>

会社と従業員との間には、労働契約が締結されています。

この労働契約は、口約束でも成立します。

 

【民法第623条:雇用】

雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。

 

労働条件通知書や雇用契約書等の書面を交付しなければならないのは、労働基準法が労働者を保護するために、使用者に対して労働条件の明示義務を課しているからです。

 

【労働基準法第15条第1項】

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

 

労働と賃金とは、対価関係にありますから、労働の提供が無ければ、賃金の支払も無いという、ノーワーク・ノーペイの原則が働きます。

従業員が働かなければ会社は賃金を支払わなくても良い、従業員が働いたら会社は賃金を支払わなければならないという、当たり前のことが大原則となります。

 

<100%の補償が必要な場合>

従業員が労働に従事しない場合でも、会社が賃金を100%支払わなければならない場合があります。

 

【民法第536条第2項:債務者の危険負担等】

債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

 

これを労働契約に当てはめると、会社の落ち度で従業員が働けなくなったときには、会社は賃金の支払を拒めないということになります。

会社が従業員に解雇の通告をしたために、従業員が出勤できなくなったものの、不当解雇であって解雇が無効である場合には、賃金の支払義務を免れません。

この条文の中の「債権者の責めに帰すべき事由」というのは、故意、過失、信義則上故意や過失と同視すべきものとされています。

 

<60%以上の補償が必要な場合>

従業員が労働に従事しない場合でも、会社が賃金を60%以上支払わなければならない場合があります。

 

【労働基準法第26条:休業手当】

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

 

会社の主観的な判断により、不合理な理由で従業員の労働の提供を拒んだ場合には、会社が賃金の100%を支払う義務を負うのですが、客観的に合理的な理由で従業員の労働の提供を拒んだものの、会社に落ち度がある場合には、労働者を保護するため、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う義務を負います。

会社の経営判断で、従業員を休ませたところ、それには客観的に合理的な理由があって、しかし、従業員に落ち度はなく、厳しい目で見れば、どちらかというと会社側に落ち度がある場合に、この規定が適用されます。

国家機関による休業命令による場合は、休業命令を受けることについて会社に落ち度がありますから、この規定が適用されます。

仕入先から原材料が入らない場合には、その仕入先を選んだことについて会社に落ち度があるものと考え、この規定が適用されます。

なお、前掲の民法第536条第2項は任意規定とされ、当事者間で別の定めをすれば、その定めが優先されることになります。

ですから、会社の落ち度で従業員が働けなくなったときに、会社が労働基準法の制限ギリギリの60%だけ賃金を支払う旨の規定が就業規則にあれば、故意のある場合や、信義則に反する場合を除き、その規定が適用されることになります。

 

 

<補償が不要な場合>

民法に、次の規定があります。

 

【民法第536条第1項:債務者の危険負担等】

当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。

 

公共交通機関の遅れの場合、本来であればノーワーク・ノーペイの原則により、遅れて勤務できなかった時間の賃金は支払われないことになります。

しかし、実際には多くの会社で、遅刻が無かったものとして扱う慣行がありますので、この慣行にしたがって支払うのが通常でしょう。

このように経営判断で、法律上義務の無い賃金を支払うのは問題視されません。

 

<新型コロナウイルスの影響による休業の場合>

従業員本人が、新型コロナウイルスに感染して休業した場合、会社の命令で休業させるわけではなく、また感染したことについて会社に落ち度が無いのであれば、会社は賃金の支払義務を負いません。

その従業員が健康保険に加入していれば、傷病手当金を請求することができますし、業務上感染したのであれば、労災保険が適用されます。

問題は、会社の判断で店舗などを休業した場合です。

都道府県からの一般的な要請により休業したのであれば、60%以上の補償が求められるケースが多いでしょうし、業種が特定されてほぼ名指しのような形で休業させられたのであれば、会社が補償義務を負わないケースもあるでしょう。

この辺の判断が微妙なために、雇用調整助成金に様々な特例を設けて、多くの企業が利用できるようにしたのだと考えられます。

 

解決社労士

2020/03/30|1,650文字

 

<通達の発出>

令和2年3月17日、厚生労働事務次官が、都道府県労働局長に宛てて依命通達(令和2年3月17日厚生労働省発基0317第17号)を発出しました。

これは、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響から、中小企業・小規模事業者で労働基準関係法令への対応が困難となる状況が発生していることを受け、中小企業等に与える影響への配慮の徹底を指示するものです。

