通勤費込みの基本給

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<通勤手当の増額>

従業員が遠方に引っ越し通勤手当が増えると、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、労災保険料にも反映されますから、会社の負担もかなり増えることがあります。

その引っ越しが、会社の業務都合ではなく個人的な事情によるものであれば、釈然としないこともあります。

しかし、遠方への引っ越しを理由に解雇を通告するのは、一般に不当解雇となってしまいます。〔労働契約法第16条〕

 

<課税の問題>

もし、通勤費込みで基本給を決めておくことができれば、社会保険料や労働保険料について、従業員の引っ越しにより、会社の負担が増減することはありません。

しかし税法上は、一部の例外を除き通勤手当には課税されませんが、通勤手当込みの基本給にすると全体に課税されてしまいます。

 

<純粋な手取り額の減少>

それでは、基本給が20万円で、通勤手当が1万円、だから本来の給与部分は19万円(20万円 - 1万円)と決めておくのはどうでしょう。

遠方に引っ越して通勤手当が2万円になった場合には、基本給は20万円のままで、本来の給与部分は18万円(20万円 - 2万円)となります。

本人が受け取る基本給に変更はありません。

しかし、通勤手当は一般に実費を基準に支給されるものですから、自由に使える金額は本来の基本給が減った分だけ減少してしまいます。

 

<労働基準法と通勤手当>

労働基準法やその他の労働法に、「通勤費は雇い主が負担する」のような規定はありません。

多くの企業が通勤手当を支給していますから、これが当たり前になっているだけです。

ただそれだけに、通勤手当を支給しない企業が求人広告を出しても、魅力が感じられないということはあります。

しかし、就業規則や労働条件通知書に「通勤費は支給しない」と規定しておくことは、法的には問題がないのです。

 

<現実的な対応>

通勤費込みの基本給としたり、通勤手当を支給しなかったりすることは、給与計算のうえで会社の手間が減少します。

しかし、遠方への引っ越しをきっかけとした退職者は出やすくなります。

それでも、「代わりの人」を簡単に採用できる職場であれば問題ないのかもしれません。

新人の採用や育成が難しい職場では、通勤手当に上限額を設けておき、会社の負担が予想外に増えることを防ぐというのが、現実的な対応ではないでしょうか。

 

2019.03.28.解決社労士