モデル就業規則と年俸制

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<厚生労働省のモデル就業規則のねらい>

モデル就業規則の最新版(平成31(2019)年3月版)には、次のような説明があります。

 

【モデル就業規則の活用に当たって】

このモデル就業規則(以下「本規則」といいます。)は、平成31年4月以降に施行される労基法等の規定を踏まえ就業規則の規程例を解説とともに示したものです。本規則はあくまでモデル例であり、就業規則の内容は事業場の実態に合ったものとしなければなりません。したがって、就業規則の作成に当たっては、各事業場で労働時間、賃金などの内容を十分検討するようにしてください。

 

モデル就業規則の各規定の内容を十分検討して、各事業場の実態に合ったものとすれば、労基法などの規定に基づいた就業規則が完成します。

 

<年俸制とは>

プロ野球の選手のように、年1回、社員と会社とが交渉して、たとえば4月から翌年3月までの年俸を決めることは可能です。

会社の業績と社員の働きぶりを踏まえて、期待できる内容に見合った金額とするわけです。

このとき、年俸はすべて込みの報酬だと誤解されがちです。

決まった金額さえ支払えば、残業代などは発生しないというのは誤解なのです。

プロ野球の選手とは違い、サラリーマンには労基法などが100%適用されます。

当然ですが、年俸制にすれば労基法を無視できるということはありません。

残業手当、休日出勤手当、深夜手当の支払が必要である一方、欠勤すれば欠勤控除をすることも可能です。

「年俸制の社員が休日にケガをして長期入院してしまった。年俸を下げてはいけないのか?」という心配は無用です。

これらのことは、就業規則に定めておけばよいのです。

一定の時間・金額の残業代を年俸に含めるということも、正しいルールと運用で可能となります。

 

<結論として>

年俸制については「プロ野球の選手と同様」という勘違いがかなり多いのです。

また、具体的にルールを作ろうとすると、各事業場の実態に合ったものとすることが簡単ではありません。

こうしたことから、モデル就業規則の中に、年俸制についてのモデル例と解説を加えることは、かえって混乱を招くともいえます。

今現在、年俸制を導入している企業や、これから導入を検討している企業では、規定だけでなく運用についても、弁護士か社労士のチェックを考えていただきたいと思います。

 

2019.10.13. 解決社労士 柳田 恵一