時差出勤(働き方改革)

2021/11/05|1,040文字

 

<現代版の時差出勤>

東京都では「時差Biz」と称して時差出勤を推奨してきました。

通勤ラッシュ回避のために通勤時間をずらすもので、働き方改革のひとつと考えられます。

たしかに働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

東京都の特に区部では、満員電車の混雑緩和が社会の生産性向上のための重要な課題のひとつとなっています。

通勤時間をずらすことによって満員電車の混雑緩和を促進する「時差Biz」に、多くの会社で一斉に取り組めば、現在の満員電車での通勤による労働者の肉体的・精神的な負担が軽減され、生産性が向上することは明らかでしょう。

ここに来て、東京オリンピックに向けた準備やコロナ禍によって、期せずして時差出勤の動きも盛んとなりました。

この動きがコロナ終熄後も続くことが、働き方改革の観点からは望ましいわけです。

 

<労働者側のメリット>

生産性の向上というと、企業側のメリットばかりが強調されてしまいますが、空いた電車では満員電車とは違って、働き手にとっても時間の有効活用が可能です。

満員電車では、ただただ耐えるだけの時間となってしまいます。

しかし、空いた電車の中では、スマホで個人の趣味に取り組んだり、ニュースをチェックしたり、資格試験の勉強をしたりと、通勤時間の有効活用が可能となります。

それに、朝早く出勤して夕方は早く帰宅というパターンなら夕方の時間をプライベートに使えますし、遅め出勤なら朝の時間に趣味や家族のコミュニケーションを充実させることも可能です。

 

<会社で必要な手続>

時差出勤は、フレックスタイム制とは違って1日の労働時間(所定労働時間)の長さはそのままです。

早く出勤して早く帰るか、遅く出勤して遅く帰るかということです。

しかし、これを導入するには、会社の就業規則に新たな規定を設ける必要があります。

始業時刻と終業時刻は、就業規則に必ず定める絶対的必要記載事項です。〔労働基準法第89条〕

そのため、時差出勤の対象者や時差出勤での始業時刻と終業時刻のパターンは、就業規則に定めておく必要があります。

また、時差出勤の導入によって休憩時間も変更する必要があったり、一斉休憩の原則が維持できなくなるようであれば、就業規則にその旨を定めたり、一斉休憩の適用除外に関する労使協定の締結も必要となります。

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