労災保険での賃金の補償

2022/10/23|788文字

 

<補償が受けられるケース>

業務災害または通勤災害による傷病の治療のため働けず、賃金を受けられないときは、労災保険による補償が受けられます。

傷病の原因が、勤務中に発生する業務災害のときは休業補償給付、通勤中に発生する通勤災害のときは休業給付といいます。

業務災害の場合は、もともと労働基準法が事業主に補償を義務づけていたので、「補償」という言葉が入ります。

これに対して、通勤災害の場合には、事業主に通勤途上の事故にまで責任を負わせることに無理があります。

そのため、労働基準法は事業主に補償を義務づけていないので、「補償」ということばが入りません。

労災保険は、事業主の補償義務の範囲を超えて、補償の内容を拡大しているのです。

 

<保険給付の内容>

休業4日目から、休業1日につき被災者の平均賃金の60%が補償されます。

つまり、3日目までは労災保険で補償されません。

ただし、業務災害の場合だけ、事業主が直接補償する義務を負っています。〔労働基準法第67条第1項〕

この他、休業特別支給金という制度があって、休業4日目から、休業1日につき被災者の平均賃金の20%が支給されます。

結局、被災者は合計80%の補償を受けるわけです。

休業(補償)給付を受けるために、労働基準監督署長に提出する書類のタイトルには、休業特別支給金も兼ねていることが表示されていますので、1つの手続きで両方の請求ができます。

 

<健康保険より手厚い補償>

治療費は、健康保険だと自己負担が30%ですが、労災保険だとほぼ無料です。

休業補償も、健康保険の傷病手当金が67%なのに対して、労災だと合計80%になります。

これは、日本国憲法第27条第1項が、勤労を国民の義務としていることと深い関連があります。

つまり、国民としての義務を果たしていて被災したのだから、プライベートな原因の場合よりも手厚い補償が必要だとされているわけです。

 

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