新型コロナウイルスと労災保険(令和4年度)

2022/03/03|1,026文字

 

労災保険の手続で心がけたいこと

 

<通達の発出>

令和4(2022)年2月15日、厚生労働省大臣官房審議官(労災、建設・自動車運送分野担当)から都道府県労働局長に宛てて、令和4年度の労災補償業務の運営に当たって留意すべき事項についての通達が発出されました(労災発0215第1号)。

この通達の中で、新型コロナウイルス感染症やワクチンによる労災などについて説明されています。

 

<新型コロナウイルス感染症による労災保険給付>

新型コロナウイルス感染症については、令和2(2020)年4月28日付け基補発0428第1号(令和3年6月24日改正)「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いについて」が労災保険給付についての取扱いを示しています。

これを踏まえ、業務により感染した労働者が迅速かつ公正に労災保険給付を受けられるよう、労働基準監督署などが的確に対応する方針です。

さらに、感染者について後遺症が発生する場合があるので、厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 別冊罹患後症状のマネジメント(暫定版)」等を参考に医師の意見を確認し、療養や休業が必要と認められる場合には、労災保険給付の対象となるとしています。

 

<ワクチン接種で健康被害が生じた場合の労災保険給付>

ワクチン接種で健康被害が生じた場合の労災保険給付については、厚生労働省の「新型コロナウイルスに関するQ&A」により、医療従事者等のワクチン接種が、業務遂行に必要な行為とされ、労災保険給付の対象とされています。

医療従事者等以外の労働者に、ワクチン接種による健康被害が生じた場合については、従来どおり、そのワクチン接種が事業主からの業務命令によるものか否かなどを調査したうえで、業務遂行性の有無を判断するとしています。

 

<労災保険給付の請求勧奨>

感染経路が不明な場合であっても、労災保険給付の対象となりうることについて、労働者や事業主が知らないこともあります。

このため、厚生労働省ホームページやリーフレットなどによる請求勧奨を継続するとしています。

特に、集団感染が発生した事業場等を把握した場合については、適切な時期に請求勧奨の要請を確実に行うとしています。

 

<解決社労士の視点から>

厚生労働省は広報活動に努めていますが、企業や労働者に伝わっていないのも事実です。

従業員に新型コロナウイルス関連の健康障害が発生した場合には、企業の担当部門から、所轄労働基準監督署の労災課に問い合わせてみることも必要でしょう。

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