休職後に軽易な作業で復職

LINEで送る

2020/03/24|1,301文字

 

<問題となるケース>

私傷病で休職していた社員が、元の職務で復職することは困難だが、軽易な作業であればすぐにでも復職できるとして、復職を希望した場合に、会社がこれに応じるべきかが問題となります。

休職中に無収入であったり、傷病手当金の受給だけであったりすれば、1日でも早く復職したいということもあります。

また、就業規則に定められた休職期間の満了が迫っていれば、復職できないことによって、退職せざるを得なくなりますから切実です。

一定の期間、軽易な作業に従事した後は、元の職務に戻ることができるという見込みの場合もあります。

いずれの場合にも、その旨の診断書が出されることもあり、会社がこれに従うべきなのか、判断に迷うところです。

 

<復職の原則>

私傷病で休職していた社員が復職するには、休職期間満了時までに、元の職務を普通にこなせるようになっていることが、原則として必要です。

このことからすると、元の職務では復職できず、軽易な作業での復職を希望していること自体、復職の本来の条件を満たしていないことになります。

 

<休職制度の意味合い>

休職については、労働基準法に規定がありません。

ですから、就業規則に休職の規定を置くかどうか、置いたとして、どのような制度にするかは、各企業の判断に任されています。

しかし、休職制度を置かずに簡単に退職させてしまうと、不当解雇となり解雇の通告が無効となって、会社が退職者から多額の賠償金を請求されるケースもあります。

しかも、解雇権の濫用とされ、不当解雇になってしまう基準は極めて抽象的です。〔労働契約法第16条〕

 

【解雇】

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

休職制度を置いておくことで、会社側に「客観的に合理的な理由」があり、「社会通念上相当である」という主張をしやすくすることになります。

 

<例外的な取扱いの要否>

以上のことから、休職制度の運用にあたっても、会社は解雇権の濫用とならないように注意する必要があります。

休職期間満了による退職については、就業規則に「自動退職」「自然退職」という文言が用いられることもありますが、その正当性が問われることは解雇と同様です。

そして、解雇権の濫用を判断するのは裁判所ですから、過去に裁判に現れた事例を元に考えると、次のようなことがいえます。

・復職に当たって軽易な作業に就かせておき、短期間のうちに元の職務に復帰できる見込みがあり、会社側にこうした対応が可能であれば、会社は復帰を拒否してはならない。

・休職している従業員が、職種・業務を特定していない従業員であれば、元の職務に復帰できないとしても、その従業員の能力、経験、地位、その会社の規模、業種、その会社での労働者の配置・異動の実情や難易度などに照らして、元の職務とは異なる業務への配置を検討・実施すべきである。

・休職している従業員が、職種・業務を特定している従業員であっても、就業規則で異動を認めているか、現実には異動の実例があるような職場では、異動を伴う復職を検討・実施すべき場合もある。

 

解決社労士