深夜勤務と健康診断

2021/12/27|1,343文字

 

<健康診断の対象者>

企業は、常時使用する労働者に対し、労働安全衛生法に定める基準により、健康診断を実施しなければなりません。

たとえ就業規則に規定が無くても、この実施義務を免れることはできません。

むしろ、健康診断に関する規定が漏れているわけですから、就業規則への補充が必要です。

労働安全衛生法に定める対象者の基準は次の2つです。両方の基準を満たす人については、健康診断の実施義務があります。

 

【健康診断の対象者の基準】

・期間を定めないで採用されたか、期間を定めて採用されたときでも1年(深夜業を含む業務、一定の有害業務に従事する人は6か月)以上引き続き使用(または使用を予定)されていること。

・1週間の所定労働時間が、その企業で同種の業務に従事する正社員の4分の3以上であること。

 

1週間の所定労働時間が正社員の4分の3未満の労働者であっても、2分の1以上であれば、健康診断を実施することが望ましいとされています。努力義務です。

 

<実施義務のある健康診断>

実施しなければならない健康診断は次のとおりです。

1.常時使用する労働者に対しては、雇入れの際に行う健康診断、及び1年に1回定期に行う健康診断。

2.深夜業に常時従事する労働者に対しては、その業務への配置替えの際に行う健康診断、及び6か月に1回定期に行う健康診断。

3.一定の有害な業務に常時従事する労働者に対しては、採用、及びその業務への配置替えの際と、その後に定期で行う特別の項目についての健康診断。

4.その他必要な健康診断。

 

<深夜勤務と健康診断>

上記のうち、2.が深夜勤務についての健康診断です。

この中の「常時従事」については、法令には明確な基準が示されていませんが、通達で「深夜業を含む業務に関しては、業務の常態として、深夜業を1週1回以上または1か月に4回以上行う業務」と示されています。〔昭和23年10月1日付基発第1456号〕

実施しなければ、1人につき50万円以下の罰金という罰則も、常時50人以上の労働者を使用していれば、所轄の労働基準監督署に健康診断結果報告書を提出しなければならないのも一般の定期健康診断と同じです。

22:00~翌朝5:00の勤務回数を適正に把握して、健康診断の実施漏れが発生しないように注意しましょう。

 

<自発的健康診断の結果の提出>

企業側の義務とは別に、深夜勤務をしている労働者から自発的な健康診断の結果の提出が、労働安全衛生法に制度として認められています。

(自発的健康診断の結果の提出)
第六十六条の二 午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間における業務(以下「深夜業」という。)に従事する労働者であつて、その深夜業の回数その他の事項が深夜業に従事する労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものは、厚生労働省令で定めるところにより、自ら受けた健康診断(前条第五項ただし書の規定による健康診断を除く。)の結果を証明する書面を事業者に提出することができる。

こちらについては、厚生労働省令が「6か月を平均して1か月当たり4回以上深夜業に従事した者」という基準を示しています。

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