直接的には、中小企業への配慮を依頼する内容となっていますが、労働基準法の解釈・適用について、実態を踏まえた柔軟な対応をなしうることを示しているもので、大企業にとっても参考になるものです。

具体的には、次の事項を指示しています。

 

<中小企業等への配慮>

・中小企業等に対する相談・支援にあたっては、労働基準関係法令に係る違反が認められた場合においても、新型コロナウイルス感染症の発生および感染拡大による影響を十分勘案し、労働基準関係法令の趣旨を踏まえた自主的な取組みが行われるよう、きめ細かな対応を図ること。

・中小企業等の置かれた状況に応じ、時差出勤やテレワークについて必要な周知等を行うこと。

ポイント:法令違反があっても、必要な知識を与え、自主的な改善を求める。

 

<労働基準法第33条第1項の解釈>

 

【労働基準法第33条第1項】

災害その他避けることのできない事由によつて、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において第三十二条から前条まで若しくは第四十条の労働時間を延長し、又は第三十五条の休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならない。

 

・感染患者を治療する場合、高齢者等入居施設において新型コロナウイルス感染症対策を行う場合および感染・蔓延を防ぐために必要なマスクや消毒液、医療機器等を緊急に増産または製造する場合等が対象になり得るものであること。

・このほか、人命・公益を保護するために臨時の必要がある場合には、状況に応じた迅速な運用を図ること。

・あくまで必要な限度の範囲内に限り認められるものであり、やむを得ず月80時間を超える時間外・休日労働を行わせたことにより疲労の蓄積の認められる労働者に対しては、医師面接等を実施し、適切な事後措置を講じる必要があること。

ポイント:「臨時の必要がある場合」は限定されており、長時間労働で疲労が蓄積した労働者には、適切な事後措置が必要である。

 

<1年単位の変形労働時間制>

・新型コロナウイルス感染症対策のため、当初の予定どおりに1年単位の変形労働時間制を実施することが企業の経営上著しく不適当と認められる場合には、特例的に、1年単位の変形労働時間制の労使協定について、労使で合意解約をし、または協定中の破棄条項に従って解約し、改めて協定し直すことも可能であること。

・解約までの期間を平均して1週40時間超労働させた時間について割増賃金を支払うなど、協定の解約が労働者にとって不利になることのないよう留意すること。

ポイント:1年単位の変形労働時間制についての労使協定を合意解約し、また、協定のやり直しも可能だが、割増賃金の支払などで労働者に不利益が発生しないようにする必要がある。

 

<36協定の特別条項>

・36協定の「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」に、繁忙の理由が新型コロナウイルス感染症とするものであることが明記されていなくとも、一般的には、特別条項の理由として認められるものであること。

・現在、特別条項を締結していない事業場においても、法定の手続きを踏まえて労使の合意を行うことにより、特別条項付き36協定を締結することが可能であること。

ポイント:36協定の特別条項に新型コロナウイルス感染症についての記載が無くても、「繁忙の理由」として扱える。また、特別条項の無い36協定が届出済であっても、特別条項付きの36協定に切り替えることができる。

 

解決社労士

2020/03/18|1,435文字

 

令和2年3月6日、新型コロナウイルス感染症に関わる傷病手当金の支給について、厚生労働省保険局保険課から全国健康保険協会に宛てて、事務連絡文書が発信されています。

 

<感染者の傷病手当金>

健康保険加入者(被保険者)が新型コロナウイルス感染症に感染し、療養のため労務に服することができない場合には、傷病手当金の対象となります。

つまり、他の病気やケガと同様に、療養のため労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、労務に服することができない期間、直近12か月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額が、傷病手当金として支給されます。

例外的に業務によって感染した場合には、傷病手当金の対象とはならず、労災保険給付の対象となります。

 

<自覚症状の有無>

検査の結果、「新型コロナウイルス陽性」と判定され、療養のため労務に服することができない場合には、たとえ自覚症状が無いときでも、傷病手当金の支給対象となりえます。

反対に、「新型コロナウイルス陽性」と判定されていない場合でも、医師が診察の結果、被保険者の既往の状態を推測して初診日前に労務不能の状態であったと認め、意見書に記載したときには、初診日前の期間についても労務不能期間となりえます。

今回の新型コロナウイルス感染症では、次のような症状があるため被保険者が自宅療養を行っていた期間は、療養のため労務に服することができなかった期間に該当することとなります。

・風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている

・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある

 

<受診していない場合>

やむを得ない理由により、医療機関での受診を行わず、医師の意見書を添付できない場合でも、傷病手当金支給申請書にその旨を記載するとともに、その期間、被保険者が療養のため労務に服さなかった旨を証明する書類を事業主に作成してもらい添付すること等により、傷病手当金を受給できる場合があります。

 

<職場全体が休業になった場合>

事業所内で、新型コロナウイルス感染者が発生したこと等により、事業所全体が休業し、労務を提供することができなかった期間については、傷病手当金は支給されません。

傷病手当金は、労働者の業務災害以外の理由による疾病、負傷等の療養のため、被保険者が労務に服することができないときに給付されるものであるため、被保険者自身が労務不能と認められない限り、傷病手当金は支給されないことになります。

なお、使用者の独自の判断により、一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、労働基準法に基づき、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければなりません。〔労働基準法第26条〕

 

<家族が感染した場合>

家族が感染し、労働者が濃厚接触者になったが症状は無いという場合、その労働者が休暇を取得しても傷病手当金は支給されません。

繰り返しですが、傷病手当金は、労働者の業務災害以外の理由による疾病、負傷等の療養のため、被保険者が労務に服することができないときに給付されるものであるため、被保険者自身が労務不能と認められない限り、傷病手当金は支給されないことになります。

 

これらは、従来の取扱いに基づくものであって、新型コロナウイルス感染症についての特例を定めたものではありませんが、迷いやすい点もあることから公表されたものです。

 

解決社労士

2020/03/05|1,039文字

 

<感染経路>

ウイルスの主な感染経路は、飛沫感染と接触感染です。

飛沫感染は、感染した人の咳やくしゃみのしぶき(飛沫)に含まれるウイルスを吸い込むことによる感染です。

予防には、感染した人の咳やくしゃみが直接人にかからないよう、マスクやティッシュ等で口と鼻を覆う等の「咳エチケット」が効果的です。

マスクやティッシュ等が無い場合には、ひじを曲げてひじの内側で口と鼻を覆います。

接触感染は、ウイルスの付着した手で、目・口・鼻を触ることによる感染です。

予防には、手洗い、消毒が効果的です。

 

<従業員の取組>

●こまめな手洗い

手洗いは流水と石けんで15秒以上行い、水分を十分にふき取りましょう。

手が洗えない場合、手指消毒用アルコール製剤(エタノール等を60~80%程度含むもの) による消毒も効果があります。

●顔を触らない

手に付着したウイルスが目・口・鼻の粘膜から体内に入らないよう、手で顔を触らないようにしましょう。

●人ごみを避ける

外出する場合は、公共交通機関のラッシュの時間を避ける等、人ごみは避けましょう。

症状のある人(咳やくしゃみなど)に接触した場合は、手洗いなどを行いましょう。

●咳エチケット

咳やくしゃみが出るときは、マスク等で口や鼻を覆うなどの「咳エチケット」を心がけましょう。

 

<マスクの付け方>

口と鼻の両方を確実に覆う → ゴムひもなどを耳にかける → 鼻の部分に隙間ができたり、あごの部分が出たりしないようマスクを調節する

※あごや首にはウイルスが付着します。飲んだり食べたりの際、マスクを下にずらすと、マスクの内側にウイルスが付着してしまいます。

 

<マスクの外し方>

マスク表面には、ウイルスが付着している可能性があるので、触らずにゴムひもなどを持って外します。

※マスクは1日1枚程度交換します。

 

<企業の取組>

●感染予防に必要な備品・環境の整備

手指消毒薬、石けん・ペーパータオル等を備えるなど、衛生状態を保つための備品・環境を整備しましょう。

手指消毒薬の使用期限に注意しましょう。

●人が触れる場所を清掃・消毒

人が触れる場所(ドアノブ、スイッチ、階段の手すり、エレベーターの押しボタン等)を清掃・消毒しましょう。

消毒剤は、次亜塩素酸ナトリウム(製品表示に従い希釈)や消毒用エタノール等が有効です。

消毒剤を使う場合には、消毒剤を浸したペーパータオル等による拭き取り消毒を行うこと、換気すること、「使用上の注意」をよく読んで使うこと、作業をした後は手を洗うことなどに注意しましょう。

 

解決社労士